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304、やってまいりました!
やってきました。
待ちに待った誕生日。
今日から俺は18歳。幸いにも今日は休日。土曜日。学校お休み。
ウキウキわくわくしながら早起きして、ワクワク気分のまま朝ご飯を食べに下に行ったら、母さんと父さんが丁度朝ご飯を食べていた。まだ早い時間なのにこれから二人とも仕事か。
挨拶をしてから一緒に食べようといそいそとご飯をよそう。
母さんの前の席に座って手を合わせていると、「あ、健吾」と母さんに声を掛けられた。
「今日誕生日じゃない? おめでとう」
ありがとう、と返すと、父さんが驚いたような顔をしていた。
「忘れてたよ。おめでとう健吾。何か欲しい物とかあるか? 帰りにケーキ買わないとな」
「何言ってるの。帰る時間に開いてるケーキ屋さんなんてあるわけないでしょ」
「ああ、そうか。でも仕事の途中買いに行っても悪くなりそうだし。いっそ早退するか……」
「父さん。ケーキは大丈夫だから。それにプレゼントも。もう子供じゃないんだよ。アダルトなんだよ。18歳だよ。それにバイト代もあるから、大体欲しい物は自分で買えるから。だから気持ちだけ貰っておくよ」
「……」
ウキウキ気分のまま浮かれテンションで返した俺の言葉を聞いた二人は、一瞬俺を凝視して動きを止めた。
そして溜め息。
「アダルトって健吾には一番似合わない言葉ね……ごめんね母さん童顔で」
「せめて高校を卒業して、身分証明書みたいな物を手に入れてからアダルト関係のブースに行こうな。補導されるから」
「行かないから」
二人に散々なことを言われても、今の俺はダメージを受けないのだ。
いつもならがっかりする俺がニコニコとご飯を食べているのを見た二人は、一瞬顔を見合わせてから、とても不審な物を見るような目つきで俺を眺めたのだった。
茶碗洗いを済ませてから、俺は浮かれ気分のまま部屋に戻ってきた。
パソコンを開いて、ADOの公式ページを開く。そして、制限解除の仕方が書かれているページを探した。
「あったあった。ええと、ログイン前に設定画面を開いて……」
流れを一通り頭に入れてパソコンを閉じると、早速ギアを被って立ち上げる。
いつもはすぐログインだけど、今日は設定の中の年齢制限の所を開いた。
すると、目の前に「HAPPY BIRTHDAY!」の文字がババーンと現れた。
そして「年齢制限解除しますか」という質問にはいと答えると、すぐに注意事項が出てきた。中身は常識的なことが書かれていた。「合意なく街人およびプレイヤーと性的接触を図ろうとするのは処罰対象となり、アカウント停止及びADOプレイ資格剥奪措置をとります」とか当たり前だよね。
注意事項を読み終わり、それに合意すると、今度は年齢制限解除したことで出来るようになること一覧が出てきた。中には「各街の歓楽街に行けるようになる」とかいうのもあって、そんなのどこにあるんだ?! なんて驚いた。なんてことはない。俺たちが足を踏み入れられない地区にあるらしい。
ちなみに年齢制限付きのバージョンで遊んでいる人は、ちょっとだけ処分が軽くなるらしい。あとは街の人クエストをこなした時、年齢制限付きの人の方が好感度が上がりやすいとか色々書かれてる。でも好感度とかそういうのこっちで操作とか出来るのかな。そこが不思議だ。制限解除するデメリットもあるんだな。
感心しながら「次へ」を選ぶと、今度は最初にやったキャラメイクになった。マックとして作ったアバターがある。
ああ、決めるのは、アダルトな部分の設定ね。はいはい。制限解除した時のみ、課金しないでキャラメイクしなおせるってことか。なるほどー。
ってことで、ちょっとだけ筋肉盛りたい。目立たない程度に。胸当てが着けれなくなるのは嫌だから。あとは髪の毛を少しだけ短くしてみようかな。影のある男っていいよなとか思って長めの髪にしてたけど。
あとはどうしようなんて色々弄ろうとして気付く。
アダルトな部分も弄れる……!
これはあれかな。ゲーム内ではビッグなマグナムにしてもいいってことかな。
色々大きさを変えて遊んでみる。ヴィデロさんのヴィデロさんはこれくらいだったかな、とか。うん。俺の身体の大きさにはとても勿体ない大きさでした。ほどほどが一番だよね。ちょっと違和感がありすぎた。自分の今の大きさくらいに戻して気付く。ヴィデロさん、でけえ……! 知ってたけど! 比較したことなかったからあんまり気にしたことなかったけど! デカいよ、ヴィデロさん!
ちゃんと体毛とかも自分で決めれるらしいので、やっぱり色々試してから今の自分と同じくらいに行きつく。人間、見慣れた姿が一番だよね。
よし、と最後身長を2センチほど大きくしてから設定を完了する。出来た。アダルトマックが出来た。
もうこれで、細胞活性剤のお世話になることはないってことだな。パンツ剥がれるんだよな!
増田も髪の毛を伸ばしてちょっと大人びさせたんだよなこれで。
アバターが出来上がると、今度はお酒の強さ設定とか、感度設定とか色々な設定があったので、こまごまと設定をしながらここまで決めれるんだ、なんて驚いた。お酒は、ちょっと強い方がいいなあ。でも注意書きで、強にすると酔いを感じなくなるので程よくお酒を楽しみたい人はお奨めしませんって書いてある。じゃあ、真ん中より弱めでいいか。っていうかどこがどれだけ強いのかがわからないよ。一度は酔って前後不覚のヴィデロさんを襲ってみたいけど……。いけないいけない。次々。
感度設定……。こ、これはいじらない方がいいのかな。前のアバター設定ではこんなのなかったよ。すごいなにこれ。
どうしていいかわからなくて、そこはデフォルトのまま次の設定に移ると。
「排泄設定とかもあるなんて……」
どれだけ細かい設定の中動いてるんだ、アダルト勢。これ、オンにしてたら戦闘中もトイレに行きたくなるってこと? オフで。何でこんな設定あるんだろう。
その他、発汗設定とか体臭設定とかなんかすごく色々な設定をして、俺はようやく設定終了画面に行きついた。最後、「ADOの世界には、成人の儀という儀式が存在します。各街に成人の儀を受けることができる神殿があるので、興味のある方はぜひ神殿に行ってみてください」という文字が現れた。そして、ログインしますか、と訊かれる。
はいと答えてログインすると、いつもの工房のベッドだった。
設定した内容を思い出して、増田が成人した時のお楽しみって言ってたのがわかったよ。あれは人前では言えない内容だよなあ。感度設定とか。増田あたりちょっと強めにしてそうな気がするけど、本人に訊く勇気はない。
ふと、ログが流れた。
『マップに「歓楽街」が追加されました
マップに「神殿」が追加されました』
うわあ、マップにすら表示されなかったってことか。アリッサさん徹底してる。
成人の儀ってどんなんだろう。一回受けてみようかな。
ワクワクしながら、俺は工房を出た。でもとりあえず、門に挨拶に行かないとね。
見慣れた街も身長が二センチ違うだけで全然違って見える気がする。
足取り軽く門に行くと、ブロッサムさんがいた。
「お、マックおはようさん。今日は早いな」
「今日は成人の儀を受けに行こうと思って」
ニコニコとブロッサムさんにそう返すと、ブロッサムさんはぴたりと動きを止め、隣からはガシャンと槍を地面に落とした音が聞こえてきた。
「……マック。いいか? 俺らにとって成人の儀ってのはな、17歳にならないと受けれないんだぞ?」
もう一人の門番さんが、恐る恐るという様に俺に声をかけて来た。
「いや、異邦人の場合、成人の儀は18って言ってた気が……。マック、もしかして」
「今日から俺18だから!」
満面の笑みでそう答えると、門番さんが「はぁ⁈ うっそだろ!」素っ頓狂な声を上げた。
その後門の前はてんやわんやの大騒ぎとなり、詰所では俺の年齢詐称問題で朝っぱらから騒然としたのだった。っていうかヴィデロさんそこで笑ってないでね。その顔も眼福だけど!
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※本作にはボーイズラブ要素およびオメガバース設定(α、β、Ωの概念やフェロモンに関する描写)が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。