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第3章・残念なドラゴンニュートの女の子

066:怒ってる者

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 ハイウルフの巣穴に眠る財宝を目指して進む。
 すると新戦力のルイちゃんも参加してくれている為に、思っていたよりも苦戦する事なく、洞窟の中のハイウルフを一掃し奥に到着する事ができた。


「この人数でかかれば、ハイウルフとは言えども楽だったな」

「そうでござるね!!」

「楽だったわん!!」

「みんな元気だね……」


 俺たちが目的地の洞窟の奥地に足を踏み込むと、そこには古びた木箱の様なモノが置かれていた。


「まさか、これが財宝だって? やっぱり街の人が言っていたのは、噂話だったって事だろうな………」

「それでも良いモノが入ってる可能性はあるわん!!」

「そうでござる!! まだまだ期待感は、薄くなってないでござるよ!!」


 俺が何も入っていないだろうからと、少し残念な気持ちになってテンションが下がってしまう。
 するとカエデちゃんたちが、中身を見てみたら良いモノを入ってるかもしれないからと持ち上げてくれた。
 それならばと宝箱を開けると、そこには手入れも何もされていないであろう錆だらけの古い剣が出てきた。


「これが、この洞窟の財宝って事かな? 相当、昔の剣みたいだけど………」

「とにかく、それを古物商に見せれば良いんじゃ?」

「確かに、そうでござるな!!」

「もしかしたら高い物かもしれないわん!!」


 その剣を持ってみたが研いだからと言って、使い物になる様な品物でない事を確認する。
 しかし古物商に見せたら、もしかして高い物かもしれないと3人がいうので持って出る事にした。


「さてと……って、ありゃ? 俺たちの後に、この洞窟に来た冒険者か?」

「その手に持っているのは………」

「えっ? これか? この剣は、この洞窟の財宝だ………今、俺たちが見つけたんだよ」

「そうか。ならば、その剣を置いていけ………お前たちの様な人間が持っていて良い物じゃない」


 俺たちが来た道を戻ろうとした時に、その道の真ん中でローブを着てフードで顔を隠した人間が立っていた。
 俺たちの後でやってきた冒険者なのかと思ったが、何やらローブの男は俺の持っている財宝の剣を渡せという。


「何を言ってんだ? それで渡す馬鹿が、どこにいるっていうんだよ? 冒険者なら、また別の場所から探せば良いだろ」

「ならば力尽くで奪うまでだ!!」

「ミナト殿に、手は出させないでござる!!」


 ローブの男は、俺が渡さないと言った瞬間に、奪いに飛びかかってきたのである。
 しかし俺と男の間にルイちゃんが入って、男の喉元に刀を突きつけて動きを止めた。


「その刀も良いモノじゃないか………女は殴りたくなかったが、俺はイライラしてんだよ!!」

「うっ!?」


 ローブの男は力ずくでも奪おうと、ルイちゃんの刀を弾いてルイちゃん自身も吹き飛ばした。
 そのまま俺との距離を潰して、殴り飛ばそうとして来たので反射的に、パンチを避けながらカウンターを顎に入れた。


「スピードは速いな。Bランクくらいの冒険者か………」

「舐められたもんじゃねぇか。このラース様を、Bランク冒険者などと一緒にするとはな!!」


 殴られた事でフードが脱げて顔が見えた。
 その顔は日本人っぽい顔立ちに、短髪の赤い髪をし釣り上がった目は中々の威圧感がある。
 そして男を見て最初に目に付くのが、首の周りをグルッと回る様に彫られている龍の刺青だ。
 ちょっと待てよ。
 この男は自分の事をラース様と言ったか?
 ラースといえば、犯罪集団の銀翼の夜明け団で大幹部を務める男じゃないか。


「ど どうして、こんなところに銀翼の夜明け団が………」

「その剣を速やかに渡せば、お前たちの命までは取らずにおいてやる………しかし渡さないというのならば、お前らを獄炎にて焼き殺してやろう!!」

「これが、何かは理解できていないが………渡したらダメだって俺の勘が言ってる」

「そうか……ならば、殺しで奪うまでだ!!」

・オリジナルスキル『怒りの炎インフェルノ・フレイム

「やってみろよ!!」

・オリジナルスキル『爆発人間ボマー


 俺が渡さないと言った瞬間に、ラースはオリジナルスキルを使って腕に黒い炎を纏わせて殴りかかる。
 それに対抗してエルマーの爆発の能力を使い、互いに互いのスキルの威力で元の位置まで吹き飛び戻る。


「ミナト。さすがに、洞窟の中で爆発の能力はダメ………」

「た 確かに崩落の可能性があるか………ん? そういえば、入り口に居るエッタさんたちは、どうなったんだ?」

「入り口に居た、女2人は俺が眠らせておいた………俺をイラつかせたもんでな」

「テメェ!!」


 エッタさんとシュナちゃんが、既にラースによって敗北しているのを聞かされた。



* * *



 とある島でのナミカゼと、銀翼の夜明け団・幹部の《ベレス》と戦闘を行なっていた。
 銀翼の夜明け団の幹部といえば、中々に強く結果を残した人間でなければならないが、それをナミカゼ少尉が互角で戦っているのは相当な事である。


「ちっ。どうして少尉程度が、俺と互角に戦えるんだ………」

「俺には野望があるからな!! お前程度の人間に、負けてられないんだ………分かったら、さっさと諦めてくれないか?」

「随分と口が達者みたいじゃないか………その口を、直ぐにでも閉じさせてやるよ!!」


 ナミカゼの口ぶりに怒りを感じて、ベレスは飛び出して殴りかかるが、その全てを避けられて逆に腹と顔面に拳を喰らう。
 ベレスが怯んだところを、攻め立てる様にナミカゼは突っ込んでいくと、それを予見しておりベレスは魔法の準備をしていた。


「このまま吹き飛んでしまえっ!!」

・炎魔法Level1《ファイヤーボール》

「まんま返させてもらうわ!!」

・オリジナルスキル『反射ミラー

「攻撃が帰って来ただと!?」


 ベレスのファイヤーボールを、ナミカゼは自分のオリジナルスキルで、まんま返して被弾させるのである。
 このナミカゼのオリジナルスキルは、自分が目視して認知した攻撃に対して鏡の様に相手に攻撃を返すスキルだ。
 一見は無敵なスキルな感じがするが弱点も多く、目視していない事や認知していなければ返す事ができないという事と、魔力を込められていなければ返せないので、普通の打撃や蹴りなどは返す事はできない。


「んー? まだ倒せてないんだぁ」

「げっ!! こんなに早く到着するのかよ………」

「私が手伝ってあげようかぁ?」

「要らないよ。それよりも、そっちの方は片付いたの………ダフネさん」


 俺がベレスを倒したかと確認しようとした時に、後ろから女のニヤニヤ声が聞こえて嫌な予感がする。
 振り返ってみるとクロスロード連盟軍で、ナミカゼ少尉と同じ部隊に配属されている《ダフネ=ラウリー》少尉だった。


「早くやらないと上から怒られるよぉ」

「こっちは大変なんですよ。ガライ少将が戦死したんですから、俺が対応してるんです」

「でも、まだ戦う気みたいよ? それなら私が手伝って、手柄は山分けって事………」

「ダメですよ。ここは俺の山なんですから」


 ナミカゼ少尉とダフネ少尉が話していると、少しフラフラになりながらベレスが立ち上がった。
 するとベレスは、少尉に押されている事が、さすがにプライドが許さず恥を捨ててある手段を取る。


「もう手段なんて選んでる暇はねぇ………これを使う!!」

「それって………スペリアル魔石かっ!?」


 ベレスが取り出したのはアランも使用した、違法魔石のスペリアル魔石だったのである。
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