日本大戦〜日本が大変な事になりました〜

湯崎noa

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第4章・郡山市の戦い 編

083:両軍の思惑

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083:両軍の思惑
 3日目がスタートする。
 日中軍は柳本中将ほ対策として左翼軍後衛にあてられていた渋川が中央へ移動させた。
 越と渋川の両者で約8万からなる共同戦線を引いた。
 しかしそれでも柳本中将の猛撃は止まらなかった。
 柳本中将という武に突出した存在の登場により、戦況は大きく動こうときていた。

 3日目のありさまに塩丈は「2人揃って何をしているのだ!」と責めるのである。
 だが染谷は塩丈を宥める。


「2人を責めるな。これは柳本の力を見誤った、軍師である俺の責任だ………」

「ならば軍師らしく策略で責任をとってもらおうか?」

「分かっている! 明日、全軍で柳本を討つ」


 柳本の底力を見ぬ事ができなかった自分の責任だと、染谷は言うのである。
 そんな染谷に塩丈は軍師らしく、明日からの策略で取り返すように言う。
 もちろんそのつもりだった。
 その案として染谷は全軍で柳本を討つと言う。
 その言葉に武将たちは「全軍で!?」と驚く。


「今日と同じように見せて左翼軍の塩丈・饒平名で、側面と後方から攻撃を仕掛けろ! この4軍で囲えば、さすがの柳本とは言えども、ひとたまりも無い」

「向こうの軍の対応はどうするのだ?」

「他軍が動く前に柳本を殺す。日中軍最強の武力を持つ塩丈軍が背後から攻めれば一網打尽にできる。柳本の首を取るのは、お前だ………塩丈っ!」

「くくくっ! この3日間、消化不良って感じで運動不足だったところだ!」


 染谷が考えている作戦は、3日目と同じように見せかけて左翼軍にいる塩丈と饒平名軍を使って、柳本軍の背後の側面に攻撃するというものだ。
 明らかな奇策とは言えども柳本中将を、ここで止めておかなければ負けると染谷は考えている。
 なので手遅れにならないうちに、自分たちの方から手を出して仕掛けようという事なのだ。

 一方で北星王国本陣には、牛丸軍の側近たちが会議していたのであるが、元帥は天幕に柳本中将を呼ぶ。
 総大将に呼ばれたので来たが、不服なので「何だ、話とは」と交戦的な姿勢を見せている。


「はっはっはっ! まぁまぁそんなに凄まずに、そこに座ってくれ」

「いらぬ! 用件を言え」

「殿が座れと言っているんだ。早く座れ」

「三下が、次に口を開けば首を刎ねるぞ」


 牛丸軍の側近である《生山 常灯おいやま つねとも》少将は元帥の指示を無視しているので、さっさと座るようにいうのだが口論になる。
 しかし時間も無いので元帥が生山少将を叱る。


「良いだろう、用件だけを伝える。俺の予想では明日、日中軍は大きく動いてくるはずだ」

「それがどうした、俺の知った事か!」

「本来ならば敵の手を考えて色々と作戦を練るものではあるが、今ばかりはお前に同意見だ。中央で起こった熱量は我々の強い追い風になっている」

「つらつらと御託は面倒だ! 何が言いたいのだ」

「つまり今は攻め刻という事だ」


 元帥はこの状況が明らかに自分たち有利だと話す。
 だからこそ攻め刻だと元帥は言う。


「第1軍団長《生山 常灯》、兵力4万っ!」

「第2軍団長《曄道 夏沙武てるみち かさぶ》、兵力3万2000っ!」

「第3軍団長《兼田 瑛富かねた えふ》、兵力1万2000っ!」

「第4軍団長《田野丘 哲弥》、兵力6000っ!」

「第5軍団長《村松 晄蔵むらまつ こうぞう》、兵力1万6000っ!」


 各軍団長が自分のところの兵力を言い始めた。
 柳本中将は何なのかと思っていると、元帥は柳本中将に向かって「この5軍全てを、お前に任せる!」と衝撃な事を言ったのである。


「明日、全軍を率いて日中本陣に突撃し一気に攻め落として来い! 明日は騒がしくなりそうだ………」


 このまま勢いに乗っている柳本中将に、この全軍を任せて敵本陣を落とすように指示をした。
 この追い風状態ならば俺たちのものだと思い始めており、副将である柳本中将の士気も高い。

 そんな中、4日目の早朝に塩丈が1人で戦場に出る。
 戦場には死体が、たくさん転がっている。
 その死体を食べにツキノワグマが集団で降りてきているのだが、塩丈を見つけると威嚇し始めた。
 しかし塩丈はビビるどころかジッと見つめる。
 本能でヤバいと思ってツキノワグマたちは逃げる。


「塩丈、何をしているんだ? 早朝とはいえ、ここは戦場だ、1人で出歩くのは危険だぞ」

「今日の戦場の地形を確認して回っていたんだ」

「随分と余念が無いみたいだな」

「ただの趣味みたいなものよ。それにしても転がっている死体は見事に日中兵ばかりだ……許さないぞ、柳本。今日の夜には北星軍貴様ら全員の肉を、獣たちに食わせてやるよ」


 塩丈が1人で戦場の見回りをしていると、越がやってきて昨日までの決算や今日の戦いの予想を話す。
 覚悟としては自分たちの兵を体力に殺した、柳本中将だけは絶対に許すわけにはいかないと塩丈は思う。
 そんな話をしていると感覚が尖ってきているのか、背後にゾッとする気配を感じる。
 すると本陣の丘の上に最上の姿を見つけた。


「最上さまか?」

「どうして、あの人は三月将になれたのか」


 塩丈は最上が合衆国の中で、最も強いと思われる3人の大武将である三月将になれたのかと疑問を持つ。
 それを聞いた越も確かに疑問に思うのである。


「(そういえば、あの人が三月将になった経緯などは伏せやれたままだったな。かつての北星将・五膳を討ったという噂話は聞いたが、武功はそれだけ………その辺りの事は、渋川が説明すると言っていたが、未だに説明はされていない)」


 確かに五大天魔将の1人である五膳を討ち取ったというのは大きな武功ではある。
 しかし上げた武功といえば、それだけだ。
 最上の詳しい話は、渋川が説明するはずだった。
 だが未だに悔しい話は渋川からは聞けていない。
 越は何かを話せない理由でもあるのだろうかと、ある事ない事を考えてしまう。


「まぁ今は良いか、三月将の席は2つも空いてる。牛丸と柳本の首を取って、私が1席を貰うよ………まずは柳本だ。それでは、また後で会おう。その時には、柳本の首は私の手中にありますよ」


 そういうと塩丈は自分の持ち場に戻って行った。
 日中軍の作戦は昨夜の会議通り、左翼軍の塩丈・饒平名の両名が連日通り北星右翼軍を攻めると見せかけ、柳本中将の背後を襲うというものだ。
 この事が俺たちにバレないよう気負いを隠し、昨日と同じ様子を装っているのである。


「(左翼軍が背後に回るタイミングを誤らなければ、この作戦が失敗するわけがない。これで確実に柳本の首を取る事ができる)」


 染谷は自分の作戦に自信があった。
 完全に裏をとるタイミングを間違わなければ問題ないと言うのである。
 しかし染谷の考えと結果が合わなかった。
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