溺愛αの初恋に、痛みを抱えたβは気付かない

桃栗

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ノア ①

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見た目の違いは子供にとって驚異的なものだったのか、
金髪で目の色が周りの”日本人”と違う俺は格好の虐めの対象だった。

名門校だけあって、先生などにバレるような虐めはしない。
だから普通よりはかなり陰湿であったと思う。

小さい頃は小柄で女の子のように華奢だったし、泣き虫だった俺は男子しかいないこの場所で影を消して皆んなの視界に入らないように小さくなっていた。

小学4年を過ぎた頃、徐々に身体も大きくなって、バース性が確定してからは逆に媚を売る奴が周りに増えてきた。

俺をあからさまに虐めてた奴が機嫌を取ってくるんだ、笑うしかない、そんな状況だった。

そんな中でも別格の存在がこの学校にいた。
同じ幼稚舎から通っている同級生、神戸晴翔だ。

俺は見た目も存在も家柄もそこそこ目立っていたが、彼の場合は全く違う、近寄ることさえ出来ない、ある意味”神”みたいな存在として他の生徒から扱われていた。

容姿や家柄はもちろん、まごうことなく別格の上位アルファであった。

誰もが一瞬でこいつには敵わない、と思わせる存在感が、まだ小学生であるにもかかわらず、彼には備わっていた。

かと言って、偉そうにするわけでもなく、人を見下したりする事もない。
口数は極端に少ないし、愛想などは皆無だが、それでも上に立つ資質のようなものが備わっている。

俺なんてあいつにかかれば虫けらみたいなもんだな、なんて当時小学生の俺は思ってたっけ。

彼と俺はなんの接点もないまま、中学に進学した。

その頃から”後継”としてのプレッシャーが俺の肩に重くのしかかって来た。
学業も素行も何一つ気が抜けなくなった。
スポーツは得意だったから問題はなかったが、頭の方はそれほどできるわけではなかったので、周りには悟られないよう努力した。
見た目からチャラチャラしていると言われていたので、こんな俺が努力して成績を維持しているなんて誰も思っていない、むしろ”何もしなくてもできる人はいいよね”なんて友達から言われると、顔では笑って”だろ?”と言い返していた。
お前らに何がわかるんだ!と心の中では大声で叫んでた。

中学3年になり、そんな俺に声を掛けてきたのが生徒会長に任命された神戸晴翔だった。
副会長を俺にやってくれないかと言ってきたのだ。
最初”何で俺なの?”と聞いてみた。
放課後遊びもせず、机にへばりついても学年でギリ10位の俺は、そこまで優秀とは、言い難い。
それなのに何でだよ、と不審な目で問いかけた。

「お前の努力は副会長に相応しい」
「力を貸してくれ」
と。
俺が一番欲しかった言葉を神戸はいとも簡単に言ってのけた。

「何でわかんだよ!」
俺のこと何にも知らないくせに”努力?”笑わせんな、見た目だけしか見ない奴らばっかだろ。

「お前見てたらわかるよ、案外俺もお前と同じ”努力家”だからな」

昔から俺は弱虫で、重圧やプレッシャーに耐えられるほどの忍耐は持ち合わせていない、精神的には今の状況でもいっぱいいっぱいだ。

やっぱこいつすげーな、こいつの方が本当の”努力家”なんだろうな。

「で、頼まれてくれるか?」
「……仕方がないからやってやるよ、貸しひとつだからな」

なんて上から言ってやった。
自分的には照れ隠し。

このままこいつのペースに乗せられて、こき使われる未来しか見えない。

神戸晴翔、お前には一生勝てない気がするよ、俺は。




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