社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

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第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子

130:正座

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 火事の消化を手伝って街の人たちが、俺たちの事を迎え入れてくれてから夜が明けた。エッタさんは早起きなので、基本的に俺の事を起こしに来てくれる。
 今朝もエッタさんはルンルン気分で、スキップしながら俺の部屋の前まで来る。そして気分が良いのは、部屋をノックする手にも現れて高い音でコンコンッと、部屋の中に響くのである。


「ミナト様。もう朝になりましたよ、皆様が朝ごはんを用意してくれ………女?」


 いつものようにノックをしても俺は起きないので、いつものようにエッタさんは扉を開けて中に入り、直接声をかけて起こそうとした。
 すると、いつもならばベットに大の字で寝ている俺だったがスッと真っ直ぐに寝ていた。それどころか、エッタさんの目に入ったのは俺の隣で寝ている、ローズちゃんの姿だったのである。


「ミナト様っ!!」

「うぉっ!? ど どうしたのさ!?」

「その隣で寝ているのは、何処から攫ってきた女の子なんですか? かなり小さい子に見えますが………」

「ん? 隣の女の子………あっ!? 忘れてた!!」


 俺の耳元でエッタさんは叫んで起こした。俺はいきなり起こされて眠気があったが、エッタさんの怒りに満ちた笑みをみて眠気なんて直ぐに吹き飛んだ。
 エッタさんが隣の女の子は誰かと聞いてきたので、俺は全然理解できずに何の事だろうと思った。そして横を見てみるとローズちゃんが寝ていて、昨日一緒に寝ていた事を忘れていたのである。


「んー? ミナトよ。そっちのエルフは誰じゃ?」

「それは、こっちのセリフです!! ミナト様のベットに呼ばれるなんて最近少ないのに………」

「エッタさん!? 人前で、そんな事を言われたら恥ずかしいんだけど………と とりあえず落ち着こう!!」

「落ち着こうですか? この状況で落ち着けるだけ生きてきていません………朝起きたら、見た事もない女と一緒に寝ているのを見つけたんですよ!!」


 これはガチギレしている模様だ。こうなってしまったら俺が何を言っても、火に油を注ぐ結果になってしまう為に言い訳をしないようにしようと思った。そうでないとキレたエッタさんが怖い事は、旅を始めて直ぐに分かった事なのだからである。
 エッタさんはローズちゃんの顔の前に、ズイッと自分の顔を近づけて威嚇をするように確認する。それに対して何なのかとローズちゃんは後退りしてしまう。
 そんなのを目の前で見ている俺は、止めようと思ったら正座するように言われてパッと俺は正座になった。


「それで何があったのか、私に聞かせてもらっても良いですか?」

「はい……」


 エッタさんは俺だけじゃなく、ローズちゃんも正座させたのであるが、俺の隣でローズちゃんはブツブツッと文句を言っている。そんなカオスな状態で、俺はエッタさんに今の状況を全て説明するのである。


「そういう事だったんですか。それで、そのローズちゃんの心臓を取り戻したいと?」

「あ あぁその通りです。どうにも毎日、死ぬかもしれないって不安感があるのは可哀想だと思って………」

「別に、私は手助けをする事に対して文句があるんじゃないんですよ!! なんで、わざわざ同じベットで寝る必要があったのかと怒ってるんです!! ヴァンパイアだったら、寝なくても良いじゃないですか!!」

「お主は堅い女じゃのぉ。それくらい許してこそ、良い女だと思うが?」


 エッタさんはホッペをプクーッと膨らませて、可愛らしく怒っているのを見ると、怒られているのにも関わらず笑顔になってしまった。
 どうにか怒られているのを脱却できないかと思っていると、ローズちゃんがエッタさんの怒りを逆撫でするような事を言って喧嘩に発展しそうになる。互いに長命な種族なので、自分の方が年上だと張り合っている。


「どうかしたでござるか?」

「2人の声が外まで聞こえてる………」

「そうだわん!! 近所迷惑だわん!!」

「カエデには言われたくないと思うにゃ」


 エッタさんとローズちゃんの喧嘩の声を聞いて、4人は俺の部屋に集まるのである。


「ん? その子は誰でござる?」

「見た事ない子がいる………ロリっ子だ」

「私たちよりも年下なのかわん?」

「でも、可愛いにゃ」


 この状況を4人に説明しなきゃいけないと思うと、俺の胃はキリキリしてきてしまう。俺から説明して4人は納得してくれるのだろうかと不安がある。
 とりあえずは2人を宥めてから、俺は4人に対して現在の状況に関して説明を行なった。すると頷きながら話終わるまで静かに聞いてくれたのだが、終わった瞬間に4人から槍が飛んでくる。


「そうだったんでござるか。それはエッタ殿が、どうにも不憫な感じがするでござる」

「確かにエッタさんが可哀想………」

「ミナトさんが悪いわん!!」

「ミナトさんが悪いにゃ」


 どうやら俺が女の敵らしい。
 エッタさんに同情するように俺は責められる。そんな時にイローナちゃんが、俺の肩をポンッと叩いて哀れみの目で慰められるのである。慰めてくれるのは、とても嬉しいのだが、男1人のパーティーのダメなところが出てしまったと言えるだろう。


「まぁ冗談は、ここまでにして本題に入るでござる」

「そうだね。まぁ俺から言える事は、このローズちゃんの心臓を取り戻す手伝いをしようと思ってる………」

「さっきも言いましたが、ミナト様の決定に異論はありませんよ。金輪際、こんな事がないようにしてもらえれば、私としては文句はありません」

「私も特に問題はない………」

「私とカエデも着いてくにゃ」


 何とか皆んなも許してくれて、これからの方針に関しても納得してくれたみたいだ。とりあえずの説明が終わったところで、4人にローズちゃんを紹介する。


「改めて紹介すると、こちらは吸血鬼族ヴァンパイアの《ローズ=ミレッタ=バレンタイン》ちゃんと言いますので、皆んな仲良くして下さい」

「あぁヴァンパイアだったのでござるか」

「初めて見た……」

「こんなに可愛いなんて驚きだわん!!」

「もっと顔色が悪いと思ってたにゃ」


 4人はローズちゃんがヴァンパイアだと分かった瞬間に、イメージよりも遥かに可愛いと褒めるのである。
 するとローズちゃんは体を逸らして、完全に天狗になってしまった。


「わっはっはっ!! そうじゃろ、そうじゃろ。妾はヴァンパイアの中で、1番美しいのじゃ!!」

「調子に乗るところは、100歳を超えているとは思えませんけどね」

「まぁまぁエッタさん。ここは大人として許してあげて欲しいな………」

「ミナト様がいうのなら許してあげますよ」


 エッタさんとローズちゃんの相性は悪いのではないかと思ってしまう。しかしローズちゃんが子供っぽくてもエッタさんは、きっと大人の対応をしてくれるだろう。
 そんな願いをしながら俺は立ち上がると、皆んなで朝食を食べに行こうとやっと部屋を出られた。エッタさんは、まだ拗ねてはいるが時間が問題を解決してくれるだろうから気にしてはいない。
 このメンバーだからこそ、ローズちゃんの心臓を取り返す事を了承したのである。ここにいる奴らなら、不可能も可能にできると心の底から思っているからだ。
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