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292、画像、ゲット
ヴィデロさんはしっかりと約束の画像を添付してくれていた。
この携帯端末の番号は既に俺の端末に登録してるので、そこからさらに俺の携帯端末に転送する。
メールが届いた音が鳴ったので、早速開くと、ヴィデロさんからのメッセージはしっかりと俺の端末に届いていた。
ドキドキしながら添付を開く。
「んんん……!」
即壁紙にするほど可愛いヴィデロさんがこっちを向いていた。
でも、どの画像もちょっとだけ寂しそうな顔をしてるんだよな。今の笑顔が屈託なくて、嬉しくなる。
佐久間さんはずっと俺の方をモグモグしながら見ていたけれど、俺が奇声を上げた画像を覗き込んで、「おお」と声を上げた。
「ヴィルそっくりじゃねえか。前に社長が机にヴィルの写真を飾ってたけど、マジそっくり」
「だって今もそっくりですもん。ヴィルさんの方が全然線が細いですけど」
「あいつひょろいもんな」
「ヴィデロさんは胸筋とか上腕二頭筋とかがめちゃくちゃかっこいいですから!」
思いっきり豪語すると、佐久間さんが吹きそうになってむせていた。あ、窒息しそう。俺、そんなおかしなこと言ってないけど。
そんなことより俺の写真を添付して返信しないといけないんだよな。ヴィデロさん、俺の顔を見て100年の恋も冷めないかなあ。もっとかっこよかったらいいんだけどこればっかりは。
カメラを起動しながら手を伸ばす。自撮りってうまく撮れないんだよな。
携帯端末にうつりこんだ自分の顔を確認して、端末を調整するため手を動かす。
すると、するっと手から端末が抜き取られた。
「俺が撮ってやるよ。本物の顔を送るんだろ。健吾は手元のヴィルの弟写真でも見てろよ」
「え、あ、ありがとうございます」
佐久間さんが俺の手から抜き取った端末でそう言うなりカシャカシャ撮り始めたので、俺は慌てて端末に視線を向けた。
引きつる笑顔を浮かべる俺を声を出して笑いながら、佐久間さんはバシバシ撮っていく。
まともそうなの一枚だけ送ろう。そしたら、ヴィデロさんに顔を覚えてもらえるかな。もし向こうに行っても気付いてもらえるよな。
先に情報が渡せるのって、なんか得した気分。思わずえへへと笑ってると、佐久間さんが携帯端末を差し出してきた。
メールの返信に添付する写真を一枚選んで、拙い英語で『届きました 画像ありがとう 宝物です 愛してる』と打って、送信する。これ、ヴィデロさんに届くといいなあ。
メールが送られていく画像を見ながら、ちゃんと届きますようにと祈る。ついでに、俺の本当の顔も気に入ってもらえますようにとも。
「確認はしなくていいのか?」
「帰ったらしようと思ってます」
「ここで確認して、送れなかったらもう一回送ってみりゃいいんじゃねえの」
「でも」
俺が作ってきたサンドイッチをほぼ一人で食べ終わった佐久間さんは、ごちそうさん、とカップをシンクに置くと、俺に付いてくるように促した。
佐久間さんはそのまま俺を伴って部屋を横切ると、窓際に置いてあったギアを持ち上げ、それを俺にほい、と渡してくれた。
「IDとかわかんだろ。前にログインしたのと同じ機器だから、行ってみろよ」
「いいんですか?」
「今はバイト代発生してないんだろ。全然問題ねえ」
サムズアップする佐久間さんにお礼を言うと、俺は簡易ベッドを取り出して部屋の隅でそっとギアを被った。本当にいいのかなあと思いながら。
ログインして、すぐに門に走る。門に着くと、ロイさんが「ヴィデロなら中にいるぞ」とすぐに詰所に通してくれた。ロイさんがどうなったかも気になるけど、それよりもまずメールが届いたかどうかの確認だよ。
中に入って、食堂にいた門番さんたちに挨拶すると、マルクスさんが「お、今日も夜這いか?」なんてニヤニヤしながら声をかけてきた。
「ヴィデロなら部屋にいるぜ。そっと行って圧し掛かって来いよ」
「夜這い頑張れ」
「でも夜這いが成功したらヴィデロ捕まるんじゃねえ?」
「そん時は責任もって俺が捕まえてやるよ」
ヴィデロさん捕物帳で盛り上がり始めた食堂から、俺は奥の居住区に向かって足を進めた。ヴィデロさんの部屋の前に立ってノックをすると、中から「はい」と返事が来た。
「ヴィデロさん」
声を掛けると、中からドアが開けられた。招かれるまま部屋に入ると、ヴィデロさんはドアを閉めたか閉めないかのうちに、俺を抱き込んだ。
「本当に、届いた」
「うん」
「ケンゴの顔、見た」
「うん」
「可愛かった。マックよりもちょっとだけ、目が大きいんだな」
「うん。あの目のせいで俺の顔、年齢よりだいぶ下に見られるんだ」
「それも可愛い。……ありがとう、マック」
「うん」
胸に抱き込まれてヴィデロさんが今どんな顔をしてるかわからなかったけど、さっきのジンとした気持ちがまたも湧き上がってくる。ヴィデロさんもこんな気持ちなのかな。
衝動のままに、俺はしっかりとヴィデロさんの身体を抱きしめ返した。
ログアウトすると、佐久間さんはギアを被って仕事を再開していた。
ギアをあった場所に置いて、簡易ベッドをしまって、俺は佐久間さんに声を掛けた。
「この携帯端末、会社に置いてってもいいですか? 家では通信できなかったので、何かメールが送られてきた時受け取れないかもしれないから」
「おお。いいんじゃねえ? そこの棚の所に置いとけよ。充電器類もそこにあるから、分かりやすいだろ」
「ありがとうございます」
佐久間さんが指さした携帯端末が数個置いてある棚にそっとヴィルさんから借りた携帯端末を置くと、俺は荷物を持って佐久間さんに手を振り、会社を後にした。
階段を下りていると、丁度ヴィルさんが下から登ってきた。
俺に気付いたヴィルさんはちょっと驚いたような顔をしてから、口元を緩めた。
「やあ健吾。やっぱり家ではだめだったか」
一瞬でそう悟ったヴィルさんに苦笑で答える。
あれ、でもヴィルさんは最初お母さんからのメールを受け取った時、お爺さんの家で気付いたって言ってた様な。
そこも向こうとの電波状況が良かったのかな。
そんな疑問は顔に出ていたらしく、ヴィルさんは「何か気になることがありそうだな」と笑った。
階段の踊り場で立ち話もなんだから、とヴィルさんは登ってきた階段を俺と一緒に降り始めた。
ビルの外の自販機でジュースを買って、ビルの中に入って来る。
そして上には上らずに、守衛室の横の管理人室のドアをノックもなしに開けた。
「おいで。ここで俺の休憩にちょっとだけ付き合ってくれないか?」
「え、は?」
会社じゃなくて、管理人室で? と固まっていると、ヴィルさんが「このビルは俺の持ち物なんだ」といたずらっぽく笑った。
「祖父母が亡くなってから、即家を壊してこのビルを建てたんだ。土地だけは広かったせいか、税金が馬鹿にならないからね。家があっても税金で搾り取られるだけだから、どうせだったら収入に結び付けようと思って。だから俺が住んでるのは、このビルの最上階。そして下は貸しテナント。一階にカフェがあるだろ。俺がやってることはあんまり場所を取らないからなあ。裏の白い建物も俺の持ち物。あっちも会社名義の実験施設なんだ。向こうは正式に健吾が籍を置いたら案内するよ」
うわあ、人生勝ち組がここにいた。
さらっとなんてことないようにそんなことを言うヴィルさんに尊敬のまなざしを向けていると、ヴィルさんが「でも」とちらりと壁の方を向いた。その方向は、今ヴィルさんが言っていた白い建物がある方向で。
「なかなかうまくいかないもんだな。一進一退なんてうまい言葉を作った人をある意味尊敬するよ」
その視線と言葉の響きで、ヴィルさんもちょっと行き詰ってるんだってことがわかった。俺、それを手伝うことなんてできるのかな。でも、できるだけ頑張ろう。それにしても、そういうことをほいほい俺に言っていいのかなっていつも思うんだけど。
家に帰ってきた俺は、ヴィルさんに借りた端末からそのまま転送したヴィデロさんのメールをもう一度開けて、じっくりと見た。
確かに俺の名前が入っている。ってことは、これはやっぱりヴィデロさんが送ってくれたものなんだ。ヴィデロさんの端末には、俺のあほみたいな笑い顔の画像がしっかりと送られてたし。
今までにないほどのしっかりとしたつながりを感じて、俺は胸の中からこみ上げてくる何かを、深呼吸することで必死でいなすのだった。
この携帯端末の番号は既に俺の端末に登録してるので、そこからさらに俺の携帯端末に転送する。
メールが届いた音が鳴ったので、早速開くと、ヴィデロさんからのメッセージはしっかりと俺の端末に届いていた。
ドキドキしながら添付を開く。
「んんん……!」
即壁紙にするほど可愛いヴィデロさんがこっちを向いていた。
でも、どの画像もちょっとだけ寂しそうな顔をしてるんだよな。今の笑顔が屈託なくて、嬉しくなる。
佐久間さんはずっと俺の方をモグモグしながら見ていたけれど、俺が奇声を上げた画像を覗き込んで、「おお」と声を上げた。
「ヴィルそっくりじゃねえか。前に社長が机にヴィルの写真を飾ってたけど、マジそっくり」
「だって今もそっくりですもん。ヴィルさんの方が全然線が細いですけど」
「あいつひょろいもんな」
「ヴィデロさんは胸筋とか上腕二頭筋とかがめちゃくちゃかっこいいですから!」
思いっきり豪語すると、佐久間さんが吹きそうになってむせていた。あ、窒息しそう。俺、そんなおかしなこと言ってないけど。
そんなことより俺の写真を添付して返信しないといけないんだよな。ヴィデロさん、俺の顔を見て100年の恋も冷めないかなあ。もっとかっこよかったらいいんだけどこればっかりは。
カメラを起動しながら手を伸ばす。自撮りってうまく撮れないんだよな。
携帯端末にうつりこんだ自分の顔を確認して、端末を調整するため手を動かす。
すると、するっと手から端末が抜き取られた。
「俺が撮ってやるよ。本物の顔を送るんだろ。健吾は手元のヴィルの弟写真でも見てろよ」
「え、あ、ありがとうございます」
佐久間さんが俺の手から抜き取った端末でそう言うなりカシャカシャ撮り始めたので、俺は慌てて端末に視線を向けた。
引きつる笑顔を浮かべる俺を声を出して笑いながら、佐久間さんはバシバシ撮っていく。
まともそうなの一枚だけ送ろう。そしたら、ヴィデロさんに顔を覚えてもらえるかな。もし向こうに行っても気付いてもらえるよな。
先に情報が渡せるのって、なんか得した気分。思わずえへへと笑ってると、佐久間さんが携帯端末を差し出してきた。
メールの返信に添付する写真を一枚選んで、拙い英語で『届きました 画像ありがとう 宝物です 愛してる』と打って、送信する。これ、ヴィデロさんに届くといいなあ。
メールが送られていく画像を見ながら、ちゃんと届きますようにと祈る。ついでに、俺の本当の顔も気に入ってもらえますようにとも。
「確認はしなくていいのか?」
「帰ったらしようと思ってます」
「ここで確認して、送れなかったらもう一回送ってみりゃいいんじゃねえの」
「でも」
俺が作ってきたサンドイッチをほぼ一人で食べ終わった佐久間さんは、ごちそうさん、とカップをシンクに置くと、俺に付いてくるように促した。
佐久間さんはそのまま俺を伴って部屋を横切ると、窓際に置いてあったギアを持ち上げ、それを俺にほい、と渡してくれた。
「IDとかわかんだろ。前にログインしたのと同じ機器だから、行ってみろよ」
「いいんですか?」
「今はバイト代発生してないんだろ。全然問題ねえ」
サムズアップする佐久間さんにお礼を言うと、俺は簡易ベッドを取り出して部屋の隅でそっとギアを被った。本当にいいのかなあと思いながら。
ログインして、すぐに門に走る。門に着くと、ロイさんが「ヴィデロなら中にいるぞ」とすぐに詰所に通してくれた。ロイさんがどうなったかも気になるけど、それよりもまずメールが届いたかどうかの確認だよ。
中に入って、食堂にいた門番さんたちに挨拶すると、マルクスさんが「お、今日も夜這いか?」なんてニヤニヤしながら声をかけてきた。
「ヴィデロなら部屋にいるぜ。そっと行って圧し掛かって来いよ」
「夜這い頑張れ」
「でも夜這いが成功したらヴィデロ捕まるんじゃねえ?」
「そん時は責任もって俺が捕まえてやるよ」
ヴィデロさん捕物帳で盛り上がり始めた食堂から、俺は奥の居住区に向かって足を進めた。ヴィデロさんの部屋の前に立ってノックをすると、中から「はい」と返事が来た。
「ヴィデロさん」
声を掛けると、中からドアが開けられた。招かれるまま部屋に入ると、ヴィデロさんはドアを閉めたか閉めないかのうちに、俺を抱き込んだ。
「本当に、届いた」
「うん」
「ケンゴの顔、見た」
「うん」
「可愛かった。マックよりもちょっとだけ、目が大きいんだな」
「うん。あの目のせいで俺の顔、年齢よりだいぶ下に見られるんだ」
「それも可愛い。……ありがとう、マック」
「うん」
胸に抱き込まれてヴィデロさんが今どんな顔をしてるかわからなかったけど、さっきのジンとした気持ちがまたも湧き上がってくる。ヴィデロさんもこんな気持ちなのかな。
衝動のままに、俺はしっかりとヴィデロさんの身体を抱きしめ返した。
ログアウトすると、佐久間さんはギアを被って仕事を再開していた。
ギアをあった場所に置いて、簡易ベッドをしまって、俺は佐久間さんに声を掛けた。
「この携帯端末、会社に置いてってもいいですか? 家では通信できなかったので、何かメールが送られてきた時受け取れないかもしれないから」
「おお。いいんじゃねえ? そこの棚の所に置いとけよ。充電器類もそこにあるから、分かりやすいだろ」
「ありがとうございます」
佐久間さんが指さした携帯端末が数個置いてある棚にそっとヴィルさんから借りた携帯端末を置くと、俺は荷物を持って佐久間さんに手を振り、会社を後にした。
階段を下りていると、丁度ヴィルさんが下から登ってきた。
俺に気付いたヴィルさんはちょっと驚いたような顔をしてから、口元を緩めた。
「やあ健吾。やっぱり家ではだめだったか」
一瞬でそう悟ったヴィルさんに苦笑で答える。
あれ、でもヴィルさんは最初お母さんからのメールを受け取った時、お爺さんの家で気付いたって言ってた様な。
そこも向こうとの電波状況が良かったのかな。
そんな疑問は顔に出ていたらしく、ヴィルさんは「何か気になることがありそうだな」と笑った。
階段の踊り場で立ち話もなんだから、とヴィルさんは登ってきた階段を俺と一緒に降り始めた。
ビルの外の自販機でジュースを買って、ビルの中に入って来る。
そして上には上らずに、守衛室の横の管理人室のドアをノックもなしに開けた。
「おいで。ここで俺の休憩にちょっとだけ付き合ってくれないか?」
「え、は?」
会社じゃなくて、管理人室で? と固まっていると、ヴィルさんが「このビルは俺の持ち物なんだ」といたずらっぽく笑った。
「祖父母が亡くなってから、即家を壊してこのビルを建てたんだ。土地だけは広かったせいか、税金が馬鹿にならないからね。家があっても税金で搾り取られるだけだから、どうせだったら収入に結び付けようと思って。だから俺が住んでるのは、このビルの最上階。そして下は貸しテナント。一階にカフェがあるだろ。俺がやってることはあんまり場所を取らないからなあ。裏の白い建物も俺の持ち物。あっちも会社名義の実験施設なんだ。向こうは正式に健吾が籍を置いたら案内するよ」
うわあ、人生勝ち組がここにいた。
さらっとなんてことないようにそんなことを言うヴィルさんに尊敬のまなざしを向けていると、ヴィルさんが「でも」とちらりと壁の方を向いた。その方向は、今ヴィルさんが言っていた白い建物がある方向で。
「なかなかうまくいかないもんだな。一進一退なんてうまい言葉を作った人をある意味尊敬するよ」
その視線と言葉の響きで、ヴィルさんもちょっと行き詰ってるんだってことがわかった。俺、それを手伝うことなんてできるのかな。でも、できるだけ頑張ろう。それにしても、そういうことをほいほい俺に言っていいのかなっていつも思うんだけど。
家に帰ってきた俺は、ヴィルさんに借りた端末からそのまま転送したヴィデロさんのメールをもう一度開けて、じっくりと見た。
確かに俺の名前が入っている。ってことは、これはやっぱりヴィデロさんが送ってくれたものなんだ。ヴィデロさんの端末には、俺のあほみたいな笑い顔の画像がしっかりと送られてたし。
今までにないほどのしっかりとしたつながりを感じて、俺は胸の中からこみ上げてくる何かを、深呼吸することで必死でいなすのだった。
感想 555
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手料理が繋ぐ心と体。身分差を越えた、最強α皇帝と隠れΩ料理人の美味しくて甘い辺境スローライフが幕を開ける!
※本作にはボーイズラブ要素およびオメガバース設定(α、β、Ωの概念やフェロモンに関する描写)が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。