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第68話:バースト・スピア
しおりを挟むついに魔王は復活したらしい。
魔王の側からコーラル王国に宣戦布告が届いた。
これからコーラル王国は魔王の軍勢と戦うことになる。
赤髪の店主の店で螺旋槍を買ったライドも緊張を強めていた。
魔王の軍勢との戦い。これから待ち受ける過酷な任務の数々に生唾を飲む。
そんなライドに一人の冒険者が駆け寄った。その少女は「ライドさん」と声を掛ける。
「ああ。リミリアか」
ライドの後輩冒険者であった。リミリアに対してライドは笑顔を見せる。
「魔王が復活したそうですね」
「そうみたいだな。今後はこのギルドに来る依頼も過酷なものがくるぞ」
「私の槍で対抗できるかどうか……」
リミリアは自身の武器を不安に思っているようだった。そんなリミリアにライドは助言をする。
「武器が不安なら赤髪の店主の店……噂の店に行くといい。きっといい武器が買える」
リミリアはそう言われ、その店に行ってみることにした。
コーラル王国王都の少し外れ、森に踏み入った所にその店はある。
そこを訪れると、赤髪を肩まで垂らした店主が出迎える。
「いらっしゃい」
リミリアは早速、要件を話した。
「魔王が復活したのは貴方も聞いていますよね?」
「ああ。そうみたいだね。厄介なことだ」
「そこで魔王の軍勢に対抗できる槍が欲しいんです」
その要求に店主はふむ、と考え込むと店の奥に引っ込んでいく。
そうして出てきた時には一本の槍を持っていた。
刃の部分に魔術的な紋様が刻まれている。魔術的な力を秘めた槍であることに間違いはなさそうだ。
「これはバースト・スピアだ」
「バースト・スピア……」
「刺せば内部で爆発が起こり敵を内部から破壊する」
「そんなものが……」
正直、眉唾物だと思ったがリミリアはこれを購入することにした。事実ならば魔王の軍勢と戦うのにまたとない武器だ。
「いくらですか?」
「金貨3枚に銀貨5枚って所だな」
「分かりました」
代金を払いバースト・スピアを受け取る。そして、店主の店を後にしたリミリアはライドと合流し、魔物退治の依頼を受けることにした。
「いい武器は買えたのか? リミリア?」
「はい、ライドさん。多分、大丈夫だと思います」
まだこの武器の真価を信じ切れてはいないのだが、そう答える。
魔王の復活で活性化・大量発生した魔物は多く依頼がなくて困ることはなかった。
ライドとリミリアは二人で依頼を受け、その場所に赴く。
オーガの群れが湧き出たとのことだった。確かに依頼の場所にはオーガが大量にたむろしている。
「それじゃあ、行くぞ」
ライドが先陣を切り、赤髪の店主の店で購入した螺旋槍でオーガに攻撃する回転する槍がオーガの肉体を貫き、打ち倒す。
流石、と思いつつリミリアも前に出てバースト・スピアを試してみる。
オーガに突き刺すとその槍は爆発を巻き起こし、オーガの上半身をバラバラに砕け散らせた。
本当に言われた通りの力があった……。
そのことに多少驚きつつもこれならオーガごとき敵ではない、と思いを新たにする。
ライドの螺旋槍とリミリアのバースト・スピアでオーガたちを次々と倒していく。
バースト・スピアの性能は見事だった。相手に突き刺せば内部から爆発を巻き起こし、倒してくれる。この威力にはそうそう耐えられる魔物はいないだろう。
「やるな! リミリア!」
「いえ! 槍のおかげです!」
「あの店主の店で買った槍か。やはりあの店は凄いな!」
ライドの言葉に全くもって同感であった。
あのお店は凄い。そう思いつつ、バースト・スピアをオーガたちに突き刺し、爆発させ、倒していく。
ライドの螺旋槍もオーガの防御を破りその体をえぐり取る。
お互いに一級品の槍を武器にオーガの群れを蹴散らしていく。そうして、オーガの群れは全滅した。
「この槍は凄い……」
リミリアはそう思い、自身の槍、バースト・スピアを眺める。
これがあれば今後の魔王の軍勢との戦いも大きく楽になることだろう。
「依頼は達成、だな」
ライドが笑みを浮かべて、リミリアに近寄ってくる。リミリアも笑みを浮かべた。
「はい。あの噂のお店、本当に凄いんですね」
「それは俺も最初は疑っていたが、あの店は凄いよ、それは間違いない」
これから冒険者たちは魔王の軍勢との戦いを始める。
それはコーラル王国の騎士も同じだ。魔王が復活した以上、倒さなければならない。
魔王討伐の依頼など個人ではとても果たせるものではなく、複数のパーティーが協力してあたるものになるだろうが、そこに助っ人として呼び声がかかる可能性もある。
なんにせよ、魔王は復活したのだ。
その事実を胸に刻み、対魔王の軍勢の準備を進めないといけない。
幸いにしてリミリアにはいい武器が手に入った。この武器なら魔王の軍勢とも戦える。そう確信できる武器だ。
魔王の軍勢との戦い。それを意識し、王都に帰還する二人だった。
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