溺愛αの初恋に、痛みを抱えたβは気付かない

桃栗

文字の大きさ
54 / 59
3

お姫様抱っこはもっと違う形でお願いします

しおりを挟む
式が終わり、張り詰めていた緊張感がとれ、凄く疲れた僕は早々に寮まで戻って来た。
部屋着に着替え、冷蔵庫の中にあるペットボトルを取り出し一気に飲み干した。

ソファに深く腰掛けると、どっと疲れが出てきた。

疲れたな…

新しい事ばかりだし、初めはこの学校でやって行く自信がなかったけど、翼君がいるだけで心強い。

新しい友達も出来そうだし、見た感じぼくが晴といることを何か言いたげにしている人もいないみたい。

色々安心したら緊張の糸がほぐれちゃった。

ソファの上でだらしなく座り込んでいると晴が帰って来た。
「おかえり」
声を掛けると僕に近づき頭にキスをして「ただいま」と言った。
「晴、疲れた…」
少し微笑んで頭を撫でられる。
「ちょっと待ってて、着替えてくるから」
そう言って部屋に向かった。
明日から授業が始まるけど、こんなので僕大丈夫かな?
両足を抱え膝に顔を押し付けた。
エフロのケーキ食べたいな…こんな遠くじゃ買いに行けない、生活環境が違うとこんなに状況も変わっちゃう。

「いちご…いちごのショートケーキ…」

「エフロのショートケーキだよな?」

晴の手が髪を撫で、僕は顔を上げた。
テーブルの上にエフロの箱が置いてあってキッチンから持って来たケーキ皿とフォークも用意されていた。

「岡本さんに頼んで買って来てもらった、食べたいだろうと思って、夕食前だけどこれくらいなら大丈夫だろ?」
自分勝手だけど、僕にはいつも優しい。
こういうとこなんだ、晴を嫌いになれない所は。

箱を開けケーキを乗せたお皿とフォークを僕に渡す。
「ありがとう」
「どういたしまして」
お皿に乗ったケーキを見ていたら晴がフォークで切り分けたケーキを差し出し
「ほら」
三角の尖った所は僕が一番最初に食べ始めるところ。
口を開けてそれを食べる。
「甘い…」
僕の口元についた生クリームを晴は親指で取りそれを舐めとった。
「美味いな…」
「うん」
同じように差し出されたフォークのケーキをまた口に含んだ。

「晴、嫌い」
「うん」
「…何で嫌いか訊かないの?」
「…………」
「自分勝手」
「うん」
「横暴」
「うん」
「好きな時にエフロのケーキ…食べれない」
「うん」

「…いちご食べさせて」

ケーキの上に乗ったいちごを指で摘み僕に差し出した。
晴の指が僕の口の中まで入ってきて、いちごを半分だけ食べる。
その半分を晴が食べる。

「やっぱ嫌い」

なんだか恥ずかしくてまた足を抱えて膝に突っ伏した。

「ケーキ残ってるぞ」

「いらない」

「全部食べてもいいんだな」

「………」

「いただきます」
「やっぱダメ!!」
顔を上げ晴からお皿を奪って手でケーキ全部食べた。

「やっはり…はるはきはいら…」

「智、顔グチャグチャ」
と言いながら晴がお腹を抱えて笑い出した。

なんだよ、もう、頭がグチャグチャになってたのがどうでも良くなってくる。
ムカつくな!!
ムカつくからケーキいっぱいつけた手で晴の顔になすりつけてやった。

「ちょ…っ何すんだよ!」
「イケメン滅べ!」

おりゃって晴に馬なりになって顔や頭にケーキをつけまくってやった。
「こら智、何やってんだ、おい」

手を取られベットに組み伏せられ、人差し指を僕に見せつける様に目線を合わせて舌を這わせる。
「俺はこれが1番美味い」
咄嗟に手を引っ込めた僕は顔を背けた。
何これ、何これ、何これ!!
い、いやらしいんですけど?!
「お、お風呂、お風呂入ってくる!!」
でも押さえつけられて動けず晴の方を見たら顔が近付いてきてキスをされた。
「一緒に入ろ」

もうやだ、家に帰りたい、誰か助けて!!
イケメン恐るべし。

それからお姫様抱っこでお風呂に連れて行かれ泡まみれにされいろんな所を綺麗にされた。

もう、何でもいっか、そう思った。






しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。  

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 8/16番外編出しました!!!!! 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭 3/6 2000❤️ありがとうございます😭 4/29 3000❤️ありがとうございます😭 8/13 4000❤️ありがとうございます😭 12/10 5000❤️ありがとうございます😭 わたし5は好きな数字です💕 お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

届かない「ただいま」

AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。 「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。 これは「優しさが奪った日常」の物語。

孕めないオメガでもいいですか?

月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから…… オメガバース作品です。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

処理中です...