社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

文字の大きさ
88 / 201
第3章・残念なドラゴンニュートの女の子

086:二手三手

しおりを挟む
 エッタさんとイローナちゃんは、俺とノールの戦いに邪魔が入らない様に雑魚たちを相手にしてくれている。


「ちょっと聞こえてきたんだけど、あのノールって奴はミナト様に対して色々と言ってるみたいよ」

「そうらしいね。もしかして、ここを全て私に任せるわけじゃないよね?」

「も もちろんよ。さすがに全ては捌ききれないでしょ………本当なら私が八つ裂きにしてやりたいけど」

「中々にサディスティックだよね………まぁ私たちは、こっちに集中すれば良いんだよ」


 ノールの態度に対してエッタさんは、中々にイライラしている様子で手を出してきそうだ。
 しかしイローナちゃんの持ち場を離れないよねっという、言葉の圧力でエッタさんは我に帰る。
 それでもエッタさんの怒りは無くなっておらず、自分がやれるのならば八つ裂きにすると怖い発言をしていた。


「それにしても、マーシャルアーツとかいうのを兵士の人たちはして来ないね」

「まぁ生存燃料オーラっていうのを上手く操作しなきゃダメらしいから、一般の兵士たちには無理なんじゃない?」

「確かに私たちも使えるわけじゃないもんね………ミナト様の為にも習得しようかしら」

「ミナトは守られたいとは思ってないと思うけど………まぁ実力が付くのは良いんじゃない」


 当たり前の様に喋っているが、これはトレーニングとかではなく本当の命の取り合いである。
 それにも関わらず、2人は話す余裕すらあるという事実に驚かなければいけないのだろう。
 そこら辺の人間なんかよりも遥かに強く、俺のファミリーの中でも2人は強い方だ。


「この女たちは化け物なのか!!」

「俺たちの方が何十人も多いんだぞ!!」

「休んでる暇は無いぞ!! このままだったら、ノール師団長がいても………全滅してしまう!!」


 共和傭兵団の方はエッタさんと、イローナちゃんの2人にやられまくっている為に焦っている。
 それもそうだろう。
 俺だって大勢で可愛い2人の女の子に、仲間がバッタバッタとやられていたら焦ってしまうのは目に見えている。


「どうする!! このままじゃあ全滅は避けられない………サブマスターやレラールさんもやられて戦力が落ちてるぞ!!」

「しかし!! ノール様に無断で撤退すれば、我々の方が殺されてしまうのではないか!!」

「そんな事も言ってられないだろ!! ここで全滅してしまったら、元も子もないぞ!!」


 全滅を懸念している副師団長は、ノールに許可をとる事なく撤退を命令しようか迷っている。
 しかし ここで無断の撤退をしてしまったら、後で軍法会議にかけられないかと懸念されている。
 それでも命には変えられないと副師団長は、生き残っている兵士たちに撤退命令を出した。


「面白いくらいに尻尾巻いて逃げていくわね」

「エッタさんが狂気的だから怖がって逃げんたんだよ………」

「まぁ何て酷い事を言うのよ!!」


 逃げて行ったのをイローナちゃんは、エッタさんが狂気的だからと目が笑っていない表情で言った。


「そんな事よりもミナトの方は、どうなったのかな?」

「私たちも手助けしにいけば……って終わってるみたいだね」

「ピクピクしてるよ……」


 イローナちゃんが始めた話題をイローナちゃん自身で終わらせると、俺の心配をしてくれていた。
 2人は俺の方を見て確認しようとすると、既に俺の足元にノールが倒れ込んでいたのである。
 ここに至る話は、約数分前に遡っていく。
 俺はバイソンになったまま、ノールの腹を力一杯に殴ったのであるが綱体の効果でダメージが入らなかった。


「それならラッシュなら、どうだっ!!」

「どれだけ数を打っても、この綱体の前には何の意味もない」


 1発では足りないと言う事で、ラッシュをかける様にノールの腹を殴りまくっていく。
 しかしノールにラッシュをかけても顔色1つ変えないで、涼しい顔をしながら余裕をかましている。
 俺は必死にノールの腹を殴る、まさしく馬鹿みたいに殴り続け戦闘IQは高くない………。
 っとノールは思っているだろうが、この馬鹿みたいに腹を殴っているのはある考えからである。


「どうだ? これだけ多くもパンチを打ち込んでも、僕には通用しないだろ?」

「そうだなぁ。俺は良くわかっていないが、オーラの移動っていうのは簡単にできないんだろ………それなら顔面周りは無防備って事だよな!!」

「ま まさか!?」


 俺の狙いはノールの意識と、オーラを腹付近に集める事だ。
 それに成功すると俺は腕を上げて、ガラ空きのノールの顔面にパンチをクリーンヒットして倒した。
 綺麗なバク宙でノールは1回転して、地面に衝突すると数バウンドしてからピクリとも動かなくなった。


「ふぅ。オリジナルスキルを聞いた時は焦ったけど………自分の力を過信してて良かったなぁ」

「ミナト様っ!! 師団長を、こうも簡単に倒してしまうなんて惚れ直してしまいますぅ!!」

「私もエッタさん程じゃないけど、それなりには評価し直さないとね………」

「いえいえ、そんな褒めてもらわなくてもぉ………さてと、騎馬を奪って先に進もうか」


 俺に可愛くエッタさんが駆け寄ると、ジャンプをして抱きついてきたので優しく頭に手をポンッと乗せる。
 何やらイローナちゃんも珍しく俺の事を褒めてくれたが、上から目線で流石だと思った。
 ひと段落したところで共和傭兵団の健康な騎馬を見つけて、その騎馬に乗って村に出発した。



* * *



 大大陸と中陸の中間地点の海上に、真っ黒に塗られた船が速いスピードで航海している。
 受け口が丸っこい昔の電話の様なモノが、ジリジリッとけたたましく鳴ってクルーが電話に出るのである。


「こちら《ISO第6部隊》です。そちらは、どちら様でしょうか?」

『私は《ISO第8部隊》の《モンタナ》だ』

「モンタナ様ですかっ!?」


 この船はサイファーオールの船だった。
 電話に出たクルーは下っ端の下っ端で、電話の相手はサイファーオールの幹部《モンタナ》である。
 その為に下っ端がモンタナの名前を聞いた途端に焦り出し、アワアワしてしまっている。


「そ それで御用件は何でしょうか?」

『そこに《フリロダ》がいるだろ? フリロダに代われ、話は直接する………なるべく早く代わってくれ』

「りょ 了解しました!!」


 モンタナが電話をかけてきた理由は、同じく幹部で第6部隊の隊長を務めている《フリロダ》に話があるからだった。
 それが分かった瞬間に、下っ端のクルーは走ってフリロダのいる部屋に向かった。


「代わった、俺だ。俺に話があると聞いたが、別の任務で外に出払っているぞ………」

『上からの命令だ。フロマージュ王国に、今からでも向かえとの事だ』

「フロマージュ王国だと? どうして、そんなところに行かなければいけない………」

『話は最後まで聞け。そこに共和傭兵団……いや、カホアール教団の教祖と幹部たちがいる』

「なんだと!? あの国にいるのか………」


 モンタナは上からの命令でフリロダに、フロマージュ王国に行ってカホアール教団の拿捕をしろと伝えた。
 それを聞いてカホアール教団は、フロマージュ王国なんかにいるのかと驚いた。


『あと言われたのは、クロスロード連盟軍よりも早く拿捕する様にと言われた………伝えたいのは、それだけだ』

「そうか。上の命令ならば仕方あるまい………直ぐにフロマージュ王国に向かう事にしよう」


 フリロダは上からの命令という事で、行き先をフロマージュ王国に変えて出発した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...