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女傑と副隊長
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時刻は夜11時半を回ったあたりか。
「ミランダ、ミランダ、そろそろ帰らないと」
「いやれす。まだグラントしゃんと飲みましゅ」
「お店に迷惑かけちゃうから、ほら行こう」
迷惑かけると聞いて、少しシャンとしたのはミランダらしかったが、ふらふらしている。
お店は午前0時までなのだが、ミランダを早く帰さないと。
このやりとりかれこれ30分くらいしてるな。
今後はミランダに飲ませすぎないようにしよう。
女将さんには会計も挨拶もしたし、ミランダを抱えて転移しよう。
この間、家の場所共有しといて良かった。
待てよこの時間だと、家の人は寝てる可能性があるな。
先に連絡を入れておくか。
ミランダすまんが、通信機借りるぞ。
「!!!」
この番号は、家かな?家だよな・・・おいおい何件も着信があるぞ。
ミランダ、通信機の音切ってたのか。
心配してるだろうから、まずは折り返してみるか。
プルル、ガチャ。
『もしもし。ミランダ?あんたどこにいるの?』
おっと!この声はミランダの母、あのサマンサさんだな。
「夜分遅くに失礼します。私は第二隊副隊長のグラント・ロックスと申します」
『あら。ロックス副隊長がどうしてミランダの電話からかけてるのかしら?』
さすが、サマンサさん、落ち着いてる声だが圧があるな。
「申し訳ありません。自分と飲んでたのですが、少々飲みすぎて遅くなってしまいまして。これからお送りする所だったのです」
『社会人だから遅くなるのは構わないけど、この時間まで連絡無いのはさすがに心配するわ。女の子なんだし』
「はい。俺のせいです。申し訳ありません」
電話口の向こうから、笑い声がする。
『随分潔いいのね。わかったわミランダ連れて、こちらにいらっしゃい』
「はい。すぐに伺います」
じゃ、後でね、と電話は切れたが、正直ヒヤヒヤだった。
ミランダの母、サマンサ・デパルといえば、泣く子も黙る王国調査局、局長だ。
騎士団はもちろん、各王国の役職者、領地、果ては王族ですらその調査対象で、法に基づき、適正な任務・管理を行ってるか、調査、監察する部門である。
若い頃は凄腕の調査員として、時には命を狙われたそうだが、持ち前の機転と魔術と戦闘技術でくぐり抜けてきた伝説の女傑である。
これからのその女傑とヘベレケのミランダを連れて会い対すると思うと、正直気が重いが、仕方ない。
つい、いつもの騎士団員の調子で飲んでしまったのだ。
まぁ、楽しかったしな。
ミランダがまさか俺の肉体目当てに結婚承諾してくれると思わなかったが、結婚できるなら使える物は何でも使う。
それに、この時間まで飲ませてしまったのだ。怒られるのは覚悟の上だ。
それにいつかは挨拶しなくてはならなかったしな。
行くか。
ミランダを抱き上げ、両手に荷物を持って、彼女の家に転移した。
「いらっしゃい」
腕を組んで待ってた。笑顔に迫力がある。
「はじめまして、グラント・ロックスです。夜分遅くに申し訳ありません」
「わざわざ遅くまで付き合ってくれてありがとう。ミランダの母です。仕方ないわね~。ミランダは」
「ちょっと上がって待ってて。ミランダを寝かせてくるわ」
「運びますよ」
「あら、ありがとう」
ニコリと笑って部屋まで案内してくれた。
ん?怒ってない?ちょっと拍子抜けする。
ミランダをベッドに下ろした。
勝手にジロジロ見るのはどうかと思ったが、部屋はミランダらしく、シンプルで物は少なかった。本棚には本が沢山あった。綺麗に整頓されている。
掛け布団を被せて、おでこにおやすみのキスをしてから、部屋の照明を一番薄暗くしてから出た。
一階に降りるとサマンサさんがチョイチョイと手招きする。
「まだ時間平気かしら?明日は仕事?」
「いえ、明日は休みです。時間も大丈夫です」
「良かった。ちょっと話しない?お茶淹れるから」
「あ、どうぞお構いなく」
サマンサさんが、キッチンでお茶を淹れて戻ってきた。
話しとはなんだろう?
「ごめんなさいね。この間も送ってくれたんですってね」
「いえ、こちらこそ、体調の変化に気がつかず、申し訳ありませんでした」
「良いのよ、あの子、のぼせて鼻血出して倒れたんだから」
「?」
のぼせた、とは?
俺の様子がおかしかったのか、クスリと笑われた。
「ミランダはグラントさん推しだからね」
「推し?」
「まぁ、わかりやすくいうと、ファン?とにかくすっごい好きなのよ」
え?そのような様子は一才無かったが・・・
びっくりした俺の顔を見て、さらにニンマリする。
「聞いたんだけど、ミランダを事務官にするのに、団長に掛け合ったって本当?」
サマンサさんまで知ってるのか。まあ、調査局だしな。
「はい、本当です。今まで報償を受け取らなかった分、ミランダさんを事務官にと願い出ました」
「どうして?」
どうして?それは・・・
「どうしても事務官に欲しかったからです」
「あら。素直。ミランダのことどう思ってる?」
「大変好ましく思ってます。実は今日、ミランダさんに結婚を前提に交際を申し込ませて頂きました」
「そうなの!?」
「はい。ダメでしょうか?」
彼女からは無理やり、というか、シャツのボタン三つ開けてうんと言わせてしまったが・・・
そういえば、グダグダになってしまったが、ミランダ覚えてるかな?
覚えてなくても交際するけどな。
「とんでもない!でかしたわ!ミランダ。さすが私の娘」
え?良かったのか?
「ここだけの話、モーリスの息子の妃候補に上がりそうだったのよ」
「!!」
ウォルフの話は本当だったのか!
なんたるタイミング。ギリギリセーフだったのか。
改めてウォルフに感謝だな。
「陛下とは親しいのですか?」
「ええ、同級生なのよ。あの曲者モーリスと親戚なんてぞっとするわ。どうやって断ろうかと思ってたけど、グラントさんが申し込んでくれたのなら、万々歳よね。でも、すぐに了解したかしら?」
「いえ。恋愛にも結婚にも興味が無いと言ってましたね」
サマンサさんはハァァとため息をついた。
「それは私と夫を見て育てば、そうなってしまうかしら。ミランダから夫のことは聞いてる?」
「はい。俳優をやられてると。役のために毎度大変な努力をされているとか。役によっては資格まで取るそうで、そのプロ意識に感服致しました」
サマンサさんは驚いたように俺を見たあと、何故か物凄く笑顔になった。
「気に入ったわ。まともに働いてない売れない役者なんて馬鹿にされても仕方ないのに。あなたは違うのね」
「すみません、おっしゃる意味がわかりません。もらった仕事に全力取る組む方を何故馬鹿にするのですか?」
「そうね、あなたはそういう人なのよね。ますます気に入ったわ。ミランダのことは全力で応援します。といか、ぜひ、結婚して頂戴」
「ありがとござます。結婚できるよう頑張ります」
ミランダの母に何故か気に入られたようだが、応援してくれるなら、これ以上心強い味方もあるまい。良かった。
そうだわ、と言ってサマンサさんは一旦部屋を出た。
すぐに戻って来ると、一冊の本を渡された。
表紙を見ると『青薔薇騎士団~禁断扉が開く時~』と書かれてあった。
これは、ミランダが言ってた俺に似てるマクシミリアンとかが主人公の小説か?
「これは・・・」
「読んでみて。この主人公のマクシミリアンが、ミランダのお気に入りなの。どことなくあなたに似てるそうよ。これ読んで大丈夫なら、ミランダも結婚したくなると思うわ」
やっぱり。そうなると気になるな。
「では、お借りします」
「返すのはミランダでいいわ。びっくりしないでね」
「?はい。では失礼します。また改めてご挨拶に伺います」
「おやすみなさい。ミランダをよろしくお願いします」
そう言ったサマンサさんは、女傑というより一人の母親だった。
***
家に帰り、何となく寝付けなくて、ウィスキーのロックを片手に、借りた本をめくってみた。
なるほど、男同士のアレな話なわけだな。
しかし、これは正直、現実離れしてるというか、ほとんどファタジーだな。
同性同士の恋愛に関してはどうこう言うつもりはないが。
実際の騎士団の男世帯など、女性に見せられたもんじゃないからな。
レオさんとクリストファーの浄化に同行する時など、行って帰って来るのに一週間程かかるが、地獄だもんな。
むっさい男がテントでごろ寝だ。色気もへったくりもない。
洗浄を使える物は良いが、そこまで魔術が得意な者も多いわけじゃ無いから、この間はブチ切れたクリストファーが一斉に洗浄を掛けてたんだよな。
あれは助かった。
このマクシミリアンが俺だというが、そうか?こんなキザなこと言わないぞ。
確かに、アッシュブロンドとか、ブルーグレーの瞳と背の高さとかその辺は俺に似てるが、言動は違うだろ。
実際はこう見えてるってことか?なんか恥ずかしいな。
で、相手ってのが、エトワールね。プラチナブロンドに紫の瞳、小柄で華奢?女の子と見紛う美貌。ツンデレ?
ツンデレって何だ?ミランダに聞こう。
間違いない。これはクリストファーがモデルだな。
あいつ、魔術学校までは小柄で華奢だったけど、専科からどんどんデカくなって、今では180cm超えてるんだぞ。
俺がアイツを押し倒す・・・ブッ、考えられない。
見た目は綺麗で王子様みたいにみられがちだが、アイツは負けん気強くて思ったより男っぽいしな。天然だし。
アンドレ?これは・・・サンドベージュの髪に薄いブルーの瞳、にこやかに毒を吐くドS。あ、これはウォルフだな。
うん、これはよく書けてる。
ウォルフの相手は夕日のような赤い髪に深い青の瞳、ブフッ、ビルか!ビルだな。お忍びで来た俺様王子だと。
ウォルフはデカいビルに押し倒されてるぞ。
「あっはっは!傑作!!」
おっといけない。夜も遅いんだった。
カランと氷を鳴らして、ウィスキーを飲む。
ミランダ、これ面白いな!!
しかし、このマリモリ先生、おそらく魔術学校にいたな。
同じ年か下級生だろう。
エピソードに所々あの当時本当にあった事が書いてある。
少し変えてるけどな。
見た目は俺達だが、中身はほとんど当てはまらないところ見ると、下級生か?見た目だけ参考にして書いたんだろうな。
まさか、自分達をモデルにこんな小説が出回ってるとは思わなかった。
自分がこんな風に見られてるのかと、客観視出来るのも面白い。
でもミランダの推しが自分がモデルのマクシミリアンで良かったな。
さぁてと。良いアイテムも見つけたしな。
俺は戦術を考える時のようにミランダ攻略を考え始めた。
「ミランダ、ミランダ、そろそろ帰らないと」
「いやれす。まだグラントしゃんと飲みましゅ」
「お店に迷惑かけちゃうから、ほら行こう」
迷惑かけると聞いて、少しシャンとしたのはミランダらしかったが、ふらふらしている。
お店は午前0時までなのだが、ミランダを早く帰さないと。
このやりとりかれこれ30分くらいしてるな。
今後はミランダに飲ませすぎないようにしよう。
女将さんには会計も挨拶もしたし、ミランダを抱えて転移しよう。
この間、家の場所共有しといて良かった。
待てよこの時間だと、家の人は寝てる可能性があるな。
先に連絡を入れておくか。
ミランダすまんが、通信機借りるぞ。
「!!!」
この番号は、家かな?家だよな・・・おいおい何件も着信があるぞ。
ミランダ、通信機の音切ってたのか。
心配してるだろうから、まずは折り返してみるか。
プルル、ガチャ。
『もしもし。ミランダ?あんたどこにいるの?』
おっと!この声はミランダの母、あのサマンサさんだな。
「夜分遅くに失礼します。私は第二隊副隊長のグラント・ロックスと申します」
『あら。ロックス副隊長がどうしてミランダの電話からかけてるのかしら?』
さすが、サマンサさん、落ち着いてる声だが圧があるな。
「申し訳ありません。自分と飲んでたのですが、少々飲みすぎて遅くなってしまいまして。これからお送りする所だったのです」
『社会人だから遅くなるのは構わないけど、この時間まで連絡無いのはさすがに心配するわ。女の子なんだし』
「はい。俺のせいです。申し訳ありません」
電話口の向こうから、笑い声がする。
『随分潔いいのね。わかったわミランダ連れて、こちらにいらっしゃい』
「はい。すぐに伺います」
じゃ、後でね、と電話は切れたが、正直ヒヤヒヤだった。
ミランダの母、サマンサ・デパルといえば、泣く子も黙る王国調査局、局長だ。
騎士団はもちろん、各王国の役職者、領地、果ては王族ですらその調査対象で、法に基づき、適正な任務・管理を行ってるか、調査、監察する部門である。
若い頃は凄腕の調査員として、時には命を狙われたそうだが、持ち前の機転と魔術と戦闘技術でくぐり抜けてきた伝説の女傑である。
これからのその女傑とヘベレケのミランダを連れて会い対すると思うと、正直気が重いが、仕方ない。
つい、いつもの騎士団員の調子で飲んでしまったのだ。
まぁ、楽しかったしな。
ミランダがまさか俺の肉体目当てに結婚承諾してくれると思わなかったが、結婚できるなら使える物は何でも使う。
それに、この時間まで飲ませてしまったのだ。怒られるのは覚悟の上だ。
それにいつかは挨拶しなくてはならなかったしな。
行くか。
ミランダを抱き上げ、両手に荷物を持って、彼女の家に転移した。
「いらっしゃい」
腕を組んで待ってた。笑顔に迫力がある。
「はじめまして、グラント・ロックスです。夜分遅くに申し訳ありません」
「わざわざ遅くまで付き合ってくれてありがとう。ミランダの母です。仕方ないわね~。ミランダは」
「ちょっと上がって待ってて。ミランダを寝かせてくるわ」
「運びますよ」
「あら、ありがとう」
ニコリと笑って部屋まで案内してくれた。
ん?怒ってない?ちょっと拍子抜けする。
ミランダをベッドに下ろした。
勝手にジロジロ見るのはどうかと思ったが、部屋はミランダらしく、シンプルで物は少なかった。本棚には本が沢山あった。綺麗に整頓されている。
掛け布団を被せて、おでこにおやすみのキスをしてから、部屋の照明を一番薄暗くしてから出た。
一階に降りるとサマンサさんがチョイチョイと手招きする。
「まだ時間平気かしら?明日は仕事?」
「いえ、明日は休みです。時間も大丈夫です」
「良かった。ちょっと話しない?お茶淹れるから」
「あ、どうぞお構いなく」
サマンサさんが、キッチンでお茶を淹れて戻ってきた。
話しとはなんだろう?
「ごめんなさいね。この間も送ってくれたんですってね」
「いえ、こちらこそ、体調の変化に気がつかず、申し訳ありませんでした」
「良いのよ、あの子、のぼせて鼻血出して倒れたんだから」
「?」
のぼせた、とは?
俺の様子がおかしかったのか、クスリと笑われた。
「ミランダはグラントさん推しだからね」
「推し?」
「まぁ、わかりやすくいうと、ファン?とにかくすっごい好きなのよ」
え?そのような様子は一才無かったが・・・
びっくりした俺の顔を見て、さらにニンマリする。
「聞いたんだけど、ミランダを事務官にするのに、団長に掛け合ったって本当?」
サマンサさんまで知ってるのか。まあ、調査局だしな。
「はい、本当です。今まで報償を受け取らなかった分、ミランダさんを事務官にと願い出ました」
「どうして?」
どうして?それは・・・
「どうしても事務官に欲しかったからです」
「あら。素直。ミランダのことどう思ってる?」
「大変好ましく思ってます。実は今日、ミランダさんに結婚を前提に交際を申し込ませて頂きました」
「そうなの!?」
「はい。ダメでしょうか?」
彼女からは無理やり、というか、シャツのボタン三つ開けてうんと言わせてしまったが・・・
そういえば、グダグダになってしまったが、ミランダ覚えてるかな?
覚えてなくても交際するけどな。
「とんでもない!でかしたわ!ミランダ。さすが私の娘」
え?良かったのか?
「ここだけの話、モーリスの息子の妃候補に上がりそうだったのよ」
「!!」
ウォルフの話は本当だったのか!
なんたるタイミング。ギリギリセーフだったのか。
改めてウォルフに感謝だな。
「陛下とは親しいのですか?」
「ええ、同級生なのよ。あの曲者モーリスと親戚なんてぞっとするわ。どうやって断ろうかと思ってたけど、グラントさんが申し込んでくれたのなら、万々歳よね。でも、すぐに了解したかしら?」
「いえ。恋愛にも結婚にも興味が無いと言ってましたね」
サマンサさんはハァァとため息をついた。
「それは私と夫を見て育てば、そうなってしまうかしら。ミランダから夫のことは聞いてる?」
「はい。俳優をやられてると。役のために毎度大変な努力をされているとか。役によっては資格まで取るそうで、そのプロ意識に感服致しました」
サマンサさんは驚いたように俺を見たあと、何故か物凄く笑顔になった。
「気に入ったわ。まともに働いてない売れない役者なんて馬鹿にされても仕方ないのに。あなたは違うのね」
「すみません、おっしゃる意味がわかりません。もらった仕事に全力取る組む方を何故馬鹿にするのですか?」
「そうね、あなたはそういう人なのよね。ますます気に入ったわ。ミランダのことは全力で応援します。といか、ぜひ、結婚して頂戴」
「ありがとござます。結婚できるよう頑張ります」
ミランダの母に何故か気に入られたようだが、応援してくれるなら、これ以上心強い味方もあるまい。良かった。
そうだわ、と言ってサマンサさんは一旦部屋を出た。
すぐに戻って来ると、一冊の本を渡された。
表紙を見ると『青薔薇騎士団~禁断扉が開く時~』と書かれてあった。
これは、ミランダが言ってた俺に似てるマクシミリアンとかが主人公の小説か?
「これは・・・」
「読んでみて。この主人公のマクシミリアンが、ミランダのお気に入りなの。どことなくあなたに似てるそうよ。これ読んで大丈夫なら、ミランダも結婚したくなると思うわ」
やっぱり。そうなると気になるな。
「では、お借りします」
「返すのはミランダでいいわ。びっくりしないでね」
「?はい。では失礼します。また改めてご挨拶に伺います」
「おやすみなさい。ミランダをよろしくお願いします」
そう言ったサマンサさんは、女傑というより一人の母親だった。
***
家に帰り、何となく寝付けなくて、ウィスキーのロックを片手に、借りた本をめくってみた。
なるほど、男同士のアレな話なわけだな。
しかし、これは正直、現実離れしてるというか、ほとんどファタジーだな。
同性同士の恋愛に関してはどうこう言うつもりはないが。
実際の騎士団の男世帯など、女性に見せられたもんじゃないからな。
レオさんとクリストファーの浄化に同行する時など、行って帰って来るのに一週間程かかるが、地獄だもんな。
むっさい男がテントでごろ寝だ。色気もへったくりもない。
洗浄を使える物は良いが、そこまで魔術が得意な者も多いわけじゃ無いから、この間はブチ切れたクリストファーが一斉に洗浄を掛けてたんだよな。
あれは助かった。
このマクシミリアンが俺だというが、そうか?こんなキザなこと言わないぞ。
確かに、アッシュブロンドとか、ブルーグレーの瞳と背の高さとかその辺は俺に似てるが、言動は違うだろ。
実際はこう見えてるってことか?なんか恥ずかしいな。
で、相手ってのが、エトワールね。プラチナブロンドに紫の瞳、小柄で華奢?女の子と見紛う美貌。ツンデレ?
ツンデレって何だ?ミランダに聞こう。
間違いない。これはクリストファーがモデルだな。
あいつ、魔術学校までは小柄で華奢だったけど、専科からどんどんデカくなって、今では180cm超えてるんだぞ。
俺がアイツを押し倒す・・・ブッ、考えられない。
見た目は綺麗で王子様みたいにみられがちだが、アイツは負けん気強くて思ったより男っぽいしな。天然だし。
アンドレ?これは・・・サンドベージュの髪に薄いブルーの瞳、にこやかに毒を吐くドS。あ、これはウォルフだな。
うん、これはよく書けてる。
ウォルフの相手は夕日のような赤い髪に深い青の瞳、ブフッ、ビルか!ビルだな。お忍びで来た俺様王子だと。
ウォルフはデカいビルに押し倒されてるぞ。
「あっはっは!傑作!!」
おっといけない。夜も遅いんだった。
カランと氷を鳴らして、ウィスキーを飲む。
ミランダ、これ面白いな!!
しかし、このマリモリ先生、おそらく魔術学校にいたな。
同じ年か下級生だろう。
エピソードに所々あの当時本当にあった事が書いてある。
少し変えてるけどな。
見た目は俺達だが、中身はほとんど当てはまらないところ見ると、下級生か?見た目だけ参考にして書いたんだろうな。
まさか、自分達をモデルにこんな小説が出回ってるとは思わなかった。
自分がこんな風に見られてるのかと、客観視出来るのも面白い。
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