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連載
697、身体、洗わないと
これから買い物デートをするという雄太たちとドラッグストアの中で別れ、俺たちは荷物片手に手を繋いで家路を歩いた。
すぐ近くを車が通るたびに少しだけ眉を寄せるヴィデロさんは、溜め息と共に車を見送ると、肩を竦めて俺に苦笑して見せた。
「あの車、というものは魔物でも弾き飛ばしそうな速さだな」
「そうかも。クイックホースより速いからね」
「……鉄製のクイックホースだと思えばいいのか……? 明日、母と共にあれに乗って色々と回らないといけないと言われたんだが……」
鉄製のクイックホース……。ヴィデロさんの呟きを聞いて、俺は少しだけ和んでしまった。世界の違いに違和感が凄いんだろうと思う。
俺たちがヴィデロさんの世界に行くときは、そういうものだと思ってログインするからいいんだけどね。カルチャーショックとか大変だろうなあ。
俺はエールを送る気持ちで繋がれていた手に力を入れた。
部屋に帰って来ると、ヴィデロさんと俺とで早速荷物を開けた。
試着した姿を見て一目惚れして買ったサマーニットとジーンズは、裾上げしなくてもよくて店員さんも驚いていた。柔らか天然素材のシャツも、いつも向こうで着ていた物と似たような感じで安心できたし、Vネックのシャツが最高にセクシーだった。もう、俺一週間分くらいの目の保養をさせてもらった気分。
対する俺が買った服は、ちょっとダボっとしたパーカー。チャックじゃなくて前がボタンで、白のワッフル生地で出来てる手触りのいい物だった。普段は買いにも行かないような店で買ったからかな。
そして、肝心の服の料金は、ヴィデロさんが出してくれた。俺が財布も出せない早業だった。
この服ケンゴに似合いそうだな、から始まり、羽織ってみてくれないかと言われて羽織って、軽さと手触りの良さを確認している間に、ヴィデロさんが店員さんに「あれもください」と買ってしまったのだ。いつもながら鮮やかすぎる。そして休憩した時の飲み物もそう。何がいいか説明していたら、決めた瞬間ヴィデロさんに払われてしまった。口を尖らせて最後のドラッグストアのお金だけは俺が出させてもらった。でも。
でもである。俺の給料はヴィルさんが出しているわけで。ヴィデロさんにお金を渡したのもヴィルさんなわけで。
結局はヴィルさんのお陰ってことで落ち着いた。おにいちゃんの存在感、ここに来て超デカい。
テーブルの上に広げられた服を手早くたたむと、俺はキッチンでお茶を淹れて戻って来た。
ヴィデロさんの前にカップを置こうとして、そこに出されていた物に思わず動揺してお茶を零しそうになる。
「ケンゴ、これはどうやって使うんだ? こっちは、香油……ではないのか? アダルトアイテムだろ」
「ああ、うん……」
雄太にかごに突っ込まれたアダルトアイテムが、ヴィデロさんの前に並べられていた。
ここで照れて説明を省いたらヴィルさんに聞くのは目に見えている。それだけはいやだ。今後の俺の精神安定のためにそれだけは避けたい。恥ずかしすぎる。
俺は、意を決して、ヴィデロさんの隣に座った。
「これは、香油と同じで、ええと、い、挿れやすくするローション。あと、この箱は……コンドームって言って……に被せて使うやつ。妊娠とか、病気とかを予防するために」
「被せる……?」
箱から取り出したパッケージを手に、マジマジとみるヴィデロさんには、それがどんなものなのか想像もつかないみたいだった。そうだよね。向こうにはこういうのなかったもんね。
パッケージの裏には、日本語で使い方の説明が書いてある以外には何もなく、そうなるとヴィデロさんは読めないわけで。
かといって、俺も実物を使ったことも手にしたことも今まで一度もなく。保健体育の授業で先生が説明していたのをただ聞いていただけ。装着方法はわかるけど、わかるんだけど。口で説明って難しい。
顔を赤くしながら悩んでいると、ヴィデロさんが苦笑しながら俺を覗き込んできた。
「そんなに説明しづらい物を高橋は勧めたのか?」
「そういうわけじゃないんだけど。こっちでは着けるのがマナーなんだけどね……俺、使ったことないから……」
だから説明が難しい、と口を開こうとして、いきなりヴィデロさんにギュッと抱きしめられてしまった。
頭にちゅ、とキスをされて、厚い胸板に顔を包まれて、いきなりの至福の時間にさっきまでの羞恥も忘れてほわっとなる。
「ケンゴ、やっぱり可愛い」
ぐい、と身体を持ち上げられて、膝上に座らせられた俺は、可愛いを連発するヴィデロさんにキスの嵐を贈られた。
頬とか瞼とか鼻とか口とか耳とか首とか。
この身体では慣れない感覚に「ひゃ」とか「あ」とか変な声が上がる。
「声はケンゴのままなんだな。声も変えることが出来ると兄から聞いてはいたんだが」
「声を替えてるのは、ブレイブと海里、だよ。あの二人、実は男女逆だから、や、待って、耳、ゾクゾクする」
耳に唇を寄せられて、囁かれると、それだけで腰がジンとする。ヴィデロさんの声、好き。でもここまで近い位置で囁かれると、力が抜けそうになる。好みの声すぎて。
「ヴィデロさん、好き」
「俺も、愛してる」
「耳元で言われると……っ」
「もっともっと言いたい。ケンゴ、愛してる。好きだ。ずっと一緒にいよう」
「うん。ずっと一緒に」
「抱きたい。愛したい」
「うん」
囁かれて、俺は蕩けるような気分で頷いた。
囁かれまくって腰砕けに近い状態になっちゃった俺を抱っこして、ヴィデロさんがベッドに向かう。
ヴィデロさんの首に腕を回しながら、とうとう三度目の初めてをヴィデロさんにあげられるんだな、と胸が高鳴る。
ヴィデロさんは俺をベッドに降ろすと、一緒に持ってきたローションと箱をベッドヘッドに置いた。
覆いかぶさるような格好でキスをしてくるヴィデロさんを見上げて、感極まる。
マックとして抱かれるたびに夢見てきた、自分自身でヴィデロさんと愛し合うこと。
それが、叶うんだ。
ヴィデロさんの首に腕を絡めて、自ら率先して舌を差し込んでいく。
俺の舌をヴィデロさんが甘く噛んで、吸って、絡めて、口の中に快感が広がっていく。
じわじわと気持ちよさが身体中に広がっていくことに、眩暈がしそうになる。
何度も何度も愛し合ったけど、でも、まるで初めて抱かれるみたいな気分でドキドキする。いや、実際に初めてなんだけど。
とふと自分の身体を見下ろして、ハッとした。
ここでは排泄とかするから。マックと違うから。
このまま抱かれるのはかなり抵抗が。
「あ、待ってヴィデロさ……出かけた後、身体洗ってないから……」
待ったをかけた俺に、ヴィデロさんは困ったような顔をして、確かに、と頷いた。
「でも、そんなに待つ余裕は俺にもないから、ケンゴ……」
少しだけ熱のこもった声で、ヴィデロさんは俺を見下ろし、一緒に入ろうか、と囁いた。
あんな状態からのシャワーなんて、前戯と一緒だと思う。
ドキドキした状態のまま、俺とヴィデロさんは風呂場に行った。ぎこちなく服を脱いでいると、ヴィデロさんがさっさと服を脱いでしまって俺の服を剥ぎ取る。
俺の脇腹とか腹とかにそっと手を添えたヴィデロさんは、はあ、と息を吐くと、身を屈めて俺の首筋に顔を埋めた。
「ちょっと……緊張するな……」
ふふ、と笑いながら首筋でそんなことを言うヴィデロさんに、俺も笑いながら同意した。
お互いの身体を石鹸の泡で洗う。ヴィデロさんのヴィデロさんも、俺のブツもすでに興奮した状態になってて、ちょっとだけ恥ずかしくて笑う。もう一緒に婚姻の儀を受けた仲のはずなのに、まるで付き合いたてほやほやな気分なのは、なんだか嬉しいしお得だ。だっていつでも新鮮ってことだもん。ヴィデロさん、俺に飽きないといいんだけど。
引き締まった筋肉の身体を手の平で洗うのはすごく楽しい。毎日一緒にお風呂に入って洗ってあげたい。
腹筋のボコボコしたところを撫でるの、本当に気持ちいい。背中の筋肉も硬くて最高。
「……っ、あ」
思わず声を上げてしまって、思った以上に響く声にカッと血が上る。ヴィデロさんの洗い方がすごく官能的っていうか手つきがエロいから、あえて筋肉に逃げてたのに。お腹とか背中とか胸を撫でるように洗う手がエロすぎて油断するとそれだけでイっちゃいそうで困る。
「ん、んん……っ」
しっかりと勃ったブツを優しく撫でられた時は、軽く何かを出しちゃって力が抜けそうになった。
俺も洗わないと、とヴィデロさんのヴィデロさんに手を伸ばすと、すっかり硬くなってるそこがさらにぐっと質量を増した。
ぐち、ぐち、と耳に恥ずかしい音が風呂場に充満する。
「あ、な、中も、洗うからちょっと後ろ向いて……」
さすがに恥ずかしくてそう言うと、ヴィデロさんが息を呑む音が聞こえてきた。
そして、ヴィデロさんの指が、石鹸の泡を伴って、いつも愛されてる、でも何も挿れたことのない場所を撫でた。
ん、と声を出すと、ヴィデロさんの唇が重なる。
「んんんん……っ」
ゆっくりとこじ開けるように指が挿ってきて思わず声を上げると、それはヴィデロさんが全て吸い取ってしまった。自分でするから、という声も吸い取られてしまって、声にならない。
石鹸のせいか、痛くはないんだけど、違和感が凄い。最初に愛された時もこんなだったっけ。あの時は細胞活性剤を使ったから、少し年上だったんだよね。だから、そこも相応に愛されるようになってたってことかな。ここまでの違和感はなかった気がする。
ぬるる、とゆっくり指が動くのを感じて、口から声が洩れそうになる。でもそれは全てヴィデロさんの口の中に。
ちゅぱ、と口が離れると、ヴィデロさんは「痛いか?」と耳元で訊いてきた。
痛くはない、けど。なんていうか、よくわからない感覚に戸惑う。マックとして抱かれてる時はもっとすごく気持ちいいだけを切り取った感じなのに。
身動ぎすると、ヴィデロさんの指がまたもゆっくりと動いた。
指が動くたび、くち、ぐちゅ、とやらしい音がする。
そして。
「っ、あ!」
サワリと指がそこを撫でた瞬間、身体が跳ねた。
「マック……ケンゴ」
よかった、同じ場所が気持ちいいのか。ヴィデロさんのホッとした様な囁きに、俺は喘ぎで答えた。
この感覚は知ってる。ずっと感じてた気持ちよさだ。ヴィデロさんと愛し合ったときにずっと感じてたやつだ。
そこを刺激されて、俺はまたしてもパタパタと何かを零してしまった。
身体は初めてでも、感覚は知ってる。愛し合う気持ちよさとか幸福感とか、ずっと感じてたから。
「ヴィデロさん……愛し合いたい」
あの感覚をここの世界でも共有したい。
俺は、潤んでるであろう顔をヴィデロさんに向けて、そう呟いた。
すぐ近くを車が通るたびに少しだけ眉を寄せるヴィデロさんは、溜め息と共に車を見送ると、肩を竦めて俺に苦笑して見せた。
「あの車、というものは魔物でも弾き飛ばしそうな速さだな」
「そうかも。クイックホースより速いからね」
「……鉄製のクイックホースだと思えばいいのか……? 明日、母と共にあれに乗って色々と回らないといけないと言われたんだが……」
鉄製のクイックホース……。ヴィデロさんの呟きを聞いて、俺は少しだけ和んでしまった。世界の違いに違和感が凄いんだろうと思う。
俺たちがヴィデロさんの世界に行くときは、そういうものだと思ってログインするからいいんだけどね。カルチャーショックとか大変だろうなあ。
俺はエールを送る気持ちで繋がれていた手に力を入れた。
部屋に帰って来ると、ヴィデロさんと俺とで早速荷物を開けた。
試着した姿を見て一目惚れして買ったサマーニットとジーンズは、裾上げしなくてもよくて店員さんも驚いていた。柔らか天然素材のシャツも、いつも向こうで着ていた物と似たような感じで安心できたし、Vネックのシャツが最高にセクシーだった。もう、俺一週間分くらいの目の保養をさせてもらった気分。
対する俺が買った服は、ちょっとダボっとしたパーカー。チャックじゃなくて前がボタンで、白のワッフル生地で出来てる手触りのいい物だった。普段は買いにも行かないような店で買ったからかな。
そして、肝心の服の料金は、ヴィデロさんが出してくれた。俺が財布も出せない早業だった。
この服ケンゴに似合いそうだな、から始まり、羽織ってみてくれないかと言われて羽織って、軽さと手触りの良さを確認している間に、ヴィデロさんが店員さんに「あれもください」と買ってしまったのだ。いつもながら鮮やかすぎる。そして休憩した時の飲み物もそう。何がいいか説明していたら、決めた瞬間ヴィデロさんに払われてしまった。口を尖らせて最後のドラッグストアのお金だけは俺が出させてもらった。でも。
でもである。俺の給料はヴィルさんが出しているわけで。ヴィデロさんにお金を渡したのもヴィルさんなわけで。
結局はヴィルさんのお陰ってことで落ち着いた。おにいちゃんの存在感、ここに来て超デカい。
テーブルの上に広げられた服を手早くたたむと、俺はキッチンでお茶を淹れて戻って来た。
ヴィデロさんの前にカップを置こうとして、そこに出されていた物に思わず動揺してお茶を零しそうになる。
「ケンゴ、これはどうやって使うんだ? こっちは、香油……ではないのか? アダルトアイテムだろ」
「ああ、うん……」
雄太にかごに突っ込まれたアダルトアイテムが、ヴィデロさんの前に並べられていた。
ここで照れて説明を省いたらヴィルさんに聞くのは目に見えている。それだけはいやだ。今後の俺の精神安定のためにそれだけは避けたい。恥ずかしすぎる。
俺は、意を決して、ヴィデロさんの隣に座った。
「これは、香油と同じで、ええと、い、挿れやすくするローション。あと、この箱は……コンドームって言って……に被せて使うやつ。妊娠とか、病気とかを予防するために」
「被せる……?」
箱から取り出したパッケージを手に、マジマジとみるヴィデロさんには、それがどんなものなのか想像もつかないみたいだった。そうだよね。向こうにはこういうのなかったもんね。
パッケージの裏には、日本語で使い方の説明が書いてある以外には何もなく、そうなるとヴィデロさんは読めないわけで。
かといって、俺も実物を使ったことも手にしたことも今まで一度もなく。保健体育の授業で先生が説明していたのをただ聞いていただけ。装着方法はわかるけど、わかるんだけど。口で説明って難しい。
顔を赤くしながら悩んでいると、ヴィデロさんが苦笑しながら俺を覗き込んできた。
「そんなに説明しづらい物を高橋は勧めたのか?」
「そういうわけじゃないんだけど。こっちでは着けるのがマナーなんだけどね……俺、使ったことないから……」
だから説明が難しい、と口を開こうとして、いきなりヴィデロさんにギュッと抱きしめられてしまった。
頭にちゅ、とキスをされて、厚い胸板に顔を包まれて、いきなりの至福の時間にさっきまでの羞恥も忘れてほわっとなる。
「ケンゴ、やっぱり可愛い」
ぐい、と身体を持ち上げられて、膝上に座らせられた俺は、可愛いを連発するヴィデロさんにキスの嵐を贈られた。
頬とか瞼とか鼻とか口とか耳とか首とか。
この身体では慣れない感覚に「ひゃ」とか「あ」とか変な声が上がる。
「声はケンゴのままなんだな。声も変えることが出来ると兄から聞いてはいたんだが」
「声を替えてるのは、ブレイブと海里、だよ。あの二人、実は男女逆だから、や、待って、耳、ゾクゾクする」
耳に唇を寄せられて、囁かれると、それだけで腰がジンとする。ヴィデロさんの声、好き。でもここまで近い位置で囁かれると、力が抜けそうになる。好みの声すぎて。
「ヴィデロさん、好き」
「俺も、愛してる」
「耳元で言われると……っ」
「もっともっと言いたい。ケンゴ、愛してる。好きだ。ずっと一緒にいよう」
「うん。ずっと一緒に」
「抱きたい。愛したい」
「うん」
囁かれて、俺は蕩けるような気分で頷いた。
囁かれまくって腰砕けに近い状態になっちゃった俺を抱っこして、ヴィデロさんがベッドに向かう。
ヴィデロさんの首に腕を回しながら、とうとう三度目の初めてをヴィデロさんにあげられるんだな、と胸が高鳴る。
ヴィデロさんは俺をベッドに降ろすと、一緒に持ってきたローションと箱をベッドヘッドに置いた。
覆いかぶさるような格好でキスをしてくるヴィデロさんを見上げて、感極まる。
マックとして抱かれるたびに夢見てきた、自分自身でヴィデロさんと愛し合うこと。
それが、叶うんだ。
ヴィデロさんの首に腕を絡めて、自ら率先して舌を差し込んでいく。
俺の舌をヴィデロさんが甘く噛んで、吸って、絡めて、口の中に快感が広がっていく。
じわじわと気持ちよさが身体中に広がっていくことに、眩暈がしそうになる。
何度も何度も愛し合ったけど、でも、まるで初めて抱かれるみたいな気分でドキドキする。いや、実際に初めてなんだけど。
とふと自分の身体を見下ろして、ハッとした。
ここでは排泄とかするから。マックと違うから。
このまま抱かれるのはかなり抵抗が。
「あ、待ってヴィデロさ……出かけた後、身体洗ってないから……」
待ったをかけた俺に、ヴィデロさんは困ったような顔をして、確かに、と頷いた。
「でも、そんなに待つ余裕は俺にもないから、ケンゴ……」
少しだけ熱のこもった声で、ヴィデロさんは俺を見下ろし、一緒に入ろうか、と囁いた。
あんな状態からのシャワーなんて、前戯と一緒だと思う。
ドキドキした状態のまま、俺とヴィデロさんは風呂場に行った。ぎこちなく服を脱いでいると、ヴィデロさんがさっさと服を脱いでしまって俺の服を剥ぎ取る。
俺の脇腹とか腹とかにそっと手を添えたヴィデロさんは、はあ、と息を吐くと、身を屈めて俺の首筋に顔を埋めた。
「ちょっと……緊張するな……」
ふふ、と笑いながら首筋でそんなことを言うヴィデロさんに、俺も笑いながら同意した。
お互いの身体を石鹸の泡で洗う。ヴィデロさんのヴィデロさんも、俺のブツもすでに興奮した状態になってて、ちょっとだけ恥ずかしくて笑う。もう一緒に婚姻の儀を受けた仲のはずなのに、まるで付き合いたてほやほやな気分なのは、なんだか嬉しいしお得だ。だっていつでも新鮮ってことだもん。ヴィデロさん、俺に飽きないといいんだけど。
引き締まった筋肉の身体を手の平で洗うのはすごく楽しい。毎日一緒にお風呂に入って洗ってあげたい。
腹筋のボコボコしたところを撫でるの、本当に気持ちいい。背中の筋肉も硬くて最高。
「……っ、あ」
思わず声を上げてしまって、思った以上に響く声にカッと血が上る。ヴィデロさんの洗い方がすごく官能的っていうか手つきがエロいから、あえて筋肉に逃げてたのに。お腹とか背中とか胸を撫でるように洗う手がエロすぎて油断するとそれだけでイっちゃいそうで困る。
「ん、んん……っ」
しっかりと勃ったブツを優しく撫でられた時は、軽く何かを出しちゃって力が抜けそうになった。
俺も洗わないと、とヴィデロさんのヴィデロさんに手を伸ばすと、すっかり硬くなってるそこがさらにぐっと質量を増した。
ぐち、ぐち、と耳に恥ずかしい音が風呂場に充満する。
「あ、な、中も、洗うからちょっと後ろ向いて……」
さすがに恥ずかしくてそう言うと、ヴィデロさんが息を呑む音が聞こえてきた。
そして、ヴィデロさんの指が、石鹸の泡を伴って、いつも愛されてる、でも何も挿れたことのない場所を撫でた。
ん、と声を出すと、ヴィデロさんの唇が重なる。
「んんんん……っ」
ゆっくりとこじ開けるように指が挿ってきて思わず声を上げると、それはヴィデロさんが全て吸い取ってしまった。自分でするから、という声も吸い取られてしまって、声にならない。
石鹸のせいか、痛くはないんだけど、違和感が凄い。最初に愛された時もこんなだったっけ。あの時は細胞活性剤を使ったから、少し年上だったんだよね。だから、そこも相応に愛されるようになってたってことかな。ここまでの違和感はなかった気がする。
ぬるる、とゆっくり指が動くのを感じて、口から声が洩れそうになる。でもそれは全てヴィデロさんの口の中に。
ちゅぱ、と口が離れると、ヴィデロさんは「痛いか?」と耳元で訊いてきた。
痛くはない、けど。なんていうか、よくわからない感覚に戸惑う。マックとして抱かれてる時はもっとすごく気持ちいいだけを切り取った感じなのに。
身動ぎすると、ヴィデロさんの指がまたもゆっくりと動いた。
指が動くたび、くち、ぐちゅ、とやらしい音がする。
そして。
「っ、あ!」
サワリと指がそこを撫でた瞬間、身体が跳ねた。
「マック……ケンゴ」
よかった、同じ場所が気持ちいいのか。ヴィデロさんのホッとした様な囁きに、俺は喘ぎで答えた。
この感覚は知ってる。ずっと感じてた気持ちよさだ。ヴィデロさんと愛し合ったときにずっと感じてたやつだ。
そこを刺激されて、俺はまたしてもパタパタと何かを零してしまった。
身体は初めてでも、感覚は知ってる。愛し合う気持ちよさとか幸福感とか、ずっと感じてたから。
「ヴィデロさん……愛し合いたい」
あの感覚をここの世界でも共有したい。
俺は、潤んでるであろう顔をヴィデロさんに向けて、そう呟いた。
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一緒に土を耕し、美味しいご飯を分け合ううちに、相反するはずの二人のフェロモンは心地よく調和していくが、やがて帝都からの追手が迫り……。
手料理が繋ぐ心と体。身分差を越えた、最強α皇帝と隠れΩ料理人の美味しくて甘い辺境スローライフが幕を開ける!
※本作にはボーイズラブ要素およびオメガバース設定(α、β、Ωの概念やフェロモンに関する描写)が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。