これは報われない恋だ。

朝陽天満

文字の大きさ
710 / 744
番外編2

大型イベント来る! 8

しおりを挟む

 久しぶりにログインしたまま愛し合った俺たちは、ログアウトしてから、自分たちの部屋でも愛し合った。同一人物のはずなのに、やっぱりというかなんというか、健吾である俺の方が、体力が尽きるのは早くて、マックの時はすんなり挿入出来るのに、本体は未だに手間暇かけないと挿入すらままならないのがなかなかに辛い。でもヴィデロさんはそのギャップもまたいいって言ってくれて、毎回俺がもうダメ挿れてって泣きそうになるまで解してくれる。

 マックの時は奥をこつんとされても腰が蕩けるような気持ちよさしかないのに、今は奥をこつんとされると身体が跳ねて、よくわからない感覚がせり上がる。気持ちいいんだけど、ちょっと痛いような。エッチする体位によっては、ヴィデロさんのヴィデロさんが全部挿いり切る前に奥についてしまって、ゾクゾクする感覚と下腹部がヒュンとする感覚と奥を突かれる気持ちよさが一気に交じり合って、わけが分からなくなる。

 俺が大きくならなかったから、ヴィデロさんは全部を挿入できないのかな、なんて、飛びそうになる意識の中ふと申し訳なくなる。

 そっとつながったところに手を伸ばすと、指分くらいは俺のお尻とヴィデロさんのお腹が離れているのがわかる。

 そこを撫でながら、くっつきたいな、なんて変なことを思う。もうこれ以上ないくらいくっついてるのに、指一本分が寂しい。



「ケンゴ……っ、ばか、そこを撫でるな」

「ん……、でも、ヴィデロさん全部挿ってない、から」

「十分、気持ちいいから……っ、指、離せって、くっ……」



 無理やり繋がりを撫でていた指を外されて、手をベッドに縫い付けられる。

 さっきより少しだけ眉間の皺を増やしたヴィデロさんが、身を屈めて俺の口を塞ぐ。

 舌を絡められて、奥をがつがつとむさぼられて、何も考えられなくなる。

 足をヴィデロさんの腕に引っ掛けられて、少しだけ腰が浮いている状態で中を擦られると、声が止まらなくなる。気持ちいい。気持ちよすぎる。



「あ、ん、んむ……、あん、ぁ」



 舌を絡められながら出る俺の声を、ヴィデロさんはお気に入りらしく、俺の声が止まらなくなると目が細くなって、口元が自然と持ち上がる。その顔を見た俺も興奮して、更に声が止まらなくなってしまう。



「……っ、ぁぁぁ……っ」

「ケンゴ……っ」



 セクシーボイスに切なげに名前を呼ばれて、身体中の血が一気に沸騰する。目の前が真っ白になって、その後、一気に下降したような感覚を味わいながら、熱を放出すると、身体の奥でも熱いモノがじわっと広がった。

 心臓がバクバクいっている。

 急なアップダウンに息切れを起こしていると、未だにカチカチのヴィデロさんが少しだけ腰を動かした。

 動かす度にグチュグチュと音がする。その音すらもエロくて、またしても興奮する。

 でも、と俺はようやく外してもらえた足を、ヴィデロさんの腰に絡めて力を込めた。

 ヴィデロさんが苦笑しながら、一番奥まで腰を進めて、動きを止める。



「俺の長さが足りないから……」



 またしてもつながった部分に手を伸ばしてそう呟くと、頭上でぶはっと吹き出す声が聞こえた。



「ケンゴの長さって……違う、そうじゃないだろ……くくく」



 ヴィデロさんの笑う振動が中まで伝わって思わずきゅっと絞める。



「マックの時は出来るのに……」

「マックはケンゴよりも少しだけ長いからな」

「中も長いのかな」

「いいから、そこ撫でるなって。もっと無茶したくなるから」

「無茶していいのに。ここと、ここが」



 そう言って、自分のお尻と、ヴィデロさんの下腹部を撫でる。



「くっついたら、気持ちいいんだよ」



 そう言って見上げると、ヴィデロさんがばたりと俺の上に倒れ込んできた。

 抱え込まれるような形になって、滅茶苦茶近い耳元で「ケンゴ……」と悩まし気に名前を呼ばれる。この体重のかかる重さが嬉しい。

 後ろからなら、全部挿るのに。足を抱えられちゃうと、ちょっとだけ俺の中の長さが足りない。



「ヴィデロさん。もう一回。後背位バックでしよ」

「いやだ。ケンゴのトロトロに溶けた顔を見ながらがいい」

「ううう、ヴィデロさんのおねだり可愛い……でも、全部挿れて欲しい」

「く、ケンゴのおねだり……っ、くそ、勝てるわけない……。このまま全部挿入していいか……? ケンゴにとっては辛くて痛いかもしれないけれど……可愛すぎて、ダメだ。このまま奥までしたい」

「俺もしたい」



 俺も超近距離の耳元でそう答えると、ヴィデロさんは顔を上げて、俺の口を食べた。



 奥がぐいぐいと押される。一番奥までヴィデロさんが来てるのがそれだけでわかる。

押されるたびに快感が身体中に散っていって、体温が上がる。擦られるのが気持ちいい。

 ほんの少しぐいぐいされただけでもうイきそうになるのを必死で耐えていると、ヴィデロさんに腰を掴まれた。その手に、ぐ、と力が入る。

 ぐに、と身体の奥で一瞬火花が散った気がした。

 宥めるようにまた奥をぐいぐいと撫でられて、またしても腕に力を入れられる。ごつん、とまた変な感覚がした。

 思わず、ヴィデロさんが挿ってる辺りのお腹を撫でると、は、とヴィデロさんの悩まし気な吐息が降って来た。

 ちょっとお腹に力を込めて、と言われて、わけもわからず、ふぬ、と腹筋に力を込めた瞬間、またしてもヴィデロさんの腕が俺の腰を引いた。

 かは、と息が洩れる。

 一瞬にして頭がパーンとなった。

 触れていたお腹の中が、そのひと突きで溶けてしまったような気がした。

 ヴィデロさんが腰を引くと、お腹の中がひっくり返ったようなわけのわからない状態になって、突かれるとまたしても溶けたような感じになる。

 痛いとかそんな生易しい感覚じゃなくて、本当に身体の中からヴィデロさんに食べられているような、そんな感じが襲ってくる。

 ぐぼ、グボ、とおかしな音がして、俺の口からすでに声も出ない。

 あ、ダメ、堕ちる。堕ちる。飛ぶ。

 頭の中でそんな言葉がグルグル回った。

 奥の奥で出されたヴィデロさんの熱は、いつも以上に熱く感じた。

 これ、俺、ヤバい扉を開いちゃったかも。呆然としながら、俺はそんなことを思った。





 久しぶりに腰が立たなくなった俺は、ヴィルさんにいきなりの有給休暇を貰ってしまったので、諦めてベッドの上でログインすることにした。朝ご飯はヴィデロさんが作ってくれて、ベッドまで運んでくれた。ううう、かいがいしい。好き。

 俺が無理させたから、なんていうけど、俺が欲しかったんだから。無理言ったのは俺なのに。優しいヴィデロさん好き。

 腰は立たなくても、ログインすれば好きに動けるのがいいね、と思いながら工房で早速調薬の用意をしていると、ヴィデロさんも下の会社の方からログインしてきたのか、寝室から出て来た。

 近寄って来て、抱きしめて、キスをして、ごめん、と。

 それ朝も同じことしたからね、と声を出して笑うと、ようやくヴィデロさんも苦笑だけれど笑顔になった。

 というわけで、今日もポイント稼ぎ……の前にやらないといけないことをしないとね。

 今日もまた、色々調整して歩かないといけないというヴィデロさんを見送ると、俺はストックを棚インベントリから取り出して、持ち物欄に追加した。



「辺境に物資を持ってって、クラッシュがいる魔大陸支店にも納品して欲しいんだったっけ。それは現地で作った方がいいかな。あっちの薬草すごく魔力値高いんだもん」



 雄太に声を掛けて、もし手が空くようなら護衛を……いやいや、今はポイント集めにやっきになってるかな。魔大陸でガンガン魔物倒してそうだよね。

 どうしよう、まあ、誰かが持ってたらそれを売って貰おうかな、と思いながら辺境に跳ぶ。

 騎士団に顔を出すと、勇者が裏でプレイヤーを指導しているのが見えた。おお、雄太の弟弟子が出来たのか。そう思いながら近くにいる騎士団の人に声を掛けると、お待ちください、と応接室に通された。

 座って待っていると、勇者と副団長が揃って部屋に入ってきた。



「久しいなマック。すまなかったな、今回ばかりは直接納品してくれという願いを聞いてくれて感謝する」

「いいえ。魔法陣魔法で一瞬なので全然問題ないです。でも、どうしたんですか?」

「いや、今異邦人たちはエミリの企て事に全力で取り組んでいるんだろう。異邦人の方の内容を詳しく訊きたくてな。どう介入したらいいか考えていた」

「なるほど」



 納得。

 そうだよね。今回の大型イベントは、俺たちプレイヤーだけじゃなくて街の人たちも全員手伝ってくれてるようなものだしね。改めて考えると、国規模のイベントなんて、ほんとエミリさんのスケールのデカさに驚くよ。

 俺は、知っている限りのことを勇者と副団長に伝えた。主に、ヴィルさんに教えてもらった辺りを。ヴィデロさんなら滅茶苦茶詳しいんだろうけれど、俺は運営には携わってないからね。知ってるのは一般人レベルに毛が生えた程度だから。



しおりを挟む
感想 535

あなたにおすすめの小説

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! できるかぎり毎日? お話の予告と皆の裏話? のあがるインスタとYouTube インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

【完結】この契約に愛なんてないはずだった

なの
BL
劣勢オメガの翔太は、入院中の母を支えるため、昼夜問わず働き詰めの生活を送っていた。 そんなある日、母親の入院費用が払えず、困っていた翔太を救ったのは、冷静沈着で感情を見せない、大企業副社長・鷹城怜司……優勢アルファだった。 数日後、怜司は翔太に「1年間、仮の番になってほしい」と持ちかける。 身体の関係はなし、報酬あり。感情も、未来もいらない。ただの契約。 生活のために翔太はその条件を受け入れるが、理性的で無表情なはずの怜司が、ふとした瞬間に見せる優しさに、次第に心が揺らいでいく。 これはただの契約のはずだった。 愛なんて、最初からあるわけがなかった。 けれど……二人の距離が近づくたびに、仮であるはずの関係は、静かに熱を帯びていく。 ツンデレなオメガと、理性を装うアルファ。 これは、仮のはずだった番契約から始まる、運命以上の恋の物語。

嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する

SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する ☆11/28完結しました。 ☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます! 冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫 ——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」 元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。 ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。 その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。 ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、 ——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」 噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。 誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。 しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。 サラが未だにロイを愛しているという事実だ。 仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——…… ☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

【完結済】「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 透夜×ロロァのお話です。 本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけを更新するかもです。 『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も 『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑) 大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑) 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

もう殺されるのはゴメンなので婚約破棄します!

めがねあざらし
BL
婚約者に見向きもされないまま誘拐され、殺されたΩ・イライアス。 目覚めた彼は、侯爵家と婚約する“あの”直前に戻っていた。 二度と同じ運命はたどりたくない。 家族のために婚約は受け入れるが、なんとか相手に嫌われて破談を狙うことに決める。 だが目の前に現れた侯爵・アルバートは、前世とはまるで別人のように優しく、異様に距離が近くて――。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。