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4 人体生成で出来たこと
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俺は人体生成で5歳児になった。今は運転席にちょこんと座っている。
この分身体はトラックと連動しているようで、ハンドルを持たなくてもトラックは動き出す。視界もリンクしており、トラックの操作には問題ない。
俺は運転席の上に立ち上がり、バックミラーで自分の顔を見てみる。
「うお! これが俺!? マジか!!」
見ると、すさまじい美少年がそこにいた。本当に俺ですか? というくらいの美少年がそこにいたのだ。しかも全裸で。
髪は金色、瞳は青。
透き通るような白い肌。
股にぶら下がっているのは、ポークビッツ君。
女の子みたいな容姿だが、男の子のようだ。
しかもお股に生えたポークビッツ、いや、マイサン。
彼は思いっきり皮が被っている。見事なドリチンだ。子供だから当たり前か。これでズル剥けの巨大テポドンが生えていたら、逆に泣くぞ。
「声もすごい可愛いし、これが人体生成の威力か。すごいな。35歳のさえないおっさんだったのに、今は美幼児か」
本当に現実なのか疑いたくなるが、俺のポークビッツ君はウソをつきそうにない。触ってみると、ちゃんと感覚があったからだ。
5歳児でも、天を衝かんと上を向くらしい。ピサの斜塔のように。
これ以上おっさんの下ネタはよしておこう。俺のイメージが崩れる。
しかし信じられないな。顔はめちゃくちゃ美形。体は5歳児。人体生成はマジの魔法だな。
それと、生成後は裸なので、このままではまずい。子供服などは物資の中にあるのだろうか?
確か荷台のダンボールに生活雑貨もあったはず。
体を動かす必要もあるので、ちょうどいい。俺はトラックの荷台に移動してみる。体はきびきびと動くが、股にぶら下がっているモノがプラプラ揺れる。やはりそれが気になる。
ちなみに、運転席の後ろにある寝台の横には小さなドアがある。そこから荷台に移れるようだ。潜水艦のようなハッチなので、秘密基地みたいな感覚になり、ワクワクする。
俺はワクワクしながら荷台に移ると、いきなり地獄の底に叩き落とされる。
キマイラが腐って、悪臭を発していたのだ。
「オェェェェエエ!!! くせぇぇぇええ!!!」
吐きそうになるも、吐き出すものが胃に入っていない。俺はオエッとえずきながら、頭で念じてトラックを操作する。
オェッ。うっぷ。
ウイングよ、早く開け!!
キマイラを捕まえてから、早くも二日程度が過ぎている。常温で放置したので、腐ったようだ。草原の平均気温は24℃前後なので、腐るには十分な気温だ。
ウイングを全開にすると、深呼吸。草原の新鮮な空気を肺に取こんだ。
しかし臭い。これでは匂いがダンボールに移ってしまう。
殺しておいてなんだが、捨てる。草原の養分となってくれ。
それから俺はせっせと作業をして、キマイラを捨てることに成功した。服を着るのも忘れて、キマイラを荷台から引きずりおろした。股間がプラプラ揺れて気になったが、それどころではない。
キマイラを捨てる作業は面白くもないので割愛するが、ウインチを木に巻きつけて、滑車の要領でキマイラを外に引っ張りだした。
その引っ張り出す作業で、一つだけ面白い物を見つけた。
引きずり出されたとき、キマイラの脳みそ付近から石が落ちたのだ。赤い、宝石のような石だ。
なんだこれはと拾ってみると、何か力を感じる。カットされていない宝石の原石。ルビーのように赤く輝いている石だ。もしかしたら何かの役に立つかもしれない。付着した脳みそや血を洗って保管しておこう。
その後はダンボールの中をごそごそと物色する。水や食べ物。衣類がたくさんあった。生活雑貨もあり、折りたたみのデッキブラシを発見した。
人体生成の一時間まで、あと15分ほどある。残りの時間を、キマイラの血で汚れた荷台を、掃除しよう。もうここまで来たら、服など着るのも面倒だ。裸族となって掃除を頑張る。
俺はペットボトルから水を撒いて、デッキブラシで血をこすった。
キマイラの血は固まって取れにくかったが、5歳児でも何とか綺麗に除去できた。これで一安心だ。
ちょうど掃除が終わったところで、時間切れ。人体生成の維持を続行するつもりはないので、俺は光となって消えた。
意識は、完全にトラックに戻っていく。
5歳児でも、やれることはいくつかあった。キマイラを引っ張り出したし、掃除もできた。
200リットルの燃料を使ったのは無駄じゃなかったな。
俺は残りの燃料を節約しつつ、ゆっくりとトラックを走らせ始めた。
実りの多い実験だった。
一番の実験は、実はこれが夢で、起きたら自宅のベッドだった。というのが最高だが、それはもう無理っぽいな。多分、俺は本当に異世界に来てる。トラックになって。
感覚が鋭いし、現実感がある。
ゲームみたいな世界だけど、これは日本とは違う別の世界だな。
はぁ~。
トラックの俺はため息をつくことはないが、心の中でため息をつく。
仕方ないので、エンジンを吹かし、トラックを走らせる。排気ガスを草原にまき散らし、頑張って人里を目指す。
排気ガスの所為でオゾン層を破壊だとか、地球での知識を思い出したが、知ったことか。俺をここに呼び寄せた神を恨め。
「よっしゃ! 今日も走るか」
今の俺に睡眠は必要ないみたいで、夜も寝ずに走り続けられる。
それからまた数日。頑張って走り続けた結果、草原の中に村のようなものが見えてきた。
ついに第一村人発見か!? 俺はブオンブオンと、エンジンを吹かしまくり、村を目指した。
この分身体はトラックと連動しているようで、ハンドルを持たなくてもトラックは動き出す。視界もリンクしており、トラックの操作には問題ない。
俺は運転席の上に立ち上がり、バックミラーで自分の顔を見てみる。
「うお! これが俺!? マジか!!」
見ると、すさまじい美少年がそこにいた。本当に俺ですか? というくらいの美少年がそこにいたのだ。しかも全裸で。
髪は金色、瞳は青。
透き通るような白い肌。
股にぶら下がっているのは、ポークビッツ君。
女の子みたいな容姿だが、男の子のようだ。
しかもお股に生えたポークビッツ、いや、マイサン。
彼は思いっきり皮が被っている。見事なドリチンだ。子供だから当たり前か。これでズル剥けの巨大テポドンが生えていたら、逆に泣くぞ。
「声もすごい可愛いし、これが人体生成の威力か。すごいな。35歳のさえないおっさんだったのに、今は美幼児か」
本当に現実なのか疑いたくなるが、俺のポークビッツ君はウソをつきそうにない。触ってみると、ちゃんと感覚があったからだ。
5歳児でも、天を衝かんと上を向くらしい。ピサの斜塔のように。
これ以上おっさんの下ネタはよしておこう。俺のイメージが崩れる。
しかし信じられないな。顔はめちゃくちゃ美形。体は5歳児。人体生成はマジの魔法だな。
それと、生成後は裸なので、このままではまずい。子供服などは物資の中にあるのだろうか?
確か荷台のダンボールに生活雑貨もあったはず。
体を動かす必要もあるので、ちょうどいい。俺はトラックの荷台に移動してみる。体はきびきびと動くが、股にぶら下がっているモノがプラプラ揺れる。やはりそれが気になる。
ちなみに、運転席の後ろにある寝台の横には小さなドアがある。そこから荷台に移れるようだ。潜水艦のようなハッチなので、秘密基地みたいな感覚になり、ワクワクする。
俺はワクワクしながら荷台に移ると、いきなり地獄の底に叩き落とされる。
キマイラが腐って、悪臭を発していたのだ。
「オェェェェエエ!!! くせぇぇぇええ!!!」
吐きそうになるも、吐き出すものが胃に入っていない。俺はオエッとえずきながら、頭で念じてトラックを操作する。
オェッ。うっぷ。
ウイングよ、早く開け!!
キマイラを捕まえてから、早くも二日程度が過ぎている。常温で放置したので、腐ったようだ。草原の平均気温は24℃前後なので、腐るには十分な気温だ。
ウイングを全開にすると、深呼吸。草原の新鮮な空気を肺に取こんだ。
しかし臭い。これでは匂いがダンボールに移ってしまう。
殺しておいてなんだが、捨てる。草原の養分となってくれ。
それから俺はせっせと作業をして、キマイラを捨てることに成功した。服を着るのも忘れて、キマイラを荷台から引きずりおろした。股間がプラプラ揺れて気になったが、それどころではない。
キマイラを捨てる作業は面白くもないので割愛するが、ウインチを木に巻きつけて、滑車の要領でキマイラを外に引っ張りだした。
その引っ張り出す作業で、一つだけ面白い物を見つけた。
引きずり出されたとき、キマイラの脳みそ付近から石が落ちたのだ。赤い、宝石のような石だ。
なんだこれはと拾ってみると、何か力を感じる。カットされていない宝石の原石。ルビーのように赤く輝いている石だ。もしかしたら何かの役に立つかもしれない。付着した脳みそや血を洗って保管しておこう。
その後はダンボールの中をごそごそと物色する。水や食べ物。衣類がたくさんあった。生活雑貨もあり、折りたたみのデッキブラシを発見した。
人体生成の一時間まで、あと15分ほどある。残りの時間を、キマイラの血で汚れた荷台を、掃除しよう。もうここまで来たら、服など着るのも面倒だ。裸族となって掃除を頑張る。
俺はペットボトルから水を撒いて、デッキブラシで血をこすった。
キマイラの血は固まって取れにくかったが、5歳児でも何とか綺麗に除去できた。これで一安心だ。
ちょうど掃除が終わったところで、時間切れ。人体生成の維持を続行するつもりはないので、俺は光となって消えた。
意識は、完全にトラックに戻っていく。
5歳児でも、やれることはいくつかあった。キマイラを引っ張り出したし、掃除もできた。
200リットルの燃料を使ったのは無駄じゃなかったな。
俺は残りの燃料を節約しつつ、ゆっくりとトラックを走らせ始めた。
実りの多い実験だった。
一番の実験は、実はこれが夢で、起きたら自宅のベッドだった。というのが最高だが、それはもう無理っぽいな。多分、俺は本当に異世界に来てる。トラックになって。
感覚が鋭いし、現実感がある。
ゲームみたいな世界だけど、これは日本とは違う別の世界だな。
はぁ~。
トラックの俺はため息をつくことはないが、心の中でため息をつく。
仕方ないので、エンジンを吹かし、トラックを走らせる。排気ガスを草原にまき散らし、頑張って人里を目指す。
排気ガスの所為でオゾン層を破壊だとか、地球での知識を思い出したが、知ったことか。俺をここに呼び寄せた神を恨め。
「よっしゃ! 今日も走るか」
今の俺に睡眠は必要ないみたいで、夜も寝ずに走り続けられる。
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