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第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子
129:ロリババア
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俺は中途半端な時間に寝てしまった為に、夜が明ける前の深夜に起きてしまった。カーテンを閉めていないので、月明かりが俺の顔を照らしている。
今日は満月で気持ち赤い月のような気がして、久しぶりにまじまじと月を見ようと窓を開ける。夜風と相まってノスタルジックな気持ちになりながら浸っている。
「こんなゆっくりした日っても良いよなぁ。自由を謳歌してるって感じだわぁ………」
こんなに静かでノスタルジックに浸れる夜が来るなんて、前世の俺だったら考えられない事だ。こっちの世界に来て大変な事もあるが、それでもエッタさんたちと自由に冒険できて、今のところは満足してやれている。
「ん? 建物の上に誰かいるのか………小さなロリっ子なのか? どうして小さな子が屋根の上に?」
月を見ている時に視線を少し落とすと、屋根の上に小さな女の子が立っているのが見えた。その子は色白に銀髪に赤い目が特徴的な子だった。
それに深夜に屋根の上にいるのも不思議で、声をかけた方が良いかと迷っていると、女の子の方がチラッと俺の方をみて目があったのである。けっこうロリではあるが可愛い見た目をしているので、少しドキッとしてしまう俺がいた。
そして俺が瞬きして目を開いた瞬間、今の今まで屋根の上にいたロリっ子が俺の前に移動していた。さすがの俺でも驚いて後ろに尻餅を着いてしまった。
「うぉっ!? いつのまに!!」
「ふっふっふっ。お主、この妾に見惚れておったな?」
さっきまでの印象とは異なる見た目相応な可愛らしい声が聞こえた。何だと思ったら、子供らしいニコニコした笑顔で見惚れていたのかと言ってきた。
確かに可愛いと思っていたが、それは喋り出す前の美しいとすら思った静かな立ち居振る舞いのところだ。しかし今は無邪気な子供のような印象に変わって、これに手を出すのはマズいのでは無いかと思ってしまう。
「いやいや、さすがにロリっ子に手を出すのはダメでしょう………」
「誰がロリっ子じゃ!! こうみえて妾は198歳なんじゃが!!」
「えっ!? という事は、ロリババアって事………」
「誰がロリババアじゃ!! さらに失礼になってるじゃろが!!」
この見た目でババアみたいな年齢とは、ここ最近って癖が強い人と会い過ぎてないだろうか。それにしても年齢がエルフと同等レベルって事は、この子は人間種ではない事が確定したな。
「それで君は誰なの? という普通の質問をさせてもらうんだけどさ………」
「良いじゃろう、自己紹介してやる!! 妾は吸血鬼族の《ローズ=ミレッタ=バレンタイン》じゃ!!」
「ローズちゃん……ヴァンパイアだから年齢が、俺よりも遥かに上なんだ」
「女子に歳の話をするのは嫌われるぞ」
どうやら《ローズ=ミレッタ=バレンタイン》ちゃんは、ヴァンパイアらしく年齢がだいぶ上らしい。確かに見た目の特徴が、吸血鬼伝説にあるのと同じだから俺の中でも腑に落ちたのである。
「それでローズちゃんは、どうして屋根の上なんかにいたんだい?」
「ん? どうしてって言われてもヴァンパイアは、基本的に夜行性だからな。あんな風にして夜に月光浴をしておるんじゃよ」
「月光浴って………まぁ確かにヴァンパイアは、日差しが無理だって聞くしな」
「日差しが無理だって? 別に日差しで死ぬわけじゃ無いぞ。確かに夜行性ではあるが、朝に活動しているヴァンパイアだっているからのぉ」
俺が想定していたヴァンパイアのイメージと、この目の前にいるチンチクリンで可愛いヴァンパイアは、少し異なるところがあるみたいだ。ヴァンパイアといえば日光に当たった瞬間に、体が灰になってしまうというのが定説な気がする。
「じゃあニンニクとか、聖水が苦手っていうのは?」
「確かにニンニクは嫌いじゃ。まぁ匂いが強い物が苦手って事じゃな………聖水に関しては、大体の魔族が嫌いだと思うぞ?」
「ほぉほぉ。なんか大枠が分かってきたな………それじゃあ銀食器が苦手とか、木の杭で心臓を打ち込まれたら死ぬとかは?」
「銀食器は大丈夫じゃし、妾は趣味で銀食器を集めているんじゃよ!! それと木の杭は、どんな生物でも死ぬとは思わんか? じゃが、ヴァンパイアは普通に殺されても死なん。殺す為には、お主が言ったように木の杭で心臓を刺す必要があるんじゃ!!」
こっちの世界でのヴァンパイアについて、何となく大枠ではあるが理解してきた。前世でのヴァンパイアのイメージは、やっぱり脚色があったみたいだ。
そんなヴァンパイアに関しての新情報を手に入れた俺は、眠気が飛んでしまった為にローズちゃんと少し話をする事にしたのである。
「お主よ。お主のオーラは独特だったから来てみれば、本当に面白そうな男じゃな」
「確かに俺は、そんじょそこらの男よりも面白い自信はあるよ。それでローズちゃんは、どうしてノースカリクッパ王国にいるんだい?」
ヴァンパイアが住んでいる国というのは聞いた事がある為、ローズちゃんがノースカリクッパ王国にいる理由が少し気になってしまった。別に気にする事じゃないと思って、俺はローズちゃんにいる理由を聞いた。
「確かに故郷は、ここよりも遠い場所にある。こんな腐った国に来たのは、ある理由があるんじゃ」
「ある理由だって? そんなに深い理由があるの?」
「もちろんじゃ!! ブギーマンっていう奴が取り仕切ってるギルド・ボガードに、妾の心臓が取られてしまったんじゃ!!」
「心臓を取られたっ!? じゃあ今は、どうやって生きているのさ………」
聞き捨てならない事を、ローズちゃんの口からサラッと聞かされたような気がした。今、ローズちゃんの体の中に心臓がないらしい。じゃあ何で生きているのかという大きな疑問が生まれてしまった。
「妾たちヴァンパイアは、心臓が体から分離しても生きているんじゃよ。しかも普通の剣や弓矢で心臓を撃ち抜かれたとしても生きていられるんじゃ」
「ん!? じゃあヴァンパイアって不死身なの? そうじゃないと説明つかないよね?」
「不死身なんてあり得るわけないじゃろ。長命である事には違いないがな………ヴァンパイアが死ぬ唯一の方法とは、心臓を木の杭で貫く事じゃ」
「あぁそこで木の杭が出てくるのね………で、その心臓はブギーマンとかいう奴に取られたと? そういうわけなのか………」
ローズちゃんがノースカリクッパ王国にやってきた理由は大体分かった。そのブギーマンに取られた自分の心臓を取り戻す為に、ローズちゃんはギルド・ボガードのアジトがあるという、この国にやってきたみたいだ。
「お主、冒険者なんじゃろ?」
「そうだよ。それが、どうかしたの?」
「決めた!! 妾は、お主と冒険をする!!」
「なんだって!? 俺たちと冒険っ!?」
まさかまさかのローズちゃんが、俺たちと冒険すると言い始めたのである。何を言っているのかと疑問を持ちながら、ローズちゃんの小さいながらキラキラしている目に負けて認めるしかなかった。
今日は満月で気持ち赤い月のような気がして、久しぶりにまじまじと月を見ようと窓を開ける。夜風と相まってノスタルジックな気持ちになりながら浸っている。
「こんなゆっくりした日っても良いよなぁ。自由を謳歌してるって感じだわぁ………」
こんなに静かでノスタルジックに浸れる夜が来るなんて、前世の俺だったら考えられない事だ。こっちの世界に来て大変な事もあるが、それでもエッタさんたちと自由に冒険できて、今のところは満足してやれている。
「ん? 建物の上に誰かいるのか………小さなロリっ子なのか? どうして小さな子が屋根の上に?」
月を見ている時に視線を少し落とすと、屋根の上に小さな女の子が立っているのが見えた。その子は色白に銀髪に赤い目が特徴的な子だった。
それに深夜に屋根の上にいるのも不思議で、声をかけた方が良いかと迷っていると、女の子の方がチラッと俺の方をみて目があったのである。けっこうロリではあるが可愛い見た目をしているので、少しドキッとしてしまう俺がいた。
そして俺が瞬きして目を開いた瞬間、今の今まで屋根の上にいたロリっ子が俺の前に移動していた。さすがの俺でも驚いて後ろに尻餅を着いてしまった。
「うぉっ!? いつのまに!!」
「ふっふっふっ。お主、この妾に見惚れておったな?」
さっきまでの印象とは異なる見た目相応な可愛らしい声が聞こえた。何だと思ったら、子供らしいニコニコした笑顔で見惚れていたのかと言ってきた。
確かに可愛いと思っていたが、それは喋り出す前の美しいとすら思った静かな立ち居振る舞いのところだ。しかし今は無邪気な子供のような印象に変わって、これに手を出すのはマズいのでは無いかと思ってしまう。
「いやいや、さすがにロリっ子に手を出すのはダメでしょう………」
「誰がロリっ子じゃ!! こうみえて妾は198歳なんじゃが!!」
「えっ!? という事は、ロリババアって事………」
「誰がロリババアじゃ!! さらに失礼になってるじゃろが!!」
この見た目でババアみたいな年齢とは、ここ最近って癖が強い人と会い過ぎてないだろうか。それにしても年齢がエルフと同等レベルって事は、この子は人間種ではない事が確定したな。
「それで君は誰なの? という普通の質問をさせてもらうんだけどさ………」
「良いじゃろう、自己紹介してやる!! 妾は吸血鬼族の《ローズ=ミレッタ=バレンタイン》じゃ!!」
「ローズちゃん……ヴァンパイアだから年齢が、俺よりも遥かに上なんだ」
「女子に歳の話をするのは嫌われるぞ」
どうやら《ローズ=ミレッタ=バレンタイン》ちゃんは、ヴァンパイアらしく年齢がだいぶ上らしい。確かに見た目の特徴が、吸血鬼伝説にあるのと同じだから俺の中でも腑に落ちたのである。
「それでローズちゃんは、どうして屋根の上なんかにいたんだい?」
「ん? どうしてって言われてもヴァンパイアは、基本的に夜行性だからな。あんな風にして夜に月光浴をしておるんじゃよ」
「月光浴って………まぁ確かにヴァンパイアは、日差しが無理だって聞くしな」
「日差しが無理だって? 別に日差しで死ぬわけじゃ無いぞ。確かに夜行性ではあるが、朝に活動しているヴァンパイアだっているからのぉ」
俺が想定していたヴァンパイアのイメージと、この目の前にいるチンチクリンで可愛いヴァンパイアは、少し異なるところがあるみたいだ。ヴァンパイアといえば日光に当たった瞬間に、体が灰になってしまうというのが定説な気がする。
「じゃあニンニクとか、聖水が苦手っていうのは?」
「確かにニンニクは嫌いじゃ。まぁ匂いが強い物が苦手って事じゃな………聖水に関しては、大体の魔族が嫌いだと思うぞ?」
「ほぉほぉ。なんか大枠が分かってきたな………それじゃあ銀食器が苦手とか、木の杭で心臓を打ち込まれたら死ぬとかは?」
「銀食器は大丈夫じゃし、妾は趣味で銀食器を集めているんじゃよ!! それと木の杭は、どんな生物でも死ぬとは思わんか? じゃが、ヴァンパイアは普通に殺されても死なん。殺す為には、お主が言ったように木の杭で心臓を刺す必要があるんじゃ!!」
こっちの世界でのヴァンパイアについて、何となく大枠ではあるが理解してきた。前世でのヴァンパイアのイメージは、やっぱり脚色があったみたいだ。
そんなヴァンパイアに関しての新情報を手に入れた俺は、眠気が飛んでしまった為にローズちゃんと少し話をする事にしたのである。
「お主よ。お主のオーラは独特だったから来てみれば、本当に面白そうな男じゃな」
「確かに俺は、そんじょそこらの男よりも面白い自信はあるよ。それでローズちゃんは、どうしてノースカリクッパ王国にいるんだい?」
ヴァンパイアが住んでいる国というのは聞いた事がある為、ローズちゃんがノースカリクッパ王国にいる理由が少し気になってしまった。別に気にする事じゃないと思って、俺はローズちゃんにいる理由を聞いた。
「確かに故郷は、ここよりも遠い場所にある。こんな腐った国に来たのは、ある理由があるんじゃ」
「ある理由だって? そんなに深い理由があるの?」
「もちろんじゃ!! ブギーマンっていう奴が取り仕切ってるギルド・ボガードに、妾の心臓が取られてしまったんじゃ!!」
「心臓を取られたっ!? じゃあ今は、どうやって生きているのさ………」
聞き捨てならない事を、ローズちゃんの口からサラッと聞かされたような気がした。今、ローズちゃんの体の中に心臓がないらしい。じゃあ何で生きているのかという大きな疑問が生まれてしまった。
「妾たちヴァンパイアは、心臓が体から分離しても生きているんじゃよ。しかも普通の剣や弓矢で心臓を撃ち抜かれたとしても生きていられるんじゃ」
「ん!? じゃあヴァンパイアって不死身なの? そうじゃないと説明つかないよね?」
「不死身なんてあり得るわけないじゃろ。長命である事には違いないがな………ヴァンパイアが死ぬ唯一の方法とは、心臓を木の杭で貫く事じゃ」
「あぁそこで木の杭が出てくるのね………で、その心臓はブギーマンとかいう奴に取られたと? そういうわけなのか………」
ローズちゃんがノースカリクッパ王国にやってきた理由は大体分かった。そのブギーマンに取られた自分の心臓を取り戻す為に、ローズちゃんはギルド・ボガードのアジトがあるという、この国にやってきたみたいだ。
「お主、冒険者なんじゃろ?」
「そうだよ。それが、どうかしたの?」
「決めた!! 妾は、お主と冒険をする!!」
「なんだって!? 俺たちと冒険っ!?」
まさかまさかのローズちゃんが、俺たちと冒険すると言い始めたのである。何を言っているのかと疑問を持ちながら、ローズちゃんの小さいながらキラキラしている目に負けて認めるしかなかった。
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