【完結】私が見る、空の色〜いじめられてた私が龍の娘って本当ですか?〜

近藤アリス

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「花梨さん」

 何時も驚かれては堪らない、と思ったのだろう。ヴィラの低い声がゆっくりと花梨の名を呼んだ。

「うん……また年とったねぇ」

 ヴィラの姿を確認すると、そう感心したように呟いた。

 二人が夢で会うようになってから、もう一ヶ月ほどたっていた。

 ヴィラの時間の進みは、ゆっくりな時もあれば早い時もあったが、花梨の方は毎晩夢で会えていた。

 じっとヴィラの姿を見つめると、花梨は完全な癖になったため息をついた。

(――格好良くなっちゃって、あぁ。可愛いヴィラ。写真撮っておけばよかったなぁ)

 ぷっくらとした白い頬。赤い唇。どこか女の子のように可憐だったヴィラ。しかし、今はまるで彫刻のように整った顔だち。昔の面影は目元の優しさだけだ。

「花梨さん」

 無言のままじっと見つめてくる花梨に、軽く頬を染めて名前を呼ぶ。

(――身長も私より大きくなっちゃって。そりゃ、もう私と同い年だから仕方ないけどなぁ)

「花梨さん?」

 こてっと首をかしげたヴィラ。その行動が昔と同じことに思わず花梨は笑い声を上げた。

「な、何だっ」

 動揺したように言ったヴィラの口調は、敬語ではない。

 花梨へ話す言葉は昔から敬語だが、恐らく他の相手には変わったのだろう。動揺したときのみ出る。

「ん~、大人になっちゃって」

 ぽんっとヴィラの肩を叩いて、しみじみと言った。

 その言葉にヴィラはむっとしたように、表情を微かに変えた。しかし、すぐに何かを思いついたかのように微笑んだ。

「花梨さんは全く変わりませんね」

「なっ!?」

 その言葉に何の文句も言えずに、ただ口を尖らせる。その反応にヴィラはくっと喉の奥で笑った。

「王様の癖に、子供っぽい!」

 そう指摘すると、彼はにっと笑って花梨の服装を見た。

「年若き乙女とは思えない服装ですね」

 にっこり、と笑顔とともに言われた言葉に、再び花梨は押し黙る。

 ヴィラが王だと知ったのは、ついこの前だった。

 ヴィラの世界には二つの国がある。イガーと、ツザカの二つ。この二つはそれぞれイガー国とツザカ国と呼ばれているのだが、その国の主は、王様と呼ばれることは許されていない。大抵は~様、~殿などと呼ばれていた。

 ヴィラ自身、この前王位を継承したばかりだった。

 先王は混乱の際のストレスのせいで持病が悪化し、亡くなったのだ。それで、第一王位継承者であったヴィラが王位を継承したのだ。

「仕方ないじゃん。パジャマなんだから……」

 ぶうっと頬を膨らました花梨。最近ヴィラの性格が分かってきたところだった。

「まぁ。仕方……」

 ヴィラが口を開いた直後、光が花梨を包む。

(――このタイミング。わざとじゃないの?)

 苦笑するが、その後に感じた頭の痛みに表情が崩れる。今までとは違う。すぐにそう悟るが花梨には何も出来ない。

 痛みが治まったとき、そっと目を開ける。視界に移るのは何時もの部屋……ではなかった。

  
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