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ハインの従兄弟③
しおりを挟むそろそろハインの太い指が胎内に馴染んできた頃、ふとここで上から見下ろしてきているハインの深い紺色の目が、おれを熱っぽい眼差しでみつめていることに気づいてしまう。
どくんっどくんっと胸の中が騒がしくなってきてしまうのはどうしてだろうか。これがもう魔力のコントロール云々のレベルではないことを自覚してしまったからだろうか。
あまりハインの顔を見れないと思ったところでまた慣れない〝貴方〟呼びが、聞こえてきたものだから、とりあえず先にむずむずするようなその違和感を消してしまった。
「なあ、ハイン」
「なんだ」
「その……呼び方はやめて欲しい」
「その呼び方?」
あまりハインの中で自覚がないのか。目を丸くさせていることに気づけば自分から、申し出るのも恥ずかしいなと感じつつも、小声になりつつもこう伝えることにした、ら
「雅人って呼んで欲しいんだけど」
「マサト……」
「うん」
本当、つい少し前々でのお前呼びが信じられないほど今のハインは、おれを敬ってきているようにさえ見える。
するとだおれの言葉を繰り返したあとにじっとまた見つめてくる。なに?と声をあげようとしたところで、ハインの表情が強張ったのが分かる。
「それは私しか知らない名前か、アイツにもーー……」
「クロイツは教えてねぇから、今おれの名前知ってるのはハインだけ、だから」
もう、〝アイツ〟と聞いただけでそれがクロイツのことを指しているのは手に、取るように分かってしまうもので。
おれのその返しになんだかあのハインがホッとした安堵すらついたような気がした。見間違えかーー?と目を擦りそうになるが、何やら今ので気を良くしたらしいハインが、少しその口角をくっと上げるなり、整った顔がおれの顔に近づいてくる。
お互いの鼻の先がひっつきそうなくらい近くに。
「マサト」
「あ、」
名前を呼ばれるだけでこうもどくんっと胸が波打つだなんて。こんな感覚をハイン相手に感じさせられるとは微塵も思ってなかった。きっとおれの中でもう、ハインという男は特別になってしまっている。
それはきっとハインもそうなのかもしれないーーいや、そうであって欲しいなとおれは目を閉じては更に、近づいてくるハインを受け入れることにしたのであった。
ーーーー
「上手くいった……っていう表情をしていますね、陛下」
「は?え、いや、」
正直あのあとハインにずっとドキドキと胸の中が騒がしかった為、ハインがおれのどこを責め立ててどこに愛撫を与えてきていたのか、少し曖昧だった。
思い出そうとすると頭の中がいっぱいいっぱいになり、自分が自分ではなくなりそうだから今は考えるのをやめとこうとさえ、思っていたところでのこの、クロイツの登場。
目の前のにこにことしたクロイツの様子から見るとどうやら、今回のことはクロイツに仕組まれたようにも伺える。
「愛も必要ないって顔をした従兄弟にようやく花の芽が咲いたようで、俺も心から祝福をあげたいです」
「そ、そんなんじゃねぇって!もう!」
「ほう?」
「だから本当に愛だとか、そういんじゃなくてっ!……でもまあ、仲は前よりは少し良くなったかもしれないけどさぁ」
「それは良かったです」
「~~」
そもそも二人の親睦を深めるのが目的でしたからねと、クロイツは開き直ったかのようにそうやって、変わらず微笑んでる。ここでまた感じさせられるのは、この男が本当にあの堅物のハインの従兄弟とは信じ難いという気持ちであり。
とりあえずこの先何かあった時はこのクロイツのことは味方に、つけておこうと感じたのは言うまでもない。
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