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Episode4 佑の小説を読む。
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部活の帰り道、佑と二人で歩いてるところに高濱が通りがかった。
「あーっ! 幸也!
てめー、さっきはよくも騙しやがったな!?」
そう叫ぶや否や指を指し、ツカツカこちらに向かってくる高濱。その様子を見て驚いたようにこちらを見る佑を取り敢えず目で制して、幸也は取り敢えず「はあ」と溜め息をつく。
「まさか信じるとは思わなかったんだよ」
「なんだとー!?」
あ。本音と口に出す方を間違えた。
「悪かったって」
苦笑いしながら両手を上げて、幸也は謝罪する。そんな幸也に高濱が流れでパンチを入れようとして………その手を、佑が掴んだ。
「やめてください。危ないですよ」
そこでやっと、高濱は佑の存在に気付いたようだった。
「あれっ!? あ、こいつは、…… もしかして」
「ああ、こいつはおれの……」
言いかけて、ふと幸也は考え込む。
こいつはおれの、何だ?
友だちじゃないし、部活じゃないから後輩と言っていいのかもわからない。いや後輩には違いないのだが………。
「おれの、なんだろうな。同じ部活の後輩ってわけでもないし………顔見知りの一年?」
「顔見知り!?」
それを聞いて、佑は驚いたあと悲壮感を滲ませた顔をこちらに向けてきた。
「ひどいよ、幸也先輩!」
そう言ってポカポカ肩を叩いてくる。痛い。しかし、端から見ていた高濱も「おまえそれはないぞ」みたいな目で幸也を見ていた。
「前から思ってたけど、幸也先輩てちょっと無神経だよね」
プンプン怒りながらそう言う佑。高濱も「確かにな」と頷いている。幸也はちょっとチョックを受けた。
「幸也はなんていうか、鈍いんだよ。あと自己評価が低い? 俺のこともただの友だちだと思ってるだろ?」
「……? ただのクラスメイトだと思ってるが?」
「ほらなーっ! ひどい!! 俺らは親友、なんだっつーの!」
「そうなんですか?」
「さあ………?」
聞かれても、幸也にはわからない。鈍いとか自己評価が低いとかも、全く身に覚えがない。
だから、どんなに非難されようと、幸也は何て答えればいいかわからなかった。
「……まーそこが幸也の持ち味でもあるんだけどさ!」
「それもそうなんですよね」
ウンウンとしたり顔で頷き合う二人を、幸也は微妙な表情で眺めていた。
♯♯
結局、高濱と佑との三人で学校の最寄り駅まで歩いた。二人は各駅停車で2~3駅のところから通学してるらしく、急行で大きな駅まで行って乗り換える幸也はそこで別れた。
「ただいま」
別れた瞬間から、幸也はずっとソワソワしていた。佑から受け取った佑の原稿を早く読みたくて仕方なかった。「おかえり」と顔を出す母への返事も程々に、靴を脱ぎ、素早く手を洗って自室へ駆け込み原稿を取り出した。
佑の書く話は、意外にも淡々とした純文学だった。
閉じた社会で暮らす人々に、何気ないしあわせと不幸が訪れる話。これを読むと、幸也はなんとなく前世のことを思い出した。
「…これを、佑が………?」
いや、嘘だ。
これはあの闘技場そのものだ。
世界観。漂う雰囲気。交わされる言葉。息苦しくて退廃的な空気すべてが、言い逃れできないほど幸也の知っている闘技場と酷似していた。
そのもの、と言ってもいい。
「…………どういうことだ、これは……?」
そんなのありえない。
幸也の心がそう叫ぶと同時に、どこかで、もうひとりの幸也が呟いた。
………まさか佑も、あの場所を知っているのだろうか。
その疑いは、幸也にゾッとするほどの恐怖を感じさせるには十分だった。
「あーっ! 幸也!
てめー、さっきはよくも騙しやがったな!?」
そう叫ぶや否や指を指し、ツカツカこちらに向かってくる高濱。その様子を見て驚いたようにこちらを見る佑を取り敢えず目で制して、幸也は取り敢えず「はあ」と溜め息をつく。
「まさか信じるとは思わなかったんだよ」
「なんだとー!?」
あ。本音と口に出す方を間違えた。
「悪かったって」
苦笑いしながら両手を上げて、幸也は謝罪する。そんな幸也に高濱が流れでパンチを入れようとして………その手を、佑が掴んだ。
「やめてください。危ないですよ」
そこでやっと、高濱は佑の存在に気付いたようだった。
「あれっ!? あ、こいつは、…… もしかして」
「ああ、こいつはおれの……」
言いかけて、ふと幸也は考え込む。
こいつはおれの、何だ?
友だちじゃないし、部活じゃないから後輩と言っていいのかもわからない。いや後輩には違いないのだが………。
「おれの、なんだろうな。同じ部活の後輩ってわけでもないし………顔見知りの一年?」
「顔見知り!?」
それを聞いて、佑は驚いたあと悲壮感を滲ませた顔をこちらに向けてきた。
「ひどいよ、幸也先輩!」
そう言ってポカポカ肩を叩いてくる。痛い。しかし、端から見ていた高濱も「おまえそれはないぞ」みたいな目で幸也を見ていた。
「前から思ってたけど、幸也先輩てちょっと無神経だよね」
プンプン怒りながらそう言う佑。高濱も「確かにな」と頷いている。幸也はちょっとチョックを受けた。
「幸也はなんていうか、鈍いんだよ。あと自己評価が低い? 俺のこともただの友だちだと思ってるだろ?」
「……? ただのクラスメイトだと思ってるが?」
「ほらなーっ! ひどい!! 俺らは親友、なんだっつーの!」
「そうなんですか?」
「さあ………?」
聞かれても、幸也にはわからない。鈍いとか自己評価が低いとかも、全く身に覚えがない。
だから、どんなに非難されようと、幸也は何て答えればいいかわからなかった。
「……まーそこが幸也の持ち味でもあるんだけどさ!」
「それもそうなんですよね」
ウンウンとしたり顔で頷き合う二人を、幸也は微妙な表情で眺めていた。
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結局、高濱と佑との三人で学校の最寄り駅まで歩いた。二人は各駅停車で2~3駅のところから通学してるらしく、急行で大きな駅まで行って乗り換える幸也はそこで別れた。
「ただいま」
別れた瞬間から、幸也はずっとソワソワしていた。佑から受け取った佑の原稿を早く読みたくて仕方なかった。「おかえり」と顔を出す母への返事も程々に、靴を脱ぎ、素早く手を洗って自室へ駆け込み原稿を取り出した。
佑の書く話は、意外にも淡々とした純文学だった。
閉じた社会で暮らす人々に、何気ないしあわせと不幸が訪れる話。これを読むと、幸也はなんとなく前世のことを思い出した。
「…これを、佑が………?」
いや、嘘だ。
これはあの闘技場そのものだ。
世界観。漂う雰囲気。交わされる言葉。息苦しくて退廃的な空気すべてが、言い逃れできないほど幸也の知っている闘技場と酷似していた。
そのもの、と言ってもいい。
「…………どういうことだ、これは……?」
そんなのありえない。
幸也の心がそう叫ぶと同時に、どこかで、もうひとりの幸也が呟いた。
………まさか佑も、あの場所を知っているのだろうか。
その疑いは、幸也にゾッとするほどの恐怖を感じさせるには十分だった。
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