文字の大きさ
大
中
小
693 / 706
番外編5
魔大陸開墾編 1
その日、ADOを楽しむ全プレイヤーに一斉に届いたDM。
それは今までは一度もなかった、サービスを停止してのアップデート。
その期間はまさに他のゲームでも在り得ない二日間のログイン停止。
これといったイベントを行っていないADOでの大型アップデートに、ADOユーザーは否応なく期待を高まらせた。
「新ジョブ実装か!?」
「新マップ追加とか!」
「大々的なイベント勃発か!」
「ゲーム趣旨の方向転換じゃね?」
等々、色々と騒がれていたけれど、憶測とはいえ、かなり的を射たコメントも中にはあった。
そんなADO推測で賑わっているSNSを、俺は会社の事務所で確認していた。
一か月後のそんな大型アップデート、皆がワクワクしながらアップデート内容の発表を待ち望む中、俺には激務が待っている。
今回のアップデート(と称したグランデ国宰相とアリッサさんの国の方向性のすり合わせ)までの間、俺は特別任務を申し渡されたのだ。俺の義理の母にして親会社の社長であるアリッサさんに。
曰く、「魔大陸を使える大陸にしたいから、サラちゃんたちと協力して浄化して欲しい」とのこと。
いや、今までも頼まれてたし細々とはやってたけどね。
このアップデート終了までの期間中で出来る限り魔大陸を人の住める状態まで持って行きたいらしい。それはちょっと無理では、という言葉が喉元までせり上がって来たけれど、その後に「サラちゃんがルーチェくんと二人ならかなりの広範囲で浄化できるようになったから、健吾君には一つ一つの村や街を担当して欲しいらしいの」という付け足しにより、断ることが出来なくなった。
村や街があの広すぎる魔大陸にどれほどあるかはわからない。けれど、グランデ国内で主要な街が十。その面積の大体七~八倍である魔大陸、概算だと大きな街は百程度のではないか、とアリッサさんが言い切った。充分多いと思う。そして、その街に置くための結界魔道具はヴィルさんを酷使して素材を集めて既に作ってあるから、持って行って、とのこと。
俺より激務のアリッサさんは、いつ空いているのかわからない時間を使って魔道具を千個近く、既に作っていると。一つの村に大体三~四個。大きな街はそれの倍くらい。
戦慄した。
俺は自分がいつでも遊んでいるダメな人のような気がして、YES以外の返事が出来なかった。
お願いだから身体壊さないでね、お義母さん。
浄化業務の際、上司であり義兄のヴィルさんに俺がお願いしたのは、臨時バイトで雄太たちのパーティーを雇い入れてもらうことだった。
はっきり言って俺の転移魔法陣で跳べる範囲はショボい。
行ったことのある場所にしか跳べないから、ほぼ最初の村から中央までの本当にショボい範囲しか移動できない。かといって俺よりももっと広大な土地を浄化しないといけないルーチェさんたちに助っ人を頼むわけにもいかない。
となると、ユイの転移に頼らざるを得ない。最近南の方にも進出している言っていたし。
快諾してもらって、俺は雄太たちを職場に招き入れた。既に皆大学卒業の単位を取っていて、卒論提出済みでやることがないんだそうだ。良かった。
仮眠室にはみんなの分の簡易ベッドが既に用意されている。
ヴィルさんもログインして走り回っているし、それはヴィデロさんも同じ。
だから俺の魔大陸移動はこれで雄太たちの了承が得られなかった場合一人だったのだ。それもう無理ゲーだよね。それはヴィルさんもわかっていてくれたので、最初はクラッシュに頼もうとしていたらしい。でもクラッシュも南の方には行ったことないと思うんだ。それに一応冒険者ギルド魔大陸支店のギルド長兼トレ雑貨屋魔大陸支店店長をしているから多忙を極めているはず。彼以外に魔大陸を拠点に出来る人はいないから。勇者たち以外は。
雄太たちには本当に感謝。
アップデートまでの一か月。俺たちは走り回りましたとも。
そして大型アップデート当日。
本当に小さな朽ちた村は放置して、ある程度大きな街を次々浄化していき、雄太たちが知っている街はあらかた使えるようになった状態で、俺たちは朝ログインした。
今日から二日間はプレイヤーたちもログインできないからとクラッシュも巻き込んで、ルーチェさんたちと一緒に魔大陸の主要都市の確認に奔走するのだ。
魔大陸にある国は、全部で八つ。
魔王がいた中央の国が一番大きくて、周りを囲むように国があった、らしい。今は国境も何もあったもんじゃない程の荒れ放題だけれど。
俺は早々にクラッシュと共にルーチェさんたちと合流した。
雄太たちは今日明日に限っていきなり緊急クエストが舞い込んできたとかで、ヴィルさんに断って別で動いている。めっちゃワクワク顔だったので、多分絶対討伐系か何かだと思ったので、出来る限りのアイテムを持たせて送り出した。
今俺の周りには、ルーチェさんとサラさん、クラッシュ、そして野次馬根性を出してくださった勇者とエミリさんもいる。
そうそうたるメンバーだ。皆魔法も戦闘も最上級なので、俺一人ちまっとしているのは気のせいじゃない。
「じゃあまずは中央から『ソレイル』。北に行って『ガルラ』。西の大国『ランドザード』。その下の小さい国『フォンドゥン』。南西の国『エセス』。南の国『エピ』。横長の国『ビビオ』。そして、ジャル・ガーの住んでいた『ソルベ』。これが主要の国でいいわね」
「ヴィルから貰った地図でも同じことが書かれてるわね。大丈夫」
サラさんとエミリさんがそれぞれ手にした地図を照らし合わせている。
エミリさんが持っている地図は、俺も前に見せてもらったことがあるヴィルさんの地図。
所狭しとあらゆることが書かれていて、いつ見ても空恐ろしくなる代物だ。逆にサラさんが手にしている地図は、まっさらで主要の都市の場所が書かれているだけのもの。
これは本人たちが自分の目で見て書き入れたものだ。
本当に全体的に回って来たんだ、とやっぱり空恐ろしくなる。
「こんな地図があれば、あの時もっと楽だったのにな」
「ほんとにな。結構苦労したんだぜ、この都市をまとめるの。俺ら東と中央しか移動してなかったろ」
「確かにな。西も行ってきたのか」
「くまなく浄化してきた。グランデの壁付近ぐらいの魔素濃度にはなったと思う」
「すごいな、ルーチェ」
俺もそう思う、と勇者の感嘆の声に頷くと、ルーチェさんはさて、と俺を見た。
「マックはどのあたりを浄化して使えるようにしたんだ?」
ルーチェさんの質問に、俺も持っていた自分の地図を広げた。
一応、ブレイブ監修のもと、浄化して教会を使えるようにしてきた街はチェックしてある。
一か月必死で頑張ったからね。佐久間さんにごねられながら。ご飯とか作ってる暇もなかったんだよ。
「中央の魔王の城は、そもそも瓦礫の山だったので、全然復興してないです。でも周辺の街は、前に浄化したところを中心にソレイル八都市、ガルラ六か所、ソルベは西側だけで四か所、ビビオが村含めて六ヶ所。エピが大きな都市だけ七か所、エセスがモロウさんの村周辺八か所、ランドザードが十一か所、全部で五十でした。結界の魔道具はまだまだ半数しか使ってない状態ですけど、時間が足りなくて」
地図のチェックを数えながら答えると、ルーチェさんに「上出来」と褒められた。
本当に、この一か月頑張ったんだよ。ルーチェさんとかエミリさんたちほどじゃないけれど。雄太たちが行ったことのある街はよかったけど、そこから行ったことのない場所までの移動は転移では無理で。南と西の魔物は北と東より明らかに強そうで。
ブレイブだけを借り受けて雄太たちに魔物を倒して貰っている間に村の中を飛び回って結界の魔道具を置いて、浄化。MPを回復してまた次に行くの繰り返し。北から東の方は順調だったけれど、西の方になると山も邪魔してめっちゃ大きな亀裂とか渓谷とかあるのに道はなくて、飛翔と転移を駆使して移動。一日一つか二つ浄化できれば上出来だった。
まだまだ小さな村は手を付けていないけれど、そこは大丈夫とアリッサさんに言われたので、大きいところの教会は使えるようにしてきたんだ。
ルーチェさんたちも魔大陸をくまなく移動して、フィールドの方を浄化しまくって来たらしく、このままいけば獣人くらいなら魔大陸に来ても大丈夫なんじゃないかということだ。凄すぎる。
「そうだ。面白いものをゲットしたんだよ。マック、ちょっとこれ見てくれ」
ルーチェさんが差し出して来たものを何気なく手に取って、鑑定眼で見てみると。
『エンブレム(vivio):その国を象徴する紋章の彫られたエンブレム。複数個集まることにより、本来の力を発揮する』
見るからに重要そうなそのアイテムに、ヒェ、と声が出る。
たった一つのコインのようなものだけれど、何かが違う。複数個集まると本来の力を発揮するって、その本来の力って一体何なんだ。
そっとルーチェさんに返すと、ルーチェさんはそれをカバンにしまい込んだ。
「これな、シークレットダンジョンと同じようなダンジョンで見つけたものなんだ。魔大陸はグランデなんか目じゃないくらいシークレットダンジョンが多くてな。面白くてついつい入っちまった」
「魔物が結構いい物を落としてくれるのよ。マック君、オーブ買わない? 安くしとくわよ」
「オーブ……ってまだオーブあるんですか!?」
魔王を倒したことで、ルーチェさんが散々入っていたシークレットダンジョンはもう用済みになったはずなのに、この人達は一体何をしているんだ……
ニコニコと荷物からオーブを取り出すサラさんに、思わず嘆息する。
欲しいけどね! そりゃ魔法憶えられるから欲しいけどね。バカ高いじゃんオーブ。
「この大陸では、クリアオーブの代わりにこのエンブレムが出てくるんだよな。今の所集まったのは二個だけだけど、これはちょっと集めた方がいいと思って」
ルーチェさんがエミリさんに目配せすると、エミリさんがそうそう、と話を引き継いだ。
「現状シークレットダンジョンに入れるの、『高橋と愉快な仲間たち』だけじゃない? だから、ちょっとヴィルに頼んで今日一日あの子たちを借りて、エンブレム集めを頼んでいたの。勿論出て来たオーブは好きにしていいっていう条件も付けてね。買取もするわよ」
なるほど、今日の雄太たちの別行動はこれか。これだな。
エミリさん……連携がシャレにならないんだけど。
「異邦人たちが来ないのって今日明日だけじゃない。その間に出来るだけダンジョンに入って貰って、エンブレムの出る傾向をまとめて貰いたくて。その代わり今日はマックのお供は私達ね」
お供って、雄太たちよりも最強のお供が出来てしまった。
でもルーチェさんがいるのは本当に心強い。
ルーチェさんは俺がチェックしていた地図を手に、これがあればすぐ行けるな、ととんでもないことを言い出している。そうだった。ルーチェさんは座標での転移魔法陣を覚えてたんだった。だから座標さえわかれば行ったことがない場所でも跳べるんだった。最強すぎる。
「んじゃ、行くか」
そんなルーチェさんの一声で、俺たちは行動を開始した。
そして、浄化完了した街のチェックをほぼ一日で終えた。もうさ、次元が違うよね……
それは今までは一度もなかった、サービスを停止してのアップデート。
その期間はまさに他のゲームでも在り得ない二日間のログイン停止。
これといったイベントを行っていないADOでの大型アップデートに、ADOユーザーは否応なく期待を高まらせた。
「新ジョブ実装か!?」
「新マップ追加とか!」
「大々的なイベント勃発か!」
「ゲーム趣旨の方向転換じゃね?」
等々、色々と騒がれていたけれど、憶測とはいえ、かなり的を射たコメントも中にはあった。
そんなADO推測で賑わっているSNSを、俺は会社の事務所で確認していた。
一か月後のそんな大型アップデート、皆がワクワクしながらアップデート内容の発表を待ち望む中、俺には激務が待っている。
今回のアップデート(と称したグランデ国宰相とアリッサさんの国の方向性のすり合わせ)までの間、俺は特別任務を申し渡されたのだ。俺の義理の母にして親会社の社長であるアリッサさんに。
曰く、「魔大陸を使える大陸にしたいから、サラちゃんたちと協力して浄化して欲しい」とのこと。
いや、今までも頼まれてたし細々とはやってたけどね。
このアップデート終了までの期間中で出来る限り魔大陸を人の住める状態まで持って行きたいらしい。それはちょっと無理では、という言葉が喉元までせり上がって来たけれど、その後に「サラちゃんがルーチェくんと二人ならかなりの広範囲で浄化できるようになったから、健吾君には一つ一つの村や街を担当して欲しいらしいの」という付け足しにより、断ることが出来なくなった。
村や街があの広すぎる魔大陸にどれほどあるかはわからない。けれど、グランデ国内で主要な街が十。その面積の大体七~八倍である魔大陸、概算だと大きな街は百程度のではないか、とアリッサさんが言い切った。充分多いと思う。そして、その街に置くための結界魔道具はヴィルさんを酷使して素材を集めて既に作ってあるから、持って行って、とのこと。
俺より激務のアリッサさんは、いつ空いているのかわからない時間を使って魔道具を千個近く、既に作っていると。一つの村に大体三~四個。大きな街はそれの倍くらい。
戦慄した。
俺は自分がいつでも遊んでいるダメな人のような気がして、YES以外の返事が出来なかった。
お願いだから身体壊さないでね、お義母さん。
浄化業務の際、上司であり義兄のヴィルさんに俺がお願いしたのは、臨時バイトで雄太たちのパーティーを雇い入れてもらうことだった。
はっきり言って俺の転移魔法陣で跳べる範囲はショボい。
行ったことのある場所にしか跳べないから、ほぼ最初の村から中央までの本当にショボい範囲しか移動できない。かといって俺よりももっと広大な土地を浄化しないといけないルーチェさんたちに助っ人を頼むわけにもいかない。
となると、ユイの転移に頼らざるを得ない。最近南の方にも進出している言っていたし。
快諾してもらって、俺は雄太たちを職場に招き入れた。既に皆大学卒業の単位を取っていて、卒論提出済みでやることがないんだそうだ。良かった。
仮眠室にはみんなの分の簡易ベッドが既に用意されている。
ヴィルさんもログインして走り回っているし、それはヴィデロさんも同じ。
だから俺の魔大陸移動はこれで雄太たちの了承が得られなかった場合一人だったのだ。それもう無理ゲーだよね。それはヴィルさんもわかっていてくれたので、最初はクラッシュに頼もうとしていたらしい。でもクラッシュも南の方には行ったことないと思うんだ。それに一応冒険者ギルド魔大陸支店のギルド長兼トレ雑貨屋魔大陸支店店長をしているから多忙を極めているはず。彼以外に魔大陸を拠点に出来る人はいないから。勇者たち以外は。
雄太たちには本当に感謝。
アップデートまでの一か月。俺たちは走り回りましたとも。
そして大型アップデート当日。
本当に小さな朽ちた村は放置して、ある程度大きな街を次々浄化していき、雄太たちが知っている街はあらかた使えるようになった状態で、俺たちは朝ログインした。
今日から二日間はプレイヤーたちもログインできないからとクラッシュも巻き込んで、ルーチェさんたちと一緒に魔大陸の主要都市の確認に奔走するのだ。
魔大陸にある国は、全部で八つ。
魔王がいた中央の国が一番大きくて、周りを囲むように国があった、らしい。今は国境も何もあったもんじゃない程の荒れ放題だけれど。
俺は早々にクラッシュと共にルーチェさんたちと合流した。
雄太たちは今日明日に限っていきなり緊急クエストが舞い込んできたとかで、ヴィルさんに断って別で動いている。めっちゃワクワク顔だったので、多分絶対討伐系か何かだと思ったので、出来る限りのアイテムを持たせて送り出した。
今俺の周りには、ルーチェさんとサラさん、クラッシュ、そして野次馬根性を出してくださった勇者とエミリさんもいる。
そうそうたるメンバーだ。皆魔法も戦闘も最上級なので、俺一人ちまっとしているのは気のせいじゃない。
「じゃあまずは中央から『ソレイル』。北に行って『ガルラ』。西の大国『ランドザード』。その下の小さい国『フォンドゥン』。南西の国『エセス』。南の国『エピ』。横長の国『ビビオ』。そして、ジャル・ガーの住んでいた『ソルベ』。これが主要の国でいいわね」
「ヴィルから貰った地図でも同じことが書かれてるわね。大丈夫」
サラさんとエミリさんがそれぞれ手にした地図を照らし合わせている。
エミリさんが持っている地図は、俺も前に見せてもらったことがあるヴィルさんの地図。
所狭しとあらゆることが書かれていて、いつ見ても空恐ろしくなる代物だ。逆にサラさんが手にしている地図は、まっさらで主要の都市の場所が書かれているだけのもの。
これは本人たちが自分の目で見て書き入れたものだ。
本当に全体的に回って来たんだ、とやっぱり空恐ろしくなる。
「こんな地図があれば、あの時もっと楽だったのにな」
「ほんとにな。結構苦労したんだぜ、この都市をまとめるの。俺ら東と中央しか移動してなかったろ」
「確かにな。西も行ってきたのか」
「くまなく浄化してきた。グランデの壁付近ぐらいの魔素濃度にはなったと思う」
「すごいな、ルーチェ」
俺もそう思う、と勇者の感嘆の声に頷くと、ルーチェさんはさて、と俺を見た。
「マックはどのあたりを浄化して使えるようにしたんだ?」
ルーチェさんの質問に、俺も持っていた自分の地図を広げた。
一応、ブレイブ監修のもと、浄化して教会を使えるようにしてきた街はチェックしてある。
一か月必死で頑張ったからね。佐久間さんにごねられながら。ご飯とか作ってる暇もなかったんだよ。
「中央の魔王の城は、そもそも瓦礫の山だったので、全然復興してないです。でも周辺の街は、前に浄化したところを中心にソレイル八都市、ガルラ六か所、ソルベは西側だけで四か所、ビビオが村含めて六ヶ所。エピが大きな都市だけ七か所、エセスがモロウさんの村周辺八か所、ランドザードが十一か所、全部で五十でした。結界の魔道具はまだまだ半数しか使ってない状態ですけど、時間が足りなくて」
地図のチェックを数えながら答えると、ルーチェさんに「上出来」と褒められた。
本当に、この一か月頑張ったんだよ。ルーチェさんとかエミリさんたちほどじゃないけれど。雄太たちが行ったことのある街はよかったけど、そこから行ったことのない場所までの移動は転移では無理で。南と西の魔物は北と東より明らかに強そうで。
ブレイブだけを借り受けて雄太たちに魔物を倒して貰っている間に村の中を飛び回って結界の魔道具を置いて、浄化。MPを回復してまた次に行くの繰り返し。北から東の方は順調だったけれど、西の方になると山も邪魔してめっちゃ大きな亀裂とか渓谷とかあるのに道はなくて、飛翔と転移を駆使して移動。一日一つか二つ浄化できれば上出来だった。
まだまだ小さな村は手を付けていないけれど、そこは大丈夫とアリッサさんに言われたので、大きいところの教会は使えるようにしてきたんだ。
ルーチェさんたちも魔大陸をくまなく移動して、フィールドの方を浄化しまくって来たらしく、このままいけば獣人くらいなら魔大陸に来ても大丈夫なんじゃないかということだ。凄すぎる。
「そうだ。面白いものをゲットしたんだよ。マック、ちょっとこれ見てくれ」
ルーチェさんが差し出して来たものを何気なく手に取って、鑑定眼で見てみると。
『エンブレム(vivio):その国を象徴する紋章の彫られたエンブレム。複数個集まることにより、本来の力を発揮する』
見るからに重要そうなそのアイテムに、ヒェ、と声が出る。
たった一つのコインのようなものだけれど、何かが違う。複数個集まると本来の力を発揮するって、その本来の力って一体何なんだ。
そっとルーチェさんに返すと、ルーチェさんはそれをカバンにしまい込んだ。
「これな、シークレットダンジョンと同じようなダンジョンで見つけたものなんだ。魔大陸はグランデなんか目じゃないくらいシークレットダンジョンが多くてな。面白くてついつい入っちまった」
「魔物が結構いい物を落としてくれるのよ。マック君、オーブ買わない? 安くしとくわよ」
「オーブ……ってまだオーブあるんですか!?」
魔王を倒したことで、ルーチェさんが散々入っていたシークレットダンジョンはもう用済みになったはずなのに、この人達は一体何をしているんだ……
ニコニコと荷物からオーブを取り出すサラさんに、思わず嘆息する。
欲しいけどね! そりゃ魔法憶えられるから欲しいけどね。バカ高いじゃんオーブ。
「この大陸では、クリアオーブの代わりにこのエンブレムが出てくるんだよな。今の所集まったのは二個だけだけど、これはちょっと集めた方がいいと思って」
ルーチェさんがエミリさんに目配せすると、エミリさんがそうそう、と話を引き継いだ。
「現状シークレットダンジョンに入れるの、『高橋と愉快な仲間たち』だけじゃない? だから、ちょっとヴィルに頼んで今日一日あの子たちを借りて、エンブレム集めを頼んでいたの。勿論出て来たオーブは好きにしていいっていう条件も付けてね。買取もするわよ」
なるほど、今日の雄太たちの別行動はこれか。これだな。
エミリさん……連携がシャレにならないんだけど。
「異邦人たちが来ないのって今日明日だけじゃない。その間に出来るだけダンジョンに入って貰って、エンブレムの出る傾向をまとめて貰いたくて。その代わり今日はマックのお供は私達ね」
お供って、雄太たちよりも最強のお供が出来てしまった。
でもルーチェさんがいるのは本当に心強い。
ルーチェさんは俺がチェックしていた地図を手に、これがあればすぐ行けるな、ととんでもないことを言い出している。そうだった。ルーチェさんは座標での転移魔法陣を覚えてたんだった。だから座標さえわかれば行ったことがない場所でも跳べるんだった。最強すぎる。
「んじゃ、行くか」
そんなルーチェさんの一声で、俺たちは行動を開始した。
そして、浄化完了した街のチェックをほぼ一日で終えた。もうさ、次元が違うよね……
感想 555
あなたにおすすめの小説
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結済。
おまけのお話を時々更新したりしています。
皆さまの応援のおかげで『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』書籍化、心から、ありがとうございます!
ふたりの動画をつくりました!
もしよかったら、プロフのwebサイトからどうぞです!
表紙や動画にはAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません
【8月書籍化♡】キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。
ボクの名前は、クリストファー。
突然だけど、ボクには前世の記憶がある。
ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て
「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」
と思い出したのだ。
あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。
そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの!
そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ!
しかも、モブ。
繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ!
ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。
どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ!
ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。
その理由の第一は、ビジュアル!
夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。
涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!!
イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー!
ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ!
当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。
ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた!
そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。
でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。
ジルベスターは優しい人なんだって。
あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの!
なのに誰もそれを理解しようとしなかった。
そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!!
ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。
なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。
でも何をしてもジルベスターは断罪された。
ボクはこの世界で大声で叫ぶ。
ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ!
ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ!
最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ!
※表紙その他のイラストはAIにて作成致しております。(文字指定のみで作成しております)
⭐︎⭐︎⭐︎
ご拝読頂きありがとうございます!
コメント、エール、いいねお待ちしております♡
「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中!
連載続いておりますので、そちらもぜひ♡
【完結】悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
本編完結済です。
もっちもっち感謝祭で、リクエストいただいたお話を更新しています。
皆さまの応援のおかげで『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』書籍化、心から、ありがとうございます!
皆の動画をつくりました!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
表紙や動画にAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【完結】憧れの先輩アルファに告白されたんだがどうやら罰ゲームだったらしい
ある日の放課後、校舎裏で花壇の手入れをしていた上田凛斗に告白してきたのは、憧れの先輩であり校内の人気者でもある上條蘭世だった。
目付きの悪さと暗い性格のせいで恋人どころか友達もいない凛斗は、戸惑いながらもお試しで蘭世との交際をはじめたのだが……
美形溺愛アルファ×三白眼平凡オメガ
ベータだった俺が後天性オメガになったら、幼馴染アルファがもっと過保護になりました
ごく普通のベータとして生きてきた村井圭太(むらいけいた)は、ある日突然、希少な「後天性オメガ」に転化してしまう。
不安な日々が始まる……かと思いきや、幼馴染アルファの白河泰雅(しらかわたいが)とはまさかの両思い。
早々に『番(つがい)』となり、幸せな日々を送っていた。
「オメガになっても俺は俺」と持ち前のポジティブさで新しい生活に向き合っていく圭太。
だが、晴れて番となった泰雅は、今まで以上に過保護になっていく。
どんなトラブルも二人なら大丈夫!
過保護で執着強めなスパダリ幼馴染攻め(α) × ポジティブで男前な元ベータ受け(β→Ω)
明るくて幸せいっぱいオメガバース!
私の大好きなオメガバース。
愛をたくさん詰め込んだので、みなさまにも楽しんでいただけますように。
辺境食堂の隠れΩなのに、拾った皇帝陛下が嫁になれと迫ってくる
元宮廷料理人で隠れΩの青年レオは、帝国の辺境で小さな食堂兼農園を営みながら、誰にも縛られない平穏なスローライフを送っていた。
ある日、レオは裏庭の不思議な洞窟で、血まみれになって倒れていた大柄な青年アレクを拾う。
彼の正体は、お忍びで辺境を訪れていた帝国最強のα皇帝だった。
身分を隠してレオの家に居候することになったアレクは、レオの作る絶品の手料理と、彼から漂う穏やかな香りに冷え切った心を溶かされていく。
一緒に土を耕し、美味しいご飯を分け合ううちに、相反するはずの二人のフェロモンは心地よく調和していくが、やがて帝都からの追手が迫り……。
手料理が繋ぐ心と体。身分差を越えた、最強α皇帝と隠れΩ料理人の美味しくて甘い辺境スローライフが幕を開ける!
※本作にはボーイズラブ要素およびオメガバース設定(α、β、Ωの概念やフェロモンに関する描写)が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。