社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

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第3章・残念なドラゴンニュートの女の子

067:命拾い

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 ナミカゼ少尉と戦闘を行なっていた、銀翼の夜明け団・幹部のベレスは負けると判断してスペリアル魔石を使った。
 しかしスペリアル魔石に、体が追いつく事ができずに、ベレスは魔人化してしまうのである。


「難易度が変わったぞ………」

「これはさすがに、私も手を出させてもらうわ!!」

「コロす。お前らを皆殺しにする………」


 ベレスがスペリアル魔石に取り込まれ魔神化した事に、ナミカゼ少尉とダフネ少尉は焦った。
 さっきまでのベレスであれば、問題なく討伐してから拿捕できたが、魔人化されては難易度が桁違いに上がる。
 その為に、さっきまでは見学していた、ダフネ少尉も戦闘に参加する旨をナミカゼ少尉に伝えた。
 そしてベレスはナミカゼ少尉たちに向かって飛び出すと、一気に攻撃を仕掛けてくるのである。


「ちっ!! 魔力じゃないから反射できない………」

「それなら殴り飛ばせば良いだけだろう!!」


 動きもパワーもスペリアル魔石で、桁違いになっている為に少尉レベルのナミカゼ少尉は押される。
 そんなナミカゼ少尉を援護する様に、ダフネ少尉も戦いに割って入り、ベレスの右頬を殴り飛ばした。


「ナミカゼ。これは、ちょっと私たちだけじゃあ、荷が重いんじゃないのかい?」

「そんな事も言ってられないよ。この場には、ガライ少将は居ないんだ………残されたのは、俺たちだけなんだからな」

「それもそうか………覚悟を決めて、この怪物と戦うか」


 少尉の2人には魔人の相手は厳しいのではないかと、ダフネ少尉が言ったが、この現場で最高位の人間たちは自分たちしか居ないからとナミカゼ少尉は引く気が無い。
 殴り飛ばされたベレスは立ち上がって、鼻息荒い状態でナミカゼ少尉たちに向かって、2度目の突進をしてくるのである。


「俺たちが引けば、多くの人が傷つくと覚悟しろ………そうすれば、恐怖なんて消えるぞ」

「当たり前よ。私たち正義の軍隊が、恐怖で足がすくむ様じゃ世界は真っ暗だからね」


 向かってくるベレスに対して、ナミカゼ少尉とダフネ少尉は左右に分かれて攻撃対象をズラさせる。
 その意図の通りにベレスは少し迷ってから、最初の目的であるナミカゼ少尉に狙いを定める。


「絶対に殺してやる!!」

「スペリアル魔石を使ったら、目の前すらも見えなくなってしまうのかよ………」

「餌にしか興味の無い犬ってのは、捕らえやすいって聞いたけど本当みたいだね!!」

・オリジナルスキル『猟豹変化チーター


 ナミカゼ少尉が引き付けているうちに、ダフネ少尉のオリジナルスキルであるチーターに変化するスキルで、一瞬にして背後まで近づくと地面にベレスを叩きつけた。



* * *



 俺たちはハイウルフの洞窟の中で、銀翼の夜明け団・大幹部のラースと戦闘を行なわれていた。
 しかし洞窟の中で戦闘を行なっているのには限界があり、さすがに外に出なければいけないと悟っている。


「広いところで戦わせてもらわなきゃな!!」

・オリジナルスキル『爆発人間ボマー

「な 何をしやがる!?」


 俺は爆発人間ボマーの能力を使って、ラースを掴んで爆発をブースターにして外まで引っ張り出した。
 俺が外に出ると、気を失って倒れているエッタさんとシュナちゃんが居たのである。


「大きな傷は無さそうだな………それで? 本当に、この古びた剣が欲しいのか?」

「お前の様な価値も理解できていない、犬の様な野郎が持って良い品物じゃねぇんだよ」

「そうか? それなら、お前はモノの良し悪しが分かるってんだな………それなのに、お前の首にはダサい刺青が入ってるのは、どうしてなんだ?」

「こ これをダサいと言いやがったのか!!」

「あぁダサいね」


 俺はモノの良し悪しが分からないと言われてしまったので、少しカッとなって龍のタトゥーをダサいと言い返した。
 するとラースも自分がカッコイイと思っていたらしく、言われた事に大層怒りを露わにしている。
 そんな事は俺に関係はない。
 そっちが言って来たから言い返したまでで、言われたくないのならば黙ってれば良いと思った。


「それで、これをやらないって言ったら?」

「力尽くで殺してでも手に入れる………渡す気になったか?」

「さっきから何度も言ってるだろうが、お前らに渡すくらいなら壊した方がマシだ」


 俺たちは少しの言葉を交わしてから、互いに向かって走っていき拳と拳を交わらせる。
 そのまま2人は互いに数発ずつ拳を出してから、パッと後ろに下がって距離を取った。


「大幹部の俺について来れるとはな。お前は、ただの冒険者ってわけじゃ無さそうだな………ならば、これで どうだっ!!」

―――獄炎の拳インフェルノ・ナックル―――

「こっちこそ、それなりには強いみたいだな!! 奪い取りたきゃ死ぬ気で来いよ!!」

・炎魔法Level1《ファイヤーハンド》
・闇魔法Level2《ドレインハンド》

――――炎魔の拳イフリート・ナックル――――


 俺とラースは互いに拳を炎で纏わせると、互いの拳を相手の拳にぶつけるのである。
 拳と拳が衝突すると強い衝撃波の様なモノが出て、周囲の木々を薙ぎ倒してしまう程の威力だった。
 2人は相手の拳の威力に吹き飛んでいき、俺はズサーッと着地すると顔をパッと前に向ける。
 するとラースが既に体勢を整えており、俺に向かって飛びかかって来ていた。


「ちっ!! 体勢を整えるのは早いのかよ!!」

「今度こそ吹き飛べっ!!」

―――獄炎の拳インフェルノ・ナックル―――

「吹き飛んでたまるかよ!!」

・炎魔法Level1《ファイヤーボール》
・風魔法Level2《ストーム》

――火達磨――


 殴りに来たところで真横に避けるとかもできないと判断し、俺は火達磨を使ってラースを道連れにしようとした。
 しかしオリジナルスキルが火という事もあって、俺は火達磨を突破されて殴り飛ばされる。


「ブハッ!! クリーンヒットしちまった………」

「おぉまだ意識があるのか? 今のを喰らって意識を奪われなかったのは、お前が初めてだ………誇っても良いぜ?」

「調子に乗ってんじゃねぇよ。お前なんかの攻撃を喰らっちまったって恥だ………」

「言ってくれるじゃねぇか。それなら今度は意識………いや、首が吹き飛ぶのを喰らわせてやるよ!!」


 この男の攻撃は本物だ。
 俺もラースのオリジナルスキルをコピーできたから、使ってやろうかと考えたが、現在の魔力量では《怒りの炎インフェルノ・フレイム》を使ってしまうとガス欠になる。
 今は使えない事を考えると、今の手札ではラースに上回るのは難しいのでは無いかと考え始めた。
 現段階の俺では勝負にならない程の格上である事には違いないが、ここで逃げるわけにもいかないだろう。


「ミナト殿ばかりに戦わせるわけにはいかないでござる!!」

「ちっ!! さっきの奴らが追いつきやがったか………」

「ラース様。グランドマスターから至急戻る様にとのお達しがありました……」

「なんだと? それはしょうがないか………お前たち、命拾いしたみたいだな」


 ラースは頭数が増えて面倒だなっと思っていると、銀翼の夜明け団の下っ端から、グランドマスターが帰還命を出した事を知らされたのである。
 今すぐに戻らなければいけない為に、俺たちとの戦闘を取りやめて立ち去っていった。


「アイツは、本当に何しに来たんだ………まぁ命拾いをしたのは確かだな」

「そうでござるな」


 俺たちは命を拾ったのだと、腰が抜けて地面にドカッと座って力の差をヒシヒシと感じた。
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