144 / 1,121
獣 8
しおりを挟む
そのままその音は続き、床に爪を立てるようにしていた胡桃さんの手の指が、何故か短くなっていることに目を疑った。
指だけじゃない。肌の下で、何かが蠢いている……。
そのうち毛穴という毛穴から、体毛が伸び始めた。
それが全身を覆って行き、ゴリゴリギチギチという音と共に、胡桃さんの骨格自体が変形していく。
正直、呼吸を忘れた。呆気にとられて、ただひたすら、見つめていた。
時間にすれば、ほんの一分かそこらだと思う。そんな短い時を挟み、人型の胡桃さんは消失し、そこには巨体の狼が現れた。ゆったりと、寝そべった体制で。
胡桃さんの髪の色と同じ、胡桃色の毛並みで、菫色の瞳の大狼……。人の時にあった白目の部分はほぼ無くなり、瞳全体が菫色だ。神々しさすら感じる程、立派な姿だった。
すると、その狼が、のそりと起き上がる。当然左脚は無く、本来あるべき場所は空白。その大狼が、その辺に落下していた下着を咥え、ペイっと、風呂敷の上に投げた。
……なんか、感動が一瞬で薄らいだ……。
凄く立派な姿なのに……。
「あっ、衣服を纏めてるんですね。私がやりますから!」
同じく呆気にとられていたと思われるサヤが、慌ててそう言い、胡桃さんの下着を拾う。俺たちの視線を気にしたのか、自分の身体でそれを隠すようにしてたたみ、胡桃さんの脱ぎ捨てた衣服もたたんで、風呂敷の上に纏めた。
すると、胡桃さんがサヤにすり寄り、首元を彼女の腰にグイグイと押し付ける。サヤはびくともしないが、俺だったら押し倒されてそうな力強さだ。
「えっ、あの……?」
「そうそう。その姿になると吠えるしかできないんだよねぇ。
胡桃は多分、衣服を纏めて、首に括り付けて欲しいのだと思うよ」
「あっ、そうなんですね。畏まりました」
言われた通り、風呂敷の端を織り込んで、細長くしてから、胡桃さんの首の上にそれを置く。しゃがみ込んで、覗き込むようにしながら、首の下を括り、苦しくありませんか?と、問うた。
すると、ベロンと鼻先を舐められてしまう。
「ひゃあっ!」
「大丈夫らしいねぇ」
「そ、そうですか……びっくりしました……」
そのまま胡桃さんは、のそりと歩き出す。
扉の方に向かうので、サヤが慌てて先回りし、扉を開いた。
外まで送る様だ。先導し、玄関も開けるつもりなのだと思う。
部屋に残された俺たちは、ただ彼女らを見送り……沈黙が続いた。
「あ……あれ、あれ……な、なん…………」
違った。喋らなかったんじゃなく、喋れなかった様だ。
やっとのことでといった風に、ギルが言うが、言葉が言葉になっていない。
生肝を抜かれたとは、今のギルの為にある言葉だな。
ハインはというと、ギル以上に呆然としていた。
理由は分からないが、ハインにとっても、獣化するというのは、特殊なことである様子だ。
「さあレイ様、狼の胡桃は如何でしたか?」
またもやマルが、そんな風に問うてくる。
如何って言われてもな……。
「神々しいとすら思ったのに……下着をペッてした辺りで、なんか冷めた」
胡桃さん本人があまりに無頓着というか……。
ああ、胡桃さんは狼でも胡桃さんなんだなぁと、納得したというか。
彼女の人となりはまだあまり知らないけれど、なんか性格が現れていたというか……。
「ああでも……見れて良かったと思う。
神話は所詮神話なんだと思ったよ。
ハインだって胡桃さんだって、普通に話すし、気持ちが通じる。狼の彼女にだって、普通に意思があるのは感じれたし。なんだって大災厄は、あんな風に語られているのかな」
首を傾げるしかない。
そんな俺に、マルはケタケタと笑った。
「まあ、レイ様はそんな感じですよね。ほんと胆力があるというか、無頓着というか」
彼女が獣化することに対して恐怖とかは無いんですか? と、そう問われ、ああ、そういえば恐怖は全く感じていなかったなと気付く。
「あんな状況が目の前に急にあったら、びっくりするどころじゃないと思うんだよ」
「いや、びっくりしろよ!」
「……レイシール様は……サヤの時も的外れでしたよね……」
ぽそりと呟かれたハインの言葉に、サヤの時? と、思い出す。
あの時は……混乱したんだよ……。あんな光景じゃそれも仕方がないだろ?
俺が当時を思い出し、濡れそぼったサヤの、透けた衣服なんかまで思い出してしまって赤くなっていると、サヤが戻ってきた。
「出発されました。
気配も消えたので、外の方も戻られたのだと思います」
そんな風に報告してくる。
さて。じゃあ後は……。
「こんな遅い時間に申し訳ないんだけど、俺はもう少し、やることができた。
ハイン以外は、一度退室してもらって構わないか」
そう問うと、皆首肯してくれた。
ギルが、少し心配そうにハインを見てから、マルにせっつかれて渋々廊下に足を向ける。
夜番の準備をして参りますと、サヤも一礼して退室した。
「さてハイン。お前に渡したいものがある」
皆が去ってから、一呼吸あけて、俺はそう口を開いた。
叱責の類と思っていたのか、ハインが眉をひそめる。お前はどうせ、言ったって全然反省しないんだろうからな。俺はそんなことに労力を割く気はない。
執務机に移動し、引き出しから小箱を取り出す。
サヤが戻った日、ギルが持ってきてくれた小箱。それを開け、三つの中から一つを選ぶ。これは、ハインの為の意匠だ。
「これをお前に」
銀で作られ、青玉で飾られたそれは、小さな盾の形。
手のひらに乗せたそれを差し出した瞬間、ハインの顔は親の仇でも見るかのように、嫌悪に歪んだ。
「貴方は……まだそのような戯言を……!
私は、それを受け取れる様な立場ではございません!」
「お前にこれを受け取って欲しいと思うのは、俺の自由だよな」
「言わなければ分かりませんか……? 私は、もう貴方の従者でもない……」
「俺がいつ、お前に従者を辞めてもいいなんて言った?」
「もう私が獣だと分かったでしょう!」
「言葉を喋って、二本の足で立って、服を着た獣か。ふざけるのも大概にしろ」
「ふざけてるのはレイシール様です!」
「お前だよ! 獣人だったらなんだっていうんだ⁉︎ 俺はさっき、凄く悲しかったんだ、お前が俺の傍に居たのが、ただ手の代わりの為だけだったなんて言われて‼︎
俺ははじめっから、一度だって、お前をそんな風に考えたことなんかない!」
はじめのはじめから、俺は言った筈だ。気にしてないって。手の償いなんか必要無いって。
お前の自由にして良いと言ったんだ。俺はお前に、縛られて欲しくなかったから。
だって俺は、縛られる苦しみを知ってる。
奪われる痛みを知ってる。
手から何もかもがすり抜けていく絶望を知ってる。
お前にそんな経験、してほしいなんて、思うわけがないじゃないか‼︎
「お前俺に、全てを捧げているって言ったよな。俺はお前を縛りたくなかったから、その言葉が本当は、嫌だった。けど……お前がそんな風に、俺と距離を取ろうとするなら、お前にそんな自由は与えてやらない……だってお前の魂は、俺に捧げられてるんだからな‼︎
命令だ! 俺から離れることは許さない、命を絶つことも許さない!
これを受け取り、俺の従者であり続けろ‼︎ お前の自由は、俺が奪ってやる‼︎」
盾の衿飾りを握った手で、ハインの胸をドンと突く。
胸が苦しかった。命令は嫌いだ。命令をすると、人は仮面を被る。意に沿わないことを押し付けられても、笑顔で畏まりましたと言うのだ。
その表情が、俺は怖い。本心と裏腹なことが透けて見えて、針を刺されているような心地になる。
それが積もりに積もると、人は、壊れてしまうのだ。
だけど……それでも俺は、ハインを失いたくない。
「……そんな顔して、言う言葉じゃ、ないでしょうに……」
「どんな顔してるって言うんだ」
「泣きそうな顔です。いい年した男が、恥ずかしげもなくする顔ですか」
馬鹿だなこいつ。と、表情で示して、ハインが俺の手を取った。
指を開かされ、中にあった飾りを見る。
「何故、盾なのですか……」
お前は、俺の盾なのだと、思ったからだ。だけど、それは言ってやらない。
「俺は命令したよな。これを受け取れと」
「……そうですね。命じられました。貴方は私の全てを自由にする権利がある」
そんな権利、糞食らえだ。
「畏まりました。仰せのままに。
レイシール様の傍を離れません。貴方に命じられぬ限り、自ら命を絶つこともしません。
貴方の為に私はあります」
飾りを受け取り、俺の手を取るハイン。恭順の意を示す様に、手のひらと、甲に、唇を落とし。
「俺の魂は、貴方に捧げておりますから」
忠実な家臣であるとでもいうように、首部を垂れる。
けど、そんな風に顔を隠したって、俺は誤魔化されない。
棘が、胸に刺さる痛みを感じているから。
お前は、畏まりましたと言いながら、そんな風に思っちゃいない。
だけど俺だってな、ただ手をこまねいておくなんてしない。
「お前は俺に望めと言った。
幸福になることを願うと言った。
だから俺はお前を望む。九年前と一緒だな……俺は初めて、俺の意思でお前を拾ったんだ。
だから、俺が持つ一つ目は、お前だ」
杭を打つ。ハインが俺から離れられない様に、深く打ち込むのだ。
「お前が死ねば、俺の呪いは本物だな……。
持ってはいけないということだ……」
そうなれば、俺はもう何も望まない。お前の希望通りになど、なってやらない。
お前が幸福にならないなら、どっちにしたって、そうなるのだから。
「……性格歪みましたね」
「お手本がそんな風だからな」
簡単に死なせてなど、やるものか。
指だけじゃない。肌の下で、何かが蠢いている……。
そのうち毛穴という毛穴から、体毛が伸び始めた。
それが全身を覆って行き、ゴリゴリギチギチという音と共に、胡桃さんの骨格自体が変形していく。
正直、呼吸を忘れた。呆気にとられて、ただひたすら、見つめていた。
時間にすれば、ほんの一分かそこらだと思う。そんな短い時を挟み、人型の胡桃さんは消失し、そこには巨体の狼が現れた。ゆったりと、寝そべった体制で。
胡桃さんの髪の色と同じ、胡桃色の毛並みで、菫色の瞳の大狼……。人の時にあった白目の部分はほぼ無くなり、瞳全体が菫色だ。神々しさすら感じる程、立派な姿だった。
すると、その狼が、のそりと起き上がる。当然左脚は無く、本来あるべき場所は空白。その大狼が、その辺に落下していた下着を咥え、ペイっと、風呂敷の上に投げた。
……なんか、感動が一瞬で薄らいだ……。
凄く立派な姿なのに……。
「あっ、衣服を纏めてるんですね。私がやりますから!」
同じく呆気にとられていたと思われるサヤが、慌ててそう言い、胡桃さんの下着を拾う。俺たちの視線を気にしたのか、自分の身体でそれを隠すようにしてたたみ、胡桃さんの脱ぎ捨てた衣服もたたんで、風呂敷の上に纏めた。
すると、胡桃さんがサヤにすり寄り、首元を彼女の腰にグイグイと押し付ける。サヤはびくともしないが、俺だったら押し倒されてそうな力強さだ。
「えっ、あの……?」
「そうそう。その姿になると吠えるしかできないんだよねぇ。
胡桃は多分、衣服を纏めて、首に括り付けて欲しいのだと思うよ」
「あっ、そうなんですね。畏まりました」
言われた通り、風呂敷の端を織り込んで、細長くしてから、胡桃さんの首の上にそれを置く。しゃがみ込んで、覗き込むようにしながら、首の下を括り、苦しくありませんか?と、問うた。
すると、ベロンと鼻先を舐められてしまう。
「ひゃあっ!」
「大丈夫らしいねぇ」
「そ、そうですか……びっくりしました……」
そのまま胡桃さんは、のそりと歩き出す。
扉の方に向かうので、サヤが慌てて先回りし、扉を開いた。
外まで送る様だ。先導し、玄関も開けるつもりなのだと思う。
部屋に残された俺たちは、ただ彼女らを見送り……沈黙が続いた。
「あ……あれ、あれ……な、なん…………」
違った。喋らなかったんじゃなく、喋れなかった様だ。
やっとのことでといった風に、ギルが言うが、言葉が言葉になっていない。
生肝を抜かれたとは、今のギルの為にある言葉だな。
ハインはというと、ギル以上に呆然としていた。
理由は分からないが、ハインにとっても、獣化するというのは、特殊なことである様子だ。
「さあレイ様、狼の胡桃は如何でしたか?」
またもやマルが、そんな風に問うてくる。
如何って言われてもな……。
「神々しいとすら思ったのに……下着をペッてした辺りで、なんか冷めた」
胡桃さん本人があまりに無頓着というか……。
ああ、胡桃さんは狼でも胡桃さんなんだなぁと、納得したというか。
彼女の人となりはまだあまり知らないけれど、なんか性格が現れていたというか……。
「ああでも……見れて良かったと思う。
神話は所詮神話なんだと思ったよ。
ハインだって胡桃さんだって、普通に話すし、気持ちが通じる。狼の彼女にだって、普通に意思があるのは感じれたし。なんだって大災厄は、あんな風に語られているのかな」
首を傾げるしかない。
そんな俺に、マルはケタケタと笑った。
「まあ、レイ様はそんな感じですよね。ほんと胆力があるというか、無頓着というか」
彼女が獣化することに対して恐怖とかは無いんですか? と、そう問われ、ああ、そういえば恐怖は全く感じていなかったなと気付く。
「あんな状況が目の前に急にあったら、びっくりするどころじゃないと思うんだよ」
「いや、びっくりしろよ!」
「……レイシール様は……サヤの時も的外れでしたよね……」
ぽそりと呟かれたハインの言葉に、サヤの時? と、思い出す。
あの時は……混乱したんだよ……。あんな光景じゃそれも仕方がないだろ?
俺が当時を思い出し、濡れそぼったサヤの、透けた衣服なんかまで思い出してしまって赤くなっていると、サヤが戻ってきた。
「出発されました。
気配も消えたので、外の方も戻られたのだと思います」
そんな風に報告してくる。
さて。じゃあ後は……。
「こんな遅い時間に申し訳ないんだけど、俺はもう少し、やることができた。
ハイン以外は、一度退室してもらって構わないか」
そう問うと、皆首肯してくれた。
ギルが、少し心配そうにハインを見てから、マルにせっつかれて渋々廊下に足を向ける。
夜番の準備をして参りますと、サヤも一礼して退室した。
「さてハイン。お前に渡したいものがある」
皆が去ってから、一呼吸あけて、俺はそう口を開いた。
叱責の類と思っていたのか、ハインが眉をひそめる。お前はどうせ、言ったって全然反省しないんだろうからな。俺はそんなことに労力を割く気はない。
執務机に移動し、引き出しから小箱を取り出す。
サヤが戻った日、ギルが持ってきてくれた小箱。それを開け、三つの中から一つを選ぶ。これは、ハインの為の意匠だ。
「これをお前に」
銀で作られ、青玉で飾られたそれは、小さな盾の形。
手のひらに乗せたそれを差し出した瞬間、ハインの顔は親の仇でも見るかのように、嫌悪に歪んだ。
「貴方は……まだそのような戯言を……!
私は、それを受け取れる様な立場ではございません!」
「お前にこれを受け取って欲しいと思うのは、俺の自由だよな」
「言わなければ分かりませんか……? 私は、もう貴方の従者でもない……」
「俺がいつ、お前に従者を辞めてもいいなんて言った?」
「もう私が獣だと分かったでしょう!」
「言葉を喋って、二本の足で立って、服を着た獣か。ふざけるのも大概にしろ」
「ふざけてるのはレイシール様です!」
「お前だよ! 獣人だったらなんだっていうんだ⁉︎ 俺はさっき、凄く悲しかったんだ、お前が俺の傍に居たのが、ただ手の代わりの為だけだったなんて言われて‼︎
俺ははじめっから、一度だって、お前をそんな風に考えたことなんかない!」
はじめのはじめから、俺は言った筈だ。気にしてないって。手の償いなんか必要無いって。
お前の自由にして良いと言ったんだ。俺はお前に、縛られて欲しくなかったから。
だって俺は、縛られる苦しみを知ってる。
奪われる痛みを知ってる。
手から何もかもがすり抜けていく絶望を知ってる。
お前にそんな経験、してほしいなんて、思うわけがないじゃないか‼︎
「お前俺に、全てを捧げているって言ったよな。俺はお前を縛りたくなかったから、その言葉が本当は、嫌だった。けど……お前がそんな風に、俺と距離を取ろうとするなら、お前にそんな自由は与えてやらない……だってお前の魂は、俺に捧げられてるんだからな‼︎
命令だ! 俺から離れることは許さない、命を絶つことも許さない!
これを受け取り、俺の従者であり続けろ‼︎ お前の自由は、俺が奪ってやる‼︎」
盾の衿飾りを握った手で、ハインの胸をドンと突く。
胸が苦しかった。命令は嫌いだ。命令をすると、人は仮面を被る。意に沿わないことを押し付けられても、笑顔で畏まりましたと言うのだ。
その表情が、俺は怖い。本心と裏腹なことが透けて見えて、針を刺されているような心地になる。
それが積もりに積もると、人は、壊れてしまうのだ。
だけど……それでも俺は、ハインを失いたくない。
「……そんな顔して、言う言葉じゃ、ないでしょうに……」
「どんな顔してるって言うんだ」
「泣きそうな顔です。いい年した男が、恥ずかしげもなくする顔ですか」
馬鹿だなこいつ。と、表情で示して、ハインが俺の手を取った。
指を開かされ、中にあった飾りを見る。
「何故、盾なのですか……」
お前は、俺の盾なのだと、思ったからだ。だけど、それは言ってやらない。
「俺は命令したよな。これを受け取れと」
「……そうですね。命じられました。貴方は私の全てを自由にする権利がある」
そんな権利、糞食らえだ。
「畏まりました。仰せのままに。
レイシール様の傍を離れません。貴方に命じられぬ限り、自ら命を絶つこともしません。
貴方の為に私はあります」
飾りを受け取り、俺の手を取るハイン。恭順の意を示す様に、手のひらと、甲に、唇を落とし。
「俺の魂は、貴方に捧げておりますから」
忠実な家臣であるとでもいうように、首部を垂れる。
けど、そんな風に顔を隠したって、俺は誤魔化されない。
棘が、胸に刺さる痛みを感じているから。
お前は、畏まりましたと言いながら、そんな風に思っちゃいない。
だけど俺だってな、ただ手をこまねいておくなんてしない。
「お前は俺に望めと言った。
幸福になることを願うと言った。
だから俺はお前を望む。九年前と一緒だな……俺は初めて、俺の意思でお前を拾ったんだ。
だから、俺が持つ一つ目は、お前だ」
杭を打つ。ハインが俺から離れられない様に、深く打ち込むのだ。
「お前が死ねば、俺の呪いは本物だな……。
持ってはいけないということだ……」
そうなれば、俺はもう何も望まない。お前の希望通りになど、なってやらない。
お前が幸福にならないなら、どっちにしたって、そうなるのだから。
「……性格歪みましたね」
「お手本がそんな風だからな」
簡単に死なせてなど、やるものか。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる