1 / 2
1 プロローグ
しおりを挟む
僕は大農家である両親の元に生まれた。
一人息子として大事に育てられ、僕は父に与えられた力を磨きに磨いた。
そして極めた。
成長促進魔法を。
これは、父より受け継いだ遺伝魔法の話だ。
無敵の魔法、成長促進魔法の話だ。
★★★
僕の父はとても立派な人である。昔は冒険者として名を馳せた一人だが、父さんは世界でも珍しい成長促進魔法を使える。あらゆる生物の成長を促進させる事が出来、遺伝子改良などお手の物だ。
父さんはこの成長促進魔法を使い、農家として起業した。
もちろん農業は大成功で、父さんは世界最高の農家として歴史に名を刻むことになる。今もなお、伝説を作り続けている。
ここ、エルクリッジ王国は父さんのおかげで食には困らない。この国に、飢えで死ぬ人はいない。病死か、事故死と言った類しかない。他の国は飢え死にが多いが、エルクリッジは豊かな国だ。絶対に飢え死にはさせない。
エルクリッジ王国はとても豊かで強い国だが、他国が強いとは限らない。
年がら年中戦争をしていて、大地がやせ細った国はザラにある。貧富の差も特に激しい。その点、エルクリッジ王国は軍事も農業も強く、豊かな国なのだ。
魔法や科学が発展したこの世界では、戦争や貧富の差、宗教問題がなくならない。今もどこかで飢えた子供が野良犬のように死んでいる。
そんな飢えで苦しむ人々が不憫でしょうがない。
エルクリッジの大農家、エヴァン・レイノルズは立ち上がった。僕の父である。
なんとか他国にも自分の育てた野菜を食べさせたい。先進技術を教えたい。父さんは考えた。
そうだ。息子を送り出そう。18歳になった息子は、最高の魔法士だ。特に我が家秘伝の成長促進魔法は、誰にも負けない。
父さんは思ったら即行動に移った。親友であるエルクリッジの国王に頼み、同盟国であるレインフォール王国を助けようと願い出た。
レインフォールは隣国との戦争に巻き込まれた国だ。海に面している国で、船舶の技術が高い。その技術を手に入れようと、隣国が攻め込んできたのだ。
エルクリッジとレインフォールは昔からの同盟国で、お互いの食料を輸出入して成り立っていた。親しい同盟国なのだ。その国が戦争に巻き込まれた。助けないわけにはいかない。
我が国のエルクリッジも兵を送り出しているが、相手は帝国グランドスウェイル。世界でも最大規模の軍事国家だ。レインフォール王国の滅亡は時間の問題だった。
レインフォールは戦争と、食糧事情の悪化で飢えに苦しんでいるだろう。父さんはレインフォールに知り合いが多い。なんとしても助けたい。しかし大農家の主が、長い間家を開けることは出来ない。ならば最高の人材を送り込もう。それは息子、ライアン・レイノルズだ。
ライアンは僕だ。成長促進魔法を極めた若干18歳の青年だ。自分で青年というのも変な話だが、青年なのだから仕方ない。
父さんは僕に命じた。レインフォールにいる親戚や知人を助けて欲しい。お前の力なら簡単だと、そう言った。僕も同意した。
帝国など、我がレイノルズ家の魔法にかかればすぐに滅亡だ! そのくらいの力の自負があった。
エルクリッジの国王も、お前が立ち上がってくれることを待っていた! と言わんばかりに協力を願い出た。父さんは兵士でもない一般民なので、国からの徴兵が出来ない。もちろん国王の命令が直接下れば別だが、父さんは勇者で、英雄だ。国に勇者が不在なのはまずい。民が不安になる。
そこで僕に白羽の矢が立った。経験を積んでいない息子に、経験を積ませるいい機会だ。
父さんは僕をレインフォール王国に派遣することにした。
レインフォールを助けることに成功すれば、国王は僕に爵位と領地をくれるという。願ってもない報酬だ。
というわけで、同盟国を帝国の魔の手から助けるべく、僕が救援に向かうことになった。そこからのお話だ。
◇◇◇◇◇
「いやぁ、ライアン殿が援軍に来ていただけるとは! これで我が軍も安心です!」
僕は今、レインフォール王国に来ている。王城であるゲストルームにいて、現在はレインフォール将軍の一人、ザッパ将軍と話している。
「まずは食糧事情を改善しましょう。3日後に、大量の野菜をお届けします。エルクリッジの名物、大王芋を」
「ほう! 3日後と申されるか! さすが成長促進魔法を極めた天才だ! 期待しておりますぞ!」
ザッパ将軍は老将軍だ。ヒゲを蓄えた歴戦の将だが、とても気さくで話しやすい。彼は僕にものすごい期待を寄せていた。
「僕さえいれば、食糧事情は改善されるでしょう。しかし、作物を育てる場所がなければどうにもなりません。どんな荒れた場所でもかまいません。土が深くしかも大量にある、そのような土地はありませんか」
「ほう、土が深い場所ですか。今は戦争ゆえ、森ならあるが……。広さはどの程度をお考えで? 水は?」
「広さは広ければ広いほど良いです。森なら開墾します。水は不要。我がレイノルズの魔法は、全ての系統魔法を上級まで使えます。土魔法なら最上級まで使用可能です。手伝いは不要!」
「ふあはははは! なんと! いきなり森を開墾とは! さすがレイノルズ家の御曹司! 言うことが違う! ならば良い土地があります! さっそくご案内したいがよろしいか!」
「行きましょう!」
僕はすぐにソファから立ち上がる。それとともに、ザッパ将軍が握手を求めたので、がっしりと握手をしておく。
「我国の命運、託しましたぞ」
「命に変えても守ります」
僕はエルクリッジ王国の命運を背負っている。無様な真似は絶対にできん。やり遂げるぞ。
一人息子として大事に育てられ、僕は父に与えられた力を磨きに磨いた。
そして極めた。
成長促進魔法を。
これは、父より受け継いだ遺伝魔法の話だ。
無敵の魔法、成長促進魔法の話だ。
★★★
僕の父はとても立派な人である。昔は冒険者として名を馳せた一人だが、父さんは世界でも珍しい成長促進魔法を使える。あらゆる生物の成長を促進させる事が出来、遺伝子改良などお手の物だ。
父さんはこの成長促進魔法を使い、農家として起業した。
もちろん農業は大成功で、父さんは世界最高の農家として歴史に名を刻むことになる。今もなお、伝説を作り続けている。
ここ、エルクリッジ王国は父さんのおかげで食には困らない。この国に、飢えで死ぬ人はいない。病死か、事故死と言った類しかない。他の国は飢え死にが多いが、エルクリッジは豊かな国だ。絶対に飢え死にはさせない。
エルクリッジ王国はとても豊かで強い国だが、他国が強いとは限らない。
年がら年中戦争をしていて、大地がやせ細った国はザラにある。貧富の差も特に激しい。その点、エルクリッジ王国は軍事も農業も強く、豊かな国なのだ。
魔法や科学が発展したこの世界では、戦争や貧富の差、宗教問題がなくならない。今もどこかで飢えた子供が野良犬のように死んでいる。
そんな飢えで苦しむ人々が不憫でしょうがない。
エルクリッジの大農家、エヴァン・レイノルズは立ち上がった。僕の父である。
なんとか他国にも自分の育てた野菜を食べさせたい。先進技術を教えたい。父さんは考えた。
そうだ。息子を送り出そう。18歳になった息子は、最高の魔法士だ。特に我が家秘伝の成長促進魔法は、誰にも負けない。
父さんは思ったら即行動に移った。親友であるエルクリッジの国王に頼み、同盟国であるレインフォール王国を助けようと願い出た。
レインフォールは隣国との戦争に巻き込まれた国だ。海に面している国で、船舶の技術が高い。その技術を手に入れようと、隣国が攻め込んできたのだ。
エルクリッジとレインフォールは昔からの同盟国で、お互いの食料を輸出入して成り立っていた。親しい同盟国なのだ。その国が戦争に巻き込まれた。助けないわけにはいかない。
我が国のエルクリッジも兵を送り出しているが、相手は帝国グランドスウェイル。世界でも最大規模の軍事国家だ。レインフォール王国の滅亡は時間の問題だった。
レインフォールは戦争と、食糧事情の悪化で飢えに苦しんでいるだろう。父さんはレインフォールに知り合いが多い。なんとしても助けたい。しかし大農家の主が、長い間家を開けることは出来ない。ならば最高の人材を送り込もう。それは息子、ライアン・レイノルズだ。
ライアンは僕だ。成長促進魔法を極めた若干18歳の青年だ。自分で青年というのも変な話だが、青年なのだから仕方ない。
父さんは僕に命じた。レインフォールにいる親戚や知人を助けて欲しい。お前の力なら簡単だと、そう言った。僕も同意した。
帝国など、我がレイノルズ家の魔法にかかればすぐに滅亡だ! そのくらいの力の自負があった。
エルクリッジの国王も、お前が立ち上がってくれることを待っていた! と言わんばかりに協力を願い出た。父さんは兵士でもない一般民なので、国からの徴兵が出来ない。もちろん国王の命令が直接下れば別だが、父さんは勇者で、英雄だ。国に勇者が不在なのはまずい。民が不安になる。
そこで僕に白羽の矢が立った。経験を積んでいない息子に、経験を積ませるいい機会だ。
父さんは僕をレインフォール王国に派遣することにした。
レインフォールを助けることに成功すれば、国王は僕に爵位と領地をくれるという。願ってもない報酬だ。
というわけで、同盟国を帝国の魔の手から助けるべく、僕が救援に向かうことになった。そこからのお話だ。
◇◇◇◇◇
「いやぁ、ライアン殿が援軍に来ていただけるとは! これで我が軍も安心です!」
僕は今、レインフォール王国に来ている。王城であるゲストルームにいて、現在はレインフォール将軍の一人、ザッパ将軍と話している。
「まずは食糧事情を改善しましょう。3日後に、大量の野菜をお届けします。エルクリッジの名物、大王芋を」
「ほう! 3日後と申されるか! さすが成長促進魔法を極めた天才だ! 期待しておりますぞ!」
ザッパ将軍は老将軍だ。ヒゲを蓄えた歴戦の将だが、とても気さくで話しやすい。彼は僕にものすごい期待を寄せていた。
「僕さえいれば、食糧事情は改善されるでしょう。しかし、作物を育てる場所がなければどうにもなりません。どんな荒れた場所でもかまいません。土が深くしかも大量にある、そのような土地はありませんか」
「ほう、土が深い場所ですか。今は戦争ゆえ、森ならあるが……。広さはどの程度をお考えで? 水は?」
「広さは広ければ広いほど良いです。森なら開墾します。水は不要。我がレイノルズの魔法は、全ての系統魔法を上級まで使えます。土魔法なら最上級まで使用可能です。手伝いは不要!」
「ふあはははは! なんと! いきなり森を開墾とは! さすがレイノルズ家の御曹司! 言うことが違う! ならば良い土地があります! さっそくご案内したいがよろしいか!」
「行きましょう!」
僕はすぐにソファから立ち上がる。それとともに、ザッパ将軍が握手を求めたので、がっしりと握手をしておく。
「我国の命運、託しましたぞ」
「命に変えても守ります」
僕はエルクリッジ王国の命運を背負っている。無様な真似は絶対にできん。やり遂げるぞ。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
薬師だからってポイ捨てされました!2 ~俺って実は付与も出来るんだよね~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト=グリモワール=シルベスタは偉大な師匠(神様)とその脇侍の教えを胸に自領を治める為の経済学を学ぶ為に隣国に留学。逸れを終えて国(自領)に戻ろうとした所、異世界の『勇者召喚』に巻き込まれ、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
『異世界勇者巻き込まれ召喚』から数年、帰る事違わず、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居るようだが、倒されているのかいないのか、解らずとも世界はあいも変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様とその脇侍に薬師の業と、魔術とその他諸々とを仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話のパート2、ここに開幕!
【ご注意】
・このお話はロベルトの一人称で進行していきますので、セリフよりト書きと言う名のロベルトの呟きと、突っ込みだけで進行します。文字がびっしりなので、スカスカな文字列を期待している方は、回れ右を推奨します。
なるべく読みやすいようには致しますが。
・この物語には短編の1が存在します。出来れば其方を読んで頂き、作風が大丈夫でしたら此方へ来ていただければ幸いです。
勿論、此方だけでも読むに当たっての不都合は御座いません。
・所々挿し絵画像が入ります。
大丈夫でしたらそのままお進みください。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる