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第二章
77 一時終結
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俺がハインツに殺される瞬間、間に割って入った人物。それは。
「き、貴様は、ルセリア!」
風の魔将軍ルセリアが、俺とハインツの間に割って入った。光る風を身に纏い、目にもとまらぬ速度で抜刀。風の魔法剣を繰り出した。
刹那、十発の剣閃が舞い踊った。風の剣が、ハインツの腕と足を、カッターのように両断する。
「ぎゃぁぁあああああ!!!」
ハインツは四肢を失い、達磨のように転がった。ジタバタともがき、まるでイモムシのような状態になる。かなりグロテスクな状態に、俺も顔をしかめた。
「あなたの爆炎魔法も剣も、私の風には敵わない」
ルセリアは、レイピアをくるりと回転させ、剣に付着した血を払った。まるで、戦乙女そのものだ。
「アオ様。申し訳ありません。遅れましたが、助けに参りました。この村に残った神殿騎士は、私とアルテア様で排除いたしました」
ルセリアが、俺の前に跪いた。村長の家で行った時と同じように、跪いた。
「そうか。他の騎士達はアルテアがやってくれたか」
「はっ」
なんとか、しのぎ切ったか。
「ルセリア。助かった。あと、お前の綺麗な髪が、地面について汚れてるぞ」
「…………」
ルセリアは俺のジョークに驚いた後、こう言った。
「フフフ。こんな時でも、お優しい。私はついに、本物に出会えたようですね」
ルセリアは微笑んで、俺を見ていた。
「ルセリア。医者はいないか? リザが死にそうだ」
「医者ですか。どうでしょうか。村人の中に医者がいたという報告は上がってきていませんが……」
「そうか。何とかしないと、リザが……」
リザは目を覚まさない。今にも死にそうなくらい、顔色が悪い。俺も血を流していてまずいが、仲間の方が心配だ。
このままでは砦に着く前に死んでしまう。俺は焦っていると、後ろから一人、見知った顔の男が現れた。
「ようアオ。久しぶりだな。ライドだ。ライド・エルナントだ」
ライドが足を引きずりながら現れた。彼もまた、ひどい怪我をしている。今まで戦っていたようだ。
「おぉ! ライド! 無事だったか!」
「これが無事なように見えるのなら、信じられない目をしているな。お前といると、ほんと、退屈しないよ。まったく、とんでもないことに巻き込んでくれたもんだぜ」
ライドもひどい怪我を負っているようだが、軽口を叩いている。大丈夫そうだ。
「リザにこれを使え。ほんとは使いたくなかったが、俺のとっておきのエクスポーションだ」
ライドは俺に、小さな小瓶を投げてよこした。中に光る液体が入っている。聖水のような液体だ。なぜライドがこんなものを持っていたのか気になったが、今は聞いている暇はない。
「気は進まないが、リザにそれを飲ませろ。怪我が即座に治る」
「……いいのか? お前も怪我をしているだろ」
「大丈夫だ。まだ残りのポーションがある。それに、お前もそのエクスポーションを飲めよ。金づるに死んでもらったら困るし、血涙を流している奴なんて、久しぶりに見たからな」
俺はまだ、顔面から血を流したままだ。命まで削り、魔力を使った代償だろう。水魔石に魔力を送り込んだ時の比じゃない。
「あぁそうだな。ありがとう。恩に着る」
「そうか。その言葉、忘れないぞ。今度、百倍にして返せよ」
ライドの強欲は変わっていなかった。俺は口元がほころぶのを感じた。
「アオ様。お疲れのところ申し訳ありませんが、報告があります」
「……なんだ? 早く言え。リザにこのポーションが必要だ」
「はっ。アルテア様は村長と一緒に、村人の避難を手伝っています。私はこのハインツを適当に治療し、ギリギリ生かした状態にします。どうか許可を」
ルセリアが再び頭を下げてくる。
「殺さないのか?」
ハインツを生かしてどうするつもりだ。それに、ハインツも死にそうだぞ。失血しすぎているのか、顔が青くなって白目を剥いている。両手両足が切断されたのが効いたようだ。
「本当なら殺したいところだが、どうする気だ?」
「情報が欲しいのです。いかにアオ様がお強くとも、数千の兵士には勝てますまい。ハインツから、枢機卿の弱点がないか聞き出します」
ルセリアは、ハインツの手や足を縛って、止血した。なにか薬のような物も飲ませている。ポーションの類ではなさそうだ。
「重要な器官は傷つけていませんので、血さえあれば死にません。造血剤を飲ませました。尋問の後は処刑しますので、どうか、捕縛の許可を」
ルセリアが必死になって頭を下げてくる。彼女の言い分はもっともだ。俺はライドを見ると、彼もまた頷いた。
「この国を調べたが、ルセリア将軍は信用できる。裏切り者は別にいるだろう」
ライドがそう言ったので、気がおさまった俺は、ルセリアの進言を許可した。
「分かった。好きにしろ。そいつは任せる。ライド。とりあえず、生き残った者を助けよう」
「仕方ないな。あとで、この件について、アルテア様に金をせびらないとな」
俺はリザに口移しでエクスポーションを飲ませ、自分も飲んだ。砦に帰ったころは、日が暮れて夜になっていた。
「き、貴様は、ルセリア!」
風の魔将軍ルセリアが、俺とハインツの間に割って入った。光る風を身に纏い、目にもとまらぬ速度で抜刀。風の魔法剣を繰り出した。
刹那、十発の剣閃が舞い踊った。風の剣が、ハインツの腕と足を、カッターのように両断する。
「ぎゃぁぁあああああ!!!」
ハインツは四肢を失い、達磨のように転がった。ジタバタともがき、まるでイモムシのような状態になる。かなりグロテスクな状態に、俺も顔をしかめた。
「あなたの爆炎魔法も剣も、私の風には敵わない」
ルセリアは、レイピアをくるりと回転させ、剣に付着した血を払った。まるで、戦乙女そのものだ。
「アオ様。申し訳ありません。遅れましたが、助けに参りました。この村に残った神殿騎士は、私とアルテア様で排除いたしました」
ルセリアが、俺の前に跪いた。村長の家で行った時と同じように、跪いた。
「そうか。他の騎士達はアルテアがやってくれたか」
「はっ」
なんとか、しのぎ切ったか。
「ルセリア。助かった。あと、お前の綺麗な髪が、地面について汚れてるぞ」
「…………」
ルセリアは俺のジョークに驚いた後、こう言った。
「フフフ。こんな時でも、お優しい。私はついに、本物に出会えたようですね」
ルセリアは微笑んで、俺を見ていた。
「ルセリア。医者はいないか? リザが死にそうだ」
「医者ですか。どうでしょうか。村人の中に医者がいたという報告は上がってきていませんが……」
「そうか。何とかしないと、リザが……」
リザは目を覚まさない。今にも死にそうなくらい、顔色が悪い。俺も血を流していてまずいが、仲間の方が心配だ。
このままでは砦に着く前に死んでしまう。俺は焦っていると、後ろから一人、見知った顔の男が現れた。
「ようアオ。久しぶりだな。ライドだ。ライド・エルナントだ」
ライドが足を引きずりながら現れた。彼もまた、ひどい怪我をしている。今まで戦っていたようだ。
「おぉ! ライド! 無事だったか!」
「これが無事なように見えるのなら、信じられない目をしているな。お前といると、ほんと、退屈しないよ。まったく、とんでもないことに巻き込んでくれたもんだぜ」
ライドもひどい怪我を負っているようだが、軽口を叩いている。大丈夫そうだ。
「リザにこれを使え。ほんとは使いたくなかったが、俺のとっておきのエクスポーションだ」
ライドは俺に、小さな小瓶を投げてよこした。中に光る液体が入っている。聖水のような液体だ。なぜライドがこんなものを持っていたのか気になったが、今は聞いている暇はない。
「気は進まないが、リザにそれを飲ませろ。怪我が即座に治る」
「……いいのか? お前も怪我をしているだろ」
「大丈夫だ。まだ残りのポーションがある。それに、お前もそのエクスポーションを飲めよ。金づるに死んでもらったら困るし、血涙を流している奴なんて、久しぶりに見たからな」
俺はまだ、顔面から血を流したままだ。命まで削り、魔力を使った代償だろう。水魔石に魔力を送り込んだ時の比じゃない。
「あぁそうだな。ありがとう。恩に着る」
「そうか。その言葉、忘れないぞ。今度、百倍にして返せよ」
ライドの強欲は変わっていなかった。俺は口元がほころぶのを感じた。
「アオ様。お疲れのところ申し訳ありませんが、報告があります」
「……なんだ? 早く言え。リザにこのポーションが必要だ」
「はっ。アルテア様は村長と一緒に、村人の避難を手伝っています。私はこのハインツを適当に治療し、ギリギリ生かした状態にします。どうか許可を」
ルセリアが再び頭を下げてくる。
「殺さないのか?」
ハインツを生かしてどうするつもりだ。それに、ハインツも死にそうだぞ。失血しすぎているのか、顔が青くなって白目を剥いている。両手両足が切断されたのが効いたようだ。
「本当なら殺したいところだが、どうする気だ?」
「情報が欲しいのです。いかにアオ様がお強くとも、数千の兵士には勝てますまい。ハインツから、枢機卿の弱点がないか聞き出します」
ルセリアは、ハインツの手や足を縛って、止血した。なにか薬のような物も飲ませている。ポーションの類ではなさそうだ。
「重要な器官は傷つけていませんので、血さえあれば死にません。造血剤を飲ませました。尋問の後は処刑しますので、どうか、捕縛の許可を」
ルセリアが必死になって頭を下げてくる。彼女の言い分はもっともだ。俺はライドを見ると、彼もまた頷いた。
「この国を調べたが、ルセリア将軍は信用できる。裏切り者は別にいるだろう」
ライドがそう言ったので、気がおさまった俺は、ルセリアの進言を許可した。
「分かった。好きにしろ。そいつは任せる。ライド。とりあえず、生き残った者を助けよう」
「仕方ないな。あとで、この件について、アルテア様に金をせびらないとな」
俺はリザに口移しでエクスポーションを飲ませ、自分も飲んだ。砦に帰ったころは、日が暮れて夜になっていた。
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