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474、パートナー補正
息を切らしながら、俺の身体を拭いてくれるヴィデロさんを見上げる。
頬がいつもより紅潮してるような気がして、すごく綺麗。
すでにヴィデロさんはちゃんとズボンをはいてるのに、俺のお腹の奥はまだ熱が燻っていてジンジンしている。
アレだけ出しても、きっと触られると絶対にすぐ勃つ自信があるよ、まだ身体中敏感だもん。
「無理させたか……?」
ぐったりしている俺を気遣う様に、ヴィデロさんが優しい声をかけてくれる。
俺は、ゆっくりと首を振って、ヴィデロさんの綺麗な瞳を覗き込んだ。宝石みたい。
「無理はしてない。ただ、すごく気持ちよすぎて、今もまだ夢の中にいるみたいな感覚……」
「マック」
ちゅ、と軽くおでこにキスされて、思わずへろっと笑う。
「婚姻の儀を受けて来たけど、ヴィデロさんは宿舎で寝起きするんだよね……俺、ずっとこっちにいれたらヴィデロさんのご飯作って、行ってらっしゃいって送り出すのになあ」
そういう些細なことが、俺の夢になってる気がする。
ヴィデロさんが転がったままの俺に覆いかぶさるようにして、キスを降らせた。
「ゆっくりでいいよ。無理だけはだめだ。特に、あの物質転移? みたいなものはまだ不完全なんだろ。ちゃんとマックが五体満足で移動できるようにならない限り、絶対に来ちゃだめだ。いいか? 俺はいつまでも待てるし、もし難しくても、このままでもいい。マックがちゃんと俺と婚姻の儀を受けてくれた、それだけでもう胸いっぱいなんだ。俺にもそんな風に愛せる人が出来たってだけで奇跡に近いんだからな。だから、マック」
「うん。大丈夫。自分の身体も絶対に大事にするよ。なんたって、元気じゃないとヴィデロさんと楽しい新婚生活できなそうだもんね」
「そうだな」
ヴィデロさんが上体を起こしたので、俺ものろのろと起き上がった。まだ奥がジンジンする。今日はどれだけ深く愛し合ったんだ俺たち。気持ちよかったけど。最高だったけど。何より、ヴィデロさんも余裕がなくなるくらい俺で気持ちよくなってくれたのが一番最高だけど。
起き上がって、インベントリからスタミナポーションを取り出す。
フラフラするのはやっぱりスタミナ切れだよな、とステータスを開くと、しっかりとスタミナが底を尽き掛けていた。
そしてふと気付く。
「……あれ?」
「どうした?」
ヴィデロさんが心配そうに眉を寄せる。
悪いことじゃないんだよ。ただ。
「ステータス欄によくわからないことが書いてある。伴侶補正、だって」
伴侶補正って、伴侶を持つとステータスに補正が付くってこと?
首を傾げながらその伴侶補正というところをタップしてみると、伴侶補正内容が出てきた。
「能力の共有ってなってる。ヴィデロさんのラックが俺のラックにプラスされてる……」
じゃあ俺の能力の何かもヴィデロさんに補正されてるのかな。何かが下がったりはしてないから、共有っていっても上乗せされてるだけみたいだ。
俺のステータスの中で一番高いのは、器用さだから。
ヴィデロさんも、器用さがアップされてるとか?
ヴィデロさんのステータスが見れないのがもどかしい。
「俺の能力を共有して筋力とかがマイナスされないといいんだけど……」
それだけが心配だ。という呟きはしっかりとヴィデロさんに聞かれていたらしく、ヴィデロさんがくすくすと笑った。
「されるわけないだろ。神殿での祝福は、悪いように働いたことはない、と言われてるからな。ただし、永遠ではないし、心構えがよくないとすぐ消えてしまうらしいが」
「すぐ消える?」
「ああ。ランディに聞いた話なんだが」
ヴィデロさんはそういい置いて、祝福のことを話してくれた。
病弱な男が女性騎士の強さに憧れてプロポーズして、婚姻の儀を受けたらしい。すると、男は寝込むことがなく、健康になった。それで調子に乗った男が浮気をして、そのことを女性騎士が知ると、男はまたしても病弱に戻ってしまったそうだ。街の路上で男と女性騎士が口論になったところをランディさんが仲裁したらしいんだけど、その時周りのやじ馬の一人が「ああ、祝福がなくなっちまったんだな」と呟いたことで、婚姻の儀の祝福が消えたことがわかったとか。
ヴィデロさんが顔を顰めながら教えてくれた内容に、俺も呆れた溜め息しか出てこなかった。
「浮気相手との関係を清算して、女性騎士に平謝りして、一応やり直すことにはなったらしいんだけどな、その後は男は病弱なままなんだとか言ってたな。たまに道で咳き込んでいるのを見かけるって」
「ああ……」
きっと表面上は許したとしても、その女性騎士さんはもうその人を好きじゃないってことなんだろうな。
「その男をボコボコにして捨ててもいいと思うんだけど」
「まさにそのボコボコにしようとしていたところをランディがストップかけたらしいぞ」
「うわあ……なんか、獣人たちには聞かせられない話だね」
「全くだな」
心変わりか。
ちょっと考えてみても、俺は心変わりできる気がしない。
これだけヴィデロさんが好きなのに、好きじゃなくなるなんて考えられない。
いまだにヴィデロさんのふとした行動とか表情で苦しいくらい胸が高鳴るのに。
これがなくなるっていうのがまず想像できない。
じっとヴィデロさんを見ていると、ヴィデロさんの表情がふっと曇った。
「俺も、たまに不安になることはあるんだ」
「不安? 浮気したいの?」
ヴィデロさんの言葉にドキッとすると、ヴィデロさんが苦笑して違う、と否定してくれた。よかった。俺ちんちくりんらしいから、大人の魅力がないじゃん悔しいけど。
他の魅力的な人に目移りしないとも限らな……うん、考えるのよそう。落ち込む。
「マックの前に俺なんかよりもずっと魅力的なやつが現れたら、なんて思うとたまに不安に押しつぶされそうになる」
「ヴィデロさんより魅力的な人……? そんな人いないよ」
俺が首を傾げると、ヴィデロさんが「……兄とか」とポツリと呟く。え、待って、ヴィデロさんの目には、ヴィルさんが案外魅力的に映ってるのかな。可愛い。何それ可愛い。兄を慕う弟みたいですっごく可愛い。そんなところも魅力たっぷりだってヴィデロさんはわかってるのかな。
「ヴィルさんはだって、仕事もできるし性格も面白いし、優しいけど、筋肉ないじゃん。でもヴィデロさんは仕事もできるし性格も最高だし、かっこいいし優しいし可愛いし筋肉最高だし、最高オブ最高だよね」
まだまだ言い足りないよ。声も大好きだし、俺に向ける視線もキュンとするし、悪いところを掘り出す方が難しいよ。
真顔でそういうと、照れて少しだけ顔を赤らめたヴィデロさんに、「マックの趣味はちょっとどうかと思う」と突っ込まれた。へへへ、俺の趣味は誰より最高だけど何か?
照れたヴィデロさんも最高だよ。
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