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第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子
167:淀んだ空
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ファンは小さい時から線が細く喧嘩になったら、袋叩きにされてしまっていた。それに十分な食事をとるだけの金が稼げる仕事がないのである。
ヤンリュウマウルの出身だと分かったら、子供だろうとボコボコにされて差別されてしまう。だからバレそうになったら、別の仕事をやるという生活が続いて、遂にその生活が嫌になった。
「どうして僕が、こんな扱いをされなきゃいけないんだよ………悪い事をしたか? してないよなぁ」
清く正しい生活を続けている事に嫌気がさした、ファンは人から奪ってしまえば良いのだと考えるようになった。そこから何かが切れたかのように、ファンは元から体が柔らかかった事から鍛え直した。
するとファンは筋力は上がらなかったが、柔らかさに拍車がかかって現在のように、剣を振り回すような戦闘方法を身につけたのである。そして強さを手に入れた事で、ファンは首都に入って辻斬りまがいの事で生活を成り立たせていた。
「お おい。ここら辺に出る辻斬りの話聞いたか?」
「あぁその話な!! その犯人って、どんな奴なんだろうな?」
「こんな顔だよ?」
ファンは噂になり始めると、過去の自分とは異なって見下していた人たちが、自分の事を恐れられているのだと分かり謎の高揚感を感じるようになっていた。
そこからファンの辻斬りの行為が激しくなっていき、最初は1週間に数人だったところが感覚が狂い始めた時には、1日で数人を殺すまで増えていた。そんな事が起きて警備隊が許すわけがなく、必死に辻斬りの犯人を探すのであるが警備兵たちにも被害が出ていた。
そんなある日に、とある男が現れた。
「君が例の辻斬りをやっている子かな? 意外と若い感じだねぇ………しかし目は、どっしりと芯がある」
「アンタは誰だぁ? 僕が辻斬りだって分かって、姿を現したんですかぁ?」
目の前に現れたのは元四本刀の主人であり、ギルド・ボガードの大幹部《ストレガ》だった。ストレガは辻斬りの強い奴がいると首都で噂されているのを聞いて、わざわざ危険を承知で様子を見に来たらしい。そしてストレガは、ファンの目を見た時に一瞬にして気に入った。
ファンは恰好の獲物が来たと思って、ストレガを襲おうとしたがファンの剣術が全くもって、ストレガに通用する事なく逆に返り討ちにあってしまった。
そして倒れたところ真っ黒で汚い空が見えて、自分が小さい時ボコボコにされた時に見ていた空に似ていた。そのせいでまたも自分は、あの時のように自分は不甲斐ない思いをしなければいけないのだろうかと思った。
「また僕は負けたのか………あの時みたいに最悪な空が見えるなぁ」
「そんなに卑下をするな。君の目は素晴らしいモノがあったぞ。それにそれだけ強いのならば、俺の下についても問題はなさそうだな」
自分自身に絶望しているファンに対して、ストレガはファンの目と強さを認めて自分の部下としてギルド・ボガードで働かないかと勧誘した。自分のような負けた人間を、どうして仲間に誘ってくれるのかという疑問が大きく口を開けたまま黙ってしまった。
「俺はね、素晴らしい男の下で働いているんだ。その人を支える為には、俺の下で働く人間も強くなくちゃな」
「アンタに負けた僕でも仲間になれるんですか? でも俺はヤンリュウマウルの出身で………」
「それの何が問題なんだ? 俺もヤンリュウマウルの出身だが、今では街の人間がペコペコするんだぞ?」
言葉が発せていないファンに対して、ストレガは自分の下で働く人間にも拘らないとダメだという。しかしファンにはヤンリュウマウル出身という、とても大きな大きな負い目があった。
しかしストレガは自分も同じく、ヤンリュウマウルの出身である事をファンに明かすのである。ファンは自分と同じくあんなところの出身ながら高級な服を着て、街の人からも信頼されているという事に衝撃を受けた。
「どうだい? 俺の下で働かないかい?」
「僕で良かったら………」
「君が良いんだよ。そして君が、これから俺たちの下で働いて出世していくんだ」
ファンは自分を必要としてくれるのならばと下働きでもすると言って、ストレガの部下になる事を承認する。そしてストレガはニコッと笑ってから、倒れているファンに手を差し伸ばし立ち上がらせる。
その時には既にスマイリーと、アングリーがストレガの四本刀に名前を連ねていた。ファンは自分の強さが、この2人には明らかに届いていないと感じていた。その事で2人とは才能が違うのだと思っていると、ストレガが直ぐにファンに声をかけていた。
「ファンが、2人に劣っていると思っているのか? 確かに強さならば、あの2人は桁違いだ………しかしファンにはファンの戦い方があるだろ? 頭を使って相手との技術力を埋めるだけの知力がある」
「僕ってそんなに頭は良く無いですよ………だって学校には行った事もないですし、読み書きだって十分にやれるわけじゃないです」
「それがどうしたというんだ? そんな事は俺たちに任せれば良いんだ。ファンは自分なりの戦闘をすれば」
ファンはストレガに励まされる事によって、次第にやる気になって戦闘を楽しむようになっていた。それによってファンは、スマイリーやアングリーに並ぶくらいのモノノフになっていたのである。
* * *
そんな過去がありながらファンの意識は、現代に戻ってきて目の前に鬼のような形相のイローナちゃんが立っていた。そして自分が毒を飲み込む瞬間である事を思い出して、目に涙を浮かべながら飲み込んだ。
「うぅ!? うぅうううう………」
「えっ? まさか毒を飲んで………そんな逃げ方をされるなんて考えて無かった」
ファンは苦しみ悶えながら転がりまわって、遂にはピタリと動かなくなった。イローナちゃんは、まさか毒を飲んで死ぬとは想定しておらず、こんな逃げ方をされるとは考えていなかったと思った。
イローナちゃんはファンの仮面を取ると、遺体は涙を流して苦しみの表情を浮かべながら亡くなっていた。直ぐに仮面を元のように付け直して、手を合わせてからイローナちゃんは先に進むのである。
「人に危害を加えておいて仲間だの絆だのいう人は嫌いなのは変わらないけど………あんな死に方しかできない彼には少しだけ同情があるな」
イローナちゃんは歩きながらファンの生き方には、全くもって理解する事はできないが、こんな死に方しかできなかったファンには同情すると思っている。
「さてと有力な人を逃してしまった………また新しい人を探さなきゃいけないのか」
イローナちゃんはギルド・ボガードについて情報をせっかく聞き出せるかと思ったが、ファンの服毒自殺によって聞き出せなくなってしまった。有力な情報を聞き出せるはずだった為に、イローナちゃん的にはガッカリしてしまう事になるのである。
とにかく今は情報を、どうにか探す為に城の中の散策を再スタートする。しかしこの後、俺たちと合流するまでイローナちゃんは城の中を散策するが、これといった情報を手に入れる事ができず、逃した肴は大きかったのだと意外にも後悔する事となった。
ヤンリュウマウルの出身だと分かったら、子供だろうとボコボコにされて差別されてしまう。だからバレそうになったら、別の仕事をやるという生活が続いて、遂にその生活が嫌になった。
「どうして僕が、こんな扱いをされなきゃいけないんだよ………悪い事をしたか? してないよなぁ」
清く正しい生活を続けている事に嫌気がさした、ファンは人から奪ってしまえば良いのだと考えるようになった。そこから何かが切れたかのように、ファンは元から体が柔らかかった事から鍛え直した。
するとファンは筋力は上がらなかったが、柔らかさに拍車がかかって現在のように、剣を振り回すような戦闘方法を身につけたのである。そして強さを手に入れた事で、ファンは首都に入って辻斬りまがいの事で生活を成り立たせていた。
「お おい。ここら辺に出る辻斬りの話聞いたか?」
「あぁその話な!! その犯人って、どんな奴なんだろうな?」
「こんな顔だよ?」
ファンは噂になり始めると、過去の自分とは異なって見下していた人たちが、自分の事を恐れられているのだと分かり謎の高揚感を感じるようになっていた。
そこからファンの辻斬りの行為が激しくなっていき、最初は1週間に数人だったところが感覚が狂い始めた時には、1日で数人を殺すまで増えていた。そんな事が起きて警備隊が許すわけがなく、必死に辻斬りの犯人を探すのであるが警備兵たちにも被害が出ていた。
そんなある日に、とある男が現れた。
「君が例の辻斬りをやっている子かな? 意外と若い感じだねぇ………しかし目は、どっしりと芯がある」
「アンタは誰だぁ? 僕が辻斬りだって分かって、姿を現したんですかぁ?」
目の前に現れたのは元四本刀の主人であり、ギルド・ボガードの大幹部《ストレガ》だった。ストレガは辻斬りの強い奴がいると首都で噂されているのを聞いて、わざわざ危険を承知で様子を見に来たらしい。そしてストレガは、ファンの目を見た時に一瞬にして気に入った。
ファンは恰好の獲物が来たと思って、ストレガを襲おうとしたがファンの剣術が全くもって、ストレガに通用する事なく逆に返り討ちにあってしまった。
そして倒れたところ真っ黒で汚い空が見えて、自分が小さい時ボコボコにされた時に見ていた空に似ていた。そのせいでまたも自分は、あの時のように自分は不甲斐ない思いをしなければいけないのだろうかと思った。
「また僕は負けたのか………あの時みたいに最悪な空が見えるなぁ」
「そんなに卑下をするな。君の目は素晴らしいモノがあったぞ。それにそれだけ強いのならば、俺の下についても問題はなさそうだな」
自分自身に絶望しているファンに対して、ストレガはファンの目と強さを認めて自分の部下としてギルド・ボガードで働かないかと勧誘した。自分のような負けた人間を、どうして仲間に誘ってくれるのかという疑問が大きく口を開けたまま黙ってしまった。
「俺はね、素晴らしい男の下で働いているんだ。その人を支える為には、俺の下で働く人間も強くなくちゃな」
「アンタに負けた僕でも仲間になれるんですか? でも俺はヤンリュウマウルの出身で………」
「それの何が問題なんだ? 俺もヤンリュウマウルの出身だが、今では街の人間がペコペコするんだぞ?」
言葉が発せていないファンに対して、ストレガは自分の下で働く人間にも拘らないとダメだという。しかしファンにはヤンリュウマウル出身という、とても大きな大きな負い目があった。
しかしストレガは自分も同じく、ヤンリュウマウルの出身である事をファンに明かすのである。ファンは自分と同じくあんなところの出身ながら高級な服を着て、街の人からも信頼されているという事に衝撃を受けた。
「どうだい? 俺の下で働かないかい?」
「僕で良かったら………」
「君が良いんだよ。そして君が、これから俺たちの下で働いて出世していくんだ」
ファンは自分を必要としてくれるのならばと下働きでもすると言って、ストレガの部下になる事を承認する。そしてストレガはニコッと笑ってから、倒れているファンに手を差し伸ばし立ち上がらせる。
その時には既にスマイリーと、アングリーがストレガの四本刀に名前を連ねていた。ファンは自分の強さが、この2人には明らかに届いていないと感じていた。その事で2人とは才能が違うのだと思っていると、ストレガが直ぐにファンに声をかけていた。
「ファンが、2人に劣っていると思っているのか? 確かに強さならば、あの2人は桁違いだ………しかしファンにはファンの戦い方があるだろ? 頭を使って相手との技術力を埋めるだけの知力がある」
「僕ってそんなに頭は良く無いですよ………だって学校には行った事もないですし、読み書きだって十分にやれるわけじゃないです」
「それがどうしたというんだ? そんな事は俺たちに任せれば良いんだ。ファンは自分なりの戦闘をすれば」
ファンはストレガに励まされる事によって、次第にやる気になって戦闘を楽しむようになっていた。それによってファンは、スマイリーやアングリーに並ぶくらいのモノノフになっていたのである。
* * *
そんな過去がありながらファンの意識は、現代に戻ってきて目の前に鬼のような形相のイローナちゃんが立っていた。そして自分が毒を飲み込む瞬間である事を思い出して、目に涙を浮かべながら飲み込んだ。
「うぅ!? うぅうううう………」
「えっ? まさか毒を飲んで………そんな逃げ方をされるなんて考えて無かった」
ファンは苦しみ悶えながら転がりまわって、遂にはピタリと動かなくなった。イローナちゃんは、まさか毒を飲んで死ぬとは想定しておらず、こんな逃げ方をされるとは考えていなかったと思った。
イローナちゃんはファンの仮面を取ると、遺体は涙を流して苦しみの表情を浮かべながら亡くなっていた。直ぐに仮面を元のように付け直して、手を合わせてからイローナちゃんは先に進むのである。
「人に危害を加えておいて仲間だの絆だのいう人は嫌いなのは変わらないけど………あんな死に方しかできない彼には少しだけ同情があるな」
イローナちゃんは歩きながらファンの生き方には、全くもって理解する事はできないが、こんな死に方しかできなかったファンには同情すると思っている。
「さてと有力な人を逃してしまった………また新しい人を探さなきゃいけないのか」
イローナちゃんはギルド・ボガードについて情報をせっかく聞き出せるかと思ったが、ファンの服毒自殺によって聞き出せなくなってしまった。有力な情報を聞き出せるはずだった為に、イローナちゃん的にはガッカリしてしまう事になるのである。
とにかく今は情報を、どうにか探す為に城の中の散策を再スタートする。しかしこの後、俺たちと合流するまでイローナちゃんは城の中を散策するが、これといった情報を手に入れる事ができず、逃した肴は大きかったのだと意外にも後悔する事となった。
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