文字の大きさ
大
中
小
270 / 706
連載
391、長光さん
「あ、待ってクラッシュ。一応のために剣を買ってってもいい?」
「前に持ってたあの黒いのは?」
「辺境で折れちゃって」
街を出る前、俺はクラッシュを呼び止めて視線の先にある武器屋を指さした。
俺のティソナドスカラスは今頃辺境の壁の向こう。気に入ってたんだけどまあ仕方ない。
クラッシュと一緒に武器屋を覗くと、武器屋のおじさんが太い声で「いらっしゃい」と声をかけてくれた。
「俺でも扱える剣って売ってますか?」
「坊主でも扱えるヤツな……そうだな」
俺が選んでも多分全然合わないのしか見つからなそうだから、と、トレの武器屋の時同様店主さんに頼む。こういうのはプロに頼まないと。
店主さんは考えに考えた末、奥に引っ込んで行った。
そして手に一本の剣を持って戻ってきた。
「……坊主筋力ねえだろ。しかもその体つきと腕、剣を振る職業じゃねえな。ここら辺の剣はある程度技能と力があるやつが持つような剣がほとんどでな、なかなかその細腕で振り回せる剣がねえんだ。これも……振りまわせはするけど、スタミナの減りが早くなる。そいつに合った軽さの剣が一番なんだよなあ……持ってみろ」
店主さんの手にあった剣を持たされて、確かにティソナドスカラスより大分重いなとちょっと顔を顰める。これ、持ち歩きは出来るけど、咄嗟の時に振り回せるかどうか。
「な、重いだろ。軽すぎる剣は威力も軽いから、あんまり求めるやつがいねえんだよな。なんか特性でも付いてないと。今まで剣は持ってたのか?」
「はい」
「どんなんだ」
「ティソナドスカラスっていう剣です」
剣を店主に返しながら答えると、店主は目を瞠った。
「ティソナか。いい剣を持ってたんだな。あれは対人用にとんでもなく有用な剣だからな。その剣どうした」
「辺境の壁向こうで折れました」
「あれは使えてここら辺までだ。辺境になんか持ってったら、一発で耐久値が削られるんだ。軽くて特殊だが、流石に辺境の魔物相手には耐久がなさすぎるからな。うーん。坊主辺境にも行くのか……となると、うちには坊主に合う剣は置いてねえな……」
断られてしまった。
剣ひとつ買うのも難しいなんて。
呆然としていると、横からクラッシュがひょいと店主さんの手元の剣を覗き込んだ。
「確かにマックにはこの剣は合わないね。おじさん、軽くて強くて攻撃力の高い剣を売ってる場所って知ってる?」
「無茶言うなよ。そうだな、異邦人で最近頭角を現してきた鍛冶師が辺境に住んでるんだが、もしかしたらそいつならそういう剣も作ることが出来るかもな」
「ありがとうおじさん」
笑顔で礼を言ったクラッシュは、俺の顔を覗き込んで「だそうだよ」と俺の手を握った。
次の瞬間には、景色が辺境。
ちょ、クラッシュ、いきなりすぎ。
「武器屋はどこかなあ。異邦人鍛冶師ってどこにいるんだろうね」
俺を引っ張るように道を進んでいくクラッシュは、周りが注目していることに気付いてないらしい。
こんな人通りの多い広場に出て来るなんて、怖ろしい子。
「こういう時は誰かに訊いてみればいいのか。おーいそこの人!」
クラッシュは俺を捕獲したまま道行く鎧のプレイヤーに声をかけていた。
「辺境に異邦人鍛冶師が住んでるって聞いてきたんだけど、知ってる?」
「へ? 何で英雄の息子が辺境に?!」
「ってか連れてんの、例の……」
ああ、俺の事まで言われてる……。俺、陰でどれだけ有名になってるんだろう。
「門番さんは今日は一緒じゃねえのか?」
「生タックルは?」
ざわざわする声が聞こえてくる。
もしかして、ブレイブが言ってたこと、本当なのかな。
「今日はヴィデロは仕事だから置いてけぼりだよ。ところで鍛冶師、知らない?」
「プレイヤー鍛冶師か。あれだろ『長光』。あいつ、すっげえ腕がいいから、半年先くらいまで予約で埋まってるぜ」
「え、ほんとに?」
「あ、でもそいつの武器とか鎧が売られてる店があるから、そっちに行ってみたらどうだ? 運が良ければ買えるから」
「そうする! 情報サンキュ!」
クラッシュは早速そのプレイヤーに店の場所を訊いて、笑顔で手を振った。
「ほらマック、行くよ。あっちの方だって。看板が他の武器屋と違って砥石と金づちらしいから、すぐわかるってさ」
俺の返事を訊く前にぐいぐい行くクラッシュに引き摺られて進んだ先には、漢字で『長光』と彫られた金づちと砥石の看板がぶら下がっている店があった。
木枠で作られた入り口は紙張りで、まるで障子のようだった。なんか、そこだけ雰囲気が違う。
「ここだね。すっごい店構え。なんていうか、客を選ぶって感じがする」
クラッシュはしげしげと店を見て、ほぅ、と溜め息を吐いた。
人気、という割には人があんまり出入りしていない。
何でだろう、とドアを開けた瞬間、中から出てきた鎧の人とぶつかりそうになった。
「お、ごめん。でも今日は外れだったな。今日は失敗しなかったみたいで店に物が出てねえよ」
「物が出てない?」
じゃあな、と手を上げて去っていく鎧の人を二人で見送ってから店に入ってみると、確かに、何もなくガランとしていた。
鎧を飾る台は台座のみで、壁に剣を掛ける金具が、何も乗せずにむき出しのまま。
確かに物が出てない。
「……剣が手に入るかもって思ったのに、残念だったねマック……」
店の状態を見て、クラッシュが呆然と呟く。
店を預かる者として、この状態が信じられないみたいだった。
「俺だって商品が品薄になったら店閉めるのに。この状態で開けとくんだ。すごいね」
「うん。ほんとに何もない。さすが……」
「じゃあ、街中の武器屋にでも行ってみようか」
クラッシュの言葉に頷いて店を出て行こうとしたところで、奥側の引き戸ががらりと開いた。
「いらっしゃーい。今丁度出来立てほやほやの鎧が……って、アレ? マック君? 英雄の息子もいる。ってことは、英雄の息子につれて来てもらったのか」
いきなり後ろから声を掛けられて振り向くと、長髪を後ろでひとくくりにしている細マッチョなプレイヤーが驚いたような顔をしていた。
ひょろりとしているのにしっかりと筋肉がついていて、背が高いその人は、甚兵衛のような物を着ていて、ここがADO世界だということを忘れそうになる。
「こんなに早く来てくれるなんてびっくりだ。さっきユキヒラから紹介されなかったか? 俺、長光。フレ登録しよう! っつうかうわあ、マジでユキヒラと知り合いだったんだ!」
「ええと? 長光さん……? あの」
「ってかあの門番さんに鎧作りたいんだって? 今度本人連れてきてよ。ぴったりのやつを作るから。でもって、俺に例のすっげえ効きのいいハイポーション売ってくれたらなんでも要望聞くから。あ、あと、目の前で門番タックルか姫抱っこ」
刀鍛冶に憧れてるっていうから落ち着いた佇まいの人なのかと思ったら、そうでもなかった。
フレンドリーな長光さんととりあえずフレンド登録してから、俺たちは長光さんが鎧を飾るところを見ていた。
とんでもなく精巧な造りの鎧は、まるで昔人気を博したRPGの主人公を彷彿とさせる青の鎧で、胸にしっかりと紋章のような物が入っていた。これ、欲しい人が見たら涎を垂らしそう。
「これさ、作ってくれって依頼受けたんだけど、紋章部分が気に入らなくて、失敗作なんだよ。だからこっちに出したんだ。こんなん注文するやつ、ほんとマニアックだよな。まあ、そんなふうに拘るやつ嫌いじゃないけど。マック君も、門番さんにこんな鎧はどうだ? もしくはあの人気狩猟ゲームの鎧とか。色々作れるぜ。そのために腕を磨いてるからな。あ、あれも行ける。スーパーヒーロー系全身タイツ的鎧。肉襦袢が熱いぜ」
「いえ、そういうのはちょっと……」
にこやかに次々マニアックな鎧を挙げ始めて、俺はどう反応していいかわからなかった。スーパーヒーロー系肉襦袢鎧はちょっと誰かが着てるのを見てみたい気がするけど、誰もそんなの着てないよね。
「すっごいなあ、この鎧、失敗作っていうけど性能抜群だよね。鑑定してみてもいい?」
「いいよ。性能はバッチリだったんだよ。でもこの胸の紋章、なんかちょっと小さくてイマイチなんだよな」
職人気質なこだわり方に、クラッシュと俺は感心を通り越して、半分呆れた。細かすぎだろ。そこが気に入らないからまた一から作るって、どれだけこだわってるんだよすごい。
「あのさ、剣ってどれくらいで作れる? 今マックが剣を探してて。前に持ってたの折っちゃったんだって」
「剣ねえ……見たところ剣スキルは取ってねえよな。ってことは剣の性能自体で全カバーか。そういうのは刀がいいよ。アレ、軽いくせに切れ味抜群だぜ」
「刀? ここでも刀なんて作れるんですか?」
「もちろん。刀を作るためだけに研究に研究を重ねたからな! マック君の体形なら……打刀ってところか」
俺を上から下まで見た長光さんは、よし、と頷いて引き戸の中に消えていった。
「なんか、すごいやつだね」
「そうだね」
クラッシュはしっかりと鎧を鑑定しながら溜め息を吐いた。
「この鎧、防御力が今まで見たことないくらい高いよ。でもって、攻撃力が上昇する付加がある。ちょっとだけ水耐性も入ってる。ちょっとやそっとの攻撃じゃ耐久値は減らないよこれ」
「俺も鑑定しよう」
クラッシュの隣で鑑定眼を発動すると、確かにクラッシュの言う通りだった。防御力、魔法防御力共にとんでもない数字だった。しかも耐久力が高いらしく、耐久値の減りが恐ろしくゆっくりらしい。ものすごい鎧だった。
感心して見上げていると、がらりと引き戸が開いた。
「これこれ、こんな感じでどうだ。持ってみな」
そう言って差し出してきたのは、まごうことなき日本刀だった。
感想 555
あなたにおすすめの小説
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結済。
おまけのお話を時々更新したりしています。
皆さまの応援のおかげで『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』書籍化、心から、ありがとうございます!
ふたりの動画をつくりました!
もしよかったら、プロフのwebサイトからどうぞです!
表紙や動画にはAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません
【8月書籍化♡】キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。
ボクの名前は、クリストファー。
突然だけど、ボクには前世の記憶がある。
ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て
「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」
と思い出したのだ。
あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。
そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの!
そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ!
しかも、モブ。
繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ!
ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。
どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ!
ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。
その理由の第一は、ビジュアル!
夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。
涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!!
イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー!
ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ!
当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。
ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた!
そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。
でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。
ジルベスターは優しい人なんだって。
あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの!
なのに誰もそれを理解しようとしなかった。
そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!!
ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。
なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。
でも何をしてもジルベスターは断罪された。
ボクはこの世界で大声で叫ぶ。
ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ!
ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ!
最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ!
※表紙その他のイラストはAIにて作成致しております。(文字指定のみで作成しております)
⭐︎⭐︎⭐︎
ご拝読頂きありがとうございます!
コメント、エール、いいねお待ちしております♡
「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中!
連載続いておりますので、そちらもぜひ♡
【完結】悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
本編完結済です。
もっちもっち感謝祭で、リクエストいただいたお話を更新しています。
皆さまの応援のおかげで『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』書籍化、心から、ありがとうございます!
皆の動画をつくりました!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
表紙や動画にAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【完結】憧れの先輩アルファに告白されたんだがどうやら罰ゲームだったらしい
ある日の放課後、校舎裏で花壇の手入れをしていた上田凛斗に告白してきたのは、憧れの先輩であり校内の人気者でもある上條蘭世だった。
目付きの悪さと暗い性格のせいで恋人どころか友達もいない凛斗は、戸惑いながらもお試しで蘭世との交際をはじめたのだが……
美形溺愛アルファ×三白眼平凡オメガ
ベータだった俺が後天性オメガになったら、幼馴染アルファがもっと過保護になりました
ごく普通のベータとして生きてきた村井圭太(むらいけいた)は、ある日突然、希少な「後天性オメガ」に転化してしまう。
不安な日々が始まる……かと思いきや、幼馴染アルファの白河泰雅(しらかわたいが)とはまさかの両思い。
早々に『番(つがい)』となり、幸せな日々を送っていた。
「オメガになっても俺は俺」と持ち前のポジティブさで新しい生活に向き合っていく圭太。
だが、晴れて番となった泰雅は、今まで以上に過保護になっていく。
どんなトラブルも二人なら大丈夫!
過保護で執着強めなスパダリ幼馴染攻め(α) × ポジティブで男前な元ベータ受け(β→Ω)
明るくて幸せいっぱいオメガバース!
私の大好きなオメガバース。
愛をたくさん詰め込んだので、みなさまにも楽しんでいただけますように。
辺境食堂の隠れΩなのに、拾った皇帝陛下が嫁になれと迫ってくる
元宮廷料理人で隠れΩの青年レオは、帝国の辺境で小さな食堂兼農園を営みながら、誰にも縛られない平穏なスローライフを送っていた。
ある日、レオは裏庭の不思議な洞窟で、血まみれになって倒れていた大柄な青年アレクを拾う。
彼の正体は、お忍びで辺境を訪れていた帝国最強のα皇帝だった。
身分を隠してレオの家に居候することになったアレクは、レオの作る絶品の手料理と、彼から漂う穏やかな香りに冷え切った心を溶かされていく。
一緒に土を耕し、美味しいご飯を分け合ううちに、相反するはずの二人のフェロモンは心地よく調和していくが、やがて帝都からの追手が迫り……。
手料理が繋ぐ心と体。身分差を越えた、最強α皇帝と隠れΩ料理人の美味しくて甘い辺境スローライフが幕を開ける!
※本作にはボーイズラブ要素およびオメガバース設定(α、β、Ωの概念やフェロモンに関する描写)が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。