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516、素材集めデートはやっぱり……
出席停止中の朝はヴィデロさんと一緒に起きてご飯を食べさせて見送ることから始まるという、充実した毎日を送っていた俺は、とうとう冬休みに突入したことを、雄太の訪問で気付いた。
雄太は冬休みの課題を、しっかりと全て持ってきてくれた。正直いらなかった。だって中身、まだ大学の決まっていない人に合わせた高校総合問題集だもん。出来る気がしない。ちなみに担任の休み突入の挨拶は「行き先が決まってる奴らも、毎日ゲームばっかりしてるんじゃねえよ。しっかりと脳みその柔らかい期間に知識を詰め込んでおけよ」だったらしい。でも先生も休み中ログインとかしてそう。ID持ってるっぽかったし。きっと雄太は既に先生にキャラを把握され済みだと思われる。本人は全然気にしてないけどね。
雄太たちは、冬休み中は壁向こうのさらに先、大陸の端っこにダンジョンを見つけたから、それを『白金の獅子』と共に攻略する予定だと言っていた。来るか? って誘われたけど、俺無理だから。辺境のさらに端なんて無理だから。
冬休みは、工房から詰所に通う様になったヴィデロさんとの新婚ライフを堪能しつつ、調薬のレベル上げをするつもりだから。蘇生薬のランクSを作るために。
そのための素材集めは、ヴィデロさんが協力してくれるって言ってたから、デートも合わせて楽しむ予定。
そのことを雄太に伝えたら、雄太も、ユイと二人で拠点にする家を借りたらしい。と言っても、ブレイブと海里もシェアしてるとか。4人の共同生活らしい。詰所の間借り生活は終わりを迎えたらしい。ってことはだ。雄太たちも新婚家庭を満喫する気満々なのか。行く前には絶対に連絡入れよう。最中に顔を出しちゃったら気まずい以外の何物でもないし。
大量のプリントと課題のワークを残して、雄太はうちの母さんの夕食を食べて帰って行った。
母さんは雄太がうちに来るのが久し振りで嬉しそうだった。唯ちゃんもまた連れてきてくれないかなとか言ってるけど、ユイほんと母さん方のアイドルだな。雄太の母さんとも滅茶苦茶仲良しだし。嫁姑問題は既に解消しているって素晴らしい。俺も一緒にご飯を食べてから、すぐに風呂に入って部屋に引っ込んだ。そろそろヴィデロさんが帰ってくる時間だから。ちらりと課題に目をやって、ギアを手に取った。早めに片付けないとゆっくり楽しめないかな。はあ。
ログインしてキッチンに行き、ヴィデロさんの夕食の準備をする。
買い置きのパンをテーブルにセットして、作ったスープの味を調えていたところで、ヴィデロさんが「ただいま」と帰ってきた。
「お帰りヴィデロさん。お疲れ様」
近寄って行って抱き着くと、ヴィデロさんも俺の身体を抱き締めて、ただいまのキスを頭にしてきた。
「すぐご飯の用意するから待っててね」
ヴィデロさんから離れてキッチンに戻ると、ヴィデロさんも上着を脱いで入り口付近にあるフックに掛けると、そのまま俺の方に歩いてきた。
そして、肩越しに鍋の中を覗き込んで、「美味そう」と呟く。
皿に分けると、ヴィデロさんが皿を運んでくれたので、俺はさっき茹でていた野菜を運んでいく。
一緒に席に着いて、「いただきます」と手を合わせるのがなんだかすごく幸せだった。ヴィデロさんも幸せそう。
新婚、って感じなのがすごくいいよね。別々に住んでいた時には味わえなかった結婚の醍醐味ってこのことかな。ヴィデロさんには不便を強いちゃってる気がしないでもないけど。このまま工房からずっと通うのかな。そうだったら嬉しいけど、学校が始まったら、また朝ログインできなくなるんだよなあ。
「そうだ。ヴィデロさんの専用の部屋も増築しよう」
ふと思いついた提案をすると、ヴィデロさんは驚いたように顔を上げた。
「俺はだいたいこの席に座ってるし、マックの隣で寝てるから、特に部屋はいらないが。隣の建物に俺の部屋もあるし」
「じゃあ、ベッドをもっと快適にすればいいんだ。お隣の部屋のベッドみたいに。職人さんに頼もう。しかも隣で全然動かない俺が寝てたら疲れも抜けないだろうし」
「柔らかいベッドに寝たいときは隣に寝に行けばいいんじゃないのか? 兄はいつでも入れるって言ってたから。ここの工房と同じ設定を、俺とマックにもしていたぞ」
「え、俺も?」
「ああ」
ってことは、隣には俺一人でも入り放題……する意味はないから多分権利の行使はしない気がするけど。
「それにすでに鎧置き場はあるし、寝室の一角に俺の私物置き場を作っただろ。もう十分だろ。もともとそんなに物を持っているわけでもないし」
そうだった。もともと宿舎の部屋にも少しの本と服くらいしかヴィデロさんの私物ってなかったんだった。じゃあこれからたくさん増やしていけばいいか。そうしよう。
一人頷いて止めていた手を動かし始める。もっともっとたくさんヴィデロさんのものを増やそう。まず手始めに、鎧とか。パールグリーンの鎧はあるけど、白い鎧もまだあきらめてないからね。いっそのこと武器庫とか作るのもいいかも。
明日はヴィデロさんも門番さんはお休みということで、俺たちは素材を採取しに行くことにした。
調薬のレベルを上げるには、やっぱり難しい物の方が経験値的に美味しく、そのためには素材もそれなりの物をゲットしないといけないからね。
それに、俺がちゃんと元気になったってことをヴィデロさんに教えないと。
楽しみ楽しみ。
ということでやってきました獣人の村の森。
この森にしか出てこない魔物の素材を手にいれたくてヴィデロさんと一緒に森にやってきた。今日のセットジョブは薬師。謎素材をゲットしても意味ないからね。
魔物を求めて二人で森を歩いていると、丁度見回りをしていた獣人さんたちと、一緒に歩いているプレイヤーのパーティーと遭遇した。
「ようヴィデロ。マックも。こんなところで何してんだ?」
顔見知りの豹の獣人さんが気さくに声をかけてくる。
ヴィデロさんは手をあげて挨拶しながら、笑顔で「デートだ」なんて答えていた。
「デートなんてこんな危険なところでするなよ悪趣味だな。さっきちょっと厄介なのが出てきてたから、こいつらに助っ人頼んで討伐に来てるんだよ」
「厄介な魔物?」
豹の獣人さんの言葉に俺とヴィデロさんが反応すると、パーティーのリーダーと思われる人が口を開いた。
「獣人の村に遊びに来たらいきなりこの人が話しかけてきてな。緊急クエスト来たんだ。なんでも、炎虎の亜種が出たとか。レアモンスターだな。今から楽しみだ」
「ああ。森の入り口付近が燃えたから気付いたんだけどな。炎虎ってだけでも厄介なのに、どう考えても通常よりも一回りくらいデカい爪痕だったんだ。今は森の奥にいるみてえだから、村に被害が出る前にやっつけちまおうと思ってよ」
その話を聞いた瞬間、俺のクエスト欄にもピロンと通知が来た。
またしても素材集めデートは波乱に満ちたものになりそうだった。
『【NEW】緊急! 炎虎亜種を討伐せよ
サウ村の森に炎虎の亜種が出現した。このままだと村が焼かれてしまう
魔物を討伐し村を守れ
タイムリミット:12時間
クリア報酬:サウ村特産果実 炎の種 サウ村好感度上昇
クエスト失敗:時間内に討伐出来なかった サウ村半焼 サウ村消滅』
雄太は冬休みの課題を、しっかりと全て持ってきてくれた。正直いらなかった。だって中身、まだ大学の決まっていない人に合わせた高校総合問題集だもん。出来る気がしない。ちなみに担任の休み突入の挨拶は「行き先が決まってる奴らも、毎日ゲームばっかりしてるんじゃねえよ。しっかりと脳みその柔らかい期間に知識を詰め込んでおけよ」だったらしい。でも先生も休み中ログインとかしてそう。ID持ってるっぽかったし。きっと雄太は既に先生にキャラを把握され済みだと思われる。本人は全然気にしてないけどね。
雄太たちは、冬休み中は壁向こうのさらに先、大陸の端っこにダンジョンを見つけたから、それを『白金の獅子』と共に攻略する予定だと言っていた。来るか? って誘われたけど、俺無理だから。辺境のさらに端なんて無理だから。
冬休みは、工房から詰所に通う様になったヴィデロさんとの新婚ライフを堪能しつつ、調薬のレベル上げをするつもりだから。蘇生薬のランクSを作るために。
そのための素材集めは、ヴィデロさんが協力してくれるって言ってたから、デートも合わせて楽しむ予定。
そのことを雄太に伝えたら、雄太も、ユイと二人で拠点にする家を借りたらしい。と言っても、ブレイブと海里もシェアしてるとか。4人の共同生活らしい。詰所の間借り生活は終わりを迎えたらしい。ってことはだ。雄太たちも新婚家庭を満喫する気満々なのか。行く前には絶対に連絡入れよう。最中に顔を出しちゃったら気まずい以外の何物でもないし。
大量のプリントと課題のワークを残して、雄太はうちの母さんの夕食を食べて帰って行った。
母さんは雄太がうちに来るのが久し振りで嬉しそうだった。唯ちゃんもまた連れてきてくれないかなとか言ってるけど、ユイほんと母さん方のアイドルだな。雄太の母さんとも滅茶苦茶仲良しだし。嫁姑問題は既に解消しているって素晴らしい。俺も一緒にご飯を食べてから、すぐに風呂に入って部屋に引っ込んだ。そろそろヴィデロさんが帰ってくる時間だから。ちらりと課題に目をやって、ギアを手に取った。早めに片付けないとゆっくり楽しめないかな。はあ。
ログインしてキッチンに行き、ヴィデロさんの夕食の準備をする。
買い置きのパンをテーブルにセットして、作ったスープの味を調えていたところで、ヴィデロさんが「ただいま」と帰ってきた。
「お帰りヴィデロさん。お疲れ様」
近寄って行って抱き着くと、ヴィデロさんも俺の身体を抱き締めて、ただいまのキスを頭にしてきた。
「すぐご飯の用意するから待っててね」
ヴィデロさんから離れてキッチンに戻ると、ヴィデロさんも上着を脱いで入り口付近にあるフックに掛けると、そのまま俺の方に歩いてきた。
そして、肩越しに鍋の中を覗き込んで、「美味そう」と呟く。
皿に分けると、ヴィデロさんが皿を運んでくれたので、俺はさっき茹でていた野菜を運んでいく。
一緒に席に着いて、「いただきます」と手を合わせるのがなんだかすごく幸せだった。ヴィデロさんも幸せそう。
新婚、って感じなのがすごくいいよね。別々に住んでいた時には味わえなかった結婚の醍醐味ってこのことかな。ヴィデロさんには不便を強いちゃってる気がしないでもないけど。このまま工房からずっと通うのかな。そうだったら嬉しいけど、学校が始まったら、また朝ログインできなくなるんだよなあ。
「そうだ。ヴィデロさんの専用の部屋も増築しよう」
ふと思いついた提案をすると、ヴィデロさんは驚いたように顔を上げた。
「俺はだいたいこの席に座ってるし、マックの隣で寝てるから、特に部屋はいらないが。隣の建物に俺の部屋もあるし」
「じゃあ、ベッドをもっと快適にすればいいんだ。お隣の部屋のベッドみたいに。職人さんに頼もう。しかも隣で全然動かない俺が寝てたら疲れも抜けないだろうし」
「柔らかいベッドに寝たいときは隣に寝に行けばいいんじゃないのか? 兄はいつでも入れるって言ってたから。ここの工房と同じ設定を、俺とマックにもしていたぞ」
「え、俺も?」
「ああ」
ってことは、隣には俺一人でも入り放題……する意味はないから多分権利の行使はしない気がするけど。
「それにすでに鎧置き場はあるし、寝室の一角に俺の私物置き場を作っただろ。もう十分だろ。もともとそんなに物を持っているわけでもないし」
そうだった。もともと宿舎の部屋にも少しの本と服くらいしかヴィデロさんの私物ってなかったんだった。じゃあこれからたくさん増やしていけばいいか。そうしよう。
一人頷いて止めていた手を動かし始める。もっともっとたくさんヴィデロさんのものを増やそう。まず手始めに、鎧とか。パールグリーンの鎧はあるけど、白い鎧もまだあきらめてないからね。いっそのこと武器庫とか作るのもいいかも。
明日はヴィデロさんも門番さんはお休みということで、俺たちは素材を採取しに行くことにした。
調薬のレベルを上げるには、やっぱり難しい物の方が経験値的に美味しく、そのためには素材もそれなりの物をゲットしないといけないからね。
それに、俺がちゃんと元気になったってことをヴィデロさんに教えないと。
楽しみ楽しみ。
ということでやってきました獣人の村の森。
この森にしか出てこない魔物の素材を手にいれたくてヴィデロさんと一緒に森にやってきた。今日のセットジョブは薬師。謎素材をゲットしても意味ないからね。
魔物を求めて二人で森を歩いていると、丁度見回りをしていた獣人さんたちと、一緒に歩いているプレイヤーのパーティーと遭遇した。
「ようヴィデロ。マックも。こんなところで何してんだ?」
顔見知りの豹の獣人さんが気さくに声をかけてくる。
ヴィデロさんは手をあげて挨拶しながら、笑顔で「デートだ」なんて答えていた。
「デートなんてこんな危険なところでするなよ悪趣味だな。さっきちょっと厄介なのが出てきてたから、こいつらに助っ人頼んで討伐に来てるんだよ」
「厄介な魔物?」
豹の獣人さんの言葉に俺とヴィデロさんが反応すると、パーティーのリーダーと思われる人が口を開いた。
「獣人の村に遊びに来たらいきなりこの人が話しかけてきてな。緊急クエスト来たんだ。なんでも、炎虎の亜種が出たとか。レアモンスターだな。今から楽しみだ」
「ああ。森の入り口付近が燃えたから気付いたんだけどな。炎虎ってだけでも厄介なのに、どう考えても通常よりも一回りくらいデカい爪痕だったんだ。今は森の奥にいるみてえだから、村に被害が出る前にやっつけちまおうと思ってよ」
その話を聞いた瞬間、俺のクエスト欄にもピロンと通知が来た。
またしても素材集めデートは波乱に満ちたものになりそうだった。
『【NEW】緊急! 炎虎亜種を討伐せよ
サウ村の森に炎虎の亜種が出現した。このままだと村が焼かれてしまう
魔物を討伐し村を守れ
タイムリミット:12時間
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※本作にはボーイズラブ要素およびオメガバース設定(α、β、Ωの概念やフェロモンに関する描写)が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。