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仮面 10
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意を決した。
彼は、ある意味、絶対的に中立だ。なら、疑ってかかるより、気にしないことにしよう、と。
だが、ギルとハインは渋面になった。
「恐れながら……マルは、信じられませんよ。奇人ですし、情報に釣られます」
「あいつは……クリスタ様と個人的な繋がりがあるんだぞ。
どっちを優先するかっつったら、上だろ?逆らえねぇんだから」
「うん。でもまぁ、とりあえず話してくる。
サヤが何を目論んでいるか、分かるのは、マルが一番、可能性高いんだ」
結局、マルが一番情報を持っている。
手持ちの情報で、サヤのことも、クリスタ様のことも、分からなかったのだから、マルに頼るしかない。
このままマルに伏せて、彼を警戒しつつ動くという手もあるけれど、ただでさえ手数の少ない俺たちが、情報収集の鬼に、何かを隠し通せるとは思えない。
それなら、今ならば価値があると思われる情報を、餌にする方が良いだろう。
「一人で良い。
ギルとハインは、遠慮してくれ。
ディート殿も……今回は、俺の部屋で待っていてくれますか」
そう言うと、二人は否。と唱えようとし、俺が真面目に言っているのだと表情で悟り、渋々と首肯した。
ディート殿も「見える場所までは護衛をして構わぬか?」と、問うたので、それで良いですからと答える。
「まあ、マルの部屋にクリスタ様側の方が、御用でいらっしゃる場合もありますからね……。
俺がマルの部屋から、五拍、待って出て来なければ、戻ってくださいよ」
「承知した」
サヤが、確実にここに居ない時間は限られる。
昼食の時間までに、決着をつけなきゃなと、内心で思いつつ、俺は即、踵を返した。
時間はあまり無いのだ。急がなきゃならない。
「レイ様から僕に用事って、珍しいですねぇ」
「そう? いつもマルに色々お願いしてると思うけど」
マルは、自室で書簡に埋もれていた。
執務机とその周りは足の踏み場も無い。
どうやら大量の報告書だ。彼の元には、連日ひっきりなしにこれが届く。
部屋はマル一人きりの様子だった。まあ、隣接した寝室等に誰か潜んでいる可能性はあるのだが、現状でそこまでしてこちらを探る必要は無いと思うので、居ないだろうと結論を出す。
「で、こちらに一人でいらっしゃるって、何かありました?」
「ああ、クリスタ様が、姫様だって事実に行き当たってしまったんだ」
そう告げると、何やら楽しげに「へぇ! また唐突ですね」と、言う。
驚く様子は無かった。
けれど、彼にとってそれは、歓迎出来ないことではなかったらしい。
まあ、マルは何が起こっても、新展開なら楽しいって思うのかもしれないが。
「……サヤ、ここにも来た?」
「サヤくんですか? いらっしゃってないですけど?」
「サヤが、何かしようとしてる。姫様のこと、先に探っていたのはサヤなんだ。
だけど、何が目的なのかが、俺にはさっぱり分からない。
マルの所にも顔を出していないなら、一人で、何かしようとしているってことだと思う。
あと、その問題に引っ張り出されたのが、姫様のことだ。
姫様の目的も、分からない。何故、性別を偽り、偽名を名乗ってまで学舎にいたのか、今もなおそうしているのか。
それが分かれば、サヤの目的も分かるかもしれないと思って。
マルが答えられないこと、協力出来ないってことは、言ってくれれば無理強いはしない。けど、出来れば手を貸して欲しいと思ったんだ。良いかな」
まっすぐ、願いをただ、伝えた。
駆け引きでマルに勝てるとは思えないから率直に。
するとマルは、楽しそうな……でも俺の内面を見透かす様な目をして、俺を見上げてきた。
「僕が、怪しいとか、腹立たしいとは、思わないんですか?」
「うん、まあね。考えなくもなかったけど、それはそれで筋違いかなって。
もし隠す気があるならバレないようにやる方法をいくらだって出して来そうだし。
あと、マルに自由にして良いって言ったのは俺で、結構勝手するよと忠告してくれたマルに、俺が慣れるって言った手前、ここで腹を立てるのもなぁって」
それに、マルはまだ、俺を試している節がある。
本当に、彼にここに居て欲しいのなら、彼が彼のままでいられるよう、俺が努力すべきなのだ。だって俺が欲しいのは、俺の意のままに動くマルクスという人物ではなく、彼らしい彼だから。
「ふふ。レイ様のそんなところ、実は結構好きなんですよ、僕」
そんな風に笑ったマルは、机に向いていた体勢から、俺の方に向き直る。
「良いですよ。僕の思惑に反しない限りは協力出来ます。
ああ、僕の思惑より良い方向に行きそうなら、全然乗っかりますから、良い案が思い浮かんだら述べてくださって構いませんよ」
「そうさせてもらう。
じゃあまず、俺が提供できそうな情報だけど……って、マルはもう知ってるのかな?クリスタ様、現在結構切羽詰まった状態であるらしいんだけど」
「近衛の方から聞き出したんです?信頼できる相手だというなら、裏付けが取れたことになりますね。
只今、フェルドナレン王の容態が思わしくないという噂があるのですよ。
王家の白い方としては長寿の方ですからねぇ。もうそろそろ、お隠れになるのではないかと考えられても、おかしくはない。
それで、姫様は現在、早く婚儀を済ませる様にとせっつかれてらっしゃる。
十中八九、これが今切羽詰まってる理由でしょうね」
「こ、婚儀⁉︎」
「何を驚いているんです? クリスティーナ様は今年の秋で二十五歳です。既に行き遅れてらっしゃるんですよ? そりゃ、重臣はせっつきますって」
そ、そうか……クリスタ様では二十二歳ってことになってたけど、クリスティーナ様はもう、そのようなお年か。
「白い方は早逝される傾向にありますからね。
姫様が今すぐ結婚、懐妊し、来年お子を出産されたとしても、無事十五歳を迎える頃には、もう四十歳を過ぎてらっしゃいます。
下手をしたら、お子の成人を待たず亡くなられてしまうかもしれませんからねぇ。焦りもしますよ」
しかもその一人目のお子が、無事育つ保証はありませんからね。
マルの指摘に、クリスタ様の置かれている状況が、どれほど深刻なのかが伺えて、俺は表情を曇らせるしかない。
そんな、大変な時期に、こんな場所にいらして大丈夫なのか?
それともこれは、彼の方が羽を伸ばせる最後の機会……?
王都に戻れば、そのまま即位、そして女王となられるのかな……? そうしたらもう、自由に行動することは出来なくなるのだよな……。だから、人材発掘に心血を注いでらっしゃるのだろうか……?
苛つき、焦った様子のクリスタ様……そうなるのは、当然か。彼の方らしくない様な気がした言動も、それ故になのだな……。
そう思うと、彼の方をこのまま放っておくわけにはいかないと、強く思った。
俺が力になれることなんて、たかが知れているだろう。でも、その出来ることを最大限、全てやらなければと思った。彼の方の恩に報いなくては。
「……土嚢壁は、姫様の役に立つの?」
「ここできちんと成功を収めればね、立つ様になるのではないですか?
言うなれば、ここでの土嚢利用は試金石です。実際活躍するのは姫様以降の王政でですから」
そうか。なら、少しでも彼の方の助けとなれる様、頑張らないと。
「それから、彼の方が男装するのは、身の安全の為ですよ。
王家唯一の後継ですからねぇ。しかも悪目立ちするにも程があるくらい、目立つ概観してらっしゃるでしょう?
学舎に潜り込んでいたのも、それが理由の一つであると思いますよ」
姫様の男装と、学舎に潜り込んでいた理由はあっさりと告げられた。
そ、そうなのか? なんか、あっけないほど単純な理由だな……。だけど、言われてみればもっともな気がしてきた。
姫様に万が一のことがあれば、フェルドナレン王家は下手をすると、途絶えることになるのだ。
学舎なら、学生以外の出入りはほぼない。そして部外者の立ち入りには、全て許可が必要なのだ。
ただ、マルが「理由の一つ」と、言ったことは少々引っかかる。
じゃあ、言えない理由は伏せているってことなのか……? 一応確認をしておこうかと、口を開きかけたのだが。
「で、問題はサヤくんですね。
姫様の情報を得て何をしようとしているかですが……。
こっちは全くと言って良いほど、何も思い浮かびません」
「え⁉︎」
マルからそんな風に言われると思っていなかった俺が驚愕すると、彼は心外だとばかりに頬を膨らませた。……大の男がそれやっても可愛くない……。
「僕の推測は情報を元に苦慮して導き出してるんですよ? サヤくんが、何をしていたのかも、ちゃんと話してくれないと」
「あ、はい……」
それはそうか……。なんとなくマルは、何でもかんでも何処かから探り出して知ってる気でいた。
けれど、ちょっと話しにくいな……というか、言いたくない……サヤと距離が開いてしまった、あの顛末は特に。
けれど、サヤが何をしようとしているのか、それを知りたい一心で、語る。
一通り話し終わると、なんだかどっと、疲れてしまった。
「そうですね……。
まず、一つ思うのはですねぇ……サヤくん、やっぱり胡桃と似てるなぁってことです」
……ちょっと、ちゃんと真面目に考えてくれた⁉︎
一瞬イラっとしたのだが、それを素早く察知したマルが、まあ聞いてくださいと言葉を続ける。
「別に、茶化したわけでも焦らしてるわけでもないんですよ。
本当にそう思うから、そう口にしただけです。
正直ね、あまり、よろしくない状況だと思うんですよ。僕の経験したことを、レイ様には繰り返して欲しくないなって思うくらいには、真剣ですから」
真面目な顔でそう言うから、俺も姿勢を正す。
真面目に聞いてくれて、そう言うなら、聞く気はある。
俺が聞く体勢になったことを理解したマルが、一つ息を吐く。
「まずね、サヤくんは多分……近々、ここを離れようと、考えているのじゃないかと。
誰にも告げずに一人で動いている理由は、主にこれじゃないですかね」
彼は、ある意味、絶対的に中立だ。なら、疑ってかかるより、気にしないことにしよう、と。
だが、ギルとハインは渋面になった。
「恐れながら……マルは、信じられませんよ。奇人ですし、情報に釣られます」
「あいつは……クリスタ様と個人的な繋がりがあるんだぞ。
どっちを優先するかっつったら、上だろ?逆らえねぇんだから」
「うん。でもまぁ、とりあえず話してくる。
サヤが何を目論んでいるか、分かるのは、マルが一番、可能性高いんだ」
結局、マルが一番情報を持っている。
手持ちの情報で、サヤのことも、クリスタ様のことも、分からなかったのだから、マルに頼るしかない。
このままマルに伏せて、彼を警戒しつつ動くという手もあるけれど、ただでさえ手数の少ない俺たちが、情報収集の鬼に、何かを隠し通せるとは思えない。
それなら、今ならば価値があると思われる情報を、餌にする方が良いだろう。
「一人で良い。
ギルとハインは、遠慮してくれ。
ディート殿も……今回は、俺の部屋で待っていてくれますか」
そう言うと、二人は否。と唱えようとし、俺が真面目に言っているのだと表情で悟り、渋々と首肯した。
ディート殿も「見える場所までは護衛をして構わぬか?」と、問うたので、それで良いですからと答える。
「まあ、マルの部屋にクリスタ様側の方が、御用でいらっしゃる場合もありますからね……。
俺がマルの部屋から、五拍、待って出て来なければ、戻ってくださいよ」
「承知した」
サヤが、確実にここに居ない時間は限られる。
昼食の時間までに、決着をつけなきゃなと、内心で思いつつ、俺は即、踵を返した。
時間はあまり無いのだ。急がなきゃならない。
「レイ様から僕に用事って、珍しいですねぇ」
「そう? いつもマルに色々お願いしてると思うけど」
マルは、自室で書簡に埋もれていた。
執務机とその周りは足の踏み場も無い。
どうやら大量の報告書だ。彼の元には、連日ひっきりなしにこれが届く。
部屋はマル一人きりの様子だった。まあ、隣接した寝室等に誰か潜んでいる可能性はあるのだが、現状でそこまでしてこちらを探る必要は無いと思うので、居ないだろうと結論を出す。
「で、こちらに一人でいらっしゃるって、何かありました?」
「ああ、クリスタ様が、姫様だって事実に行き当たってしまったんだ」
そう告げると、何やら楽しげに「へぇ! また唐突ですね」と、言う。
驚く様子は無かった。
けれど、彼にとってそれは、歓迎出来ないことではなかったらしい。
まあ、マルは何が起こっても、新展開なら楽しいって思うのかもしれないが。
「……サヤ、ここにも来た?」
「サヤくんですか? いらっしゃってないですけど?」
「サヤが、何かしようとしてる。姫様のこと、先に探っていたのはサヤなんだ。
だけど、何が目的なのかが、俺にはさっぱり分からない。
マルの所にも顔を出していないなら、一人で、何かしようとしているってことだと思う。
あと、その問題に引っ張り出されたのが、姫様のことだ。
姫様の目的も、分からない。何故、性別を偽り、偽名を名乗ってまで学舎にいたのか、今もなおそうしているのか。
それが分かれば、サヤの目的も分かるかもしれないと思って。
マルが答えられないこと、協力出来ないってことは、言ってくれれば無理強いはしない。けど、出来れば手を貸して欲しいと思ったんだ。良いかな」
まっすぐ、願いをただ、伝えた。
駆け引きでマルに勝てるとは思えないから率直に。
するとマルは、楽しそうな……でも俺の内面を見透かす様な目をして、俺を見上げてきた。
「僕が、怪しいとか、腹立たしいとは、思わないんですか?」
「うん、まあね。考えなくもなかったけど、それはそれで筋違いかなって。
もし隠す気があるならバレないようにやる方法をいくらだって出して来そうだし。
あと、マルに自由にして良いって言ったのは俺で、結構勝手するよと忠告してくれたマルに、俺が慣れるって言った手前、ここで腹を立てるのもなぁって」
それに、マルはまだ、俺を試している節がある。
本当に、彼にここに居て欲しいのなら、彼が彼のままでいられるよう、俺が努力すべきなのだ。だって俺が欲しいのは、俺の意のままに動くマルクスという人物ではなく、彼らしい彼だから。
「ふふ。レイ様のそんなところ、実は結構好きなんですよ、僕」
そんな風に笑ったマルは、机に向いていた体勢から、俺の方に向き直る。
「良いですよ。僕の思惑に反しない限りは協力出来ます。
ああ、僕の思惑より良い方向に行きそうなら、全然乗っかりますから、良い案が思い浮かんだら述べてくださって構いませんよ」
「そうさせてもらう。
じゃあまず、俺が提供できそうな情報だけど……って、マルはもう知ってるのかな?クリスタ様、現在結構切羽詰まった状態であるらしいんだけど」
「近衛の方から聞き出したんです?信頼できる相手だというなら、裏付けが取れたことになりますね。
只今、フェルドナレン王の容態が思わしくないという噂があるのですよ。
王家の白い方としては長寿の方ですからねぇ。もうそろそろ、お隠れになるのではないかと考えられても、おかしくはない。
それで、姫様は現在、早く婚儀を済ませる様にとせっつかれてらっしゃる。
十中八九、これが今切羽詰まってる理由でしょうね」
「こ、婚儀⁉︎」
「何を驚いているんです? クリスティーナ様は今年の秋で二十五歳です。既に行き遅れてらっしゃるんですよ? そりゃ、重臣はせっつきますって」
そ、そうか……クリスタ様では二十二歳ってことになってたけど、クリスティーナ様はもう、そのようなお年か。
「白い方は早逝される傾向にありますからね。
姫様が今すぐ結婚、懐妊し、来年お子を出産されたとしても、無事十五歳を迎える頃には、もう四十歳を過ぎてらっしゃいます。
下手をしたら、お子の成人を待たず亡くなられてしまうかもしれませんからねぇ。焦りもしますよ」
しかもその一人目のお子が、無事育つ保証はありませんからね。
マルの指摘に、クリスタ様の置かれている状況が、どれほど深刻なのかが伺えて、俺は表情を曇らせるしかない。
そんな、大変な時期に、こんな場所にいらして大丈夫なのか?
それともこれは、彼の方が羽を伸ばせる最後の機会……?
王都に戻れば、そのまま即位、そして女王となられるのかな……? そうしたらもう、自由に行動することは出来なくなるのだよな……。だから、人材発掘に心血を注いでらっしゃるのだろうか……?
苛つき、焦った様子のクリスタ様……そうなるのは、当然か。彼の方らしくない様な気がした言動も、それ故になのだな……。
そう思うと、彼の方をこのまま放っておくわけにはいかないと、強く思った。
俺が力になれることなんて、たかが知れているだろう。でも、その出来ることを最大限、全てやらなければと思った。彼の方の恩に報いなくては。
「……土嚢壁は、姫様の役に立つの?」
「ここできちんと成功を収めればね、立つ様になるのではないですか?
言うなれば、ここでの土嚢利用は試金石です。実際活躍するのは姫様以降の王政でですから」
そうか。なら、少しでも彼の方の助けとなれる様、頑張らないと。
「それから、彼の方が男装するのは、身の安全の為ですよ。
王家唯一の後継ですからねぇ。しかも悪目立ちするにも程があるくらい、目立つ概観してらっしゃるでしょう?
学舎に潜り込んでいたのも、それが理由の一つであると思いますよ」
姫様の男装と、学舎に潜り込んでいた理由はあっさりと告げられた。
そ、そうなのか? なんか、あっけないほど単純な理由だな……。だけど、言われてみればもっともな気がしてきた。
姫様に万が一のことがあれば、フェルドナレン王家は下手をすると、途絶えることになるのだ。
学舎なら、学生以外の出入りはほぼない。そして部外者の立ち入りには、全て許可が必要なのだ。
ただ、マルが「理由の一つ」と、言ったことは少々引っかかる。
じゃあ、言えない理由は伏せているってことなのか……? 一応確認をしておこうかと、口を開きかけたのだが。
「で、問題はサヤくんですね。
姫様の情報を得て何をしようとしているかですが……。
こっちは全くと言って良いほど、何も思い浮かびません」
「え⁉︎」
マルからそんな風に言われると思っていなかった俺が驚愕すると、彼は心外だとばかりに頬を膨らませた。……大の男がそれやっても可愛くない……。
「僕の推測は情報を元に苦慮して導き出してるんですよ? サヤくんが、何をしていたのかも、ちゃんと話してくれないと」
「あ、はい……」
それはそうか……。なんとなくマルは、何でもかんでも何処かから探り出して知ってる気でいた。
けれど、ちょっと話しにくいな……というか、言いたくない……サヤと距離が開いてしまった、あの顛末は特に。
けれど、サヤが何をしようとしているのか、それを知りたい一心で、語る。
一通り話し終わると、なんだかどっと、疲れてしまった。
「そうですね……。
まず、一つ思うのはですねぇ……サヤくん、やっぱり胡桃と似てるなぁってことです」
……ちょっと、ちゃんと真面目に考えてくれた⁉︎
一瞬イラっとしたのだが、それを素早く察知したマルが、まあ聞いてくださいと言葉を続ける。
「別に、茶化したわけでも焦らしてるわけでもないんですよ。
本当にそう思うから、そう口にしただけです。
正直ね、あまり、よろしくない状況だと思うんですよ。僕の経験したことを、レイ様には繰り返して欲しくないなって思うくらいには、真剣ですから」
真面目な顔でそう言うから、俺も姿勢を正す。
真面目に聞いてくれて、そう言うなら、聞く気はある。
俺が聞く体勢になったことを理解したマルが、一つ息を吐く。
「まずね、サヤくんは多分……近々、ここを離れようと、考えているのじゃないかと。
誰にも告げずに一人で動いている理由は、主にこれじゃないですかね」
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