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聞いてない

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寮は校舎から少し離れた場所にあった。
木々が生い茂る緑豊かな所。

入り口からコの字型に建てられ、奥にはオメガの生徒のみの寮が、あるんだって。
両方共に、5階建てでデザイナーズマンションみたい。

晴によると一昨年建て替えられたんだって。
入り口の先に4台ほどのエレベーターがあって、右端の少し様式の違うエレベーターにスマホを翳した。
右端は5階の人だけが使える様になってるから、スマホに入れたトクベツなアプリがないと乗れないみたい。

エレベーターの中はスケルトンになっていて、そこから中庭が見渡せる。
1階には食堂、カフェ、病院、コンビニが
2階は1年生
3階は2年生
4階は3年生
5階は特待生、成績優秀者や生徒会、副会長、有力者等

オメガ棟は
1階はオメガ専用の病院
2階~5階は同じで生徒の数は違うみたい。

なんかもうちょっとした街みたいになってる。
晴と僕は5階用のエレベーターに乗ったよね?どの枠なんだろう?有力者用?成績優秀者用?

エレベーターをでて右に、次を右に曲がった手前の部屋。
スマホを翳して中に入る。

今はなんでもスマホ1つで済んじゃうんだ…

「来年からここが俺たちの部屋だ」
「え?2人部屋なの?」
「普通は1人」
「ならなんで?僕は2階に行くよ?」

ドアに、追いやられ両手で囲われる。
顔を覗き
「嫌なのか?」
いつもの不機嫌な顔
「いや…じゃあ…ない」
そのまま唇にキスをされた。噛み付く様な激しいの。

「や…うん…」
意外に柔らかい晴の舌に絡め取られて離れていく。
脳が刺激され身体が痺れる、晴、少し怒ってる?

「ご…め…」
舌先を突かれ口から唾液が溢れた。

「で?なんて?」
伝う唾液を手で拭うとその手を掴まれる。
手に付いた唾液を舌で舐め取りながら視線を合わせてきた。
「一緒でいいよな?」
「…うん…」
掠れた声が上擦る。

強引なんだよ、ほんと。
晴の色気に下半身が反応する。
学ランだから目立たなくて良かったな、さりげなく上着でそこを隠した。

きっと晴は気付いていて、知ってて挑発してるんだ。
ムカつく。
逆らえないのわかってて揶揄ってるんだ。

「ここは成績優秀者か有力者枠の部屋でしょ?僕、権利なくない?」
「俺がその2人分勝ち取ってるからお前は堂々としてろ、言っておくが身内特典なんて受けてないからな」
いや、問題はそこじゃないからね?
何を言っても無駄に思えて

「じゃあ…」
と晴を引き剥がした。

「中案内して、その後少し休憩したいし」
昂ったところがちょっと落ち着いたので、あまり晴の近くに居たくない。
中学生男子は元気だけが取り柄だからね~
と、ちょっと濡らした下着の感触が現実味を帯びさせる。
でもちょっと気になるよ?
”2人分勝ち取る”って何をしたのか…
聞いたらビビりそうなんでやめとこう!

玄関で靴を脱ぐと晴が手を掴んで案内を始めた。

少し廊下があってその両脇は靴屋やカバン、を置けるウォークインクローゼットみたいになっている。
靴やカバンどれだけ入るの?
ってくらい広い、もしからしたら僕の部屋より広いかも。
そこを抜けてリビングダイニングが広がっていて、正面はガラス張りに、奥は前面広いベランダになっていた。
対面のキッチンには横に並んで食事が取れるテーブルが備え付けられている。

凄く広い、何畳あるんだろ?

キッチンの裏にトイレとお風呂、リビングを抜けたところには二つドアがあって、ここが2人の部屋みたいになってる。
窓側の部屋は広くて、大きなベットが横たわっている。
あと机とクローゼットかな?

もう一つの部屋は僕の所だと思うんだけど、ここにはシングルのベットに机、本当に小さなクローゼット。

僕の実家の部屋くらい。
なんだか、その狭さに感動して少し喜んだんだけど、ここは使わせるつもりが無いって。
なんで?って聞いたら

2つ部屋がないと許可が下りなかったんだって。

ええっ??
じゃあ僕と晴、広い方の部屋で一緒なの?
額からいっぱいの冷や汗が流れてきた…

「一緒に寝るぞ、当たり前のことを聞いてくんな」

そうだよねー、だって晴の部屋のベットよりここのベット大きいもんね…

嫌な予感はしたんだ、でも逆らえないの。
仕方ない…

もう胸いっぱい。

「でも改装したっていってたけど、ここに住んでた3年せってまだ在籍してるんでしょ?その先輩達はどうしてるの?」
これが1番気になってたんだ、部屋も人数分みたいだし、追い出してるわけじゃないよね???

「5階の人達は夏休暇が過ぎると次の世代に譲るんだ、皆んな改装するから。出て行った人達は実家に帰る人といれば大学近くに家を買ったり持ってたり、してるっぽい。」

さすがアルファの人達!
きっと皆んな良家のご子息なんだろうな、寮を出るから家を買っちゃうなんて、感覚が違いすぎて追いつけないや…

胸いっぱいになったら急に疲れてきた。

「ちょっと休憩したい、ソファ座ってもいい?」
両手を広げて甘えてみる。
晴もわかってるのか、抱き上げてそこまで連れて行ってくれた。

おじさん達は世話係っていってたけど、掃除や洗濯は専用のメイドがいるらしいし、食事は食堂があるし、僕何にもすることないじゃん…

わかっていたけど、やっぱ僕のいる世界とは真逆のところに来ちゃうんだ…

ソファに僕をおろし、スマホで何かしたらキッチンの所で音がしてそこからカップを2つ取り出した。
1つを僕に渡して晴は僕の横に座った。

それは熱々のココアだった。

ココアを飲みながらこれからの事を考えて不安になった。

僕この学校でやってけるのかな?














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