ブレンド・ソウル

野鈴呼

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魔界へ戻る時

「決別」

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まどかさん、大往生だいおうじょうだったそうよ。娘さん夫婦とお孫さん達に最期を看取られて安らかにね……」

「ステキな女性ひとだったものねぇ」


 故人、丸ノ内 円の葬儀が執り行われている葬祭会館。

 故人の旧友である老齢の女性二人は、白いハンカチを当てて目頭をぬぐう。

 穏やかにほほ笑む老女の遺影は、彼女の生涯がいかに幸福であったかを葬儀の参列者に伝え、加えて、会場まで足を運んでくれた生前出会った人々に感謝を告げているようだった。


「女手ひとつで娘さんを立派に育てられて……ご主人と離婚されたのも再婚なさらなかったのも、やはり昔の彼のことが忘れられなかったせいなのかしらね」

「昔の彼って…… 魔族の血を引いてらしたあの彼のこと? お名前なんていったかしら。イヤだわ。最近もの忘れがひどくって……ムリもないわね。私たちの年齢では……」

「“センジ”さんよ、確か。何年か前にそのセンジさんをお見かけしたんだけど、お若いまま少しもお変わりなくてつい二度見してしまったものよ。私たちはこんなに年を寄せたというのに……」

「あなた、センジさんのお顔までよく覚えていたわねぇ」

「お顔より、髪の色で覚えていたのよ。あんな自然なオレンジ色の髪、人間では染めたとしてもマネできないもの」

「そうそう、たねとかいう魂の影響なのよね? それなら私も覚えているわ!」

「しぃっっ! 声が大きいわよっっ……」

「あっ、いけないっ」

 老齢の女性二人は、周りを気にして肩をすくめた。それでもまだ話は尽きず、声をおさえてしゃべり続ける。

「二人が別れた本当の理由は寿命の違いのせいだって聞いたことがあるわ。そんなおつらい別れでも円さんが幸せでいられたのは、絶えずセンジさんを想っていたからではないのかしらね……」

「まさか。だってあれから八十年も経っているのよ? 万が一そうだったとしたら、幸せどころか円さんがお気の毒だわ。だってあちらはいまだにお若いわけだし、ずっと昔に交際していた彼女のことなどとっくに忘れていろんな女性とお付き合いされているでしょうよ。むなしいわねぇ……」

「よしなさいよ。円さんのご霊前で……」

「あら。言い出したのはあなたでしょう?」

 老齢の女性二人は、彼女の若かれし頃の恋の結末を思い返し、勝手な想像をふくらませヒソヒソと語り合っていた。
 
 遺影の彼女はあんなにも穏やかな笑みをたたえ、つらさやむなしさとは無縁だというのに……


 *  *  *  *  *  *  *


「なんで行かなかったんだ? 円の葬式」

 自宅前の高台から街を鳥瞰ちょうかんし、エバイが直球でセンジに問いかけた。

「なんだよ、いきなり」センジは隣りでフェンスにもたれかかり座り込んでいる。

「行けるワケねえだろ。俺はこっぴどくふられちまったんだし、あいつにはでっけえ娘や孫までいるらしいからよ。そもそも、人間にしてみりゃ俺と円のことなんか大昔の話なんだぜ?」

 ため息まじりで答えたセンジはゆっくり尻を上げて膝を伸ばし、夕闇が迫ろうとしている空をあおぎ見た。

「だったらなおさら行けば良かったんだよ。大昔のことなら誰もなんも言わねえだろ」

「婆さんになった円の顔なんかとてもじゃねえけど見られやしねえわっ」

 かつての恋人、丸ノ内 円を追悼し、センジはそれからしばらく黙り込んだ。彼女はセンジの初恋の女性ひとであり、別れてからもひそかにずっと引きずってきた特別な存在だ。

 あごを下げ、高台に続く坂道へ視線を落とすと、円が若かった時分、夕暮れ時に二人仲良く腕を組みたわいない会話をしながら歩いて帰った過去に脳内ワープしてしまう。

 センジの脳裏に焼きついている円の顔は八十年前のまま、肌にハリツヤのある可愛い少女のままなのだ。


「あのぉ~、センジさん。お客様がいらしてますけど……」

 シルクに呼びかけられ振り向くと、シルクと共に見知らぬ初老の女性が立っていた。

「初めまして。わたくし、玉野 たまきと申します。先日亡くなった丸ノ内 円の娘でございます」

「まど……かの?」初老の女性の思いがけない言葉に、センジは絶句した。


 予期せぬ訪問客、玉野 たまき

 ガレージ作業場横の事務室に、センジは彼女を案内した。商談スペースにある客用のマシなアームチェアに座ってもらい、自分は転がしてきたデスクチェアに腰を下ろした。
 
 円の娘という初老の女性と向かい合っているこの状況。センジは困惑せずにはいられなかった。

「突然おうかがいして誠に申し訳ありません。正直申しますと、私も急に思い立ち度合どごうさまのお宅へ車を走らせました次第で……」どういう訳か、円の娘、環も戸惑っている様子だ。

「母の葬儀を終え、ずっと迷っておりました。あなたにお会いして良いものかどうか……今さらご迷惑ではないかと……」環は、バッグの中から白い封筒を取り出した。

「ですが今こうしてあなたにお会いしているのはきっと、母の導きなのだと思います」取り出した封筒をテーブル上ですべらせ、環はセンジに差し出した。

「これは……?」

「母のタンスの引き出しにありましたの。センジさま、あなた宛に母がしたためた手紙です。日付けが記されてあるんですけど、亡くなるちょうどひと月前で……」

「俺に手紙を? そんな最近……」センジはますます困惑した。
 
 若い時分の手紙ならまだしも、死ぬ直前に書いた手紙をおいそれとは受け取れない。

「私も手紙を読み悩んだのですが……ぶしつけながら、センジさまが独身で現在お付き合いされている女性もいらっしゃらないと先ほどそちらのお嬢さまに確認させていただきましたので、やはりお渡ししようと決めましたの」

 テーブルにお茶を置くシルクに目をやり、環は言った。

「お、お茶をどうぞ」

「あら、おかまいなく……」

 頭を下げて一笑した環の目元は、一瞬、円にとてもよく似ていた。センジの知る円は、目尻にシワなどなかったのに……

 ぎこちない雰囲気であるものの一緒にお茶を飲んでいると、不思議な事にまるで円と居るみたいに心地良く感じられた。だが、手紙に関してはセンジは複雑な心境だった。

「円の、じゃねえ。円さんの手紙……しばらく預かってもいいですか」センジがきくと、環はセンジの胸中を察したらしく、しみじみとうなずいた。

「もちろんです。そもそもセンジさま宛のものですし、こうしてお渡しした以上、私に返してくださる必要などありません。手紙をお読みになるかならないか、いずれにしましても私はあなたのお気持ちを尊重します。もしなにかありましたらいつでもご連絡ください」

 自分の連絡先を書いた紙を封筒の下に挟み入れ、環はおもむろに腰を上げた。

「今日は大変失礼いたしました。ただ私は、この手紙が母の唯一の心残りのような気がして、センジさまにお会いせずにはいられませんでした」


 ――円の心残り。
 
 環の言葉は、センジの心を揺り動かした。

 作業場から、格子ガラスを隔ててエバイとロンヤがこちらを気にかけている。シルクも環が帰った後、コップを片づけつつテーブルにある封筒を気にしているようだ。

「あ―っ、ビックリしたぜ! と、とりあえず仕事しねえとなっっ」

 明らかに動揺しているセンジに、エバイもロンヤもシルクも、あえて話しかける事はしなかった。


 *  *  *  *  *  *  *

 
 それから三日が過ぎても、いまだセンジは封筒に手を付けていない。朝から晩まで、晩から朝まで、ろくに休みもせずもくもくと働き続けた。

 修理にひと区切りをつけ、センジがガレージからリビングに上がると、兄妹たちが自分の事を話し合っていた。

「エバイならともかく、センジがあんな働くなんてよ。天変地異でも起こすつもりだか?」

「センジさん、あれ、いつまで放置しとくんだろ……」

「私たちにはどうすることも出来ませんよね……」

「ウジウジしちゃってセンにいらしくないなぁ。なんでさっさと読まないんだろっ」

 彼らの話題は、もっぱら事務室に置きっぱなしにされている手紙についてだ。誰もセンジが上がって来た事に気づいていない。

「ほっときゃいいんだよ。遅かれ早かれ読むに決まってんだからよ」

 濡れた髪をバスタオルで拭きながら、エバイがセンジの前を通り過ぎた。

「だってエバイさん。もう三日なんですよ? それに、センジさん働きすぎじゃないですか?」

「だからなんだよ。あいつはヤワじゃねえ」

「シルクちゃんが言いたいのは、えっと、体力の問題じゃなくて、その、センジさんが精神的に大丈夫かってことで……」

「そおだよ。まどちゃん年老いて死んじゃって、そのうえ年老いた娘さんから手紙まで渡されてさ。セン兄さすがにいっぱいいっぱいなんじゃね? ぼく達がなんとかしてあげないと!」

「んだんだ」

「ほっとけっつってんだろ? 俺たちがアレコレ言っても限りなくムダにちけえんだよ。それよりお前らも、とっとと順に風呂入っちまえよな」

 頭にバスタオルを掛け、エバイは水をゴクゴク飲みながら、浮かない顔つきの三人と一匹を尻目に三階へと階段を上がって行った。


 その日の夜は、センジはなかなか眠りにつけず、そもそも眠る気にもなれなかった。ルーフバルコニーから夜景を見下ろし、円の事だけを考えていた。

「ダメだ……!!」

 じっとしてはいられずセンジは真夜中に一人外へ出た。外へ出るやいなや、円と歩いた坂道を全力疾走で駆け下りた。坂の下まで行くと今度は駆け上がり、坂道ダッシュを繰り返した。街灯に照らされ、何度も何度も繰り返した。この程度では疲れなどしないが、自分の行動がバカらしくなるとダラリと高台に寝転がり、弓を張ったような形の黄色い下弦の月を眺めた。

 もうすぐ、新月だ。


 どれだけの間寝転がっていたのだろう。どんなに考えたって、坂道ダッシュを繰り返したって、どうにもならないしなるはずもない。初めて愛した女性ひとの老死……その現実から逃げているだけだ。

 センジは起き上がりあぐらをかくと、ズボンのポケットから封筒を取り出した。今日やっと事務室から持ち出したのだ。

 ひと呼吸おいて封をあけ、便箋をスルッと引き出した。

 高台に届く街灯の灯りは弱々しく、つづられている字が読みにくい。センジは目を夜光眼やこうがんに切りかえた。

 夜光眼で便箋に向かい合うと、円がのこした彼女の心がまざまざと浮かび上がってきた。


 †    †    †    †    †    †    †    †    †


 度合 センジさま

 お久しぶりです。この手紙を読んでくださっているあなたは、さぞかし驚かれていることでしょうね。あなたに会えなくなってはや、八十年。人間の私にとっては長いようで、短くはかない年月でした。

 あなたのお顔を想像すると、それだけで私は若い頃の自分に戻って書くことができます。ですから、ここからは堅苦しい文章はやめておきますね。

 センちゃん。告白します。

 他に好きな人ができたと言ったのは事実ではありません。あなたに別れを告げてからも、私はずっとあなたを想い続けてきました。それでもいいと受け入れてくれた男性と結婚して最愛の娘にも恵まれましたが、結局うまくいかずその方ともお別れしました。

 その後は一人で娘を育てて、あっという間に百歳が目前になってしまいました。私たち人間には精一杯の年齢です。

 私は何度か、遠目にあなたを見かけたことがあります。たとえ近くだったとしても、年寄りになった私にあなたは気が付かなかったことでしょう。

 あなたは変わらず若く快活で、元気な姿を見られて安心すると同時に、私はあなたと別れて良かったと改めて思ったものです。

 そのくせ、あなたが女性と居るのを見た時には一日が暗くなり、娘の前で明るくふるまうのに必死になったものです。

 八十年経った今、私がこうしてあなたに手紙を書いているのは、天に召される日が近いことを予感しているからです。
 
 だからどうしても、命が尽きる前に本心をあなたに伝えたかったのです。あなたと過ごした青春は私にとって唯一の宝物だから。あなたのオレンジカルサイトみたいな種のように、燦々さんさんと輝く永遠の宝物だから。

 あなたが大好きだからこそ、私はあなたの元を離れました。私だけがどんどん老いていく未来が怖かった。すごくすごく怖かった。一緒に年をとりたかった。当たり前のことなのに、あなたと私ではかなわない現実が哀しかったのです。

 センちゃん。あなたの手のぬくもりは今なお私の手を温めています。ほんの数年だったけど、そばに居てくれてありがとう。いつでも駆けつけてくれてありがとう。こんな歳になっても私をときめかせてくれてありがとう。

 私はもうヨボヨボのお婆ちゃんで風前ふうぜん灯火ともしびみたいなものだけれど、とても、とても幸せな人生でした。

 まだまだ永く生きていくあなたに、私からひとつお願いがあります。

 私にそうしてくれたように、誰かの手を強く握って歩いてください。一途で豊かな愛で大切な人を包み込んでください。太陽みたいなあなたの笑顔を空から見ているからね。

                                      円より

 
 追伸、手紙を読んだら全部燃やしてくださいね。


 †    †    †    †    †    †    †    †    †


「……なげえんだよ。それになんだよ。反則だろ、こんなの」読み終えるなり、センジは歯を食いしばった。

 筆圧の弱い、時々うねりのある文字は、センジの知る円の字とはかけ離れていた。しかし、ひと文字ひと文字に込められた愛情は、センジの知る円の愛情そのものだった。
 
 便箋の下には、何やら一枚の写真がある。

 その写真を見るや、別れた当時ですらこぼさなかった涙をセンジはおさえきれなくなっていた。

 にっこりと満面の笑みをこちらに向ける老婆の写真。写真の裏にはひと言、「お先に」と書かれている。

 涙がこぼれ落ちているのに、センジは思わず吹き出した。

「ヘヘッ、円らしいぜ……」


 ――決別。

 それは、円が何歳いくつだろうとどんな容貌だろうと、どこかで健康で生きていてくれたらそれでいいと言い聞かせ未練たらしく執着していた自分、天寿をまっとうして旅立った円を見送ってやれずにいた自分との、完全な別れだった。

 きっと円も、自らの年老いた写真を同封した時がセンジとの完全な別れだったに違いない。

 もう、みじんも悔いはない。未練もない。手の平から火を出して、センジはさっそく封筒ごと手紙と写真を燃やし、彼女の最後の望みをかなえて終わらせた。

「あん時はちゃんと言えなかったな! あばよ、円っっ!!」

 夜空に片手を突き上げ叫んだ瞬間、かすかに月がキラッときらめいたような気がした。


 初恋……

 センジは人間界で初めて恋をして失恋をして、失恋の痛みの尾を引いている間に相手の女性は老衰で亡くなった。

 彼女の影が付きまとい、今日こうして吹っ切れるまでの八十年、誰とも本気で付き合おうとはしなかった。チャラチャラと遊び気分で適当に付き合い、気持ちに歯止めをかけてきたのだ。

「俺はようやく終止符うてたけどよ。アニキはこれからも、シモーネのこと抱えていくんだろうな……」

 煮えきらない感情を手放しスッキリ身軽になったセンジは、エバイにもそうなってほしいと心底願わずにはいられなかった。

 そのためにも、後少し、いわくつき吸血貴族の遺種をそろえて、魔界へ戻り決着をつけなければ――と。
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