新米魔王、冷徹貴族閣下に躾けられます

寅次郎

文字の大きさ
6 / 14

新米魔王の教育②

しおりを挟む


「どうやら、お前の魔力はここに熱を持つことで倍増しているみたいだな」

 なんですと?と思わず聞き返したくなるようなその発言に始めこそ、目が点となってしまったわけだが。その言葉を発せられたのと同時に〝ここ〟と手の甲で軽くノックでもするかのように、テントを張っていたおれの股間の中心に、触れてきたヴァッハト。
 そもそも、魔力をコントロールする為に一定数の魔力を出すだけで良いなどと、うんたらかんたらとこの目の前の男は発していた癖に、どうやって測定しているのかは知らないが、そろそろもうその一定数をオーバーしているのでは、なかろうか。
 しかしだ、未だにこの行為をやめる気はない様子から、どうやらまだまだそこには達していない模様。
 そろそろ、このヴァッハトの懐から抜け出したいとすら思う中で、未だにおれの股付近にあのごつごつとした手が、添えられているものだからいかんせん変に身動きが出来ない。
 するとだ、ここで別の方法なんて思いつかなくて良いのに思いついてしまったのか、少しばかり口元が緩んだようにも伺えたヴァッハトが、こんなことまで言い出し始めたのである。

「ここを刺激すれば今以上に、魔力の放出が見込める気がするな」

 正直場所が場所なだけにそんなところから魔力放出のきっかけになっていること自体、恥ずかしいことこのうえなく。嘲笑うわけでもなく無愛想なその顔が、淡々とそんな言葉を口にしてくるものだから、どうにもこうにも次の言葉が出てこない。
 さっきみたいにはいはいはいと内心で投げやりになってしまいたい気持ちもあるが、ここで抵抗のひとつでもしておかないと、今後大惨事にもなりそうだと感じる。
 だから、おれの硬くなった陰茎をズボンの布越しに形に沿って、触れようとしていたヴァッハトのこれもまた、太い手首をガシッと掴むことにした。

「本気で……そこだけは勘弁してくれよ」

 情けないことにか細い声が自分の口から出てしまったわけだが、それが何やら効果的面でもあったのか否か、ピタリとその動きを止めるなり何か言いたいことが、山ほどありそうな表情の圧を感じつつも、この場に暫くの沈黙が過ぎる。

(さすがにこの魔族様もそこまで鬼じゃないよな?)

 半ば泣き落とし作戦のような感覚でヴァッハトの行動を止められた!と内心、大きなガッツポーズが降り立ったわけだが、それも束の間のことで。
 次の瞬間、無情にも大胆なことにガッとおれのズボンの掴むなり、ズボッと下着ごと両足首までそれを引き摺りおろして来たのである。

「ぎゃ!?」

 それには当然色気ない短い声すら飛び出し。ビキリッとズボンと下着という砦が、なくなったおれの股間には、反り勃った陰茎が剥き出しになってしまったのである。
 こんな辱めを受けるだなんて、と。ただただ唖然とすらしてしまっていたおれに、ここでそれを目にしても、なんの罪悪感も抱いていないらしいヴァッハトが、次はガシッと陰茎をその付け根から軽く握って来たのである。まるで掴みやすい棒でも掴んだかのように。

(終わった、まさか仏壇から異世界にやって来てこんな結末が待ってたなんてよぉ)

 とほほ、と思ってしまうほどのこの状況にもはや打開策すら思い浮かばない。

「これで時間が短縮出来るな」

 はあ、そりゃあようござんした。と、もはや抵抗する気力も削られ、穴があるのならば入ってしまいたいくらいの羞恥まできていることから、これはもう無心で、乗り切る他ないとすら思ってしまう。
 だが、おれのそんな心を覗いたかのようにヴァッハトが、顔は無愛想なのに無駄に良い低い声色でおれの目をじっとみつめてくるなり、こうも言葉を発したのである。

「感じるのも感じないのもお前の自由だ」

 どこまでも偉そうだと感じるが今更この目の前の閣下に訴えたところで、無意識でしかないこの男には不満の気持ちいっぱいであり。はあっと大きなため息さえ吐き出そうなところで、自己中極まりないヴァッハトのおれの陰茎の付け根を握っていた手が、そのうちゆるゆると上下に動き始める。

「っ、」

 これくらいまでならある程度の声は我慢が出来るというもので。
 これ以上馬鹿正直に喘いでいる姿を見られたくないおれはというと、声を押し殺すべくキュッと舌を噛み締ることにしたのは言うまでもなく。あまりにも唇を噛んでしまっていたことから、途中唇が傷つき、次第に口内が鉄の味で溢れていく。

(一体、おれはどうなるっていうんだよ)

 半分涙目にもなってしまっているおれにとってこれはもう、悪夢のような時間であり。そんなおれの気持ちなんて、さっぱり分からないらしいヴァッハトは更に、ことを突き進めてきたのでもあった。


「はッ……は、あッ……っ、ぅ、あ」

 ギシッギシッと寝台の音を立ててしまっているのはおれのこの下半身が原因なもので。今現在無心でおれの陰茎を上下に、ひたすら扱くヴァッハトの手に、おれの下半身はがくがくとバウンドをとっていた。
 たらたらと陰茎の先端からカウパーが垂れ流しになっていることから、それがヴァッハトの手の中に流れ、くちゅくちゅといやらしい音を奏でる演出にすらなってしまっているのだ。

(こんなん……っ……恥晒しの他ねぇっての)

 おれの下半身を大胆に牛耳っているヴァッハトはというと、やはり顔色ひとつ変えることはなく。ただただ魔力のコントロールの一貫とばかりに機械的に、おれの下半身に強い刺激を与えてくるのだ。
 こんなことになるなんてちっとも聞いてなかったのに!と、悪態を吐いてしまいたいというのにいかんせんそれは叶わず。ずちゃっずちゃっずちゃっと、卑猥な音が加速していくことにより身体中が熱に帯びていく。

(ば、か、やろうッ)

 終わったら絶対ビンタでも食らわせてやるという気持ちは絶えず。そろそろかとばかりにヴァッハトのおれの陰茎を扱く手の動きが、更に早まっていってしまう。

「んくっ、ぅ、は、ぁ、ァア!」

 やめろやめろやめろといくら頭を激しく振ったところでそれが通じる男ではなく。本格的におれの中で膨らみ続ける動揺は隠しきれず。ガクンッと一際大きな腰の動きをしたところで、あろうことかフィニッシュを迎えたおれの精液が、うっかりヴァッハトの顔に飛び散ってしまった。

(やっちまったーー!!!!これ絶対に怒られる奴!!)

 ヴァッハトの顔に飛び散ったそれはむわんとした雄の匂いで室内が充満し始め。意外にもこちらの思惑とは裏腹に、平気そうな表情で自身の顔を拭ったヴァッハトはここに来てようやく、手応えのいった仕事に達成感すら抱いているように、見えなくもない。
 色恋抜きのこんな行為は生まれて初めてなものだからおれの中では、なんとも言えない感情が生まれてしまっている。

(顔が見れねぇ。こんなこと始めたのはこいつからなのに、なんでおれの方が居た堪れなくなってんだ)

 するとだ、この行為によりどうやらヴァッハトが求めていた魔力放出の最低範囲内にへと達したようで。もうここに用はないとばかりにむくりとおれの上から起き上がると、少し乱れたらしい長髪を整えるなり、室内の出口にへと向かって行ってしまう。
 そんな姿に思わず手を伸ばし何か言葉で呼び止めようとしたところで、もうこちらに背中を向けていたヴァッハトが、ピタリと足を止めるなりこちらを振り返った。

「ああ、そうだ。魔力をコントロール出来るまではこの方法で行くつもりだから、お前も覚悟を決めておけよ」
「なッ」

 かろうじて初めの方は〝魔王陛下〟とちらほら呼ばれていたというのにいつの間にか、〝お前〟で定着してしまったらしく、ふてぶてしくも見えるヴァッハトに、今のおれはこの場でわなわなと震える他なかったのだった。
 そして、至極当然のようにまたカツカツとこの場から立ち去って行くヴァッハトのうしろ姿にこれはもう本当に覚悟を決めておくしかないのだなと心から思うしかなかったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

処理中です...