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第一章 伝説の水魔法使い
14 村の中を探索する
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俺はレミル村の中を一通り探索した。
家財道具などはほとんどなく、食料も見当たらない。荷車や馬車の類もないので、使えそうな馬や牛に引っ張らせて、持って行ったのだろう。
となると、村に残っているのは、肉にもならないやせ細った家畜ばかりか?
俺は掘立小屋のような、スラム街にも似た村を、探索する。
リザも他の家を探索しているが、めぼしいものは見当たらない。勇者のようにタンスや壺を割って、家探しをしまくるが、「何もない」が続く。一応、水を保存できる、小型の樽があった。これは使えそうだ。ただ、持ち運ぶには少し大きい。オルフェにすべて担がせるには、無理がある。
「どうする? 持って行くか?」
その後しばらく探索していると、リザから声がかかった。
「一応、これだけの物があった」
リザは俺を外に連れ出すと、収穫した物資を見せてくれた。
「錆びた包丁が一本あった。研げばまだ使える。あと、木製だが小盾があった。アオ君が装備すれば、十分に使えるだろう」
俺はリザが持ってきた小盾を手に取る。大人には小さいが、子供の俺には十分だ。上半身を隠せるくらいには大きい。
「ありがとう。使えそうだ」
俺はリザに礼を言ってオルフェの所に戻ると、オルフェと一緒に牧草を食べる牛の姿があった。オルフェも人が良いのか、残り少ない牧草を牛たちに分け与えている。
「オルフェ、君ってやつは……」
俺は苦笑するが、閃いた。
「リザ。この牛たち、まだ元気だ。ここに二頭いるし、連れて行こう。荷物を運ばせるんだ」
「え? 連れて行く?」
リザは険しい表情になる。水が少ないうえに食料も少ないのだ。無駄に家畜を連れて歩く余裕はない。
「牧草なら、まだ馬小屋に残っていた。数日なら持つと思う。山を越えれば、カイトの街がある。そこまで荷物を運んでもらおう」
「水はどうする?」
「俺が何とかする」
リザはさらに表情を険しくする。子供が言っていることと思って、馬鹿にしているのかもしれない。それとも、俺のアイデアが自殺行為と思っているのかもしれない。
「何とかすると言われても、さすがに無理だ」
「大丈夫だよ。俺にはろ過装置がある」
「ほう? 君は水をろ過する装置を持っていると聞いたが、どこにあるんだ? 実は昨日の夜、君が寝ている間にバッグを探させてもらったが、何もなかったぞ。君はウソつきなのか?」
しまった。やられた。
「黙ったなアオ君。やっぱり何か隠しているのか?」
俺は言葉に詰まった。俺が寝ている間に、俺の持ち物を見たのか。まぁ、そりゃそうだよな。リザだって、子供の俺を信用するわけない。考えれば当たり前だよな。
どうする? ここで水魔法を使うか? でも、リザが悪人だったらどうする? 誘拐されて、人買いに売られるかもしれない。
「言いたくないのか? 一体、昨日の水はどこから持ってきたんだ? 本当に川から汲んできたのか?」
リザは案外考えている。やっぱり、馬鹿じゃない。大胆に見えるが、一応考えている。彼女が死にそうになって俺が助けたのは、偶然だった。ただ、それだけのことだったんだ。
「君には命を救ってもらった。だから助けるのは当たり前だ。だけど、君が水について隠すなら、これ以上手助けするのは難しいぞ。私だって、水はほしいんだ」
リザは家畜を連れていくことに反対している。飲ませる水が無いのだからな。
俺は考えたが、リスクなしには信頼を得られそうにない。俺は賭けに出た。
「分かったよ。俺の秘密を話す」
俺は、リザに掌を見せる。
「手を出してどうしたんだ?」
「いいから、手を見ていてくれ」
俺は掌に魔力を集中すると、そこから水を出した。
魔法で、水を出した。
「……え? ちょちょ、ちょっと待て。そ、それは、まさか? う、うそだ」
リザは俺の掌から出続ける水を、凝視している。
「君は、まさか。まさか!!」
「そうだ。水魔法使いだ」
家財道具などはほとんどなく、食料も見当たらない。荷車や馬車の類もないので、使えそうな馬や牛に引っ張らせて、持って行ったのだろう。
となると、村に残っているのは、肉にもならないやせ細った家畜ばかりか?
俺は掘立小屋のような、スラム街にも似た村を、探索する。
リザも他の家を探索しているが、めぼしいものは見当たらない。勇者のようにタンスや壺を割って、家探しをしまくるが、「何もない」が続く。一応、水を保存できる、小型の樽があった。これは使えそうだ。ただ、持ち運ぶには少し大きい。オルフェにすべて担がせるには、無理がある。
「どうする? 持って行くか?」
その後しばらく探索していると、リザから声がかかった。
「一応、これだけの物があった」
リザは俺を外に連れ出すと、収穫した物資を見せてくれた。
「錆びた包丁が一本あった。研げばまだ使える。あと、木製だが小盾があった。アオ君が装備すれば、十分に使えるだろう」
俺はリザが持ってきた小盾を手に取る。大人には小さいが、子供の俺には十分だ。上半身を隠せるくらいには大きい。
「ありがとう。使えそうだ」
俺はリザに礼を言ってオルフェの所に戻ると、オルフェと一緒に牧草を食べる牛の姿があった。オルフェも人が良いのか、残り少ない牧草を牛たちに分け与えている。
「オルフェ、君ってやつは……」
俺は苦笑するが、閃いた。
「リザ。この牛たち、まだ元気だ。ここに二頭いるし、連れて行こう。荷物を運ばせるんだ」
「え? 連れて行く?」
リザは険しい表情になる。水が少ないうえに食料も少ないのだ。無駄に家畜を連れて歩く余裕はない。
「牧草なら、まだ馬小屋に残っていた。数日なら持つと思う。山を越えれば、カイトの街がある。そこまで荷物を運んでもらおう」
「水はどうする?」
「俺が何とかする」
リザはさらに表情を険しくする。子供が言っていることと思って、馬鹿にしているのかもしれない。それとも、俺のアイデアが自殺行為と思っているのかもしれない。
「何とかすると言われても、さすがに無理だ」
「大丈夫だよ。俺にはろ過装置がある」
「ほう? 君は水をろ過する装置を持っていると聞いたが、どこにあるんだ? 実は昨日の夜、君が寝ている間にバッグを探させてもらったが、何もなかったぞ。君はウソつきなのか?」
しまった。やられた。
「黙ったなアオ君。やっぱり何か隠しているのか?」
俺は言葉に詰まった。俺が寝ている間に、俺の持ち物を見たのか。まぁ、そりゃそうだよな。リザだって、子供の俺を信用するわけない。考えれば当たり前だよな。
どうする? ここで水魔法を使うか? でも、リザが悪人だったらどうする? 誘拐されて、人買いに売られるかもしれない。
「言いたくないのか? 一体、昨日の水はどこから持ってきたんだ? 本当に川から汲んできたのか?」
リザは案外考えている。やっぱり、馬鹿じゃない。大胆に見えるが、一応考えている。彼女が死にそうになって俺が助けたのは、偶然だった。ただ、それだけのことだったんだ。
「君には命を救ってもらった。だから助けるのは当たり前だ。だけど、君が水について隠すなら、これ以上手助けするのは難しいぞ。私だって、水はほしいんだ」
リザは家畜を連れていくことに反対している。飲ませる水が無いのだからな。
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魔法で、水を出した。
「……え? ちょちょ、ちょっと待て。そ、それは、まさか? う、うそだ」
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「君は、まさか。まさか!!」
「そうだ。水魔法使いだ」
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