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615、飲み会楽しい
会話の内容にかかわらず、皆で話すことが楽しくて、俺はずっと笑っていた。クラッシュはことごとく突っ込み役に回り、でもその突っ込みはどこかずれていて楽しい。
ヴィデロさんとヴィルさんはいつもと変わらないけれど、それでも楽しそうにグラスを傾けていた。
4人でどれくらい飲んだんだろう。ヴィルさんが出してくるお酒はどれもこれも美味しくて、俺も沢山飲んじゃったかもしれない。ステータス欄には『酩酊』のバッドステータスがついていたけれど、気分が良すぎて治す気にもならなかった。
三人が用意してくれたたくさんのごちそうもあらかたなくなって、空いた皿がある程度出る度にヴィデロさんとヴィルさんが下げては洗う。
外が暗くなるころには、テーブルの上は酒瓶とグラスだけになっていた。
「君も学校には通ったんだろ。卒業式はどうだったんだ」
「そうだな……あの頃は大分父の具合も悪かったんだけど、珍しく母も家に帰って来て三人で祝った。もう次の日には騎士団の見習いとして通わないといけなかったから、そこまで盛大に祝ったわけじゃないけどな。お前は? かなりの期間学校に通う、ということを異邦人たちに聞いたことがある」
「俺は、小さい頃は健吾と同じ国の学校に通ったかな。けれど、それだけでは俺のやりたいことを出来ないと思って、海外に行って、そっちの学校に入ったな。トータルすると、15年ほど色々な学校に通ったかな。俺が向かった国には飛び級という制度があって、能力の有無によっては上の学年になることが出来たんだ。俺はそれを最大限に使って大学院というところまで卒業した」
「大学院……?」
「そうだな……こっちの国には貴族学園と街の人たちが通う学校の二種類しかないんだったか。通うのは7年で、15で卒業、でいいのか? 俺たちの世界だと中学校と同程度の年齢だろ。その後、健吾が通っていた高等学校、更に、大学、大学院、と段々と内容が専門的になっていく学校が沢山あるんだ。俺は母と同じような分野を選択して、ひたすらそれを勉強したな。たまに母に助言をもらいながら」
「想像もつかないな……」
ヴィルさんの話の内容に、ヴィデロさんが顔を顰める。そういえばヴィルさんって海外に行ってからかなりの勢いで飛び級したんだっけ。ヴィルさんの頭脳どういう作りしてるんだろう。俺は普通の勉強だっていっぱいいっぱいで追い付くのがやっとなのに。
「これでも頭の中身は大分出来が良かったんだ」
「ヴィルそういうこと自分で言わなければデキる人なのに」
クラッシュにズバッと突っ込みを入れられて、ヴィルさんが笑う。
「そういう君は学校に通ったのか?」
「通ったよ。少しだけだけど。小さい頃はちょっと色々安定しなかったから、あんまり学校に行けなかったんだ。その代わり、街の人たち皆で計算とか色々教えてくれたけど。そんなことよりマックだよ。もう学校に行かないってことだろ。働き口はあるの? それともずっとこっちにいて、薬師するの? 俺それ希望」
「俺の所で働いてもらうから大丈夫だ」
クラッシュの質問にヴィルさんがそう答えた瞬間、クラッシュが哀れなものを見るような目線で俺を見た。
「可愛そうなマック……ヴィルと一緒にいると、ほんとに無茶苦茶するから、大変だよ……」
「そんなことないだろ」
「なくない。だいたいさ、普通は何もないはずの地面で突然ダンジョンを見つけたりしないの。それに、絶対に何かありそうな祠の扉を無造作に開けたりしないの。普通はね。こっちに何かある、あっちが気になるで、次々変なところを見つけたり、絶対しないから。片っ端から付き合わされる俺の身にもなってよ」
「その割には、今日はどんなお宝が手に入るかなって目を輝かせてるよな。外れはないだろ」
「ないけど! 外れがなさ過ぎて商品に出来ない代物ばっかり手に入るから、扱いに困るんだよ! この間の魔力を吸い続けて成長する剣なんて、扱いに困ってレガロに売っちゃったよ! めちゃくちゃ高値で買い取ってくれたけど。しかもいつもは見れない満面の笑みで。俺、ちょっと売る場所間違えたかなってしばらくの間後悔してたもん。でも貴族になんて売りたくないしさ。そんなんばっかりだよヴィルと歩いていると」
ターンとグラスをテーブルに置くと、クラッシュは酒瓶を手に取って、グラスになみなみと注いだ。赤い色がすごく綺麗なお酒で、さっき一口貰って飲んだら、甘さがなくて俺はあんまり美味しいとは思えなかった。素直にそう言ったら、クラッシュがこれは大人のお酒なの、と得意げな顔をして教えてくれた。けど、顔を背けながらヴィデロさんとヴィルさんが笑ってたから、そんなにアルコール度数は高くないんじゃないかと踏んでる。
「その剣ってこれか?」
ヴィルさんは何もないところからひと振りの綺麗な剣を取り出した。なんか、そばにいるだけで只者じゃない雰囲気を感じる。
「なんでヴィルがその剣を持ってるんだよ!」
「呪術屋から買い取ったから」
「だったら最初っからヴィルが持ってたら良かったじゃん」
「いや、これはクラッシュから呪術屋を経たからこそいいんだ。最初は普通の魔剣だったんだけど、こんなに成長した」
「ほら、これだよ……」
「稼げたならいいだろ」
「そうだけど! そうなんだけど! なんか違うっていうか、ヴィルの行動自体が非常識って言いたいの俺は」
「色んな人がいるんだよ。それを言ったら健吾だってもっと非常識だろ」
「二人とも非常識の最たるものだよ。こんな非常識に挟まれたヴィデロがたまに可哀そうになるよ。付き合わされるんだろ、ヴィデロも」
ちらりとこっちを見ながらニヤリと笑うクラッシュに、ヴィデロさんの呆れたような視線が重なる。
「それを言ったら、クラッシュもだろ。マックの親友、そいつの付き合い。多分クラッシュの方が非常識の迷惑を被る度合いはかなり高いぞ」
「……うああ、そうだった……そうだよ。ヴィル、言いたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「次に気になるところがあったら、俺じゃなくてヴィデロに声を掛けてよ。兄弟仲良く探索に行くのも悪くないよきっと」
「天使は俺と行きたくないのか? 弟と行くのもいいけど、そうなると健吾がセットになるだろ。そこに俺一人で混ざると、たまに本気で死に晒されるんだ。主に弟の殺気で」
「マック連れて行かなければいいじゃん」
「そうだな……それもまたいいな。その場合は馬か? それはそれで楽しそうだな、ヴィデロ」
「俺は行かない」
スッと目を逸らしたヴィデロさんに、ヴィルさんはちょっとショックを受けているみたいだった。
それがまた楽しくて、俺は声を上げて笑ってしまう。
ヴィデロさんもつられたように顔を綻ばせているのが嬉しい。
皆笑ってるのが凄くいいなと思いながら、いつの間にやら俺は、ヴィデロさんの方に身体を傾げていた。
「マック? そろそろ寝るか?」
「寝るの、勿体ない……」
そう言いつつも、目が閉じていく。眠くないのに目が閉じる。必死で指をあげてステータス欄を見てみると、いつの間にやら『酩酊』は『泥酔』に変わっていた。
「ドランク……ポーション……」
そう呟いた俺は、酔いを醒ます前に、潰れた。
強制ログアウトで、自室のベッドで起き上がる。
部屋の中は真っ暗で、下からも物音もしない。
時間を見ると、まだ午前3時。
飲みながら寝ちゃったことを残念に思いながらそっと階下に降りて、シャワーを済ませると、俺はもう一度部屋に戻ってギアを被った。今度こそドランクポーションを飲まないと。
ログインすると、そこはパラダイスだった。ヴィデロさんの腕に包まれて、ヴィデロさんの寝顔を間近で見れることに、俺は一時至福の時間を過ごした。
その後、二日酔いの頭痛に襲われて出した唸り声によってヴィデロさんが起きてしまい、至福の時間ははかなく消えていった。
ヴィデロさんにドランクポーションを口移しで飲ませてもらったのは、最高だったけど。二日酔いはいやだけど、また4人で飲みたいな、と思ったのだった。
ヴィデロさんとヴィルさんはいつもと変わらないけれど、それでも楽しそうにグラスを傾けていた。
4人でどれくらい飲んだんだろう。ヴィルさんが出してくるお酒はどれもこれも美味しくて、俺も沢山飲んじゃったかもしれない。ステータス欄には『酩酊』のバッドステータスがついていたけれど、気分が良すぎて治す気にもならなかった。
三人が用意してくれたたくさんのごちそうもあらかたなくなって、空いた皿がある程度出る度にヴィデロさんとヴィルさんが下げては洗う。
外が暗くなるころには、テーブルの上は酒瓶とグラスだけになっていた。
「君も学校には通ったんだろ。卒業式はどうだったんだ」
「そうだな……あの頃は大分父の具合も悪かったんだけど、珍しく母も家に帰って来て三人で祝った。もう次の日には騎士団の見習いとして通わないといけなかったから、そこまで盛大に祝ったわけじゃないけどな。お前は? かなりの期間学校に通う、ということを異邦人たちに聞いたことがある」
「俺は、小さい頃は健吾と同じ国の学校に通ったかな。けれど、それだけでは俺のやりたいことを出来ないと思って、海外に行って、そっちの学校に入ったな。トータルすると、15年ほど色々な学校に通ったかな。俺が向かった国には飛び級という制度があって、能力の有無によっては上の学年になることが出来たんだ。俺はそれを最大限に使って大学院というところまで卒業した」
「大学院……?」
「そうだな……こっちの国には貴族学園と街の人たちが通う学校の二種類しかないんだったか。通うのは7年で、15で卒業、でいいのか? 俺たちの世界だと中学校と同程度の年齢だろ。その後、健吾が通っていた高等学校、更に、大学、大学院、と段々と内容が専門的になっていく学校が沢山あるんだ。俺は母と同じような分野を選択して、ひたすらそれを勉強したな。たまに母に助言をもらいながら」
「想像もつかないな……」
ヴィルさんの話の内容に、ヴィデロさんが顔を顰める。そういえばヴィルさんって海外に行ってからかなりの勢いで飛び級したんだっけ。ヴィルさんの頭脳どういう作りしてるんだろう。俺は普通の勉強だっていっぱいいっぱいで追い付くのがやっとなのに。
「これでも頭の中身は大分出来が良かったんだ」
「ヴィルそういうこと自分で言わなければデキる人なのに」
クラッシュにズバッと突っ込みを入れられて、ヴィルさんが笑う。
「そういう君は学校に通ったのか?」
「通ったよ。少しだけだけど。小さい頃はちょっと色々安定しなかったから、あんまり学校に行けなかったんだ。その代わり、街の人たち皆で計算とか色々教えてくれたけど。そんなことよりマックだよ。もう学校に行かないってことだろ。働き口はあるの? それともずっとこっちにいて、薬師するの? 俺それ希望」
「俺の所で働いてもらうから大丈夫だ」
クラッシュの質問にヴィルさんがそう答えた瞬間、クラッシュが哀れなものを見るような目線で俺を見た。
「可愛そうなマック……ヴィルと一緒にいると、ほんとに無茶苦茶するから、大変だよ……」
「そんなことないだろ」
「なくない。だいたいさ、普通は何もないはずの地面で突然ダンジョンを見つけたりしないの。それに、絶対に何かありそうな祠の扉を無造作に開けたりしないの。普通はね。こっちに何かある、あっちが気になるで、次々変なところを見つけたり、絶対しないから。片っ端から付き合わされる俺の身にもなってよ」
「その割には、今日はどんなお宝が手に入るかなって目を輝かせてるよな。外れはないだろ」
「ないけど! 外れがなさ過ぎて商品に出来ない代物ばっかり手に入るから、扱いに困るんだよ! この間の魔力を吸い続けて成長する剣なんて、扱いに困ってレガロに売っちゃったよ! めちゃくちゃ高値で買い取ってくれたけど。しかもいつもは見れない満面の笑みで。俺、ちょっと売る場所間違えたかなってしばらくの間後悔してたもん。でも貴族になんて売りたくないしさ。そんなんばっかりだよヴィルと歩いていると」
ターンとグラスをテーブルに置くと、クラッシュは酒瓶を手に取って、グラスになみなみと注いだ。赤い色がすごく綺麗なお酒で、さっき一口貰って飲んだら、甘さがなくて俺はあんまり美味しいとは思えなかった。素直にそう言ったら、クラッシュがこれは大人のお酒なの、と得意げな顔をして教えてくれた。けど、顔を背けながらヴィデロさんとヴィルさんが笑ってたから、そんなにアルコール度数は高くないんじゃないかと踏んでる。
「その剣ってこれか?」
ヴィルさんは何もないところからひと振りの綺麗な剣を取り出した。なんか、そばにいるだけで只者じゃない雰囲気を感じる。
「なんでヴィルがその剣を持ってるんだよ!」
「呪術屋から買い取ったから」
「だったら最初っからヴィルが持ってたら良かったじゃん」
「いや、これはクラッシュから呪術屋を経たからこそいいんだ。最初は普通の魔剣だったんだけど、こんなに成長した」
「ほら、これだよ……」
「稼げたならいいだろ」
「そうだけど! そうなんだけど! なんか違うっていうか、ヴィルの行動自体が非常識って言いたいの俺は」
「色んな人がいるんだよ。それを言ったら健吾だってもっと非常識だろ」
「二人とも非常識の最たるものだよ。こんな非常識に挟まれたヴィデロがたまに可哀そうになるよ。付き合わされるんだろ、ヴィデロも」
ちらりとこっちを見ながらニヤリと笑うクラッシュに、ヴィデロさんの呆れたような視線が重なる。
「それを言ったら、クラッシュもだろ。マックの親友、そいつの付き合い。多分クラッシュの方が非常識の迷惑を被る度合いはかなり高いぞ」
「……うああ、そうだった……そうだよ。ヴィル、言いたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「次に気になるところがあったら、俺じゃなくてヴィデロに声を掛けてよ。兄弟仲良く探索に行くのも悪くないよきっと」
「天使は俺と行きたくないのか? 弟と行くのもいいけど、そうなると健吾がセットになるだろ。そこに俺一人で混ざると、たまに本気で死に晒されるんだ。主に弟の殺気で」
「マック連れて行かなければいいじゃん」
「そうだな……それもまたいいな。その場合は馬か? それはそれで楽しそうだな、ヴィデロ」
「俺は行かない」
スッと目を逸らしたヴィデロさんに、ヴィルさんはちょっとショックを受けているみたいだった。
それがまた楽しくて、俺は声を上げて笑ってしまう。
ヴィデロさんもつられたように顔を綻ばせているのが嬉しい。
皆笑ってるのが凄くいいなと思いながら、いつの間にやら俺は、ヴィデロさんの方に身体を傾げていた。
「マック? そろそろ寝るか?」
「寝るの、勿体ない……」
そう言いつつも、目が閉じていく。眠くないのに目が閉じる。必死で指をあげてステータス欄を見てみると、いつの間にやら『酩酊』は『泥酔』に変わっていた。
「ドランク……ポーション……」
そう呟いた俺は、酔いを醒ます前に、潰れた。
強制ログアウトで、自室のベッドで起き上がる。
部屋の中は真っ暗で、下からも物音もしない。
時間を見ると、まだ午前3時。
飲みながら寝ちゃったことを残念に思いながらそっと階下に降りて、シャワーを済ませると、俺はもう一度部屋に戻ってギアを被った。今度こそドランクポーションを飲まないと。
ログインすると、そこはパラダイスだった。ヴィデロさんの腕に包まれて、ヴィデロさんの寝顔を間近で見れることに、俺は一時至福の時間を過ごした。
その後、二日酔いの頭痛に襲われて出した唸り声によってヴィデロさんが起きてしまい、至福の時間ははかなく消えていった。
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手料理が繋ぐ心と体。身分差を越えた、最強α皇帝と隠れΩ料理人の美味しくて甘い辺境スローライフが幕を開ける!
※本作にはボーイズラブ要素およびオメガバース設定(α、β、Ωの概念やフェロモンに関する描写)が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。