社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

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第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子

153:砦へ

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 俺たちが倒したエメラルドドラゴンの全てを、アグフェレイラ財団の代表《ダヴィド》さんに売る事にした。このまま持っていてもエメラルドドラゴンの高い素材の品質を下げる事になってしまう。


「これら全てを買い取るとしたら………大金貨で500枚と言ったところでしょうか」

「そんなに貰えるんですか!? まさかエメラルドドラゴンが、そんなに高級品だったとは………」

「当たり前ですよ!! しかし手持ちであるのが、せいぜい大金貨で30枚と言ったところでしょうか………残りの分は、この小切手をアグフェレイラ財団に持ってきていただければ残りを支払させていただきます」


 ダヴィドさんが提示してきた金額とは、日本円にして5億を超える金額だった。あまりの高額さに、俺は大きな声を出して驚いてしまった。
 ダヴィドさんからしたらエメラルドドラゴンの素材が全て揃っている為、これくらいの金額になると言う。そんな風にダヴィドさんも興奮しながら話していると、鞄から手に持っている大金貨を30枚渡した。
 そりゃあ大金貨を500枚も今すぐに用意できるわけはないか。その代わりにはと俺にアグフェレイラ財団で金貨に変えられる小切手を渡してくれた。


「こんなに大きな契約が直ぐに取れるとは思いませんでしたよ。こんなに大きなエメラルドドラゴンとなると、色々なものに使えます」

「良いんですよ。俺としても持っておいても使い道なんて限られてきますからね」

「本当にありがたい限りです。それじゃあ我々は、この素材の質が落ちては困るので、直ぐに世界連盟に加盟している国に移動させてもらいます」


 ダヴィドさんも喜んでくれているし、俺としても大金を手に入れているのでwin-winと言えるだろう。
 そしてダヴィドさんは、手に入れたエメラルドドラゴンの素材の質が下がらないうちに、世界連盟の加盟国に移動して処理をすると言うのである。
 俺は新たにダヴィドさんたちと、コネを作れたので感謝をしてから握手をしてから街の外まで見送る。


「良い取引が出来たでござるね」

「あぁ……これからもダヴィドさんとは長い付き合いになりそうな気がするよ」

「それに半分も金を受け取っていないにも関わらず、大金貨が30枚もあるよ………」

「その金を妾の為に使っても良いのじゃぞ?」


 俺が金貨を手に入れな事で、群がってくる人もいるかと思ったが、最初に群がってきたのはローズちゃんだったのである。まぁそれにも驚きはしたが、ルイちゃんが俺の方をポンッと叩いて称賛してくれた。
 とにかく良い取引が出来たのだから良しとしよう。ダヴィドさんも出発してしまったので、俺たちも宿屋に戻ってからその日は休息して、次の日の朝イチになったところで俺たちは再度出発する。


「ミナトさん。ここから先に少し行った頃に、砦がありまして、どうやらそこにギルド・ボガードが出入りしているようなので注意して下さい」

「それは本当か!? 聞いておいて良かった………泊めて貰った上に、そんな情報をくれるとは」

「良いんですよ。ミナトさんたちが居なかったら、エメラルドドラゴンにやられていましたから………本当にありがとうございます」


 街の人が先の砦にギルド・ボガードが出入りしていると教えてくれた。それを知らずに行っていたら、面倒な事になっていたかもしれない。
 街の人からの情報を持ったまま俺たちは、首都がある北に向かって再出発を行なう。その道中は荒野ばかりで資源が何もないという事が、一目見て理解する事ができる惨劇とも言って良い状態である。


「どうして、こんなに荒れてるのに政府は動かないでいるんだ?」

「この国のトップが軍人であるのが大きいと思う。それに元からトゥンシム王国の計画のうちだったし………」

「え? それって、どういう意味なの? この状態になるのがトゥンシム王国の計画だったって」


 イローナちゃんの話によると、トゥンシム王国の植民地だった時代からノースカリクッパ王国は食糧難になっていたという。それはノースカリクッパ王国の土壌が元から野菜が育てられる状態では無かったからだ。
 そしてトゥンシム王国は、いずれは本当に食事に困ってノースカリクッパ王国が属国になる事を考えていたというのである。だからトゥンシム王国は、ノースカリクッパ王国の独立を見届けたらしい。


「確かに言われてみれば辻褄が合うな………それにしたって国王は、そんな事にも気が付かないのか?」

「それくらいの馬鹿って事だよ。家臣が気がついても弾圧をしてるから………」

「良くもまぁ持ってるもんだよね」


 この国の状況を聞けば聞くほど、どうして国として成り立っているのか気になるところだ。まぁ成り立っていないから内乱が起きているんだろうけど。
 とにかく俺たちはローズちゃんの心臓を取り戻したいところではあるが、ギルド・ボガードはノースカリクッパ王国とズブズブな関係な為に、俺たちもノースカリクッパ王国に関与していかなければいけない。


「砦なんて迂回して避けたいところだけど、ギルド・ボガードがいるから情報を集める為にやるしかないよな」

「そうでござるなぁ。危険ではありますが、情報が得られると考えれば危険を冒す必要があるでござる」

「そうだよなぁ。どれくらいの砦で、この人数で勝てるのかも調べずに行くから、いつも以上に警戒をしながら行くしかないよな」


 ローズちゃんの心臓を取り戻す為に、危険と分かっていながらノースカリクッパ王国の砦に向かう。少しでも多くのギルド・ボガードの情報を集めなければいけないので危険を冒してでも行く必要がある。
 俺としては情報を集めてから慎重に攻め込みたいが、今回は情報なんてないので、いつも以上に慎重になりながら攻略していく必要があると考えている。


「まぁ俺とルイちゃんが前線で、その前線と後方の中継にローズちゃんがいて、さらに3人の援護をするのがイローナちゃんという完璧な布陣だよね」

「言われなくても妾は完璧なのじゃ!!」

「拙者も全力でやらさせてもらうでござる!!」

「私は乗り気ではないよ………この人数での砦攻略は、さすがに難易度が高いと思う」


 俺からしたら最高の布陣だと思っていると、3人に言うとローズちゃんとルイちゃんは照れて威張り始めているところで、イローナちゃんは1人だけ冷静な見解を俺たちに説明してくれる。
 普通の人ならば萎える事を言うなと言うところだが、冒険者をしているのならば冷静な人が必要であり、イローナちゃんの意見も真っ当だと言える。


「確かにイローナちゃんの言う通りだよなぁ。でもギルド・ボガードの情報は手に入れたいし………」

「じゃあ、また拙者が空から偵察をしてくるのは、どうでござるか?」

「それをしてくれるのなら助かるんだけど………でも本当に大丈夫なのかな?」


 俺は危険だという意見を踏まえて、上手く立ち回れないかと考えていると、ルイちゃんが2度目の空から偵察してくるという提案をしてくれた。
 普通ならば良い考えであるのだが、未知のところにルイちゃんを向かわせるという懸念がある。
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