社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

文字の大きさ
132 / 201
第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子

128:おもてなし

しおりを挟む
 俺たちはノースカリクッパ王国に入国して早々、街の火事を皆んなで協力して消火にあたる。火事の原因が人為的なモノだとわかって国王軍の卑劣さを痛感する。


「お 終わったぁ~。けっこう時間かかったなぁ………」

「そうですねぇ。1時間ちょっとはかかりましたね」


 俺たちは時間がかかったものの何とか街の消火活動を終了させた。1時間を過ぎるくらい時間がかかった為、終わった瞬間に尻餅を着くくらい疲れた。皆んなで頑張ったおかげで、死者を1人も出さずに済んだ。


「この街を助けていただき誠にありがとうございます」

「いやいや、死者が出なかったのは良かったですよ。それにしても放火をしたのが、国印の鎧を着た騎士だという情報があるみたいです」

「そうです。犯人は国王軍の人間だと思います………ここには市民軍の会議場があるので」


 俺たちのところに市長がやってきて、火を消してくれて感謝するとお礼をしてくれた。どうやら街が狙われたのには、この街には市民軍の会議場があるかららしい。
 俺らは市民軍と国王軍との戦いについて詳しい話を聞きたいからと、市長の家まで連れて行ってもらう事になったのである。そこで詳しい話を聞いて、この国での旅の仕方を考えようと思った。
 市長の家は国の現状からして、そんなに大きいものではなくて質素な家だった。俺たちが中に入ると、綺麗な奥さんと男女の子供がいた。


「この国の現状は、どんな事になってるんですか?」

「ここ数年で、この国は悲惨なものになってますよ。内乱が激化していまして………国王軍の市民軍に対する対応が、酷いものになってきているんですよ」

「そんなに悲惨な事になってるのか。それで市民軍の隠れ家は、ここ以外にもあるんですか?」

「はい。ここ以外にも多くの隠れ家が、この国中に確保されています………それが何でか、国王軍の奴らに築かれ始めているんです」


 この話を聞く以上、俺でも分かる事と言えば、市民軍の中にスパイがいる可能性があるという事だ。それが元々根っからの市民軍が、お金で雇われて情報を流していたのか、それとも国王軍の人間がスパイとしてやってきているのか、同じようで全くもって違う。
 まぁ俺がそんな事を考えていても、この国を救えるわけじゃないので情報として知っておく事にしよう。とりあえず今日は、この街に泊まる事にした。市長さんが俺たちに豪華な料理を振る舞ってくれるらしい。


「どうなんだ? この街も食料が少ないのは、同じなんじゃないのか?」

「そうですね。確かに自分たちの分を削って、私たちに振る舞ってくれるのは心痛いですね………」

「でも、無下にしてメンツを潰すのはダメだよなぁ。それなら施しを受ける事にしようか」

「そうでござるなぁ。情けは武士の恥とは言ったものでござるが、受けないのも失礼でござる」


 この街の食料を俺たちに譲ってくれるのは助かるが、自分たちの分を削ってくれていると思ったら心痛い。
 しかし断るのもメンツを潰す事になって、失礼だと思ったので全員で受ける事にした。それでも食糧難な事から大した料理は出ないだろうと思っていた。


「うわぁ!! 美味しそうだわん!!」

「確かに凄い料理にゃ………」

「食糧難とは思えないな」


 食卓に並べられた食べ物は、食糧難とは思えないくらいに豪華な品々だった。これらを見て、この街が食糧難だなんて思えない。骨付き肉に、新鮮な野菜と焼き魚という献立を見れば分かるだろう。
 俺たちは飢えた狼のように、豪華な料理をバクバクと食べ進めていくのである。そして完食したところで、俺は市長に何故に豪華な料理があるのかと聞く。


「食糧難だって聞いたんですけど、どうして豪華な料理を出せたんですか? あぁもちろん、下に見ているとかではないので悪しからず」

「あぁそれでしたら、貯蔵している分ですよ。皆様のような助けていただいた人々に振る舞うだけの貯蓄はしているんです………もちろん、痛み始めたものは我々が自分たちで食べますけどね」

「そういう事だったのか。素晴らしい料理を頂いて、本当に感謝しかないですよ」


 俺たちは美味しい料理を食べさせてもらった。ご飯を食べた後に部屋に案内してくれた。長旅で疲れているのもあるし、家事を消火活動した疲れもある。
 もちろん俺たちは1人1人別の部屋を用意してくれたみたいで、俺は部屋に入った瞬間にベットにダイブして久しぶりのフカフカを満喫する。そして数分もしないうちに眠りについた。



* * *



 オリヴァーを拿捕できなかった、クロスロード連盟軍のトラスト中将・ケニー少将・ナミカゼ少尉・ダフネ少尉の4名は元帥の元に呼ばれた。


「トラストがついていながら、どうしてオリヴァーが死ぬなんて事が起きるんだ? アイツをヘルアースに、ぶち込めたら犯罪の抑止力になるってのにな」

「ネルマ。今回は予想外の事態が起こった………まさかオリヴァーに、悪魔を召喚するだけの力を持っていたとは知らなかった………」


 このトラスト中将と《ネルマ=アムール=グレーリング》元帥は、同期入隊のいわゆる腐れ縁である。しかしネルマ元帥は俺から手柄を奪う為に、トラスト中将を送ったというのに、このザマかと怒っている。
 だがトラスト中将からしたら、まさかオリヴァーが悪魔を召喚するとは思っていなかった。それを知っていれば、オリヴァーは拿捕する事はできたはずだ。


「オリヴァーを拿捕できなかっただけじゃなく、そっちの若造はブギーマンの部下にやられたんだろ?」

「も 申し訳ありませんでした………」

「別に俺たちのメンツを守れなんて言わないが、仕事はちゃんとやってもらわなきゃ困るわな………ナミカゼもダフネも未来有望な軍人だから期待してんだ。その期待を裏切って欲しくはないな」

「はい。次は必ず成功させます………本当に申し訳ありませんでした」


 ネルマ元帥はブギーマンにやられた事を指摘すると、ナミカゼ少尉たちは深々と頭を下げる。しかし怒っているというよりか、ナミカゼ少尉とダフネ少尉に期待している為にガッカリしてしまった。
 それを聞いてナミカゼ少尉たちは、2度目の深々とした謝罪を行なったのである。そして戻って良いと言われて4人は元帥の部屋から退出する。


「トラスト中将っ!! 今回は中将の顔に泥を塗ってしまう形になって、本当に申し訳ありません………」

「良いんだ。どう過ぎた事を、言ったって過去に戻れるわけじゃない………切り替えて新たな仕事をこなすしかないんだよ」

「は はい!!」

「それとケニー。ネルマもあんな風に言っているが、俺たちに新しい仕事を振ってくれた。その仕事についての資料を、お前の部屋に送ってあるから確認して部隊を編成しろ」

「はっ。了解しました………あっそれとブギーマンに関しての資料が手に入りましたので、そちらは後でお渡しいたします」


 トラスト中将は怒ってはいたが切り替えて、次の仕事に取り掛かるようにと肩をポンッと叩いて慰める。
 それに感動してナミカゼ少尉たちは、歩いていくトラスト中将たちに頭を下げて感謝するのである。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...