日本大戦〜日本が大変な事になりました〜

湯崎noa

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第1章・王弟の反乱 編

006:不敵な笑み

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 俺と王子は津軽外浜県に行く為の船に乗り込む。
 この船乗り場には刺客が配置されておらず、そこまで怪しまれずに乗り込む事ができた。
 なるべく目立たないように隅の方に座る。
 4時間はかかると言う事で、俺は王子に国についてや色々と質問をするのである。


「これに加担している人間というのは、どれくらいの人数がいるんですか?」

「人数か? 兵士の数までは分からないが、今回の件に関わっている幹部クラスの人間は………分かっているところで10人くらいか? どうやら前国王の時代から不満に思ってる人間たちが動いたらしいな」


 王子は10人だけで国を、ひっくり返せると思われている事に苛立ちを覚えている。
 王子は戦えないと言っているが、怒りを露わにしている時のオーラが明らかに貫禄を感じる。


「それで柏岡王弟は、殿下を裏切るような人間だったんですか? 裏切る裏切らないにしても、野心がある人間だったりしたんですか?」

「いや、昔は俺にも優しかった。何よりも前国王とは、仲が良かったと思う」

「それじゃあ、ある可能性ありますよね………」

「ある可能性? それってどんな可能性なんだ?」


 俺は王子から王弟の人柄について聞いた。
 すると王子を裏切ったり、クーデターを起こして国を乗っ取るような野望があった人間には見えないという。
 それを聞いな俺は少し考える様子を見せる。
 そして俺はある可能性を感じた。
 俺の感じた可能性とは、一体何なのかと王子は聞く。
 なんとも言いづらい事であり、平民である俺が発言して良い事なのかと迷っている。
 しかし王子が「俺に気にせず言ってくれ!」という。
 だから俺の考えを王子に伝える。


「僭越ながら言わせていただきます。柏岡王弟殿下の背後に、別の人間がいるんじゃないですか?」

「叔父上の後ろに、別の人間がいる? それは叔父上が表に立たされて、その背後に黒幕的な存在がいるという認識で合ってるか?」

「まぁただの可能性の話なので、大きく間違ってる可能性の方が高いですね。もしも本当に黒幕が居るとするのならば、これはこれで厄介な可能性がありますね」


 そう俺が考えた可能性とは、表に大きく出されているのは柏岡王弟殿下であり、その後ろに黒幕として誰かがいるのでは無いかという事だ。
 もしもこの可能性が合っているとすれば、俺たちが止めようとしている王弟殿下が囮で、その裏で何かを企んで着々と実行している可能性がある。
 こうなってしまったら、もう気がついた時には手遅れとなってしまうので、もしも黒幕が居るとするのならば早く存在を明らかにしなければいけない。


「しかし事実を調べるにしても現段階じゃあ調べようが無い………何よりも今は同じ派閥の人間と合流しなければ黒幕云々の話は意味が無い」


 そんな風にこれからの事について話していると、5時間くらいで船は津軽外浜県に到着した。


「これからは、どこに向かうんですか? 確実に援軍を出してくれるところじゃないと、殿下の身が危険に晒されますよね?」

「それなら津軽外浜県を通って岩盛県に向かう。そこに行けば、前国王の時から親しくしていてクーデターなんて許すわけが無い人間がいる」

「それってもしかして陸奥領方面軍の総司令で、北星王国軍の《谷村 祐武たにむら ひろむ》大将じゃないんですか! 齢64ながら最前線で戦っていて、牛丸大将と渡り合うっていう!」

「その通りだ。あの人ならばクーデターなんて真っ向から否定してくれる………そこまで行こう!」


 俺と王子は谷村大将がいる方面軍の本部がある岩盛県に、馬を使いながら向かう事にした。
 しかし馬を使うにしても、なるべく目立ちたくない。
 さっきのように刺客に襲われる可能性がある。
 裏をかいて人目の多いところを通るのもあるが、さすがに護衛が俺だけという事を考えると、今回だけはリスクを冒す事は難しい。
 それを王子も理解してくれている。
 なので山道を使って、少し時間はかかるがある程度の安全性を確保しながら岩盛に向かう。

 男との戦闘や船移動の時間もあって、そこまで初日は移動する事ができなかった。
 その為、森の中で野宿する事になる。
 俺は別に気にしないが、この国の王子を野宿させて良いのかと、ちょっとした罪悪感を感じてしまう。
 それに気がついた王子は「ん? そんなこと気にしなくて良いぞ」と言ってくれた。
 心遣いをして貰って王子の懐の深さを感じる。


「王子殿下、俺が寝ずの番をしますのでお休み下さい」

「いや、それは悪い! 交代で寝ずの番をしよう!」

「そういうわけにはいきません! ここは俺に任せて王子殿下は、明日に向けて体力を回復させて下さい」


 俺は王子に反対されたが、なんとか押し切って俺が寝ずの番をする事になった。
 刀を傍に置いて耳を澄ませる。
 どんな人間が来るか、分からないので気を抜かない。
 少しの音が鳴ったら、そっちの方に気を向ける。
 獣だとしても王子に怪我なんてさせた日には、とてもじゃないが兵士になんてなれない。

 そんな心持ちで警護していると、茂みからゴソゴソと音がして気配が明らかに獣では無いと感じた。
 何なのかと思ったら、ボロボロの服と血の付いた剣を持つ5人の男たちだった。
 これは見ての通り山賊だ。
 王子も気配を察知して起き上がる。


「おいおい、こんなところで野営してる奴らがいるぞ! それなりに身なりも良いし、たらふく金を持ってんじゃねぇのか!」


 山賊たちはニヤニヤしながら俺たちを取り囲む。
 俺は王子を自分の後ろに隠して、手を出させないように剣を鞘から抜くのである。
 昨日の男のように、1人であれば守る自信があったのだが、こうも大勢になると守り切れるか不安になる。


「王子殿下、これはちょっと不味いかもしれません。俺が囮になりますので、この場から逃げて下さい!」

「部下を置いて逃げれるわけが無いだろ! そこまで俺は落ちぶれちゃいない!」


 俺の事を部下だと思ってくれているのは嬉しい。
 しかし逃げて貰わなければ国が崩壊してしまう。
 だが王子も頑なに、ここから逃げる事を拒否する。
 ここに来て最大の難所を迎える事となった。


「さすがに不味いな………」


 俺も思わず苦笑いしてしまうくらいにヤバい。
 どうにかしなければいけないと思っていると、山賊たちがニヤニヤしながら距離を詰めてくる。
 俺は手で王子を庇いながら避ける。
 すると俺と山賊たちの間に、1本の弓矢がピュンッと飛んできて地面に突き刺さるのである。
 全員の視線が飛んできた方に向く。
 そこには銀髪の男がニコッと笑いながら立っていた。


「ちょっと多勢に無勢は、カッコ悪いんじゃ無い?」


 その男は不敵に笑うのである。
 この男は、一体誰なんだろうか。
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