Vulture's wish Swan's prayer

batter

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僕のターンの終わり。次で最後なはず。

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「昔、孤児院で話しかけてくれた子がいたんです。その子は近寄り難い雰囲気で誰も話しかけなかった。勿論、僕も。
僕は先程も述べたように独りぼっちでしたから本棚に並べてある本をいつも狭い庭の木の下でで読んでいました。でもあの...時、いつものように本を読んでいると、ふと気配を感じました。
ギョッとして周りを見るとその子がいつの間に本を覗き込んでいたんです。
その子はニコニコしながら僕に君は理解力がありそうだから、一つ面白い話をしてあげるって言ってきて」

ここから少し回想に入るから注意してくれ。

その子の短い髪がサラサラとそよ風が流してゆく。

「織姫と彦星の話の話は知っているだろう?」


「...うん」

「神によって引き裂かれた二人は一年に一度だけ天の川を渡って会うことが出来る。でもそれはお互いが七月七日、天の川の端で短冊に同じ願い事を書いた時にだけ天の川を渡ることが出来るんだよ。だから一方が違う願い事を書いてしまったら二人は会うことが出来ないんだ。」

そんな話は本には書いてなかったはずだ。
僕を揶揄うための作り話だろうか。

「へー、」

僕は適当な返事をした。

「その顔、この話作り話だと思ってるでしょ。」

ぐっ、言葉に詰まる。図星だったから。

その子は頬を膨らませたまま言う。

「本当だよ、試しにここから出たら行ってみるといい。色んな人が願い事を叶えたいと短冊を飾るけど、未だ叶った人はいない。それはちゃんとした手順を踏んでないからさ」

「ちゃんとした手順...?」

「あぁ。彼らは崇高な儀式を行っていない。儀式には必要な道具が幾つかあってそれをまずは集めなければならないんだ。」

「一つ目はこと座の海底神殿にある。そこで織姫が織ったであろう羽衣と着物を手に入れるんだ。あ、あと琴も。」

「二つ目はわし座の連なる山脈にある。そこで大鷲の羽を二枚手に入れる。一枚目は羽根ペンに、もう一枚は矢に加工してもらうんだ。その羽根ペンで銀の短冊に願い事を書く。」

「三つ目は白鳥座の湖にある。そこで硝子の白鳥を砕いて織姫と彦星お揃いの首飾りを作る。あと、湖の当たる月の光を集めてそれで銀の短冊を作る。」

「そこまで完了したら七月七日の夜、天の川の端と端に織姫役と彦星役が並ぶ。
まぁ、あくまでなりきりだからね、1度、両端に行かなければならないんだ。両端に着いたら織姫は琴を弾きながら豊作の願いと彦星への愛の唄を歌う。
彦星はそれに応えるために牛の角笛を吹く。それから大鷲の矢に恋文を括り織姫が居る場所に向けて打つ。それには短冊に書く願い事も書いてあるからそれを読んだ織姫が短冊に願い事を書く。それを見届けた彦星も続けて書く。」

「こうして願いごとが叶うんだよ。」

なんという壮大な話だろう。まるでおとぎ話だ。しかも色々な星座が出てきて頭がこんがらがっている。

僕はおずおずと彼を見た。

「...幾つか質問したいんだけど...いい?」

「どうぞ」

「...弓と牛の角笛は何処で手に入れるの?」

「弓は矢を作ってくれた人がくれるはずだよ。ちゃんと事情を話したらね。角笛は琴の隣にあるはず。」

「もしどちらかが違う願い事を書いていたらどうなるの?」

「どちらかの願いが二分の一で叶うよ。」

「どうして、こんな話知ってるの?」

「それは...僕の祖母が話してくれたから。
僕の両親が死んでからここに至るまで大切に育て手くれた人。」

「...そうなんだ。その、おばあさんが願い事を叶える儀式をしたからこんなに詳しいの?」

「さぁ、そこまでは知らない。」

「え」

えぇ、最後に来て丸投げするの。とツッコミを入れたくなった。

「まぁ、詳しい話はやっぱりそこにいる人に聞けばいいよ。じゃあ、僕はこれで。」

「あ...うん。」

その子は何事も無かったかのように僕の元を去っていった。

彼の話は本当なのだろうか。あまり、信憑性はないと思う。証拠も文書もないし。

だけど、信じたいとも思った。
願い事を叶えたい、この苦しい日々から抜け出したい。

相手など現れないことを知っていたとしても。
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