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chapter1 講和へ向かう機内にて
しおりを挟む事故で死んで、生まれ変わって。せっかく手にいれた第二の人生なら、何か有意義なことに使いたいのが普通だろう。
けれど私には、熱しやすく冷めやすいなんて言われるような、どこか冷めやすいところがあった。だから前世を思い出し、二度目の人生を生きていると気付いたとき、初めこそ張り切ったものの、そのうちまたぼんやりと暇を潰すみたいな人生を送り出していた。
燃え上がるような情熱に気づく、そのときまでは。
♯♯
″アンジャードの銃声が響いて七年。血で血を洗うような泥試合を経て、我々はやっと平和という栄光を取り戻すことに成功した。″
メディアを手に取ると、新聞各社がこぞって多用している″平和″という文字が目に入る。そして同時に勝利や正義を讃える文言が所狭しと並べられていることにも気付くはずだ。人も国も、今彼らは喜んでいる。この国は、いや世界は今長い戦争が終わったことに沸いているのだ。
しかしそんななかで、その″平和″を実現させた張本人・女将校エレノアは、戦争の相手国であったビガーへ講和のため向かう飛行機のなかで一人、頭を抱えていた。
「おい、どうしたよ。そんな辛気くせぇ顔して」
「………ライモン閣下」
思わず立ち上がり敬礼しようとしたエレノアを、ライモンは手で制しそのまま向かいの椅子へドカリとかける。
「おまえは今度の戦争の功労者だ。直属の上官として鼻が高い。だがそんなてめえが暗い顔してちゃあ、せっかくの功績が台無しだろうが」
「………申し訳ありません」
「謝罪はいいよ。どうしたか言え」
エレノアは苦笑いをする。
「………これから相手国の代表に会うのが憂鬱で」
「あ? 敵だったからってか?」
「まぁ、その……」
言って良いのか、と少し視線が宙をさ迷ったあと、エレノアは意を決して口を開いた。
「…………恨まれてるかなぁって」
ライモンはそれをきいて、呆れきったような顔をした。
「………はあ? 馬鹿か。当たり前だろ」
「ですよね……」
「まー、上層部ならある程度戦争なんざお互い様って意識もあるが………まぁおまえはな」
「ええ………ちょっと、顔をみるのが怖いです」
そう言って、またズシンと肩が重くなるのを感じた。
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