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594、結婚祝いのプレゼント
「ただいま、でいいのかな。弟夫婦の家に間借りしている不肖兄の気分でなかなか新鮮だな」
「前のお前はそんなもんだっただろう」
寝室の扉から、下半身だけインナーを身に付けたヴィデロさんが出て来ながら、ヴィルさんに呆れたように言葉を返した。
上半身裸のヴィデロさんの腕には、前に俺がプレゼントしたアクセサリーが着けられていて、ドキッとする。いつもつけてくれてるんだよな。すっごくかっこいい。
そして俺の目はヴィデロさんの上半身に釘付け。いつも見てるんだよ。色々愛し合ってるときとか、たまに一緒にお風呂に入るときとか、朝着替えるときとか。でもやっぱりいつでもヴィデロさんの身体は見惚れる。見飽きることなんてないんじゃなかろうか。素敵すぎてもう最高。好き。
手を止めてじっとヴィデロさんに見惚れていると、ヴィルさんもまじまじとヴィデロさんの上半身を見ていた。
「すごいな、その筋肉。君は着やせするタイプか? 健吾みたいに君にメロメロじゃなくても、思わず見惚れそうになるな。人体の神秘だ」
「生きていくうえで必要な身体だからな」
「そうか……」
なんてことないヴィデロさんの答えに、ヴィルさんは真顔になって言葉を止めた。
そして、何かを言いたそうに口を開きかけ、また閉じる。
「俺も鍛えて筋肉をつけてみるか」
「つけるな」
ヴィルさんの呟きに即そんな答えを返したヴィデロさんに、ヴィルさんが目をまん丸にする。
「どうしてだ? 君と俺は似てるから、きっと俺にも筋肉は似合うと思うんだ」
「……お前は頭脳派だろ。筋力を鍛えるよりやることがあるんじゃないのか?」
細めの腕に力こぶを作るヴィルさんに、ヴィデロさんが真顔で答える。ヴィルさんは少しの間ヴィデロさんの顔を観察して、ニヤリと笑った。
「成程。俺が筋肉を付けると、健吾が俺に目移りするんじゃないかと心配なのか。そうかそうか。大丈夫、健吾は君一筋だから」
「え、そんな心配してたの?」
楽しそうにそういうヴィルさんの言葉に驚いてヴィデロさんを見ると、ヴィデロさんはきまり悪そうに眼を逸らした。う、可愛い。可愛いかよ。可愛いがすぎる。
思わずヴィデロさんにダッシュで近付いて、素肌に抱き着く。大好き。
「そんなヴィデロさんが大好きすぎてもうどうしよう」
呟いた瞬間、ヴィルさんが大笑いを始めた。そこ笑うところかな。
俺に抱き着かれたヴィデロさんも、つられるように笑い始めて、「どうしようもないな」というヴィルさんの突っ込みにさらに肩を揺らした。
三人でご飯を食べ終えると、ヴィルさんは徐にカバンから可愛くラッピングされた包みを取り出した。
それをヴィデロさんに渡す。
「ようやく渡せたよ。君たちの結婚祝い。とはいえ、プレゼントを受け取るはずの健吾に手伝ってもらったからこそ渡せるんだけどな。健吾、助かった」
ヴィルさんがこっちにウインクする。ってことは、それはさっきの毛皮か。『魅了』にかからなくなる加工をしてきたのかな。
いいえと首を振りながら、ヴィデロさんが包みを開けるのをワクワクしながら見つめる。
ヴィデロさんが白いふわっふわの毛皮を広げると、そこには緑色の縁取りがされて、所々に同じもので刺繍のような模様が入れられていた。うわ、見た目も可愛い。
一応鑑定眼で見てみると、『最高級の手触りの毛皮』とだけ出てきたので、『魅了』はされなくなっている。芸術的だ。
「すごいな……この手触り、こんな物初めて触った」
「それはベッドにでも敷いてくれ。水で洗っても毛皮の質が落ちることはないらしいから、愛用してくれると嬉しい」
「ああ、ありがとう」
ヴィデロさんは丁寧に毛皮を畳み、それをテーブルに置いた。でも、まだ包み紙には毛皮が残っていた。
「こっちも……?」
残っていた毛皮をヴィデロさんが広げると、それはローブのような装備品だった。やっぱり緑色の刺繍がされていて、裾付近が凄く可愛らしく仕上がっている。
くるりとヴィデロさんが裏を見たことで見つけたのは、フードに付いた、耳。え、何か兎の耳が付いてるよ。
つい手を伸ばして、その耳を触ってみる。ふわっと最高級の手触りの耳がそこにはあった。
ヴィデロさんが迷わず俺にそれを羽織らせた。
フードが頭に乗ると、兎耳がなぜかちゃんと上に向かって立っていた。
待って。
これ、待って、こんな可愛らしいローブ、俺に似合うと思ってるのかなこの二人!
「それは健吾に。健吾の装備品、君からのプレゼントのローブしかないんだろ。予備と思ってぜひ使ってくれ。防御力に優れ、素早さアップ、状態異常耐性、魅力アップという代物だ。なかなか使えると思う」
「すごく可愛い。使わせてもらう」
「だろう。健吾には似合うと思っていたんだ」
二人は意気投合していたけど、似合わないでしょ、兎耳!
「耳は必要だったんですか!?」
思わず突っ込むと、ヴィルさんがいい笑顔で頷いた。
「流石にその毛皮の魔物を捕えることは出来なかったから、違う魔物のドロップ品だけれど、それを装備品に付けると、聴力に補正が付くらしいんだ。獣人並みに能力が上がるらしいぞ。試してみるか?」
「試すってどうやって」
憮然とした顔をしていると、ヴィルさんがヴィデロさんの腕を掴んで、連絡通路に促した。そして、ドアを閉める。
『ここで俺たちが話していても、健吾に聞こえるらしいぞ』
『まさか』
声を潜めて二人で話してるのがしっかりと聞こえた。確かに、聴力アップしてる。
ドアを隔てた先のひそひそ声を更に聴いていると、『そういえば』とヴィルさんが言い出した。
『前に健吾が獣化した時、見れなくて泣いたんだって?』
『な、泣いてない……! どこでそれを……!』
『天使が笑いながら教えてくれたから、これは耳を付けないとなと思ってな』
『……っ、クラッシュか……う、まあ、でも、マックが可愛いから……今回は目をつぶる』
『はははは、そう言うと思ったよ』
はぁ、というヴィデロさんのため息まで聞こえて来て、俺も一緒になって項垂れた。
そういう意味のうさ耳だったのか。あれ、人生の汚点なんだけど! それをこんな形にまとめて来るなんて、なんて恐ろしいんだあの二人組は。
この聴力はとてもいいけどね! 手触りもふわっふわだけどね! 聞き耳立てたいとき限定の装備品にしようそうしよう。耳恥ずかしすぎる。
「前のお前はそんなもんだっただろう」
寝室の扉から、下半身だけインナーを身に付けたヴィデロさんが出て来ながら、ヴィルさんに呆れたように言葉を返した。
上半身裸のヴィデロさんの腕には、前に俺がプレゼントしたアクセサリーが着けられていて、ドキッとする。いつもつけてくれてるんだよな。すっごくかっこいい。
そして俺の目はヴィデロさんの上半身に釘付け。いつも見てるんだよ。色々愛し合ってるときとか、たまに一緒にお風呂に入るときとか、朝着替えるときとか。でもやっぱりいつでもヴィデロさんの身体は見惚れる。見飽きることなんてないんじゃなかろうか。素敵すぎてもう最高。好き。
手を止めてじっとヴィデロさんに見惚れていると、ヴィルさんもまじまじとヴィデロさんの上半身を見ていた。
「すごいな、その筋肉。君は着やせするタイプか? 健吾みたいに君にメロメロじゃなくても、思わず見惚れそうになるな。人体の神秘だ」
「生きていくうえで必要な身体だからな」
「そうか……」
なんてことないヴィデロさんの答えに、ヴィルさんは真顔になって言葉を止めた。
そして、何かを言いたそうに口を開きかけ、また閉じる。
「俺も鍛えて筋肉をつけてみるか」
「つけるな」
ヴィルさんの呟きに即そんな答えを返したヴィデロさんに、ヴィルさんが目をまん丸にする。
「どうしてだ? 君と俺は似てるから、きっと俺にも筋肉は似合うと思うんだ」
「……お前は頭脳派だろ。筋力を鍛えるよりやることがあるんじゃないのか?」
細めの腕に力こぶを作るヴィルさんに、ヴィデロさんが真顔で答える。ヴィルさんは少しの間ヴィデロさんの顔を観察して、ニヤリと笑った。
「成程。俺が筋肉を付けると、健吾が俺に目移りするんじゃないかと心配なのか。そうかそうか。大丈夫、健吾は君一筋だから」
「え、そんな心配してたの?」
楽しそうにそういうヴィルさんの言葉に驚いてヴィデロさんを見ると、ヴィデロさんはきまり悪そうに眼を逸らした。う、可愛い。可愛いかよ。可愛いがすぎる。
思わずヴィデロさんにダッシュで近付いて、素肌に抱き着く。大好き。
「そんなヴィデロさんが大好きすぎてもうどうしよう」
呟いた瞬間、ヴィルさんが大笑いを始めた。そこ笑うところかな。
俺に抱き着かれたヴィデロさんも、つられるように笑い始めて、「どうしようもないな」というヴィルさんの突っ込みにさらに肩を揺らした。
三人でご飯を食べ終えると、ヴィルさんは徐にカバンから可愛くラッピングされた包みを取り出した。
それをヴィデロさんに渡す。
「ようやく渡せたよ。君たちの結婚祝い。とはいえ、プレゼントを受け取るはずの健吾に手伝ってもらったからこそ渡せるんだけどな。健吾、助かった」
ヴィルさんがこっちにウインクする。ってことは、それはさっきの毛皮か。『魅了』にかからなくなる加工をしてきたのかな。
いいえと首を振りながら、ヴィデロさんが包みを開けるのをワクワクしながら見つめる。
ヴィデロさんが白いふわっふわの毛皮を広げると、そこには緑色の縁取りがされて、所々に同じもので刺繍のような模様が入れられていた。うわ、見た目も可愛い。
一応鑑定眼で見てみると、『最高級の手触りの毛皮』とだけ出てきたので、『魅了』はされなくなっている。芸術的だ。
「すごいな……この手触り、こんな物初めて触った」
「それはベッドにでも敷いてくれ。水で洗っても毛皮の質が落ちることはないらしいから、愛用してくれると嬉しい」
「ああ、ありがとう」
ヴィデロさんは丁寧に毛皮を畳み、それをテーブルに置いた。でも、まだ包み紙には毛皮が残っていた。
「こっちも……?」
残っていた毛皮をヴィデロさんが広げると、それはローブのような装備品だった。やっぱり緑色の刺繍がされていて、裾付近が凄く可愛らしく仕上がっている。
くるりとヴィデロさんが裏を見たことで見つけたのは、フードに付いた、耳。え、何か兎の耳が付いてるよ。
つい手を伸ばして、その耳を触ってみる。ふわっと最高級の手触りの耳がそこにはあった。
ヴィデロさんが迷わず俺にそれを羽織らせた。
フードが頭に乗ると、兎耳がなぜかちゃんと上に向かって立っていた。
待って。
これ、待って、こんな可愛らしいローブ、俺に似合うと思ってるのかなこの二人!
「それは健吾に。健吾の装備品、君からのプレゼントのローブしかないんだろ。予備と思ってぜひ使ってくれ。防御力に優れ、素早さアップ、状態異常耐性、魅力アップという代物だ。なかなか使えると思う」
「すごく可愛い。使わせてもらう」
「だろう。健吾には似合うと思っていたんだ」
二人は意気投合していたけど、似合わないでしょ、兎耳!
「耳は必要だったんですか!?」
思わず突っ込むと、ヴィルさんがいい笑顔で頷いた。
「流石にその毛皮の魔物を捕えることは出来なかったから、違う魔物のドロップ品だけれど、それを装備品に付けると、聴力に補正が付くらしいんだ。獣人並みに能力が上がるらしいぞ。試してみるか?」
「試すってどうやって」
憮然とした顔をしていると、ヴィルさんがヴィデロさんの腕を掴んで、連絡通路に促した。そして、ドアを閉める。
『ここで俺たちが話していても、健吾に聞こえるらしいぞ』
『まさか』
声を潜めて二人で話してるのがしっかりと聞こえた。確かに、聴力アップしてる。
ドアを隔てた先のひそひそ声を更に聴いていると、『そういえば』とヴィルさんが言い出した。
『前に健吾が獣化した時、見れなくて泣いたんだって?』
『な、泣いてない……! どこでそれを……!』
『天使が笑いながら教えてくれたから、これは耳を付けないとなと思ってな』
『……っ、クラッシュか……う、まあ、でも、マックが可愛いから……今回は目をつぶる』
『はははは、そう言うと思ったよ』
はぁ、というヴィデロさんのため息まで聞こえて来て、俺も一緒になって項垂れた。
そういう意味のうさ耳だったのか。あれ、人生の汚点なんだけど! それをこんな形にまとめて来るなんて、なんて恐ろしいんだあの二人組は。
この聴力はとてもいいけどね! 手触りもふわっふわだけどね! 聞き耳立てたいとき限定の装備品にしようそうしよう。耳恥ずかしすぎる。
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手料理が繋ぐ心と体。身分差を越えた、最強α皇帝と隠れΩ料理人の美味しくて甘い辺境スローライフが幕を開ける!
※本作にはボーイズラブ要素およびオメガバース設定(α、β、Ωの概念やフェロモンに関する描写)が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。