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番外編2
大型イベント来る! 7
食後に、長光さんはその場で俺の刀を補修してくれた。
お代は『耐久値上昇薬』の程度のいい物を20本。出回ってないアイテムだとはいえ、こんなんでいいのかな、と戸惑っていると、『サンシーカー』たちが目を輝かせてテーブルに並べられたアイテムを見ていた。
「す……すげえ、売ってないアイテムがある……!」
「マジでマックさん薬師の天才だ」
「いいなあ、売って欲しい……けど迷惑になりそう。マック先輩が喜ぶような素材持ってないし……」
「あはは、非売品だからねこれ。売り出そうとすると生産追い付かないんだ。まだここの薬師さんたちは作れないみたいだし」
「じゃあ、じゃあせめて目の前で作るの見せてくれませんか!?」
お願いします! と三人に頭を下げられて、俺は苦笑しながら片付いたテーブルの上に調薬キットを並べていった。
三つも並んでる……素材多すぎ……え、これを全部使うとあれが出来るのか? なんてひそひそ声が聞こえる中、調薬を開始した。
同じ部屋では長光さんが真剣な瞳をして、刀を手入れしてくれている。
いつごろか、部屋にはグツグツという調薬の音以外なくなった。
皆が静かに俺と長光さんを見守っている。
ちょっと緊張する。気軽におしゃべりしてくれてていいのに。
「よし、出来た。『耐久値上昇薬』ランクS三つ」
素材はあと二回分くらいあるから、ついでだから全部作っちゃおう。
調薬スイッチが入って、段々とノリノリで調薬し始めた俺は、長光さんの手入れが終わって俺に注目していたことも気付かずに、次々アイテムを作ったのだった。
「刀は研いだが、今腰に下げてる方がはっきり言って性能も耐久性もいいぞ。どうする? そっちにするか?」
俺の調薬の手が止まったところで、長光さんが刀を差しだしつつそんなことを訊いてきた。でも俺、基本武器は使えないんだけど。性能が良くても、腰にぶら下げただけじゃ意味ないよね。宝の持ち腐れだよ。
持ってみてわかったけれど、貸して貰ったこの刀は、長光さんが愛用しているちゃんと実用性のある物だ。ほぼ腰に下げただけで、基本は戦わない俺には分不相応だよ。
「しないです。俺、だって基本戦いませんから。今日はちょっとヘマしちゃってそうなっちゃいましたけど。それに」
腰の刀を返して、長光さんの手の刀を受け取る。
刀の柄巻の部分が、ヴィデロさんの色、って緑色を巻いて貰ったから。
愛着も沸いてるんだ。
言葉を途切れさせると、長光さんは俺の意図を汲んでくれたみたいで、そうか、と笑った。
手に戻って来た刀は、耐久値がもとに戻っていて、切れ味も戻っていた……と思ったら、なぜか耐久値が前よりも上がっていた。何で。
と思ったら、『耐久値上昇薬』を使って耐久値上昇させていたらしい。想定外の使い方だ。素材は持ち込むから出来れば定期的に売って欲しいとまで言われたのでとりあえず了承しておく。クラッシュが素材持ち込みでの調薬代金の相場を教えてくれたので、それの1.5倍を払う、という契約の元。っていうか利益いらないのに。それよりもヴィデロさんの白い鎧が欲しいよ。
色々と満たされて、パーティーを解消して皆を見送ると、俺はヴィデロさんに捕獲された。
俺たちももう部屋に戻る、と言って、ヴィデロさんが俺の腰を抱く。
クラッシュとヴィルさんが見送る中、俺たちは工房に帰って来た。ティーロイはなぜかヴィルさんの頭の上に止まったまま。
「ティーロイおいてきちゃっていいの?」
「ああ。兄が気に入ったらしい。兄の頭の上で、伸びてくるクラッシュの手を撃退するのが楽しいみたいだ」
「うわあ、クラッシュいまだに威嚇されてるんだ……」
思わず苦笑が洩れる。
クラッシュは最初、ティーロイを見た時にあまりの可愛さに捕まえてぎゅうぎゅう撫でてくるくる回ってティーロイの目をまわしちゃってから、ティーロイに天敵扱いされてるんだ。でもクラッシュはめげずにひたすらティーロイを構い倒していて、ティーロイもそんなクラッシュで遊んでいる節がある。見ていて微笑ましいんだけど、最近クラッシュの手に生傷が絶えないのはもしかしてティーロイのせいかな。今度ハイポーションをそっと差し入れしよう。
そんなことを思っていると、がしっと腰を掴まれて、持ち上げられた。
まるで荷物を運ぶように足をブラブラさせた状態で、キッチンの更に奥、寝室の方に運ばれる。
「ヴィデロさん?」
「マック……」
あ、呼び方が二人の時もマックになってる。
と気づいたときには、そっと降ろされて、ローブを脱がされた。
そのまま、胸当てを外されて、インナーを捲られる。
スポッと服を脱がされて上半身裸のまま戸惑っていると、ヴィデロさんが肩越しに俺の背中を覗き込んできた。
「傷がないのはわかってるけれど、長光の刀があれくらいボロボロになるって……また無茶したのかと、心臓が止まるかと思った」
オプション傷以外の傷が見当たらなかったのに安堵したのか、ヴィデロさんはホッとした顔で、俺の肩に顎を乗せた。
「ごめん……ちょっと採取してる時にユニークボスに遭っちゃって」
「……そういう時は、俺を呼べって」
「でも、ヴィデロさんは仕事でログインだったんでしょ。邪魔できないよ。俺はプライベートログインなのに」
「関係ない」
いやいや、大有りだから、と言おうとしたところで、口を塞がれて反論できなかった。
サワリ、とヴィデロさんの手がオプション傷を撫でて、ぞくりと背中に痺れが走る。
今、ヴィデロさんが必死で古代魔道語を習得してるのは知っていた。転移魔法陣がかなり仕事で役立つものだから覚えるのかと思っていたけれど。
「マックが呼んでくれなかったら、何のための転移の魔法陣を覚えてるのかわからなくなる」
「そっちだったの? 仕事でかと思ってた」
「別にそっちは馬を借りれば事足りるだろ」
なんてことないようにそんなことを言ってのけるヴィデロさんに、思わず笑いがこみ上げてくる。
こういうところで、俺の心臓がヴィデロさんへの愛をガンガンと訴えて来るんだ。バクバク煩いくらいに。好き。
ちょっとだけ背伸びをして、ヴィデロさんの首に腕を巻きつけると、俺は自分からヴィデロさんの口の中に舌を突っ込んでいった。
お代は『耐久値上昇薬』の程度のいい物を20本。出回ってないアイテムだとはいえ、こんなんでいいのかな、と戸惑っていると、『サンシーカー』たちが目を輝かせてテーブルに並べられたアイテムを見ていた。
「す……すげえ、売ってないアイテムがある……!」
「マジでマックさん薬師の天才だ」
「いいなあ、売って欲しい……けど迷惑になりそう。マック先輩が喜ぶような素材持ってないし……」
「あはは、非売品だからねこれ。売り出そうとすると生産追い付かないんだ。まだここの薬師さんたちは作れないみたいだし」
「じゃあ、じゃあせめて目の前で作るの見せてくれませんか!?」
お願いします! と三人に頭を下げられて、俺は苦笑しながら片付いたテーブルの上に調薬キットを並べていった。
三つも並んでる……素材多すぎ……え、これを全部使うとあれが出来るのか? なんてひそひそ声が聞こえる中、調薬を開始した。
同じ部屋では長光さんが真剣な瞳をして、刀を手入れしてくれている。
いつごろか、部屋にはグツグツという調薬の音以外なくなった。
皆が静かに俺と長光さんを見守っている。
ちょっと緊張する。気軽におしゃべりしてくれてていいのに。
「よし、出来た。『耐久値上昇薬』ランクS三つ」
素材はあと二回分くらいあるから、ついでだから全部作っちゃおう。
調薬スイッチが入って、段々とノリノリで調薬し始めた俺は、長光さんの手入れが終わって俺に注目していたことも気付かずに、次々アイテムを作ったのだった。
「刀は研いだが、今腰に下げてる方がはっきり言って性能も耐久性もいいぞ。どうする? そっちにするか?」
俺の調薬の手が止まったところで、長光さんが刀を差しだしつつそんなことを訊いてきた。でも俺、基本武器は使えないんだけど。性能が良くても、腰にぶら下げただけじゃ意味ないよね。宝の持ち腐れだよ。
持ってみてわかったけれど、貸して貰ったこの刀は、長光さんが愛用しているちゃんと実用性のある物だ。ほぼ腰に下げただけで、基本は戦わない俺には分不相応だよ。
「しないです。俺、だって基本戦いませんから。今日はちょっとヘマしちゃってそうなっちゃいましたけど。それに」
腰の刀を返して、長光さんの手の刀を受け取る。
刀の柄巻の部分が、ヴィデロさんの色、って緑色を巻いて貰ったから。
愛着も沸いてるんだ。
言葉を途切れさせると、長光さんは俺の意図を汲んでくれたみたいで、そうか、と笑った。
手に戻って来た刀は、耐久値がもとに戻っていて、切れ味も戻っていた……と思ったら、なぜか耐久値が前よりも上がっていた。何で。
と思ったら、『耐久値上昇薬』を使って耐久値上昇させていたらしい。想定外の使い方だ。素材は持ち込むから出来れば定期的に売って欲しいとまで言われたのでとりあえず了承しておく。クラッシュが素材持ち込みでの調薬代金の相場を教えてくれたので、それの1.5倍を払う、という契約の元。っていうか利益いらないのに。それよりもヴィデロさんの白い鎧が欲しいよ。
色々と満たされて、パーティーを解消して皆を見送ると、俺はヴィデロさんに捕獲された。
俺たちももう部屋に戻る、と言って、ヴィデロさんが俺の腰を抱く。
クラッシュとヴィルさんが見送る中、俺たちは工房に帰って来た。ティーロイはなぜかヴィルさんの頭の上に止まったまま。
「ティーロイおいてきちゃっていいの?」
「ああ。兄が気に入ったらしい。兄の頭の上で、伸びてくるクラッシュの手を撃退するのが楽しいみたいだ」
「うわあ、クラッシュいまだに威嚇されてるんだ……」
思わず苦笑が洩れる。
クラッシュは最初、ティーロイを見た時にあまりの可愛さに捕まえてぎゅうぎゅう撫でてくるくる回ってティーロイの目をまわしちゃってから、ティーロイに天敵扱いされてるんだ。でもクラッシュはめげずにひたすらティーロイを構い倒していて、ティーロイもそんなクラッシュで遊んでいる節がある。見ていて微笑ましいんだけど、最近クラッシュの手に生傷が絶えないのはもしかしてティーロイのせいかな。今度ハイポーションをそっと差し入れしよう。
そんなことを思っていると、がしっと腰を掴まれて、持ち上げられた。
まるで荷物を運ぶように足をブラブラさせた状態で、キッチンの更に奥、寝室の方に運ばれる。
「ヴィデロさん?」
「マック……」
あ、呼び方が二人の時もマックになってる。
と気づいたときには、そっと降ろされて、ローブを脱がされた。
そのまま、胸当てを外されて、インナーを捲られる。
スポッと服を脱がされて上半身裸のまま戸惑っていると、ヴィデロさんが肩越しに俺の背中を覗き込んできた。
「傷がないのはわかってるけれど、長光の刀があれくらいボロボロになるって……また無茶したのかと、心臓が止まるかと思った」
オプション傷以外の傷が見当たらなかったのに安堵したのか、ヴィデロさんはホッとした顔で、俺の肩に顎を乗せた。
「ごめん……ちょっと採取してる時にユニークボスに遭っちゃって」
「……そういう時は、俺を呼べって」
「でも、ヴィデロさんは仕事でログインだったんでしょ。邪魔できないよ。俺はプライベートログインなのに」
「関係ない」
いやいや、大有りだから、と言おうとしたところで、口を塞がれて反論できなかった。
サワリ、とヴィデロさんの手がオプション傷を撫でて、ぞくりと背中に痺れが走る。
今、ヴィデロさんが必死で古代魔道語を習得してるのは知っていた。転移魔法陣がかなり仕事で役立つものだから覚えるのかと思っていたけれど。
「マックが呼んでくれなかったら、何のための転移の魔法陣を覚えてるのかわからなくなる」
「そっちだったの? 仕事でかと思ってた」
「別にそっちは馬を借りれば事足りるだろ」
なんてことないようにそんなことを言ってのけるヴィデロさんに、思わず笑いがこみ上げてくる。
こういうところで、俺の心臓がヴィデロさんへの愛をガンガンと訴えて来るんだ。バクバク煩いくらいに。好き。
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※本作にはボーイズラブ要素およびオメガバース設定(α、β、Ωの概念やフェロモンに関する描写)が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。