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番外『石の宴に獣は咆える』前編
「うえー、綺麗な石を拾ったら呪われちまった! 女房にくれてやろうとしたのによ」
青い顔をしながらふらふらと村に入ってきた隣の家のノイエさんが道の途中でしゃがみ込んでいた。どうしたのかなと声を掛けた時に帰ってきた答えがこれ。
この世界は魔素で満ちている。たまに道端にできている魔素だまりから魔素が変化した物質が出来上がることがあり、たまにその中には呪いを発動する物もある。
たまたまノイエさんは運悪く呪いの掛かった石を拾ってしまったらしい。
魔素だまりから生まれ出た石は、大抵とても透き通っていて、魔素がこれでもかと詰め込まれているから、様々な物に加工可能だった。売れば多少の小銭になるし、加工して身に付ければ身を守る物にもなる。
それは石の形だけではなく、よくわからない金属やわけのわからない植物になることもあり、よくない魔素が溜まると稀に魔物が生まれたりもする。
子供たちも家が貧しい時はこっそりと森に入り、魔素だまりの石を拾って小銭を稼いで家を助けることもある。
そんな生活の俺たちは、呪いは常に身近な物で。
俺は懐から一本の瓶を取り出した。
俺が作った解呪薬だ。そこらへんにある草や水で作れる簡単な薬なのに、このノイエさんはそれすらめんどくさがって自分では決して作ろうとはしなかった。
「はい、解呪薬。自分でちゃんと用意しておきなよ。変な呪いに掛かったら笑えないよ」
「おー、ありがとな、フォリスちゃん。持つべきものは手先の器用な隣人様様だ! そういや、ジャルのやつはどうしたんだ?」
ノイエさんの言葉に、俺はちょっとだけ苦笑した。
ジャル、というのは俺の番と呼ばれる結婚相手の獣人だ。青銀色の毛並みをしており、人族標準背丈の俺の頭よりさらに頭二つは軽く大きな立派な狼で、結婚してそろそろ三年が経とうとしている。
ここは大陸の東寄りに位置する人族と獣人とエルフが混在して暮らしている小さな村だ。
「ジャルは今、長老会議とかで獣人の村に行ってるよ。帰ってくるのはまだ先じゃないかな。会議が長引いたら帰れないって言ってたし」
「獣人の長老会議か……それじゃ仕方ねえな」
「うん」
薬を飲みほしたノイエさんは、うーんと伸びてから立ち上がった。
そして、西の方の空を見る。
西の空には、黒い雲が覆っていた。
その雲は話によるととてつもなく嫌な気の魔素で出来ているらしく、それは今まさに少しずつ少しずつ大きくなっていた。
「あの分じゃ、王都はもうヤバいよな。獣人たちも会議をするってことは、そろそろこの地もヤバいってことか」
「うん……」
黒い魔素からは、力の強い魔物が生まれると言われている。この辺はまだ俺でも消せる魔物しか出てこないからいいけれど、もっともっと強い魔物が出てきたら、と考えると、そろそろ村を捨てる覚悟を決めた方がいいのかもしれない。
家に向かうノイエさんに手を振りながら、俺は遠く獣人の都まで足を伸ばしたジャルのことを考えた。
俺たちの住んでいる大陸は、王都を中心に大きな街と小さな村がいくつか点在しており、自然豊かな豊穣の大陸として栄えていた。
人族、エルフ族、獣人、あらゆる種族が同じ土地に住み、皆がそれぞれ自分の能力に見合った仕事を請け負っている。
俺は何のとりえもない人族だけれど、一応文字に明るいからと、普段は家の雑事をしつつ細々と物書きをして家計の足しにしていた。
他の者は、辛うじて文字を読めても書けなかったり、読むのも覚束ない者がほとんどだった。識字率はそれほど高くないのだ。
皆がそれぞれ、裕福とまではいかなくても、食べていけないほど貧しいわけでもなく、それなりに平和に幸せに暮らしていた。
そんな中、王都が大変なことになっている、と西の王都から逃げて来たらしい旅人が村で呟いた。
曰く、王が神の使いの入れ物で、闇に染まってしまった、と。欲しい物を手に入れることが出来る神の使いの入れ物を、無尽蔵に使っていると。
あの黒い雲は、王の手にした神の入れ物から出ているのだと。
既に王宮は魔物の住処になってしまった、と、旅人は身体を震わせながら言った。
王の欲は留まるところを知らず、王宮の者たちの命まで対価にしてしまったらしい。
そして、入れ物から発生する闇は深くなり、対価は膨れ上がり、周りの者や物だけでは足りなくなってしまった王は、それでももっともっととさらに欲を出し、あらゆる物を欲しがり、とうとう王宮からその欲は飛び出して周辺の地まで手を伸ばすようになってしまった。闇により王はさらに狂い、ひたすら欲しがり、またも闇が発生する。負の連鎖だ。
旅人はそらを見上げて黒い雲に怯え、海の向こうを目指すと、村には一晩だけ留まり東へ行ってしまった。
少しずつ広がっている黒い雲が、俺の目にはどうしても滅びを予兆し絡め捕らんと糸を伸ばす悪魔の蜘蛛に見えて仕方なかった。
そのまま数日はなんとか平穏な日が過ぎていった。
ノイエさんは相変わらず何か珍しい物を拾うと奥さんにプレゼントしていたし、俺は家の事と物書きの仕事をこなしつつジャルの帰りを待っていた。
その日は依頼された物書きを終わらせそれを送るために隣町の馬車屋に足を伸ばしていた俺は、街道を走るジャルとばったり会った。
ジャルは俺を見つけた瞬間さらにスピードを上げ、俺を救い上げて柔らかくて触り心地のいい体毛で俺の身体を包み込んだ。
すぐに顔にキスの嵐が降ってくる。
「ちょ、ジャル、待って、ここ、街道だから……っ」
腕力で絶対にかなわない俺が腕を突っぱねようとしても全然ジャルはやめようとしてくれない。道に人通りがなくてよかった、と思いながら諦めてキスの嵐が過ぎ去るのを待つ。
しばらく好きにしていたジャルは、ようやく満足したのか、最後に大きく俺の頬を一舐めしてキスをやめてくれた。
「おかえり、ジャル」
「ただいま、待たせたなフォリス。これからどこかに行くところだったのか? ここは人通りが少ないから一人では危ないだろ」
心配そうに顔を覗き込むジャルに笑って見せると、俺は肩から掛けたカバンの中から安い紙の束を入れ魔法陣で封をした袋を出して見せた。
「これ、仕事が終わったから馬車屋で送ってもらおうと思って。これのお金が来たらジャルの好物を作ろうね」
「馬車屋だな。掴まってろ」
ジャルは俺の答えを聞いて、今来た道を俺を抱えたまま走り始めていた。人族やエルフが使う馬よりもっと速い獣人の足によって、馬車の様に揺れることもなく安定したまま景色が流れるようにぐいぐい進んで行く。
慣れないころはジャルの走りでよく目を回した俺だったけれど、番になって三年も経つと慣れもする。ジャルの胸の体毛の感触を楽しみながら馬車屋まで連れて行って貰った。
馬車屋に袋を託すと、またもジャルの腕に抱えられ、歩くと数時間かかる隣町までをほんの十分ほどで帰りついた。
まっすぐ家に戻ったジャルは、家のドアを閉めた瞬間、またも俺の顔にキスをし始めた。
長い舌を使って俺の口の中を味わい、その大きな手は爪をしまい、柔らかい手のひらで俺の服をはだけ始めた。
「ジャル、疲れてるんじゃない? すぐに、その、こういうこと、大丈夫なの?」
「俺の体力を舐めるなよ。このまますぐにフォリスを抱いても三日三晩くらいなら体力が持つ」
「そ、そんなの俺が壊れそう……」
久し振りの俺の匂いに、ジャルは発情したらしい。
獣人は人族と違って、番が出来るとその番にしか発情しなくなる。それは番が死んだときに解除されるらしいけれど、番を亡くした獣人が次の番を探すところを俺は見たことがない。
獣人はそれほど愛情深い種族だから。きっと番がいても他にうつつを抜かすのは人族だけだと思う。人族はよく番以外の人とまぐわうから。
ジャルが発情の証に、ふさふさの気持ちのいい尻尾を俺に絡めて来る。それを撫でると了解を出したことになるのだと、俺はジャルと番になって初めて知った。
フサ……とジャルの尻尾が俺のわき腹を撫でる。
ちょっと遠慮がちなのがすごく可愛いと思う。
その尻尾の動きに顔を綻ばせながら、俺は尻尾の付け根から先までを手で優しく撫でた。
獣人でも十分に休める大きなベッドに転がされ、ジャルを見上げる。
なんの特技もないただ文字書きと読みが堪能なだけの人族である俺に惚れてくれたこの立派な獣人は、東の地域の獣人をまとめる若長老を務めている。獣人の長老は世襲ではなくその獣人の力と内面を皆で話し合い、それにふさわしい者をそこに据えるらしい。確かにジャルはとても人懐っこく、すごく優しい。力の強い獣人の中でも群を抜いて力が強く、そして、特異な力も強い。
最初はそんなジャルに俺なんか釣り合うわけないと思っていたけれど、ジャルが「釣り合う釣り合わないなんて正直どうでもいい。俺はただフォリスが好きなだけだ。他の誰でもない、フォリスのすべてに惚れたんだ」と堂々と言ってくれたので、今では幸せだけを享受している。
ジャルの大きな手が俺の肌を滑っていく。
体格が違い過ぎて、身体を重ねるようになって三年経った今でもジャルの雄のすべてを身体の奥に受け入れられたことはないけれど、それでも身体を重ねられるこの奇跡を、俺はいつでも神に感謝していた。
ゆっくりと解して柔らかくなった俺の双丘の間に、ジャルの雄々しい楔が宛がわれる。
いつでも最初は息が詰まるほど苦しいけれど、それでも受け入れるとそれはすべて甘やかな快感に取って代わり、俺は身体の奥までジャルの熱を感じてあられもない声を出した。
「ふ……っ、あ、あぁあ、あっ、ん」
ジャルの雄を受け入れながら、快感に霞む瞳でジャルを見上げる。
いつもは蕩けるような表情で俺を見下ろすジャルは、ふと一瞬だけ目を細めた。あまり見ない表情だった。
「……ジャル……?」
「フォリス……頼みがある」
ゆっくりと俺の中を刺激しながら、ジャルがいつになく真剣な声を出した。
少しだけ胸を過る、不安。
「何……?」
俺の額から流れた汗を舐めとるジャルに訊くと、ジャルは切なげな表情を浮かべて、「今日は。今日だけは」と呟いた。
「最後まで、俺をこの中に受け入れて欲しい……」
最奥まで突かれていてなおまだ挿入しきれていないそれを、少しだけさらに挿し込む。
途端に奥が圧迫されて、はか、と息が洩れた。
「これを最後まで挿し込んじまったらフォリスが辛くて気持ちよくないってのは十分わかってるんだけどよ……」
これを最後まで挿入されたら、俺の身体はどうなるのか、全く想像がつかなくて少し怖い。
答えに窮していると、俺をじっと見降ろしていたジャルがふいっと目を逸らした。
「いい、無理なことを言っちまったな。この状態でも俺は満足なんだ、忘れてくれ」
に、といつもの笑顔を乗せたジャルがとても不自然に見えて、俺はがしっとジャルの顔を両手でつかんだ。
「いいよ。全部、挿入して」
まっすぐにジャルの目を見てそう言うと、ジャルは目をまん丸にした。
その顔がとても無邪気で可愛くて、俺は自分からジャルの大きな口もとを舌で舐めた。
目の前が常にチカチカする。
頭の中は動きを停止したかのように熱に浮かされ、腹の奥はまるで口から棒が出て来るかのような錯覚に陥るほどに奥のさらに奥まで硬い熱い物が突き刺さっている。
そして、ジャルの雄の付け根に近い部分が今までになくギチギチに膨らんでいて、それがひたすら俺のいいところを刺激し続けてくる。
カハッと短く息を吐けば、心配そうな、でも今までないくらい熱に浮かされたような複雑な色のジャルの瞳が覗き込んでくる。
少しジャルが身動ぎするだけでそこから脳天に熱が突き抜ける。
ジャルの腕を抑える手には力が入らずフルフルと震える。
苦しいけれど、それだけじゃない。
脳をとろかしてしまうんじゃないかと錯覚するほどの快感によって涙と唾液が垂れると、それはすべてジャルの舌によって舐めとられていく。
「フォリス、フォリス、大丈夫か……?」
今までの発情の比じゃない熱のこもった声で、何か激情を我慢するかのように震えながらジャルがそれでも俺を気遣ってそう訊いてくれる。
ああ、これが本当の獣人の交尾なんだと、その声で気付く。
今までのは前戯に近い戯れだったんだと。
「だい、じょうぶ……っ、ジャル、嬉しい……」
苦しいけれど、それよりももっと熱い何かが胸の奥から生まれてくる。
その熱を感じるままに顔をほころばせた瞬間、ジャルの動きが激しいものに変わった。
ひたすら奥の奥を突き刺し続け、いいところをゴリゴリと擦り続けたジャルは、俺が熱と快感で意識を飛ばしかけた瞬間に最奥に熱を注いだ。
腹の奥を魔力の籠った熱がグルグルと駆け回るような錯覚に陥りながら、膨らみも収まりいつもの状態の雄に戻ったものがずるりと抜かれていくのを名残惜し気に締めつけた。
夕方から夜にかけての幸せで淫らな身体の酷使で、俺が目を覚ましたのは昼過ぎだった。ひっそりと静まり返った家の中にジャルの気配はない。
昨日の長老会議で決定したことをここの村の村長に伝えに行ってるんだろうと当たりをつけて、痛む腰を抑えながらゆっくりと立ち上がる。せめてジャルのご飯を作って待っていようとキッチンに立つと、すぐにドアが開いた。
「フォリス、村長と話し合って決定したことなんだが……」
ドアを開けて入ってきながら、ジャルが口を開く。
俺は手に鍋を持ち、頷きながら続きを待った。
「この村を放棄して、隣の大陸に移住することに決定された。この大陸のどこの村もどこの街も同じ決定をしたと思う……あの魔素に飲み込まれたところ以外は」
「……」
覚悟していたとはいえ、実際にその言葉を聞くと、衝撃が大きかった。
外の黒い雲はいよいよ大きくなってきて、広がる速度を上げている。
ここを覆うのも時間の問題だった。
「王都のあの強欲王がとうとう禁忌色に染まった。王都付近の怪異はとうとう近隣の村だけじゃなくてさらに輪を広げてあらゆる物や人を無尽蔵に飲み込み始めちまった……。この大陸の時間はあんまり残されてねえ。あれに飲み込まれずに生きていけるのは、獣人やエルフの魔力の高い奴らだけだ。人族はまず闇に染まって魔物の糧となっちまう」
「……うん」
生まれてからずっとこの平和な村で生きてきた。
それは俺なんかよりずっと前から生きてるジャルだって同じこと。
辛いのはきっと、俺よりもジャルの方が大きくて。
それでも、こういう時に決まって涙をこぼしてしまう弱虫は、俺で。
「守れなくて、すまない……」
目から零れ落ちる涙を止めることも出来ないまま、俺は首を横に振った。
「覚悟はできてたんだ。王様が神の使いの入れ物に手を出してしまったと聞いてから、多分この大陸のどの人も覚悟をしてたと思う。でも、実際に聞くと……やっぱり、この幸せな家を放棄するのは寂しくて」
目を伏せるジャルの胸に飛び込み、抱きしめる。やっぱり慣れ親しんで、ジャルと愛を育んできたこの土地を離れるのは辛い。
でも。と俺はぐいと零れ落ちた涙を袖で拭った。
「でもさ、この地に住むことが重要なんじゃなくて、俺とジャルが一緒に幸せに住めるっていうのが重要なんだよね」
「フォリス……じゃあ、早速、その幸せに住める土地に移住する用意でもするか」
「うん」
こうして、俺たちの村の人々は、住み慣れた土地を離れ、海を渡り、隣の王国に逃げ延びた。海にも魔物が出るということは本当にギリギリだったと言わざるを得ない。内陸の方の人たちは既にこの王国に逃げてきているらしい。
船から新しい土地に降り立った俺は、今度こそ幸せに生きれるんだという希望を胸に、曇りのない綺麗な大気を胸いっぱいに吸い込んだ。
青い顔をしながらふらふらと村に入ってきた隣の家のノイエさんが道の途中でしゃがみ込んでいた。どうしたのかなと声を掛けた時に帰ってきた答えがこれ。
この世界は魔素で満ちている。たまに道端にできている魔素だまりから魔素が変化した物質が出来上がることがあり、たまにその中には呪いを発動する物もある。
たまたまノイエさんは運悪く呪いの掛かった石を拾ってしまったらしい。
魔素だまりから生まれ出た石は、大抵とても透き通っていて、魔素がこれでもかと詰め込まれているから、様々な物に加工可能だった。売れば多少の小銭になるし、加工して身に付ければ身を守る物にもなる。
それは石の形だけではなく、よくわからない金属やわけのわからない植物になることもあり、よくない魔素が溜まると稀に魔物が生まれたりもする。
子供たちも家が貧しい時はこっそりと森に入り、魔素だまりの石を拾って小銭を稼いで家を助けることもある。
そんな生活の俺たちは、呪いは常に身近な物で。
俺は懐から一本の瓶を取り出した。
俺が作った解呪薬だ。そこらへんにある草や水で作れる簡単な薬なのに、このノイエさんはそれすらめんどくさがって自分では決して作ろうとはしなかった。
「はい、解呪薬。自分でちゃんと用意しておきなよ。変な呪いに掛かったら笑えないよ」
「おー、ありがとな、フォリスちゃん。持つべきものは手先の器用な隣人様様だ! そういや、ジャルのやつはどうしたんだ?」
ノイエさんの言葉に、俺はちょっとだけ苦笑した。
ジャル、というのは俺の番と呼ばれる結婚相手の獣人だ。青銀色の毛並みをしており、人族標準背丈の俺の頭よりさらに頭二つは軽く大きな立派な狼で、結婚してそろそろ三年が経とうとしている。
ここは大陸の東寄りに位置する人族と獣人とエルフが混在して暮らしている小さな村だ。
「ジャルは今、長老会議とかで獣人の村に行ってるよ。帰ってくるのはまだ先じゃないかな。会議が長引いたら帰れないって言ってたし」
「獣人の長老会議か……それじゃ仕方ねえな」
「うん」
薬を飲みほしたノイエさんは、うーんと伸びてから立ち上がった。
そして、西の方の空を見る。
西の空には、黒い雲が覆っていた。
その雲は話によるととてつもなく嫌な気の魔素で出来ているらしく、それは今まさに少しずつ少しずつ大きくなっていた。
「あの分じゃ、王都はもうヤバいよな。獣人たちも会議をするってことは、そろそろこの地もヤバいってことか」
「うん……」
黒い魔素からは、力の強い魔物が生まれると言われている。この辺はまだ俺でも消せる魔物しか出てこないからいいけれど、もっともっと強い魔物が出てきたら、と考えると、そろそろ村を捨てる覚悟を決めた方がいいのかもしれない。
家に向かうノイエさんに手を振りながら、俺は遠く獣人の都まで足を伸ばしたジャルのことを考えた。
俺たちの住んでいる大陸は、王都を中心に大きな街と小さな村がいくつか点在しており、自然豊かな豊穣の大陸として栄えていた。
人族、エルフ族、獣人、あらゆる種族が同じ土地に住み、皆がそれぞれ自分の能力に見合った仕事を請け負っている。
俺は何のとりえもない人族だけれど、一応文字に明るいからと、普段は家の雑事をしつつ細々と物書きをして家計の足しにしていた。
他の者は、辛うじて文字を読めても書けなかったり、読むのも覚束ない者がほとんどだった。識字率はそれほど高くないのだ。
皆がそれぞれ、裕福とまではいかなくても、食べていけないほど貧しいわけでもなく、それなりに平和に幸せに暮らしていた。
そんな中、王都が大変なことになっている、と西の王都から逃げて来たらしい旅人が村で呟いた。
曰く、王が神の使いの入れ物で、闇に染まってしまった、と。欲しい物を手に入れることが出来る神の使いの入れ物を、無尽蔵に使っていると。
あの黒い雲は、王の手にした神の入れ物から出ているのだと。
既に王宮は魔物の住処になってしまった、と、旅人は身体を震わせながら言った。
王の欲は留まるところを知らず、王宮の者たちの命まで対価にしてしまったらしい。
そして、入れ物から発生する闇は深くなり、対価は膨れ上がり、周りの者や物だけでは足りなくなってしまった王は、それでももっともっととさらに欲を出し、あらゆる物を欲しがり、とうとう王宮からその欲は飛び出して周辺の地まで手を伸ばすようになってしまった。闇により王はさらに狂い、ひたすら欲しがり、またも闇が発生する。負の連鎖だ。
旅人はそらを見上げて黒い雲に怯え、海の向こうを目指すと、村には一晩だけ留まり東へ行ってしまった。
少しずつ広がっている黒い雲が、俺の目にはどうしても滅びを予兆し絡め捕らんと糸を伸ばす悪魔の蜘蛛に見えて仕方なかった。
そのまま数日はなんとか平穏な日が過ぎていった。
ノイエさんは相変わらず何か珍しい物を拾うと奥さんにプレゼントしていたし、俺は家の事と物書きの仕事をこなしつつジャルの帰りを待っていた。
その日は依頼された物書きを終わらせそれを送るために隣町の馬車屋に足を伸ばしていた俺は、街道を走るジャルとばったり会った。
ジャルは俺を見つけた瞬間さらにスピードを上げ、俺を救い上げて柔らかくて触り心地のいい体毛で俺の身体を包み込んだ。
すぐに顔にキスの嵐が降ってくる。
「ちょ、ジャル、待って、ここ、街道だから……っ」
腕力で絶対にかなわない俺が腕を突っぱねようとしても全然ジャルはやめようとしてくれない。道に人通りがなくてよかった、と思いながら諦めてキスの嵐が過ぎ去るのを待つ。
しばらく好きにしていたジャルは、ようやく満足したのか、最後に大きく俺の頬を一舐めしてキスをやめてくれた。
「おかえり、ジャル」
「ただいま、待たせたなフォリス。これからどこかに行くところだったのか? ここは人通りが少ないから一人では危ないだろ」
心配そうに顔を覗き込むジャルに笑って見せると、俺は肩から掛けたカバンの中から安い紙の束を入れ魔法陣で封をした袋を出して見せた。
「これ、仕事が終わったから馬車屋で送ってもらおうと思って。これのお金が来たらジャルの好物を作ろうね」
「馬車屋だな。掴まってろ」
ジャルは俺の答えを聞いて、今来た道を俺を抱えたまま走り始めていた。人族やエルフが使う馬よりもっと速い獣人の足によって、馬車の様に揺れることもなく安定したまま景色が流れるようにぐいぐい進んで行く。
慣れないころはジャルの走りでよく目を回した俺だったけれど、番になって三年も経つと慣れもする。ジャルの胸の体毛の感触を楽しみながら馬車屋まで連れて行って貰った。
馬車屋に袋を託すと、またもジャルの腕に抱えられ、歩くと数時間かかる隣町までをほんの十分ほどで帰りついた。
まっすぐ家に戻ったジャルは、家のドアを閉めた瞬間、またも俺の顔にキスをし始めた。
長い舌を使って俺の口の中を味わい、その大きな手は爪をしまい、柔らかい手のひらで俺の服をはだけ始めた。
「ジャル、疲れてるんじゃない? すぐに、その、こういうこと、大丈夫なの?」
「俺の体力を舐めるなよ。このまますぐにフォリスを抱いても三日三晩くらいなら体力が持つ」
「そ、そんなの俺が壊れそう……」
久し振りの俺の匂いに、ジャルは発情したらしい。
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獣人はそれほど愛情深い種族だから。きっと番がいても他にうつつを抜かすのは人族だけだと思う。人族はよく番以外の人とまぐわうから。
ジャルが発情の証に、ふさふさの気持ちのいい尻尾を俺に絡めて来る。それを撫でると了解を出したことになるのだと、俺はジャルと番になって初めて知った。
フサ……とジャルの尻尾が俺のわき腹を撫でる。
ちょっと遠慮がちなのがすごく可愛いと思う。
その尻尾の動きに顔を綻ばせながら、俺は尻尾の付け根から先までを手で優しく撫でた。
獣人でも十分に休める大きなベッドに転がされ、ジャルを見上げる。
なんの特技もないただ文字書きと読みが堪能なだけの人族である俺に惚れてくれたこの立派な獣人は、東の地域の獣人をまとめる若長老を務めている。獣人の長老は世襲ではなくその獣人の力と内面を皆で話し合い、それにふさわしい者をそこに据えるらしい。確かにジャルはとても人懐っこく、すごく優しい。力の強い獣人の中でも群を抜いて力が強く、そして、特異な力も強い。
最初はそんなジャルに俺なんか釣り合うわけないと思っていたけれど、ジャルが「釣り合う釣り合わないなんて正直どうでもいい。俺はただフォリスが好きなだけだ。他の誰でもない、フォリスのすべてに惚れたんだ」と堂々と言ってくれたので、今では幸せだけを享受している。
ジャルの大きな手が俺の肌を滑っていく。
体格が違い過ぎて、身体を重ねるようになって三年経った今でもジャルの雄のすべてを身体の奥に受け入れられたことはないけれど、それでも身体を重ねられるこの奇跡を、俺はいつでも神に感謝していた。
ゆっくりと解して柔らかくなった俺の双丘の間に、ジャルの雄々しい楔が宛がわれる。
いつでも最初は息が詰まるほど苦しいけれど、それでも受け入れるとそれはすべて甘やかな快感に取って代わり、俺は身体の奥までジャルの熱を感じてあられもない声を出した。
「ふ……っ、あ、あぁあ、あっ、ん」
ジャルの雄を受け入れながら、快感に霞む瞳でジャルを見上げる。
いつもは蕩けるような表情で俺を見下ろすジャルは、ふと一瞬だけ目を細めた。あまり見ない表情だった。
「……ジャル……?」
「フォリス……頼みがある」
ゆっくりと俺の中を刺激しながら、ジャルがいつになく真剣な声を出した。
少しだけ胸を過る、不安。
「何……?」
俺の額から流れた汗を舐めとるジャルに訊くと、ジャルは切なげな表情を浮かべて、「今日は。今日だけは」と呟いた。
「最後まで、俺をこの中に受け入れて欲しい……」
最奥まで突かれていてなおまだ挿入しきれていないそれを、少しだけさらに挿し込む。
途端に奥が圧迫されて、はか、と息が洩れた。
「これを最後まで挿し込んじまったらフォリスが辛くて気持ちよくないってのは十分わかってるんだけどよ……」
これを最後まで挿入されたら、俺の身体はどうなるのか、全く想像がつかなくて少し怖い。
答えに窮していると、俺をじっと見降ろしていたジャルがふいっと目を逸らした。
「いい、無理なことを言っちまったな。この状態でも俺は満足なんだ、忘れてくれ」
に、といつもの笑顔を乗せたジャルがとても不自然に見えて、俺はがしっとジャルの顔を両手でつかんだ。
「いいよ。全部、挿入して」
まっすぐにジャルの目を見てそう言うと、ジャルは目をまん丸にした。
その顔がとても無邪気で可愛くて、俺は自分からジャルの大きな口もとを舌で舐めた。
目の前が常にチカチカする。
頭の中は動きを停止したかのように熱に浮かされ、腹の奥はまるで口から棒が出て来るかのような錯覚に陥るほどに奥のさらに奥まで硬い熱い物が突き刺さっている。
そして、ジャルの雄の付け根に近い部分が今までになくギチギチに膨らんでいて、それがひたすら俺のいいところを刺激し続けてくる。
カハッと短く息を吐けば、心配そうな、でも今までないくらい熱に浮かされたような複雑な色のジャルの瞳が覗き込んでくる。
少しジャルが身動ぎするだけでそこから脳天に熱が突き抜ける。
ジャルの腕を抑える手には力が入らずフルフルと震える。
苦しいけれど、それだけじゃない。
脳をとろかしてしまうんじゃないかと錯覚するほどの快感によって涙と唾液が垂れると、それはすべてジャルの舌によって舐めとられていく。
「フォリス、フォリス、大丈夫か……?」
今までの発情の比じゃない熱のこもった声で、何か激情を我慢するかのように震えながらジャルがそれでも俺を気遣ってそう訊いてくれる。
ああ、これが本当の獣人の交尾なんだと、その声で気付く。
今までのは前戯に近い戯れだったんだと。
「だい、じょうぶ……っ、ジャル、嬉しい……」
苦しいけれど、それよりももっと熱い何かが胸の奥から生まれてくる。
その熱を感じるままに顔をほころばせた瞬間、ジャルの動きが激しいものに変わった。
ひたすら奥の奥を突き刺し続け、いいところをゴリゴリと擦り続けたジャルは、俺が熱と快感で意識を飛ばしかけた瞬間に最奥に熱を注いだ。
腹の奥を魔力の籠った熱がグルグルと駆け回るような錯覚に陥りながら、膨らみも収まりいつもの状態の雄に戻ったものがずるりと抜かれていくのを名残惜し気に締めつけた。
夕方から夜にかけての幸せで淫らな身体の酷使で、俺が目を覚ましたのは昼過ぎだった。ひっそりと静まり返った家の中にジャルの気配はない。
昨日の長老会議で決定したことをここの村の村長に伝えに行ってるんだろうと当たりをつけて、痛む腰を抑えながらゆっくりと立ち上がる。せめてジャルのご飯を作って待っていようとキッチンに立つと、すぐにドアが開いた。
「フォリス、村長と話し合って決定したことなんだが……」
ドアを開けて入ってきながら、ジャルが口を開く。
俺は手に鍋を持ち、頷きながら続きを待った。
「この村を放棄して、隣の大陸に移住することに決定された。この大陸のどこの村もどこの街も同じ決定をしたと思う……あの魔素に飲み込まれたところ以外は」
「……」
覚悟していたとはいえ、実際にその言葉を聞くと、衝撃が大きかった。
外の黒い雲はいよいよ大きくなってきて、広がる速度を上げている。
ここを覆うのも時間の問題だった。
「王都のあの強欲王がとうとう禁忌色に染まった。王都付近の怪異はとうとう近隣の村だけじゃなくてさらに輪を広げてあらゆる物や人を無尽蔵に飲み込み始めちまった……。この大陸の時間はあんまり残されてねえ。あれに飲み込まれずに生きていけるのは、獣人やエルフの魔力の高い奴らだけだ。人族はまず闇に染まって魔物の糧となっちまう」
「……うん」
生まれてからずっとこの平和な村で生きてきた。
それは俺なんかよりずっと前から生きてるジャルだって同じこと。
辛いのはきっと、俺よりもジャルの方が大きくて。
それでも、こういう時に決まって涙をこぼしてしまう弱虫は、俺で。
「守れなくて、すまない……」
目から零れ落ちる涙を止めることも出来ないまま、俺は首を横に振った。
「覚悟はできてたんだ。王様が神の使いの入れ物に手を出してしまったと聞いてから、多分この大陸のどの人も覚悟をしてたと思う。でも、実際に聞くと……やっぱり、この幸せな家を放棄するのは寂しくて」
目を伏せるジャルの胸に飛び込み、抱きしめる。やっぱり慣れ親しんで、ジャルと愛を育んできたこの土地を離れるのは辛い。
でも。と俺はぐいと零れ落ちた涙を袖で拭った。
「でもさ、この地に住むことが重要なんじゃなくて、俺とジャルが一緒に幸せに住めるっていうのが重要なんだよね」
「フォリス……じゃあ、早速、その幸せに住める土地に移住する用意でもするか」
「うん」
こうして、俺たちの村の人々は、住み慣れた土地を離れ、海を渡り、隣の王国に逃げ延びた。海にも魔物が出るということは本当にギリギリだったと言わざるを得ない。内陸の方の人たちは既にこの王国に逃げてきているらしい。
船から新しい土地に降り立った俺は、今度こそ幸せに生きれるんだという希望を胸に、曇りのない綺麗な大気を胸いっぱいに吸い込んだ。
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皆さまの応援のおかげで『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』書籍化、心から、ありがとうございます!
ふたりの動画をつくりました!
もしよかったら、プロフのwebサイトからどうぞです!
表紙や動画にはAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません
【8月書籍化♡】キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。
ボクの名前は、クリストファー。
突然だけど、ボクには前世の記憶がある。
ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て
「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」
と思い出したのだ。
あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。
そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの!
そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ!
しかも、モブ。
繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ!
ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。
どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ!
ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。
その理由の第一は、ビジュアル!
夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。
涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!!
イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー!
ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ!
当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。
ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた!
そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。
でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。
ジルベスターは優しい人なんだって。
あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの!
なのに誰もそれを理解しようとしなかった。
そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!!
ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。
なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。
でも何をしてもジルベスターは断罪された。
ボクはこの世界で大声で叫ぶ。
ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ!
ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ!
最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ!
※表紙その他のイラストはAIにて作成致しております。(文字指定のみで作成しております)
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ご拝読頂きありがとうございます!
コメント、エール、いいねお待ちしております♡
「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中!
連載続いておりますので、そちらもぜひ♡
【完結】悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
本編完結済です。
もっちもっち感謝祭で、リクエストいただいたお話を更新しています。
皆さまの応援のおかげで『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』書籍化、心から、ありがとうございます!
皆の動画をつくりました!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
表紙や動画にAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【完結】憧れの先輩アルファに告白されたんだがどうやら罰ゲームだったらしい
ある日の放課後、校舎裏で花壇の手入れをしていた上田凛斗に告白してきたのは、憧れの先輩であり校内の人気者でもある上條蘭世だった。
目付きの悪さと暗い性格のせいで恋人どころか友達もいない凛斗は、戸惑いながらもお試しで蘭世との交際をはじめたのだが……
美形溺愛アルファ×三白眼平凡オメガ
ベータだった俺が後天性オメガになったら、幼馴染アルファがもっと過保護になりました
ごく普通のベータとして生きてきた村井圭太(むらいけいた)は、ある日突然、希少な「後天性オメガ」に転化してしまう。
不安な日々が始まる……かと思いきや、幼馴染アルファの白河泰雅(しらかわたいが)とはまさかの両思い。
早々に『番(つがい)』となり、幸せな日々を送っていた。
「オメガになっても俺は俺」と持ち前のポジティブさで新しい生活に向き合っていく圭太。
だが、晴れて番となった泰雅は、今まで以上に過保護になっていく。
どんなトラブルも二人なら大丈夫!
過保護で執着強めなスパダリ幼馴染攻め(α) × ポジティブで男前な元ベータ受け(β→Ω)
明るくて幸せいっぱいオメガバース!
私の大好きなオメガバース。
愛をたくさん詰め込んだので、みなさまにも楽しんでいただけますように。
辺境食堂の隠れΩなのに、拾った皇帝陛下が嫁になれと迫ってくる
元宮廷料理人で隠れΩの青年レオは、帝国の辺境で小さな食堂兼農園を営みながら、誰にも縛られない平穏なスローライフを送っていた。
ある日、レオは裏庭の不思議な洞窟で、血まみれになって倒れていた大柄な青年アレクを拾う。
彼の正体は、お忍びで辺境を訪れていた帝国最強のα皇帝だった。
身分を隠してレオの家に居候することになったアレクは、レオの作る絶品の手料理と、彼から漂う穏やかな香りに冷え切った心を溶かされていく。
一緒に土を耕し、美味しいご飯を分け合ううちに、相反するはずの二人のフェロモンは心地よく調和していくが、やがて帝都からの追手が迫り……。
手料理が繋ぐ心と体。身分差を越えた、最強α皇帝と隠れΩ料理人の美味しくて甘い辺境スローライフが幕を開ける!
※本作にはボーイズラブ要素およびオメガバース設定(α、β、Ωの概念やフェロモンに関する描写)が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。