日本大戦〜日本が大変な事になりました〜

湯崎noa

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第3章・刺客急襲暗殺計画 編

047:月のあり方

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047:月のあり方
 現国王が病に臥している情報を知って、天日王が居なくなったとなると他国に逃げる関所が閉じられる。
 そうなると闇商人とは言えども逃げられない。
 大統領に情報が入る前に、この国を出れるかどうかは明らかに賭けとなってしまう。
 もし失敗して捕まったリスクは大きい。
 間違いなく捕まったら、拷問された挙句に殺される。
 そんな博打を打つ人間は商人なんかじゃない。


「そういう事だ、文句は無いだろ?」


 2人は引き受けるにしては対価が安過ぎるとして、今回の話は断る方針にすると佳子にいう。
 この状況ならば仕方ないと佳子は首を縦に振る。
 それしか選択肢は無いと思っている。
 この話し合いをして直ぐに、2人は王国の使者が滞在しているところに足を運ぶ。


「この話は受けない。俺たちも生き急いでるわけじゃ無いんだ、悪く思わないでくれ………あっそうだ。もちろん今回の事については一切の口外はしない。俺たち裏の商人は口が軽かったら務まらないからな」


 2人は命の方が大切だからという理由を挙げて、今回の商談は断らせていただくと話す。
 そして2人は口は堅いから話は外部に漏らさないと、約束して立ち去ろうとするのである。


「この合衆国の商人風情がぁ! 斬りますか?」

「そんな事をしてイザコザになるのは面倒だ………お前たち、あの女番長はどうしたんだ?」

「佳子の事か? いつもフラッと、どこかに消えちまうんだよ………」


 使者たちは騒ぎを起こす事へのリスクが高いと、ここは面倒事を起こさない方針を立てた。
 そして2人に佳子は、どこに行ったのかと聞く。
 しかし2人は、いつも煙のように居なくなる時があるので知らないと笑って答えるのである。

 佳子は天日王の人生と、自分の人生を重ねて哀愁に浸る為、星が見えやすい近くの河川敷に来ていた。
 橋の上から光り輝く月を優しく微笑みながら見る。
 すると河川敷の草むらに、横になっている天日王の姿を発見するのである。
 月を見る天日王の目は明らかに常軌を逸している。


「お月は、お嫌いですか?」

「お前は昼間の女……」


 佳子は河川敷に降りて天日王に話しかける。
 話しかけた話題は月に関してだった。


「私も小さい時は月が嫌いでした。辛くて苦しくて顔を見上げた時に月が、いつも以上に光輝いていました。まるで私の事を嘲笑っているのではないのかと思ってしまうくらい綺麗だった。私の事を馬鹿にするなって真剣に思っていましたよ」


 佳子は幼い時に自分が辛い時にみた、月があまりにも綺麗で嫌味や笑われているように感じていた。
 だから昔は月なんて嫌いだと思っていた。
 思っていたという事は、つまり現在は好きという事。


「しかしそうではないと教えてくれた人がいました。それは私の養父です……養父は私に言いました。月が輝いているのは、暗闇で人が迷わないようにする為だと」


 この話を聞いた天日王は、そういう感覚で月を見てみる事にしたのである。
 その月を見つめる横顔は年相応の少年の顔だ。
 少し落ち着いたところで天日王は、佳子に2つのお礼をすると言って斬られなくて良かった事と、月が輝いている理由についてしれたと感謝する。

 それでも天日王が生きていく上で、盗みをしなければいけないので、次の日も罵声を浴びせられながら店から食べ物を盗むのである。
 そのご飯を持って母親が待っているボロ屋に戻る。
 しかし家の中には男たちが居て、今日も男に体を売っているのかと家を出ようとした。
 だが男たちは「尚人さまっ!」と叫んで膝を着く。


「お迎えに上がったのです! 永きに渡るご辛抱、誠に痛み入ります! 北星王国への帰還の時が参りました」

「王国へ帰るのです!」


 その男たちが自分を迎えにやってきた使者だと、天日王が分かると目を見開いて驚く。
 困惑していると使者たちは続ける。
 どういう状況になっているのかという事を説明して、今度は天日王が次期国王になるのだと話す。
 その話を聞いたというよりも、北星王国という名前を聞いた瞬間、天日王は頭を抑えて倒れた。

 倒れたので使者たちは急いで駆け寄る。
 どうしたのかと声をかけてみるが、どうやら天日王は気を失ってしまったのである。
 あまりの衝撃に気を失ったのだろうと判断して、今は時間がないので気を失った天日王を馬車に乗せる。
 そのまま出発しようとする。

 使者たちの馬車が出発しようとしている時、その様子を佳子たちは近くの物陰から見ている。
 自分たちに断られたから、誰の手も借りずに事を進めようとしているんだなと話した。
 しかし3人とも使者たちだけでは、どう頑張ったとしても首都の東央を出るのも不可能だと話す。


「佳子、アイツらが行っちまうぞ? どうしたんだよ、昨日から黙り込んで」

「何だよ、迷ってんのか? お前らしくもねぇな」

「迷ってなんかいないさ………」


 2人は佳子が迷っているように感じた。
 しかし佳子は実際のところ迷ってはいなかった。
 じゃあどうしたのかというと、今の状況を昔の自分たちと重ねていたのである。

 約19年前の話だ。
 敵国の兵に追われている行商人の原田は、たまたま通った山道で餓死寸前の孤児を3人見つけた。
 あの原田の差し伸ばす手が無ければ、佳子たちは死の淵から脱出する事はできなかっただろう。


「そして我々の目の前に今1人の少年がいる。私たちが手を差し伸ばさなければ、今直ぐにでも死んでしまうくらいのね………何を迷う事がある? 我々がするべき事は明白じゃないか?」


 佳子は自分たちがやらなければいけない事は明白だと言って、優しく微笑むのである。
 そんな話がされているとは知らない使者たちは、馬車を走らせて首都を出ようとする。
 しかし本当に自分たちだけで良いのかと不安がある。
 それでも今さら計画を最初からやり直すような時間なんて、この使者たちは無いのである。


「この深夜の時間に門を出るのは、とてもじゃないが根回しをしていないと無理ですよ」

「お お前たちは!? どうしてこんなところに?」

「この仕事、我々が引き受けましょう。裏の商人である佳子という名において、尚人さまを北星王国まで無事にお届けさせていただきます!」


 焦っている使者たちの前に、馬車に乗った佳子たちが姿を表せたのである。
 どうして佳子たちがいるのかと使者たちはいう。
 すると佳子は自分たちが、今回の商談を受けさせてもらうと言ってニヤッと笑う。
 佳子は自分の名において無事に届けるという。
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