社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

文字の大きさ
81 / 201
第3章・残念なドラゴンニュートの女の子

079:散り散り

しおりを挟む
 俺たちの次の目的地はフロマージュ王国だが、そのフロマージュ王国城内の国王の間にだらしなく王座に座る男がいた。
 その男は頬が痩けており見るからに不健康で、髪の毛もボサボサで不気味な雰囲気を醸し出している。


「フランターヤが死んだのか………まぁ師団長のレベルにも行っていない奴が死んだだけの事か」

「オリヴァー様。こちらに第6師団を除いた6つの師団長が集まりました………」

「レラールは、どうした? ここに7雄セブンスが揃わないと話にならないだろ」

「し しかしですね。レラールはツァリーヌ王国にて大怪我を負った模様でして………」


 フロマージュ王国の国王がカホアール教団の教祖だった。
 そんなオリヴァーはフランターヤの死に対して、そこまで何かを感じているわけではなかった。
 それよりも次の戦いについての心配をしており、ここに師団長を呼ぶ様にと言っていた。


「大怪我だと? それはフランターヤを殺した人間と、同一人物なのか?」

「いえ。深くは調査が行き届いておりませんが、サブマスターを殺害した人間とは別の様です」

「フランターヤを殺し、レラールに深傷を負わせた………侮れない連中が、この国に近づいているな」


 オリヴァーはフランターヤに続いて、第6師団の師団長レラールを倒した侮れない連中が来ると確信している。


「その場合は、どういたしましょうか?」

「ツァリーヌ王国との国境には、あのトラップが仕掛けられているんだったよな?」

「はいっ!! そのトラップに関しましては、既に準備が整っております!!」

「なら問題は無いだろう。どんなに強い奴でも混乱の中にあれば勝つのは容易い………女神スミカの御心のままに」


 それなりの準備をしているのだろう。
 オリヴァーの不健康そうに見える口角が、少し上がって子供なら泣き出しそうな笑みを浮かべる。
 こんな人間が教祖と名乗って良いのかは、少し疑問があるところではある。



* * *



 俺たちはツァリーヌ王国でフランターヤを倒し、次の国であるフロマージュ王国に向けて出発していた。
 その移動でも俺は酔ってしまって動けずにいると、馬車の外が目が眩む程の光に包まれた。


「どうしたの!!」

「何が起きたんだわん!?」

「落ち着いてにゃ………」

「この光は………」

「これは何でござるか!?」


 俺がダウンしている時にエッタさんたちは混乱している。
 何とか落ち着かせたいと体を起こした瞬間に、さっきまでとは比べ物にならない強い光で目を瞑った。
 次の瞬間、俺が居たのは馬車の中ではなく見た事もない様な森の中だったのである。


「こ ここはどこだ?」

「ミナト様っ!! ミナト様も飛ばされたんですか!!」

「私も飛ばされた………」

「エッタさんに、イローナちゃんまで………カエデちゃんたちは一緒じゃない?」

「はい。ここに飛ばされたのは、私たちだけみたいです」


 俺は焦って周りを見渡してみると、本当に森林って感じがして村も見当たらない。
 するとエッタさんとイローナちゃんたちも、飛ばされたみたいで俺のところに駆け寄ってきてくれた。
 2人も飛ばされているという事は、カエデちゃんたちもいると予想したが離れ離れになったみたいだ。


「とにかく、ここは何処かを調べなくちゃな」

「それなら問題ないと思いますよ。フロマージュ王国にしか咲かない花があるので、国土の2割である森林地帯にトラップ魔法で飛ばされたんだと思います」

「そっか。なんとか国内には飛ばされたみたいだね………それなら王都を目指せば合流はできるかな」


 どうやらトラップ魔法によって俺たちと、カエデちゃんたちは別々の場所に飛ばされたみたいだ。
 俺たちがいるのは別の国だったら困ったが、フロマージュ王国の森林地帯に飛ばされたらしい。


「まぁ森の中を闇雲に歩くのは危険だから………って思ったけどエルフのエッタさんなら森の歩き方は分かる?」

「もちろんです!! 自慢ではありませんが、何百年も森の中で生活しているので問題ありません!!」


 俺は森の中の歩き方を知らないので、歩き回るのは危険かと考えていたがエッタさんが視界に入る。
 エッタさんならばと思って聞いてみると、ムフーッと胸を叩いて自慢げにエッタさんは森の歩き方は任せてと言った。


「エルフ族には、森の声を聞くっていうのができるんです!!」

「そういう事もできるんだなぁ。それじゃあ、エッタさんに全てを任せよう!!」

「任せられました!! ミナト様、イローナちゃん、いきましょうか!!」


 これだけ自信満々なエッタさんは見た事がない。
 森から脱出するのはエッタさんに任せれば良いが、無事にカエデちゃんたちと合流できるのだろうか。
 って考えていると1時間くらいが経った時に、エッタさんは涙目になって周りをキョロキョロしていた。


「エッタさん? もしかして……」

「迷ったとかじゃないんです!! 森の声が、今日に限って聞こえて来ないんです!!」

「んー、トラップが掛けられていたって考えると………エルフ対策をしている可能性もあるからね」

「ううー。そうなら良いんですがぁ………」

「エッタさんが凹んでるの初めて見た……」


 エッタさんは森の声が聞こえないみたいだ。
 ここに飛ばされた様に、何か森に細工をしておりエルフ対策をしている可能性は十分にある。
 凹んでいるエッタさんを俺は慰めているが、イローナちゃんは見た事がないエッタさんなので面白がっている。


「まっ。とにかく急いでも仕方ないから落ち着いて、この状況を打破する手を考えようか」

「ミナト。あそこに何か建造物が見える」

「本当に? とりあえず、そこに行ってみるか」


 俺がグスングスンッと泣いているエッタさんを慰めていると、イローナちゃんが建造物を発見していた。
 ここら辺には手がかりがないので、とりあえずイローナちゃんが見つけた建造物に行ってみる事にした。


「ん? 人工物っていうか………神殿? アカシア島で見た奴に似てるね」

「確かにそうね……」

「入ってみますか?」

「そうだね。せっかく見つけたんだから中を調査して、それなりの手がかりが手に入れば良いね」


 建造物とはアカシア島にあった神殿に似ている建物だった。
 人工物である事は変わりないので、とりあえずは中に入って詳しく調べてみる事にした。
 神殿の中は昼間でも奥が見えないくらいに暗く、俺が炎魔法で中を照らして進んでいく。


「壁にも色々と描かれてるなぁ………何1つ読めないけど」

「こっちの壁には、7種の神器について書かれてる」

「なんだって!?」

「イローナちゃん、これが読めるんですか?」

「私の両親が考古学者だから、一緒に勉強していたから分かる様になった」


 壁に炎の光を当てて見てみるが、俺には何が書かれているのか理解ができやしない。
 しかしイローナちゃんは壁画をジッとみていると、この壁には世界に散らばっている7種の神器について書かれてるらしい。
 古代文字が読めるのかと俺とエッタさんは驚愕するが、イローナちゃんは比較的落ち着いた様子で視線を壁画に戻す。


「それで7種の神器について、どんな風に書かれているの?」

「詳しくは調べなきゃ分からないけど………7種の神器が揃った時に、ある不幸が起きるって書かれてるのは分かる」

「そんな不吉な事が書かれてるのか………」


 この壁画には神器について書かれていたが、引くくらい不吉な事が書かれており顔を顰めた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...