この異世界には水が少ない ~砂漠化した世界で成り上がりサバイバル~

無名

文字の大きさ
74 / 85
第二章

72 新しい武器2 英雄たちが着たコート

しおりを挟む
 俺とプルウィアは砦にある武器庫に来た。そこではすでにリザとアルテアが待っていた。アルテアは俺の後ろにいるアルマ君を見ると苦笑いした。

「すまない。待たせた」

「いえ、我々も来たところです、申し訳ありませんが、サンドドレイクは外で待たせてください」

「ん? あぁ分かった」

 俺はアルマに武器庫の外で待つように言った。言葉が通じるはずがないが、アルマは分かったと頷いた。上手く言えないが、俺とアルマは、心で会話したようだった。

「では、こちらに」

 アルテアがそう言って、特殊な形状をした、武器庫のカギを取り出す。

「下がっていてください。今開けますので」

 俺たちの目の前には、銀行にあるような分厚い円形の扉がある。不思議な魔法式が描かれていて、淡く明滅している。アルテアは取り出したカード型の魔法鍵を、スリットに差し込んだ。

 ピッという、電子音が鳴り響き、扉が開いた。

「さぁどうぞ。こちらに武具が保管してあります」

 アルテアに言われて武器庫に入ると、木箱に入れられた銃器がたくさん置いてあった。それ以外にも、スチールラックのような棚が整然と並んでいて、ミニマシンガンからロケットランチャー、手りゅう弾が山のようにある。

 近代的な重火器に混ざって、魔剣や護符も置いてある。ファンタジー世界に銃器は少しミスマッチだったが、火薬があれば銃器も作られる。当たり前の技術的発展だ。ただ、自動車や飛行機があまりないのは、それよりも効率的な乗り物があるからだろう。たとえば、大型の魔物とかな。

「そういやアルテア、ここにあるロングソードは、どんな魔法がかけられているんだ?」

 勇者が持つような、銀色の長剣を指さして、アルテアに聞いてみた。ロングソードは、鎖に巻かれて壁にかけてある。

「それは刃こぼれ防止と錆防止、重量軽減の魔法がかけられています。隊長クラスが持つ魔剣ですね」

 刃こぼれ防止? 魔剣というからにはもっと派手なものを期待したが、そこは量産品。地味な魔剣だった。

「ふーん。じゃぁアルテア。この中から好きな武器を一個もらっていいんだよな?」

「構いません。アオ様にはそれだけの対価をいただいています。お好きな武器を持っていってください」

 アルテアは太っ腹だった。どれでもいいという。まるで武器商人のような口ぶりだが、こうなったら、高級な一点物の武器を選んでやる。

「リザ。一番高そうな銃を選んでくれ。一番高い奴だぞ」

 貧乏根性がでてしまったが、仕方ない。タダでくれるというのだから、一番高い奴が良いに決まってる。

「一番高そうな銃? ふむ。分かった。プルウィアはどうする?」 

「私には高級な武器は宝の持ち腐れになってしまいます。私は包丁の扱いが得意なので、ナイフとかがいいです。銃は使ったことありませんし」

 料理が得意な、プルウィアらしい選択だった。俺とは真逆の発想だ。

「あい分かった。二人とも、少し待っていろ」

 リザはそう言って、ルンルン気分で武器庫の中を物色し始めた。ちゃっかりと自分用の弾薬を持っていくのも忘れていない。

「アオ様。それにしても、ここは涼しいですね」

「あぁ。そうだね」

 武器庫の中は広くて、涼しい。温度管理もきっちりとされている。大量の武器弾薬がカビ無いようにしているのだろう。

 俺はリザが武器を選んでいる間、アルテア、プルウィアと一緒に武器庫の中を散策する。ひとしきり武器庫の中を見て回るが、目新しいものは無い。何か特殊な武器でもあって、敵を一撃で粉砕できるような伝説の武具を期待したが、特になかった。

 リザが戻ってくると、俺とプルウィアの武器が握られていた。スナイパーライフルと、小ぶりのナイフだった。

「アオ君には高性能ライフルだ。プルウィアには、魔剣だ」

 俺はリザに渡された、新しいライフルを握る。かなり軽い。子供の俺でも、余裕で持てる重さだ。大きさは、前のライフルと同じ。俺と同じ身長くらいあるライフルだ。

「片手で持てる。すごい軽いな」

「特別な合金で出来てるからな。プルウィアのナイフも、魔法がかけられていて、風の魔法を使える」

 ほう。すごいな。プルウィアの持っているナイフは、刀身がエメラルドブルーで、すごく綺麗だ。

「すごい綺麗ですね。本当にもらっていいんですか?」

「構いません」

 アルテアは笑っているが、大事な武器だ。大切に扱わないといけないな。俺は新しいライフルを見て心を躍らせていると、アルマジロのアルマ君が突然武器庫に入ってきた。ゴロゴロ転がってくる。

 何やってるんだと声を張り上げる前に、アルマはゴロゴロ転がってきて、ピタッと止まった。アルマが止まった先には、一つのコートがかけられていた。アルマはそのコートを口で引っ張り、ズルズルと引きずってくる。

 ペッと、俺の前にコートを投げてよこすと、アルマは「フンス」と鼻息を一つ鳴らした。

 これを着ろと言いたいらしい。

「これは……」

 アルテアが驚いている。見た目は灰色のレインコートだ。俺が着るにはかなり大きい。大人サイズだ。

「アルテア、これ、すごいコートなのか?」

「はい。確かに、貴重なコートです。これは、サンドドレイクの鱗を糸状にして編み込んだ、魔法のコートです」

 え? サンドドレイクの鱗? それってアルマジロ君の鱗?

「サンドドレイクの鱗は、とても貴重な品で、対物理、対魔法に優れた、良質な素材です。これを持ってきたということは、自分の鱗で、アオ様を守ってやると言いたいのでしょう」

 アルテアはそう言ったが、アルマからは、こう聞こえた。

『ダーナ様や水魔法使いを守る服は、俺たちの鱗って決まってる!』

 鼻息が荒いアルマ。意味が分からないことを言う。アルテアにダーナ様のことを聞いてみたが、サンドドレイクと関係する文献が残っていない。

 俺はアルマの言っていることをまったく信じていなかったが、それはすぐに真実と分かる。

 なぜならそれは、これから会いに行く、風の魔将軍ルセリアが知っていたからだ。

 アルマ君たちはどうやら、人間以上にダーナ様を愛しているようだった。今では危険な魔物で、恐怖の対象となっているが、嘘だった。アルマ君たちは、ずっと前から人間の味方だった。

 

 
 
しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

成瀬一
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...