ある夏の思い出

shoichi

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第2章

完成

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気にするな。と、やるぞ。だけ言い、つかの間の休憩が終わった。

罰が悪く、下を向きながら歩く僕に、

「気持ち悪い。この前、言ったこと忘れたのか?」

前を向け。ってことと、上を見上げろ。ってこと。

「ご、ごめ」
「イライラするな!!謝るのも無しだ!!」

その時、イジメられていた時が、走馬灯のように頭を駆け巡った。

星矢が怒る時、僕は同じことを皆んなにしていたんだ。と気付かされる。

「星矢!!」
「あ?」

少しだけ、強くなれた気がしたんだ。

「ありがとう!!」

星矢は笑って、変な奴。と前を向き、作業場へ足を早めた。



「星矢。聞いてもらっていい?」
「あ?」

先ほどの続きを再開し、僕は脚立に座る星矢にイジメられていた時のことを話した。

「訳が分からなかったけど…、でも、少しだけ星矢のおかげで分かった気がしたよ。」

そうか。と笑って、再度真剣に作業を再開した。



「終わった~。」
「ふぅ。」

それは、夕日が顔を照らしつける時間帯に完成した。

初めは、古びたアパートと心のどこかで馬鹿にしていたが、今見てみると、大袈裟に言えば高級住宅のようだった。

「凄いだろ?俺と、ソラで作ったんだぜ?」



僕を見ながら話すゴリラ顔は、顔に白いペンキが少しと、少し伸びた鼻毛が印象的だった。
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