文字の大きさ
大
中
小
322 / 706
連載
443、ちょっと交流
洞窟の最奥の部屋の前に跳ぶと、丁度目の前にプレイヤーがいて、目をまん丸にしていた。
あ、見られた! と焦っていたら「薬師マックだ」と呟かれてさらに驚く。
「門番さんもいる。おはよう」
「あ、はい、おはようございます……?」
「どうも」
門に立っている時とは違って作り笑いを乗せていないヴィデロさんは、軽く挨拶すると俺を促した。
後ろから「ユイルちゃんまだいるよ。今日もユイルちゃん可愛かった!」と教えてくれたプレイヤーにありがとうと返して扉を開くと、確かに中にケインさんとユイルがいた。あとは数人のプレイヤー。
「おにいちゃん!」
ユイルがひゅんと飛んできて俺の腕にすっぽりと填まる。うう、可愛い。思わず頬擦りすると、ヴィデロさんも横から手を伸ばして、ユイルの頭を撫でた。今日も可愛い景色をありがとう。
「マック。昨日の今日でどうしたんだ? オラン様の往診か?」
「ヒイロ師匠がいるから俺が見なくて大丈夫じゃないですか」
「でもヒイロだぞ? 適当に看病してあとはほっぽってるぞ。どっちかというと世話してんのは詰めてる他の奴らだな」
その言い方に思わず笑う。昨日はしっかりと看病してるように見えたんだけどな。
ユイルはふわふわの尻尾をパタパタと振って、ヴィデロさんの手を堪能している。可愛い。
「いいなあ、ユイルちゃん抱っこ出来て」
「ユイルちゃん、お兄ちゃんにも抱っこされない?」
「お姉ちゃんにも。アランネあるよ。おいで」
「あのね、おとうしゃんにね、たべものにつられて知らない人についてっちゃだめだよっていわれてるの。ごめんね」
「くうう、正しい……」
「まさに……そっか。地道にここに通って、仲良しお姉ちゃんになれるよう頑張るね。ユイルちゃん大好きよ」
断られた女性プレイヤーは、笑顔でカバンからアランネの実を取り出すと、俺の腕の中にいるユイルにそっと渡した。
ユイルもニパッと笑って「ぼくもおねえちゃんだいしゅき! ありがとう!」と喜んでいる。
「薬師さんは今日はデート?」
そのプレイヤーにそう声を掛けられて、俺も思わず笑顔になった。
「そうです。採取デート!」
「マック、ユイルと同じ顔してる」
横でヴィデロさんがくすくす笑っているのが聞こえて、俺はユイルとだって仲良しだからねー、と顔を見合わせた。
「いいなあ。私もそれくらい仲良くなりたい。どうすれば仲良くなれるの?」
横で見ていたプレイヤーが羨ましそうにこっちを見ている。
それを聞いたケインさんが「そうだなあ」とジャル・ガーさんを見上げた。
横で話を聞いていたジャル・ガーさんが口を開く。
「そうだな。これから先、俺ら獣人と人族の交流も多くなるだろ。もし何かあった場合、俺たちを助けてくれねえか。まだまだ世の中には今の世代の風を感じられない輩もいる。その場合は、お前たち異邦人が一番頼りになる。俺はもう、昔と同じことをしたくねえんだ。せっかくようやく、お前らと、こいつらと、俺らがここまで寄り添えたんだ。また離れたくねえ」
腕を組んで微笑したジャル・ガーさんが、低い声で穏やかにお願いする。
プレイヤーさんたちはジャル・ガーさんの本をしっかりと読んでいたらしく、真剣な顔をして頷いた。
「わかった。何かあったら全力で俺らが力になるよ」
「私も。だから、もっともっと交流しましょう。石像がいらなくなったら、ユイルちゃんと一緒にいれるんでしょ。私は、あなたとユイルちゃんが幸せに生きられるのを願ってるわ」
目に涙を溜めながら話す女性プレイヤーに、俺の手から抜け出したユイルがちょこんと飛び乗る。そして、満面の笑みで、頬擦りした。
「おねえちゃん、だいしゅき」
「ゆ、ゆ、ユイルちゃん……!?」
いきなり抱っこ出来たプレイヤーの人は、驚いて涙も引っ込んだらしく、ユイルを手に乗せたまま固まっていた。
こうして皆をメロメロにしてるんだな、ユイル。わざとじゃないんだろうけど。
ユイルの行動を見ていたジャル・ガーさんは苦笑して「ユイルの大好きは独り占め出来ねえなあ」なんて呟いていた。確かに。番なのにね。焼きもち妬かないのかな。
少しだけ皆で話をして、プレイヤーさんたちは名残惜しいけど、と帰って行った。これからノヴェに戻ってレベル上げするんだって。魔法陣の登録をしに来たらしい。
俺たちだけになった部屋で、ユイルにお茶のお誘いを受けた俺。少しだけ大人びた顔をしてから「えいゆうともいっしょにおちゃのみたいな」と呟いたユイルは、一瞬後にはいつもの顔に戻って、「ぼくがおおきくなったらいっぱいおちゃのめるから、楽しみ」と笑った。
「え、じゃあここでピクニックみたいに一緒にお茶飲めばいいんじゃないかな」
ふと思いついたことを呟くと、ユイルの顔がめちゃくちゃ輝いた。
そして、インベントリの中で放置していた魔物の皮を広げて敷き、そのうえで5人でお茶することになった。でもこれはこれで楽しいよね。
作り置きしてある軽食と果物のスイーツを取り出して切り分け、皆で座ってお茶を飲む。
その間中ユイルははしゃぎっぱなしで、それを見たケインさんもちょっと嬉しそうで、とても有意義なお茶時間になったのだった。楽しかった。
ケインさんに連れられて獣人の村に行くと、すぐさまユイルのお友達が集まってきた。
遊びに誘いに来たらしい。ついでにフンフンユイルの匂いを嗅いで、なんかおいしそうな匂いがする、と子供たちが騒ぎ始めたので、俺はインベントリを漁って残っていた最後のお菓子を皆に分けた。また作っておかないとな。非常食。
誰かの家に行くわけではなく、俺とヴィデロさんは村はずれの採取場所に足を進めた。
うずくまって草を採取していると、後ろで立っていたヴィデロさんに見回り獣人さんたちが声をかけて来て、わいわい盛り上がり始めた。
ヴィデロさんの楽しそうに話す声を聴きながら、俺は手を動かした。
「今日暇なら一緒に森に入らねえか? ちょっと厄介なやつが出たって隣の村のやつが言っててよ。こっちにもいるかもしれねえんだ」
「厄介なやつ?」
「ああ。動きは早くねえし、そこまで強くもねえんだけど、毒を持ってるらしくてな。俺らが爪で攻撃すると毒を貰っちまうらしいんだ。ヒイロが必死で毒消しを作ってて、「誰か剣使えよ!」って怒鳴ってた。でも俺ら剣は苦手でよ」
「わかった。手伝おう。マックはヒイロの手伝いをしててくれ」
採取が終わって立ち上がると、獣人たちはそんな物騒な話をしていた。
え、待って、毒があるような魔物をヴィデロさんが?
思わず顔を顰めると、ヴィデロさんは大丈夫、と俺を安心させるような笑顔を向けた。
「このカバンの中に、マック特製キュアポーションが沢山入ってるんだろ。だったら大丈夫」
「そりゃ、10個くらいは詰め込んだけど。でもキュアポーションは猛毒には効かないんだよ」
「まずはこっちの村付近に出るかもわからねえからな、そんな顔すんなよマック。俺らが悪い遊びにヴィデロを誘ってるみてえじゃねえか」
違いねえ! とその獣人さんの言葉に周りがどっと沸く。そこまで切羽詰まってなさそうだから、大丈夫だとは思うんだけど。
でも今日はヴィデロさんとデートのはずで。せっかくのデートが。
恨みがましく獣人さんを見上げると、ヴィデロさんが「ほっとけないだろ」と俺をなだめるかのようにおでこにキスをした。
死に戻るから大丈夫ってことを獣人さんたちに強調して、俺も結局見回りについていくことにした。最初は1人を守りながら戦うなんて無理だと渋られたけど、その場合は囮に使っても放置してもいいからと念を押す。
家にいたヒイロさんから毒消しのポーションをわんさか貰って森に出発しようとした俺に、ヒイロさんは俺の知らない毒消しの薬のレシピをそっと渡してきた。
見回りの途中でも何かあった場合即席で作って何とかするためかな、なんて思ったら。
「見回り戻ってきたら、これをたくさん作ってくれねえ? そろそろオラン様の様子見の時間なんだよ」
仕事を丸投げされただけだった。チラッと机の上を見たけど、「好きにもってけ」と書かれた紙のよこに、俺たちも貰った毒消しの薬が山になっていた。めんどくさくなったんだろうなあ。
「無事帰ってこなきゃいけなくなったな。絶対に囮とか身代わりとかそういうの考えるなよ、マック」
そっとヴィデロさんに言われて、俺はうっと言葉に詰まった
いいじゃん身代わり。ヴィデロさんがやられるより全然マシ。だって俺は復活したらすぐここに戻ってこれるから。
ヴィデロさんの友達獣人さん4人と俺たちは、背の高い草をかき分けて森に入っていった。
この草、スピード重視の人にはちょっと厄介なんじゃないかな。なんて思いながら進み辛い道を必死で進む。
特に魔物によって草をかき分けられた形跡もなく、踏み締められた地面もない。
進み辛いー、と途中泣き言を言うと、獣人さんの一人が何で草を伸ばしておくのか説明してくれた。
まず、こういうところは魔物もあまりスピードを上げられないらしい。適度に木も生えていて、下手にスピードを出すと樹に激突する恐れがあるから。それに草が倒れていると、そこで何かがいた、あるいはあったと目安にすることが出来るんだって。
そして、これが重要らしいけど、もし間違って子供が森に迷い込んだ時に、草が伸びていると、子供がどこにいるのか視界では識別不能になるからなんだって。もし魔物に遭遇したらできるだけ身を低くして、草の中をダッシュで逃げろ、と子供たちには教え込んでいるらしい。
だからこそ、最初ユイルも魔物から逃げることが出来たんだって。匂いに敏感な魔物も、草をかき分けることで身体に草の匂いが付くから、判断しにくくなるんだとか。なるほど。
理解は出来ても、胸のあたりまである草はどうにも進み辛く、俺は早々にスタミナポーションのお世話になった。
感想 555
あなたにおすすめの小説
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結済。
おまけのお話を時々更新したりしています。
皆さまの応援のおかげで『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』書籍化、心から、ありがとうございます!
ふたりの動画をつくりました!
もしよかったら、プロフのwebサイトからどうぞです!
表紙や動画にはAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません
【8月書籍化♡】キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。
ボクの名前は、クリストファー。
突然だけど、ボクには前世の記憶がある。
ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て
「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」
と思い出したのだ。
あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。
そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの!
そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ!
しかも、モブ。
繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ!
ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。
どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ!
ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。
その理由の第一は、ビジュアル!
夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。
涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!!
イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー!
ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ!
当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。
ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた!
そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。
でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。
ジルベスターは優しい人なんだって。
あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの!
なのに誰もそれを理解しようとしなかった。
そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!!
ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。
なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。
でも何をしてもジルベスターは断罪された。
ボクはこの世界で大声で叫ぶ。
ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ!
ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ!
最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ!
※表紙その他のイラストはAIにて作成致しております。(文字指定のみで作成しております)
⭐︎⭐︎⭐︎
ご拝読頂きありがとうございます!
コメント、エール、いいねお待ちしております♡
「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中!
連載続いておりますので、そちらもぜひ♡
【完結】悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
本編完結済です。
もっちもっち感謝祭で、リクエストいただいたお話を更新しています。
皆さまの応援のおかげで『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』書籍化、心から、ありがとうございます!
皆の動画をつくりました!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
表紙や動画にAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【完結】憧れの先輩アルファに告白されたんだがどうやら罰ゲームだったらしい
ある日の放課後、校舎裏で花壇の手入れをしていた上田凛斗に告白してきたのは、憧れの先輩であり校内の人気者でもある上條蘭世だった。
目付きの悪さと暗い性格のせいで恋人どころか友達もいない凛斗は、戸惑いながらもお試しで蘭世との交際をはじめたのだが……
美形溺愛アルファ×三白眼平凡オメガ
ベータだった俺が後天性オメガになったら、幼馴染アルファがもっと過保護になりました
ごく普通のベータとして生きてきた村井圭太(むらいけいた)は、ある日突然、希少な「後天性オメガ」に転化してしまう。
不安な日々が始まる……かと思いきや、幼馴染アルファの白河泰雅(しらかわたいが)とはまさかの両思い。
早々に『番(つがい)』となり、幸せな日々を送っていた。
「オメガになっても俺は俺」と持ち前のポジティブさで新しい生活に向き合っていく圭太。
だが、晴れて番となった泰雅は、今まで以上に過保護になっていく。
どんなトラブルも二人なら大丈夫!
過保護で執着強めなスパダリ幼馴染攻め(α) × ポジティブで男前な元ベータ受け(β→Ω)
明るくて幸せいっぱいオメガバース!
私の大好きなオメガバース。
愛をたくさん詰め込んだので、みなさまにも楽しんでいただけますように。
辺境食堂の隠れΩなのに、拾った皇帝陛下が嫁になれと迫ってくる
元宮廷料理人で隠れΩの青年レオは、帝国の辺境で小さな食堂兼農園を営みながら、誰にも縛られない平穏なスローライフを送っていた。
ある日、レオは裏庭の不思議な洞窟で、血まみれになって倒れていた大柄な青年アレクを拾う。
彼の正体は、お忍びで辺境を訪れていた帝国最強のα皇帝だった。
身分を隠してレオの家に居候することになったアレクは、レオの作る絶品の手料理と、彼から漂う穏やかな香りに冷え切った心を溶かされていく。
一緒に土を耕し、美味しいご飯を分け合ううちに、相反するはずの二人のフェロモンは心地よく調和していくが、やがて帝都からの追手が迫り……。
手料理が繋ぐ心と体。身分差を越えた、最強α皇帝と隠れΩ料理人の美味しくて甘い辺境スローライフが幕を開ける!
※本作にはボーイズラブ要素およびオメガバース設定(α、β、Ωの概念やフェロモンに関する描写)が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。