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568、トッププレイヤー魔術師はとてつもない可能性を秘めている……
朝、一度ログインしてヴィデロさんの腕の中で目を開けると、ばっちりヴィデロさんと目が合った。
まだ朝早いのにもう起きてたんだ。
「おはようヴィデロさん」
「おはようマック。時間は大丈夫なのか?」
「ご飯を一緒に食べるくらいなら大丈夫だよ」
「そうか」
俺の返答に笑顔を浮かべたヴィデロさんは、一緒にベッドから起き出すと、身支度し始めた。インナーから外着へ着替えるヴィデロさんにちょっと見惚れてから、キッチンに向かう。
新鮮食材を使った簡単スープとパン、そして塩で焼いた肉を二人で並んで食べる。
スープに入れたコーンの様な野菜を口に入れたヴィデロさんが「あ、美味い」とポロっと零したのを聞きながら、俺もスープを飲む。
ささやかな幸せ。
ヴィデロさんが俺の作った物を美味しいって食べてくれるのがすごくいい。好き。
このコーンが好きなら今度これを使った違う料理を食べさせよう。
そんなことを考えていると、ヴィデロさんが「美味かった」と笑顔を浮かべて満足そうに息を吐いた。
「昨日、マックが自分の世界に帰ってから、少しだけ考えていたんだ。マックがこっちに来るのを諦めないって言うんなら、俺も、ただ待つだけっていうことはやめる」
「え……?」
不意に言われた言葉に、俺は間抜けな顔をしてヴィデロさんを見上げた。
「……ってことは、俺がこっちに来れるように積極的に手伝ってくれるってこと……?」
「根本的には、マックにこんなところに来て欲しくないってのは変わってないよ。でも、マックや兄、母にすべてを委ねて何もしないでただ待つだけっていうのはさすがに嫌だから。まだ俺に何が出来るかはわからないけれど、でも……」
ヴィデロさんはまっすぐ俺を見ながら、身を屈めた。そして、ちゅ、と軽いキスをする。
そして、皿を持って流しの方に行ってしまった。
でも、の続きを言う気はないらしい。
俺が嫌だと駄々をこねてヴィデロさんに待つことを強要したことで、色々思うところがあったのかも。
でも、ってことは、俺がこっちに来てもいいってこと……でいいのかな。そう思うことにしよう。
俺も残りのパンを急いで口に突っ込んで、皿を下げに行く。
それも洗うよ、と俺の手にある食器を受け取ったヴィデロさんに、俺は後ろから抱き着いた。大好き。
それこそ、待っててしか言えない俺って不甲斐ないよ。
背中に顔を押し付けてグリグリしながら、昨日の自分を反省したのだった。
学校に行くと、すでに教室にいた雄太が「よ」とあいさつをしてきた。
俺も「よ」と返すと、雄太は「今日の放課後は拉致られてくれ」といい笑顔を俺に向けた。
「拉致?」
「ああ。健吾の職場に行くことになった。ヴィルさんからの呼び出しだ。健吾今日はバイトじゃないんだろ。でもまあ俺たちだけで行くのもあれだから、健吾を拉致ってく予定」
「マジか。いや、いいけどね」
「昨日のアレの内容を詳しく教えてくれるらしい。そういう約束だったからな」
なるほどね、と思いながら頷く。俺は昨日のうちに見せてもらってたから行かなくてもいいみたいだけど。
顔を出したら佐久間さんにご飯作ってと言われそう。昨日も結局作らないで終わったから。
会社でご飯を作るとバイトがない時でもしっかりとバイト扱いしてくれるのはかなりありがたい。けど、バイト代貯まるばっかりで全然使ってないや。
放課後、学校を出ると、校門のところに女の子二人が立っていた。
横を行く男子生徒にナンパされつつすげなく断る二人は、言わずと知れたブレイブとユイ。
二人とも可愛いからナンパされまくってるよ。
男子生徒数人に囲まれた二人を見た瞬間、俺の両横にいた二人の彼氏どもは足を動かす速度を上げた。
俺は置いてけぼりを食らったけど、近寄るのもどうかと思うし、とただ遠くから見ていた。
「そこの可愛いお嬢さんがた。俺たちといいところに行かない?」
増田がブレイブにそんなふうに声をかける。それにブレイブは「あら、いいわね」と笑顔を浮かべた。
雄太もユイの手をいきなり握りしめて、持ち上げてちゅっとキスをする。
周りからのブーイングが凄い。
「あのさ、君たち、騙されないで! こいつらちゃんと彼女いるらしいから! こんなナンパ野郎は放っておいて、俺と遊ばない?」
俺たちのクラスメイトまでいたことに笑いをこらえながら見ていると、ユイがにっこり笑って雄太の手を取った。
「ごめんね。私が彼女なんだ。雄太のお友達? よろしくね」
「うっそだろおおおおおお! 彼女かよ! ちくしょおおお!」
あ、頽れた。一目惚れでもしたのかな。ユイ小さくてかわいいから。
ちなみに増田はブレイブに腰を抱き締められて、羨ましがられてる。けど、その立ち位置逆じゃないかな。ブレイブがADO内のブレイブと滅茶苦茶被るのは気のせいか。増田の方がブレイブの首に腕を回してるけど。
「増田もかよ! 彼女美人過ぎだろ!」
増田と同じクラスのやつもいた。
ちなみに頽れたクラスメイトは立ち上がって雄太のケツに蹴りを入れていたけれど、雄太は勝利の笑みで鷹揚に構えていて、どっちが勝者なのかは一目瞭然だった。
俺が立ち止まってそんな面白風景を見ていると、ユイが俺に向かって手を振った。
「健吾君。行こ」
ダブルデートのおまけですねわかります。
4人に近付いていくと、周りで見ていたやつに「頑張れ郷野」と応援されてしまった。別に気にしないけど。俺も相手いるしね。最愛の人がね。ふふん。
「っていうことが校門で起こって、面白かったんですよ」
さっきのことの顛末を佐久間さんとヴィルさんに話すと、2人とも笑いながら雄太たちの肩をポンポンと叩いた。
「いやあ、流石健吾の友達だな。いいキャラしてる」
「ちょ、佐久間さん、それ、何気酷いですけど!」
「褒め言葉だよ」
「褒められてる気がしない……!」
口を尖らせていると、増田が笑いながら俺の背中をポンポンと叩いた。
「大丈夫、俺にはすっごい誉め言葉に聞こえるから!」
いい顔でサムズアップする増田に、思わず溜め息が零れた俺だった。
佐久間さんがモニターの画像を展開していく。
そこには、昨日見た魔大陸の画像が次々映し出されていた。
「鳥を飛ばしてみたんだがな、なんつーか、HPひたすら減りまくる場所だった。リスポーン場所は転移した場所近くの廃村の中だった。教会っぽい小さい建物の内部だったな。多分アバターで魔大陸に渡って死に戻ったら、そこに出る」
「廃村の教会か……こっち大陸には戻れない感じですか?」
「今のところはな。でも教会内部はHP減らねえみたいだな。不思議なことに。もしかしたらそこを何とかすりゃも少しあっちで遊べるのかもしれねえな」
「でも、帰ってこれないと……」
「いや、大陸を端まで移動して、健吾の魔法陣魔法で跳べば多分普通に帰ってこれる。ただ、その大陸内を移動するのが面倒なだけだ。HP減り続けるし魔物はやべえ見た目のが多いし」
「じゃあ、俺らは行っても帰ってこれるってことか」
「そうだね」
ユイは全体地図画像を見ると、指を広げて転移で出てきた場所とグランデ国の距離を測ってみていた。
「多分私、その場所から辺境くらいまで跳べると思うよ。一人だったら確実に余裕かなあ」
さすがMP豊潤魔導士の言葉である。
皆が感心してユイに注目すると、ユイは「今度私行ってみようか?」と気軽に答えていた。肝っ玉が据わってる。
「もし魔大陸にある村と街が使えるようになれば、そっちからもログインログアウトできるように設定をするとして……母に相談案件だな……まずは俺が行ってみて、か」
「ヴィルさん一人で行っちゃったら帰って来れないんじゃ」
「魔大陸には向こうの人たちは連れて行けないしな……賢者に頼めれば一番なんだが」
ヴィルさんは何かを考え始めたようで、黙り込んだ。
佐久間さんが色々と雄太たちに説明していて、雄太たちはその説明に聞き入って、画面に見入っていた。
そのうち運営が「魔大陸実装!」みたいなことを言い出しそうな気がしてならない。心から応援しよう。
まだ朝早いのにもう起きてたんだ。
「おはようヴィデロさん」
「おはようマック。時間は大丈夫なのか?」
「ご飯を一緒に食べるくらいなら大丈夫だよ」
「そうか」
俺の返答に笑顔を浮かべたヴィデロさんは、一緒にベッドから起き出すと、身支度し始めた。インナーから外着へ着替えるヴィデロさんにちょっと見惚れてから、キッチンに向かう。
新鮮食材を使った簡単スープとパン、そして塩で焼いた肉を二人で並んで食べる。
スープに入れたコーンの様な野菜を口に入れたヴィデロさんが「あ、美味い」とポロっと零したのを聞きながら、俺もスープを飲む。
ささやかな幸せ。
ヴィデロさんが俺の作った物を美味しいって食べてくれるのがすごくいい。好き。
このコーンが好きなら今度これを使った違う料理を食べさせよう。
そんなことを考えていると、ヴィデロさんが「美味かった」と笑顔を浮かべて満足そうに息を吐いた。
「昨日、マックが自分の世界に帰ってから、少しだけ考えていたんだ。マックがこっちに来るのを諦めないって言うんなら、俺も、ただ待つだけっていうことはやめる」
「え……?」
不意に言われた言葉に、俺は間抜けな顔をしてヴィデロさんを見上げた。
「……ってことは、俺がこっちに来れるように積極的に手伝ってくれるってこと……?」
「根本的には、マックにこんなところに来て欲しくないってのは変わってないよ。でも、マックや兄、母にすべてを委ねて何もしないでただ待つだけっていうのはさすがに嫌だから。まだ俺に何が出来るかはわからないけれど、でも……」
ヴィデロさんはまっすぐ俺を見ながら、身を屈めた。そして、ちゅ、と軽いキスをする。
そして、皿を持って流しの方に行ってしまった。
でも、の続きを言う気はないらしい。
俺が嫌だと駄々をこねてヴィデロさんに待つことを強要したことで、色々思うところがあったのかも。
でも、ってことは、俺がこっちに来てもいいってこと……でいいのかな。そう思うことにしよう。
俺も残りのパンを急いで口に突っ込んで、皿を下げに行く。
それも洗うよ、と俺の手にある食器を受け取ったヴィデロさんに、俺は後ろから抱き着いた。大好き。
それこそ、待っててしか言えない俺って不甲斐ないよ。
背中に顔を押し付けてグリグリしながら、昨日の自分を反省したのだった。
学校に行くと、すでに教室にいた雄太が「よ」とあいさつをしてきた。
俺も「よ」と返すと、雄太は「今日の放課後は拉致られてくれ」といい笑顔を俺に向けた。
「拉致?」
「ああ。健吾の職場に行くことになった。ヴィルさんからの呼び出しだ。健吾今日はバイトじゃないんだろ。でもまあ俺たちだけで行くのもあれだから、健吾を拉致ってく予定」
「マジか。いや、いいけどね」
「昨日のアレの内容を詳しく教えてくれるらしい。そういう約束だったからな」
なるほどね、と思いながら頷く。俺は昨日のうちに見せてもらってたから行かなくてもいいみたいだけど。
顔を出したら佐久間さんにご飯作ってと言われそう。昨日も結局作らないで終わったから。
会社でご飯を作るとバイトがない時でもしっかりとバイト扱いしてくれるのはかなりありがたい。けど、バイト代貯まるばっかりで全然使ってないや。
放課後、学校を出ると、校門のところに女の子二人が立っていた。
横を行く男子生徒にナンパされつつすげなく断る二人は、言わずと知れたブレイブとユイ。
二人とも可愛いからナンパされまくってるよ。
男子生徒数人に囲まれた二人を見た瞬間、俺の両横にいた二人の彼氏どもは足を動かす速度を上げた。
俺は置いてけぼりを食らったけど、近寄るのもどうかと思うし、とただ遠くから見ていた。
「そこの可愛いお嬢さんがた。俺たちといいところに行かない?」
増田がブレイブにそんなふうに声をかける。それにブレイブは「あら、いいわね」と笑顔を浮かべた。
雄太もユイの手をいきなり握りしめて、持ち上げてちゅっとキスをする。
周りからのブーイングが凄い。
「あのさ、君たち、騙されないで! こいつらちゃんと彼女いるらしいから! こんなナンパ野郎は放っておいて、俺と遊ばない?」
俺たちのクラスメイトまでいたことに笑いをこらえながら見ていると、ユイがにっこり笑って雄太の手を取った。
「ごめんね。私が彼女なんだ。雄太のお友達? よろしくね」
「うっそだろおおおおおお! 彼女かよ! ちくしょおおお!」
あ、頽れた。一目惚れでもしたのかな。ユイ小さくてかわいいから。
ちなみに増田はブレイブに腰を抱き締められて、羨ましがられてる。けど、その立ち位置逆じゃないかな。ブレイブがADO内のブレイブと滅茶苦茶被るのは気のせいか。増田の方がブレイブの首に腕を回してるけど。
「増田もかよ! 彼女美人過ぎだろ!」
増田と同じクラスのやつもいた。
ちなみに頽れたクラスメイトは立ち上がって雄太のケツに蹴りを入れていたけれど、雄太は勝利の笑みで鷹揚に構えていて、どっちが勝者なのかは一目瞭然だった。
俺が立ち止まってそんな面白風景を見ていると、ユイが俺に向かって手を振った。
「健吾君。行こ」
ダブルデートのおまけですねわかります。
4人に近付いていくと、周りで見ていたやつに「頑張れ郷野」と応援されてしまった。別に気にしないけど。俺も相手いるしね。最愛の人がね。ふふん。
「っていうことが校門で起こって、面白かったんですよ」
さっきのことの顛末を佐久間さんとヴィルさんに話すと、2人とも笑いながら雄太たちの肩をポンポンと叩いた。
「いやあ、流石健吾の友達だな。いいキャラしてる」
「ちょ、佐久間さん、それ、何気酷いですけど!」
「褒め言葉だよ」
「褒められてる気がしない……!」
口を尖らせていると、増田が笑いながら俺の背中をポンポンと叩いた。
「大丈夫、俺にはすっごい誉め言葉に聞こえるから!」
いい顔でサムズアップする増田に、思わず溜め息が零れた俺だった。
佐久間さんがモニターの画像を展開していく。
そこには、昨日見た魔大陸の画像が次々映し出されていた。
「鳥を飛ばしてみたんだがな、なんつーか、HPひたすら減りまくる場所だった。リスポーン場所は転移した場所近くの廃村の中だった。教会っぽい小さい建物の内部だったな。多分アバターで魔大陸に渡って死に戻ったら、そこに出る」
「廃村の教会か……こっち大陸には戻れない感じですか?」
「今のところはな。でも教会内部はHP減らねえみたいだな。不思議なことに。もしかしたらそこを何とかすりゃも少しあっちで遊べるのかもしれねえな」
「でも、帰ってこれないと……」
「いや、大陸を端まで移動して、健吾の魔法陣魔法で跳べば多分普通に帰ってこれる。ただ、その大陸内を移動するのが面倒なだけだ。HP減り続けるし魔物はやべえ見た目のが多いし」
「じゃあ、俺らは行っても帰ってこれるってことか」
「そうだね」
ユイは全体地図画像を見ると、指を広げて転移で出てきた場所とグランデ国の距離を測ってみていた。
「多分私、その場所から辺境くらいまで跳べると思うよ。一人だったら確実に余裕かなあ」
さすがMP豊潤魔導士の言葉である。
皆が感心してユイに注目すると、ユイは「今度私行ってみようか?」と気軽に答えていた。肝っ玉が据わってる。
「もし魔大陸にある村と街が使えるようになれば、そっちからもログインログアウトできるように設定をするとして……母に相談案件だな……まずは俺が行ってみて、か」
「ヴィルさん一人で行っちゃったら帰って来れないんじゃ」
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ヴィルさんは何かを考え始めたようで、黙り込んだ。
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感想 555
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※本作にはボーイズラブ要素およびオメガバース設定(α、β、Ωの概念やフェロモンに関する描写)が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。