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第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子

181:目が覚める

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 砦攻略が失敗してから3日が経った昼、遂に俺は眠りから目を覚ましたのである。パッと俺は目を覚ますと、見た事のない天井でベットの上にいて困惑する。
 立ち上がろうとした時に、足元でベットに顔を突っ込んで眠っているルイちゃんがいた。そういえばと、俺は砦攻略を行なっていた事と、スマイリーと戦闘になっていた事を思い出したのである。


「そうか……俺はスマイリーと戦った後に気を失ったのか」

「んー、なんでござるか………なっ!? 遂に目を覚ましたでござるか!!」


 俺はスマイリーと戦った後の記憶も思い出し始めたのであるが、砦攻略は失敗したんだろうなと察して少し凹んでいると、俺の声に反応してルイちゃんが起きる。
 ルイちゃんは寝ぼけて俺が起きたとは思っていないので、目を擦りながら声がした方を見る。すると目を細めて俺の顔を確認すると、俺の目が覚めているのに気がついて尻餅をつきながら驚いた。


「ミナトが目を覚ましたの!!」

「本当か!! お主は本当に人を心配させるのぉ」


 ルイちゃんの声に反応して近くにいた2人が、病室に入ってくると俺に飛びついてくる。その感じからして俺は、命の危険があったのだと察した。


「心配してくれてありがとうね」

「心配なんてしてない………」

「心配だったでござる!!」

「心配させよって」


 イローナちゃんは直ぐに真顔に戻ってクールさをアピールしてくる。ルイちゃんに関しては、大粒の涙を流して号泣している。ローズちゃんは俺に抱きついたまま心配したんだと伝えてくれた。
 俺としては状況を理解するのに苦労しているが、それでも皆んなが心配していてくれて嬉しいと言葉には出さないが、心の中で密かに思っている。
 そんな事を言っている時に、俺はハッとして砦攻略について聞かないとダメだと思い出して話を聞く。


「………という事になったでござる。さすがにミナト殿を置いていくには深傷過ぎる感じだったでござる」

「そういう事だったのか。まさか4人それぞれが、ギルド・ボガードの幹部クラスとやってたなんてなぁ」

「これからどうするつもり? 私たちもギルド・ボガードの幹部クラスとやったけど、思って情報を聞き出せなかったわよ?」


 俺はルイちゃんから何が起きたのかを聞いてから、3人にギルド・ボガードから聞き出した情報はあるのかと聞いた。しかし3人は首を横に振って、アングリーたちから何も聞き出せなかったと残念そうに報告を受ける。
 イローナちゃんは、これからの作戦に関してどうするのかと聞いてきた。俺はうーんっと腕を組んで、頭をフル回転させながら作戦を考えるのであるが、意識不明のところから復活したばかりだからなのか、頭が働かずに良い作戦が思いつかないのである。


「どうするかなぁ? 普通に首都に行ってみるとか、そんな風な作戦しか思いつかないなぁ………それで首都に情報が無かったら、そこで新たに考えようか?」

「うん。今はそれしかないと思う」

「了解でござる!! 拙者はミナト殿の考えに合わせて動くでござるよ!!」

「妾も心臓を取り返すには、ミナトの力が必要じゃからのぉ~。お主についていく事にしよう」


 俺としては良いアイデアを出したなったが、首都に行ってみるという無難な作戦しか出なかった。しかしイローナちゃんたちは俺のアイデアに、肯定した上でそれしかないと言って作戦が決まったのである。
 これからの流れが決まったので、早く行動したいと思ったのであるがイローナちゃんたちに、検査をしなければダメだと言って医者を呼ばれた。医者も俺の体を隅々と見ながら診察をしているのだが、医者の顔は驚愕して口がパッカリと開いた状態になっている。
 イローナちゃんたちは、医者の反応から俺の体は深刻な事が起きているのかと心の中で不安になる。しかし当の本人である俺は、別に体にはなんの不具合も起きていないので医者の方を見る。


「これは驚きましたな。3日前までは、いつ死んでもおかしくない状況だったのに、今は傷跡が残っていながらも、体のどこにも不具合は見当たらない」

「という事は、俺の体は完治したって事ですよね? 俺は寝てたから実感なんてないけど、まぁ完治したっていうなら問題は無いか」

「しかし傷は塞がってはいるが、なんらかの衝撃で開くな妖精はあるんで覚悟しておきなさい」


 医者はスッとかけていた眼鏡を外すと、医者の口から飛び出したは想定しているより、遥かに治りが早くて生死の境を彷徨っていた人間とは思えないという。俺的には寝てただけなので、そこまで凄いのかと若干理解できずに医者からは完治した事を伝えられる。
 そして最後、俺に完治したとはいえども傷口が開いて死亡してしまう可能性があると言ってくる。そんな事を言われたとて戦闘になったら、逃げられるわけもなく命をかけて戦うしかないと俺は思っている。


「本当に命を助けてもらって感謝します」

「いやいや医者として、君のような生命力の高い人間を見たのは初めてだ。君のような人間がいるのだと知れただけでも十分だよ」


 俺は目を覚ました日に退院した。正直なところ医者には、もう少しの休養は必要だと言われながローズちゃんの心臓を取り戻すのは、一刻も早くしなければいけないので呑気には寝ていられない。
 医者に感謝をして頭を下げると、医者は君のような人間を初めて見れて良かったと言ってくれた。きっと頑丈にできているのは、女神様の加護があるからでは無いかと思っている。
 そんなノスタルジックに浸りながらも馬車を手配して首都に向かって出発する。



* * *



 俺とエッタさんたちが砦と要塞に攻撃した事は、もちろん国王であるオーインにも報告される。


「なんだと!? もう1度言ってみろ!!」

「は はい。南の要塞が市民軍によって落とされ、北の砦は冒険者メンバーによって半壊………何よりギルド・ボガードから派遣されていた四本刀は戦死しました!!」

「そ そんなわけがあるか………砦と要塞を失った。それだけでも事態は最悪というのに、それだけではなくギルド・ボガードも戦死だと………」


 オーインは本当なのかと信じられず立ち上がってから部下に繰り返し言うように指示をする。そして自分が聞いたのは間違いでは無かったのだと分かると、腰が抜けたかのように、王座にドサッと座って頭を抱えて混乱してしまうのである。
 砦と要塞が落とされたのは、もちろんながら最悪であるのは間違いなのであるが、最も最悪なのはギルド・ボガートから派遣されていた四本刀が戦死した事だ。この戦死を理由に、ギルド・ボガードがノースカリクッパ王国へと敵意を向いてしまう可能性があるからだ。
 どうしたら良いのかとオーインが、少ない脳みそをフル回転させて考える。そんなところに外からダッシュで伝達兵が入ってきてオーインに報告する。


「急報っ!! 急報っです!!」

「何事だ!! 今度は何が起きたというのだ!!」

「王都内で、ギルド・ボガードのブギーマンと幹部のストレガが暴れております!!」

「なんだと!? あの2人が、ここにいるのか!!」


 最悪の事態は重なっていく。
 ブギーマンとストレガが王都に現れて暴れ回っているという話だった。あまりにも馬鹿げているので、国王は何から手を付けたら良いのかとパニック状態になる。
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