この異世界には水が少ない ~砂漠化した世界で成り上がりサバイバル~

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第一章 伝説の水魔法使い

43 アオの計画

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 俺はプルウィアという、教会にいた孤児と仲良くなることに成功した。

 出たとこ勝負だったが、水魔法を使えばなんとかなるもんだぜ。さすがチート魔法! ひゃっほう!

 俺はこの魔法をくれたダーナ様とやらに感謝し、プルウィアに水魔石があるのか聞いてみた。

「水魔石っていうのは分からないけど、壊れた女神像なら、地下にあるよ」

 地下? ほう。クーが言っていた通り、捨てずに保管していたのだ。そりゃ、大切な女神像だからな。なにやら、戦争前からある女神像は、人間が作ったものではなく、ダーナ様から与えられたものだという。誰が作ったかもわからない、不思議な女神像らしい。だから、捨てずに取って置いているとのことだ。

「今の女神像は、修理と言うより、ほとんど新しいものに交換した物なの。台座とかは使い回しみたいだけど、像自体は新しいものに交換したらしいわ」

 親切にプルウィアが教えてくれる。受け答えもはっきりできるし、頭は悪くない印象だ。煤けているが、顔も可愛い。

 地下へ案内してくれる時も、俺の手を握って離さない。水魔法使い様だから、きちんと連れて行くと、張り切っている。つないだ手を、ブンブン振ってくる。実に愛らしい、子供の手だった。

 これは、俺のハーレムメンバー入り確定かな? まだ小さいけど、育てば美人になりそうな顔をしてる。それに幼馴染っていうのは、好感度上がりやすいから、これを使わない手はないぞ!

 俺が未来のハーレム予想図を描いていると、後ろを歩いているリザが歯ぎしりをした。

「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ」

 リザは手をつなぐ俺たちを見て、目を血走らせている。

 おいおい。なんだ? まさか、出会ったばかりのプルウィアに嫉妬しているんじゃないだろうな? まだ子供だぞ?

「アオ君。騙されるな。女は、何歳でも女だ。気を抜くと持って行かれるぞ」

 何を持って行かれるのかは分からないが、別にいいだろ。女の子に好かれて悪いことはないだろ。

 俺はプルウィアと手をつないで、全員で地下に降りて行った。もちろん、他の子供たちに見つからないよう、忍び足でだ。


★★★


 と、ろくでもない話を挟んでしまったが、無事教会の地下墓地へ到着。

 ここは、カイトの街にあったダーナ教会同様、墓地になっていた。ただ、埋葬というより、骨壺と墓標がたくさん並んでいた。ミイラはなさそうだ。

「こっちの倉庫にあるの」

 案内されて、倉庫に移動。

 腐った木のドアを押すと、砂埃が舞う。何年も開けられていなかったのか、カビた匂いがしてすごく臭い。体に悪そうな胞子が舞っている。

 リザとライドが炎の魔法を使って、ファイアーボールを天井に打ち上げる。炎の球が空中に浮かび、倉庫内を照らした。

「うわぁ! 炎の魔法だ!」

 プルウィアが子供らしく喜んだ。魔法は、この世界で必須のものだからな。きっとプルウィアも勉強しているんだろう。

 俺は照らされた倉庫内を見まわして見ると、そこには予想もしない物が置いてあった。

 それは、壊れた女神像が数百体と並べられていることだった。

 本来は美しい女神像だったのだろう。慈愛に満ちた表情で、全ての人を見守ってくれる像だったはずだ。それが、ほとんど砕け散り、乱雑に放置されている。

「ダーナ様が可哀そうだ」

 リザがぽつりと言ったが、その問いには誰も答えられなかった。

 と、いつまでも感傷に浸っていられない。

 俺は壊れた女神像に近寄ると、丸い球が無いか探してみる。まっ白い球で、石膏で造られたような球だ。俺は慎重に女神像の瓦礫から、水魔石を探し出す。

 すると、俺の手に触れた瞬間、魔力が抜き取られる感覚があった。

 ビンゴだ。

 見つけた。俺の中二病は間違っていなかった。

 俺は瓦礫をどかすと、水魔石を見つけた。バレーボールサイズの、まっ白い球だ。見た目は、ただの石だ。

 よし。あとは俺が首尾よくこいつを復活させれば、計画の第一段階はクリアだ。俺は見つけた石を布にくるんで持ち帰ろうとしたら、リザが驚いた声を出した。

「あ、アオ君! もしかして、これは……」

 何があったんだと、俺はリザの方に近寄ると、足元には、たくさんの丸い石。

 エイリアンの卵よろしく、丸い球がぎっしりと置かれていた。何かが生まれてきそうな雰囲気だ。壁の隅に、ぎっちりと積まれている。

 お、おいおい。嘘だろ? なんでこんなにある?

 俺とリザがびっくりしていると、プルウィアが説明してくれる。

「ここの女神像はね。各地で潰れた教会から集められた物らしいの。本部にはもっと大きな倉庫があって、女神像を保管してるみたいだけど、ここは壊れた女神像を保存してるって、司祭様が言ってたの」

 どうやら、この国で潰れた教会から、わざわざ女神像を集めたらしい。いつか直してまた各地の教会に立てるためだという。

 この状況を見る限り、修理に出すというのは永遠に来そうにないがな。

 俺は卵のように置いてある水魔石に、一つ一つ触れてみる。

 ふっと、魔力を抜かれる感覚がある。中にはただの石膏で出来た物もあったが、ほとんどが水魔石だ。ひび割れているが、きっと直せる。

 なぜかは分からないが、それらの水魔石を見ると、俺が来ることをずっと待っていたかのように感じた。

「ライド。この国に、俺以外に水魔法使いはいないのか?」

「いるよ。ルドミリア教会に数人いる。この国には一人いる」

「ここにある水魔石はどうして放置されてる?」

「あ? 水魔石? これはただの石ころだろ。アオはこいつに用があったのか? いい加減、何をするのか教えろ」

 そう言えばライドには詳しく教えていなかったな。だけど、俺以外の水魔法使いは気づかなかったのか? やはり、ただの石ころに見えるからか?

「アオ君。それよりもこれだけの水魔石、どうしようか? さすがに持って帰れないぞ」

 リザの言うとおりだ。水魔石一個だけでも、大量の水を出すのだ。正確に数えていないが、百個以上の水魔石がここにはある。

 そう、百個以上の水魔石が。

 俺はこれらの水魔石を見て、一つのアイディアが浮かぶ。最初は一個の水魔石で試そうと思っていたが、これだけあればもっと大規模に、しかも一気に水の価格を下げられる。
 
 しかし、その計画にはたくさんの人員が必要だ。とても今いるメンバーだけでは成し遂げられない。

 俺は大量の水魔石を前に、どうするか考えていると、一人の屈強な男が現れた。その男は、大きなロングソードを手に持っている。すでに臨戦態勢だ。

「プル。こんな夜更けに何をしているんだ? それにそちらの方々はどなたかな? 物取りなら、即お帰り願うが、どうなのかね?」

「あっ! 司祭様!! 起きたのね!」

 え? 司祭? このタンクトップを着てる、ガチムチのおっさんが? 嘘だろおい。ゴリラじゃんか。

「司祭様! えっとね、この人たちね! 水魔法使い様と、その知り合いの人たちだよ!」

 リザやライドは、俺のおまけみたいに言われた。

「ん? プル、今、何と言った?」

「だから水魔法使い様と、ゆかいな仲間たちだよ!」

 リザやライドにクーは、ゆかいな仲間たちに昇格した。プルウィアは、笑いのツボを心得ている。

「水魔法使い様だと?」

「うん! この子が水魔法使い様なの!」

 プルウィアは、俺の背中をグイグイ押して、司祭の前に押し出した。

 俺は顔に傷のある、強面こわもての司祭を見て、「ハハハ、俺が水魔法使いッス」と、苦笑いで言った。

 そしてリザやライドは、すでに拳銃を抜き放ち、戦う準備が出来ていた。まさに、修羅場だった。

 



 
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