この異世界には水が少ない ~砂漠化した世界で成り上がりサバイバル~

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第一章 伝説の水魔法使い

15 水魔法の水

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 リザは跪くと、俺の手から生み出される水を直接飲んだ。俺が許可していないのに、勝手に飲み始めた。

「お、おいリザ。なにすんだ。離れろ」

「ごく、ごく」

 リザは奴隷のように跪いて、俺の指をしゃぶり続ける。水魔法で生み出した水を、飲み続けている。

「おいしい。すごくおいしい。これが水魔法」

「リザ、手を離せ。水を止めるぞ」

 俺は水魔法を停止させるが、リザは赤ちゃんのように俺の指に吸い付いている。すごくくすぐったい。

「あん。もっと飲ませてくれ。そんなに冷たくて新鮮な水は初めてなんだ」

 リザは俺に跪いたまま、下をペロッと伸ばした。かなり妖艶だ。ガリガリで痩せていたため、頬がこけていたが、それでもリザは美しく見えた。

「リザ、言っておくが、俺の水はただの純水だ。魔法で生み出した水は、ミネラルなどは含まれていない。生み出した直後は冷たいかもしれないが、おいしくはないぞ」

 ミネラルが含まれていないのが純水だ。ミネラルがあるから、水は美味いのだ。

「ミネラルというのがよく分からないが、水魔法使いの水は、回復効果があるんだ。少し甘いしな」

 回復効果? それは初めて聞いた。甘いというのは、納得できる。水に魔素が多いのか、舌が甘く感じる。だけど、水魔法の水はただの純水と聞いた。違うのか?

「しかし、驚いたよ。これはまさしく水魔法だ。こんなに魔力が豊富な水は、水魔法で作り出した水以外にない。これは、トリックなんかじゃない」

「当たり前だ。種のない手品なんか、あってたまるか。これは魔法だ」

「ふふふ。だけど、まさかアオ君が水魔法の使い手とはね。どうりで子供一人でいるわけだ」

 リザは立ち上がると、俺の頭を撫で始めた。俺の髪の毛はぼさぼさで伸び放題だ。その髪を整えるように、優しく撫でる。

「私の国では、水魔法使いは、神の御使い様でね。人神としてあがめられているんだよ。まさかこの目で見られる日が来るとはね」

 リザは俺の頭をなで続ける。慈しむように、なで続ける。結構気持ちがいいので、俺はそのままにさせている。

「私も理由があって冒険者をやっているが、それはあとで説明するよ。まずは、アオ君を守らなければね」

「守る? それは護衛としてか?」

「当然だよ。でも、水魔法を見て、もっと守らなければと思った」

「ふーん」

 なんだかよく分からないが、リザは俺を守ってくれるようだ。さらったり、人買いに売ることはなさそうだ。

「ふふふふ。まさかこんなところで出会えるとは」

 リザはすごく喜んでいる。先ほどの態度がウソのようだ。俺をどう思っていたか知らないが、今は俺を見てニコニコと微笑んでいる。

「あぁ。ようやく出会えた。私のオアシス」

 リザはぼそりとそんなことを言っていたが、俺には良く聞こえなかった。



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