【完結】私が見る、空の色〜いじめられてた私が龍の娘って本当ですか?〜

近藤アリス

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 自分の見た光景が信じられなくて、花梨は数度瞬きをした。

『よく、来たな』

 そう目の前の存在が、直接脳に響くような声で語りかけてきた。

 目の前の存在、それはどう見ても龍だった。銀色に輝く鱗。翼は今収められているが広げればかなりの大きさになるだろう。

「龍、さん?」

『あぁ。花梨。さて、何となく今後の展開が想像出来るであろう?』

 どこかふざける様な声色に、花梨は少しだけ顔を顰めた。

「あまり、想像通りにはいって欲しくないけど」

『なら、想像が外れてるよう祈れば良い。さて、龍の娘よ。何の力を望む?』

 あまりにも唐突な言葉に、理解するまでに数秒かかった。

「何を望むか、ではなくて。力は決まってるの?」

『あぁ。殺める力を得るか? それとも治す力を得るか?』

 その言葉に、少しだけ考えてから口を開く。

「治す、かなぁ」

『ほぉ? 何故だ?』

「だって。私に殺める力は必要ないから。龍の娘でも、普通に生活していってもいいんでしょ?

 だったら、断然治す力だよ。それに、いざ敵と会ってしまった場合。殺める力を持っていても、多分使えずに殺されると思う。

 でも、治す力だったら。怪我しても逃げれれば生きられるし……とにかく治す力だよ」

 そう、花梨には世界にかかわる気などなかった。

 ただ一人の少女が、人の怪我を治せるだけで世が変わるだろうか? 否、それはありえない。そう思うからこそ治す力を選んだのだ。

『そうか……本当に良いのだな?』

 その言葉に、花梨はしっかりと頷いた。途端、胸元に激しい痛みを感じうずくまった。

「つぅっ……何?」

 痛みが治まると、すぐに龍にこの痛みは何なのだ?と目線で言う。

『龍の力とは、自然の力。治癒はそれに付属されたもの』

 花梨の視線の意味は分かるだろうに、龍はそれには触れない。

「自然の力? まさか、天候変えれるとか?」

 まさか。ね? あははと乾いた笑いを漏らす。

『そう言う事も出来る、と言う事だ』

「えぇっ!?」

『我は、龍の娘が呼べばすぐに答える。
最後に一つ忠告だ。あの空間内では我の特別な気があっての出来事もあった。不都合も多く感じるだろうな』

 そう言った龍の言葉。最後の「不都合も~」は確実に楽しくてしょうがない、と言った様な感情が含まれていた。

「どういう意味? 空間ってあの夢の事だよね?」

『では、またな』

 全くの無視である。

(――私もマイペースだけど、この龍さんの方が確実に上だよね)

 龍への認識が確実に変わった、と花梨がため息をついた。

 光のヴェールに体が包まれ、妙な浮遊感を感じながら花梨の意識は無くなった。
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